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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

著作権(ネットワーク関連)

◆平成20(ネ)10059 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権民事訴訟 平成20年12月15日 知的財産高等裁判所

   まねきTVの控訴審判決です。地裁判決が維持されました。 
   「自動公衆送信装置は,公衆によって直接受信され得る送信を行う機能を有する装置でなければならず,その「公衆(不特定又は特定多数の者)によって直接受信され得る送信を行う」ことは,自動公衆送信装置の機能\として必要なのであるから,不特定又は特定多数の者であるかどうかは送信行為者を基準に判断されるべきであり,かつ,仮に,本件サービスにおいて,放送番組を利用者に送信しているのが被控訴人であると仮定したとしても,個々のベースステーションを自動公衆送信装置に擬するのであれば,個々のベースステーションごとに,当該ベースステーションが,被控訴人にとって不特定又は特定多数の者によって直接受信され得る送信を行う機能を有するといえなければならない。そして,上記のとおり,ベースステーションからの送信は,その所有者である利用者が発する指令により,当該利用者が設置している専用モニター又はパソ\コンに対してのみなされるものであり,かつ,上記2(原判決「事実及び理由」欄の「第4 当裁判所の判断」の「2 事実認定」の(4))のとおり,当該利用者(当該ベースステーションの所有者)は,被控訴人との間で,本件サービスに関する契約を締結し,その契約の内容として,当該ベースステーションを被控訴人の事業所(データセンター)に持参又は送付した者であるから,このような者が,被控訴人にとって不特定又は特定多数の者といえないことは明らかである。したがって,個々のベースステーションが,被控訴人にとって不特定又は特定多数の者によって直接受信され得る送信を行う機能を有するものということはできない。
(3) 控訴人らは,ベースステーションを含めた被控訴人のデータセンター内のシステム全体が,一つの特定の構想に基づいて機器が集められ,それらが有機的に結合されて構\築された一つの「装置」となっているから,本件システムは,被控訴人事業所内のシステム全体が一つの自動公衆送信装置を構成しているものであり,被控訴人がこれを一体として管理・支配しているものであるところ,被控訴人が,本件システムを用いて行っている送信は,被控訴人に申\込みを行い,ベースステーションを送付してくる不特定又は多数の者(利用者)に対して行われているものであるから,送信可能化行為に該当するとも主張する。しかしながら,上記のとおり,本件サービスにおいて,利用者の専用モニター又はパソ\コンに対する送信は,各ベースステーションから,各利用者が発する指令により,当該利用者が設置している専用モニター又はパソコンに対してのみなされる(各ベースステーションにおいて,テレビアンテナを経て流入するアナログ放送波は,当該利用者の指令によりデジタルデータ化され,当該放送に係るデジタルデータが,各ベースステーションから当該利用者が設置している専用モニター又はパソ\コンに対してのみ送信される)ものである。そうすると,本件システムにおいて,各ベースステーションへのアナログ放送波の流入に関わるテレビアンテナ,アンテナ線,分配機,ブースター等,また,各ベースステーションからのデジタル放送データをインターネット回線に接続することに関わるLANケーブル,ルーター等は,それぞれが本来は別個の機器であるとしても,その接続関係や役割に有機的な関連性があるということができ,これらを一体として一つの「装置」と考える契機がないとはいえない。
しかしながら,本件サービスに係るデジタル放送データの送信の起点となるとともに,その送信の単一の宛先を指定し,かつ送信データを生成する機器であるベースステーションは,本件システム全体の中において,複数のベースステーション相互間に何ら有機的な関連性や結合関係はなく(例えば,利用者との契約の終了等により,あるベースステーションが欠落したとしても,他のベースステーションには何らの影響も及ぼさない。),かかる意味で,個々のベースステーションからの送信は独立して行われるものであるから,本来別個の機器である複数のベースステーションを一体として一つの「装置」と考える契機は全くないというべきである。したがって,控訴人らの上記主張は,複数のベースステーションを含めて一つの「装置」と理解する前提において失当というべきである。  (4) 控訴人らは,ある装置が自動公衆送信装置に当たるかどうかは,当該装置が有する客観的機能のみによって定まるというべきであるとした上,ベースステーションを用いて送信を行う者から見て不特定又は特定多数の者が,対になる専用モニター又はパソ\コン等を所持しているような場合には,そのベースステーションによって自動公衆送信が行われることになるから,そのような機能を有する装置であるベースステーションは,自動公衆送信装置に当たると主張し,事業者が予\め多数のベースステーションと対応モニターを購入し,その事業所内にベースステーションを設置して必要な設定を施しておき,顧客から申し込みがある都度,対応モニターを顧客に貸与する,というようなサービスを行っている場合をその例として挙げる。しかしながら,控訴人らの挙示する上記の例においても,個々のベースステーションからの送信は,当該事業者との貸借契約(又は貸借を含む契約)を経た特定の者の設置する対応モニターに対してのみなされるだけであり,したがって,仮に,送信の主体が当該事業者であるとしても,個々のベースステーションが,当該事業者にとって不特定又は特定多数の者によって直接受信され得る送信を行う機能\を有するものということはできず,これをもって自動公衆送信装置に当たるということができないことは,上記(2)と同様である。そして,控訴人らの主張に係る「ベースステーションを用いて送信を行う者から見て不特定又は特定多数の者が,対になる専用モニター又はパソコン等を所持しているような場合」として,他にどのような例を想定し得るのかは明らかではないから,控訴人らの上記主張を採用することはできない。(5) 以上のほか,被控訴人が本件システムによって行う本件サービスにおいて,自動公衆送信装置に該当すると認められるものが使用されているとの事実を認めるに足りる証拠はない。そうすると,上記のとおり,「送信可能化」は,自動公衆送信装置の使用を前提とするものであるから,その余の点につき判断するまでもなく,本件サービスにおいて,被控訴人が本件放送の送信可能\化行為を行っているということはできない。

原審はこちらです◆平成19(ワ)5765 平成20年06月20日 東京地方裁判所

◆平成20(ネ)10059 著作権侵害差止等請求控訴事件 著作権民事訴訟 平成20年12月15日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(ワ)5765 著作権侵害差止等請求事件 著作権民事訴訟 平成20年06月20日 東京地方裁判所

 まねきTV(ソニーのベースステーションを多数預かるハウジングサービス)は、公衆送信権侵害とはならないと判断しました。
 「上記アないしエで述べたベースステーションの機能,その所有者が各利用者であること,本件サービスを構\成するその余の機器類は汎用品であり,特別なソフトウェアは一切使用されていないことなどの各事情を総合考慮するならば,本件サービスにおいては,各利用者が,自身の所有するベースステーションにおいて本件放送を受信し,これを自身の所有するベースステーション内でデジタルデータ化した上で,自身の専用モニター又はパソ\コンに向けて送信し,自身の専用モニター又はパソコンでデジタルデータを受信して,本件放送を視聴しているものというのが相当である。要するに,本件サービスにおいて,本件放送をベースステーションにおいて受信し,ベースステーションから各利用者の専用モニター又はパソ\コンに向けて送信している主体は,各利用者であるというべきであって,被告であるとは認められない。(3)自動公衆送信装置該当性 ア 前記のとおり,自動公衆送信装置に該当するためには,それが(自動)公衆送信する機能,すなわち,送信者にとって当該送信行為の相手方(直接受信者)が不特定又は特定多数の者に対する送信をする機能\を有する装置であることが必要である。前記のとおり,本件サービスにおいて,ベースステーションによる送信行為は各利用者によってされるものであり,ベースステーションから送信されたデジタルデータの受信行為も各利用者によってされるものである。したがって,ベースステーションは,各利用者から当該利用者自身に対し送信をする機能,すなわち,「1対1」の送信をする機能\を有するにすぎず,不特定又は特定多数の者に対し送信をする機能を有するものではないから,本件サービスにおいて,各ベースステーションは「自動公衆送信装置」には該当しない。」

◆平成19(ワ)5765 著作権侵害差止等請求事件 著作権民事訴訟 平成20年06月20日 東京地方裁判所

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