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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作権(ネットワーク関連)

◆平成17(ネ)3258等 著作権侵害差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件,反訴請求事件 著作権民事訴訟 平成19年06月14日 大阪高等裁判所

 マンション内にサーバ設置し、ユーザの指示によってテレビ番組を録画しておきユーザからリクエストがあるとこれを配信する装置が著作隣接権侵害となるかが争われた選撮見録事件の控訴審判決です。
  「控訴人商品においては販売の形式が採られており,控訴人自身は直接に物理的な複写等の行為を行うものではないが,控訴人商品における著作権,著作隣接権の侵害は,控訴人が敢えて採用した(乙21)放送番組に係る単一のファイルを複数の入居者が使用するという控訴人商品の構成自体に由来するものであり,そのことは使用者には知りようもないことがらであり,使用者の複製等についての関与も著しく乏しいから,その意味で,控訴人は,控訴人商品の販売後も,使用者による複製等(著作権,著作隣接権の侵害)の過程を技術的に決定・支配しているものということができる。のみならず,控訴人商品の安定的な運用のためには,その販売後も,固定IPアドレスを用いてのリモーコントロールによる保守管理が必要であると推認される上,控訴人は,控訴人商品の実用的な使用のために必要となるEPGを継続的に供給するなどにより,使用者による違法な複製行為等の維持・継続に関与し,これによって利益を受けているものであるから,自らコントロール可能\な行為により侵害の結果を招いている者として,規範的な意味において,独立して著作権,著作隣接権の侵害主体となると認めるのが相当である。」

 原審は、こちら(H17.10.24 大阪地裁 平成17(ワ)488)です。 ◆平成17(ネ)3258等 著作権侵害差止等請求控訴事件,同附帯控訴事件,反訴請求事件 著作権民事訴訟 平成19年06月14日 大阪高等裁判所

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◆平成18(ワ)10166 著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件 著作権民事訴訟 平成19年05月25日 東京地方裁判所

   ユーザが所有しているCDを携帯電話用のデータに変換してから、ユーザがサーバにアップすると、これを記憶しておき、当該ユーザがダウンロードするサービス(MYUTA)を行っている業者について、録音および公衆送信の主体が業者であると認定されました。
   「本件サービスのいわば入口と出口だけを捉えれば,ユーザのパソコンとユーザの携帯電話という1対1の対応関係といえなくはないが,説明図?Cすなわち本件サーバにおいて音源ファイルが複製されていることに変わりはなく,しかも,本件サーバへの3G2ファイルの蔵置による複製は,本件サービスにおいて極めて重要なプロセスと位置付けられる。そして,前記(1)エのとおり,本件サーバにおける3G2ファイルの複製行為は,複製に係る蔵置のための操作の端緒となる関与をユーザが行い,原告が任意に随時行うものではないが,この蔵置による複製行為そのものは,専ら,原告の管理下において行われている。すなわち,本件サーバにおける3G2ファイルの複製行為は,ユーザがどの楽曲データをアップロードするかを決定して操作するものではあるが,複製の過程はすべて原告が所有し管理する本件サーバにおいて,原告が設計管理するシステムの上で,かつ,原告がユーザに要求する認証手続を経た上でされるものであって,原告の全面的な関与の下にされるものである。そうすると,この過程において,ユーザは複製のための操作の端緒となる関与をしたに留まるものというべきであり,上記の複製行為は,前記(1)カのとおり,それ自体,原告の行為としてとらえるのが相当である・・・本件サーバから音源データを送信しているのは,前記(1)のとおり,本件サーバを所有し管理している原告である。そして,公衆送信とは,公衆によって直接受信されることを目的とする(著作権法2条1項7号の2)から,送信を行う者にとって,当該送信行為の相手方(直接受信者)が不特定又は特定多数の者であれば,公衆に対する送信に当たることになる。そして,送信を行う原告にとって,本件サービスを利用するユーザが公衆に当たることは,前記(2)のとおりである。なお,本件サーバに蔵置した音源データのファイルには当該ユーザしかアクセスできないとしても,それ自体,メールアドレス,パスワード等や,アクセスキー,サブスクライバーID(加入者ID)による識別の結果,ユーザのパソコン,本件サーバのストレージ領域,ユーザの携帯電話が紐付けされ,他の機器からの接続が許可されないように原告が作成した本件サービスのシステム設計の結果であって,送信の主体が原告であり,受信するのが不特定の者であることに変わりはない。」

◆平成18(ワ)10166 著作権侵害差止請求権不存在確認請求事件 著作権民事訴訟 平成19年05月25日 東京地方裁判所

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◆平成18(ワ)1769等 著作権民事訴訟 平成19年01月19日 東京地方裁判所

  送信可能化権が法定される前に締結された原盤に関する無制限かつ独占的な契約の解釈について、東京地裁は、種々の事情を考慮して、送信可能\化権についても包括的に譲渡されたものと判断しました。
  「?@ 本件各契約には,原盤に関し原告の有する「一切の権利」を「何らの制限なく独占的に」譲渡する旨の規定があること,?A それにより,レコード会社であるSMEにおいて原盤に対する自由でかつ独占的な利用が可能となったこと,?B そこでは著作隣接権の内容が個々に問題にはならず,原盤に対する自由でかつ独占的な利用を可能ならしめるための一切の権利が問題になっていること,?C 他方,アーティストの所属事務所である原告は,レコード会社から収益を印税の形で受け取り,レコード製作者の権利の譲渡の対価を収受することができること,?D このような関係は,音楽業界において長年にわたる慣行として確立していること,これらの事情を総合的に考慮すれば,本件各契約により,原盤に関して原告の有する一切の権利が何らの制約なくSMEに譲渡されたものと解される。すなわち,平成9年法律第86号により創設された送信可能化権についても,本件各契約の第6条の包括的な譲渡の対象となり,上記改正法が施行された平成10年1月1日の時点で,A音源の持分2分の1とB音源の全部について,いったん,レコード製作者たる原告の下に付与されたものが,同時に,本件各契約の第6条により,そのまま原告からSMEに譲渡され,後に被告に承継されたことになる。」

◆平成18(ワ)1769等 著作権民事訴訟 平成19年01月19日 東京地方裁判所

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