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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

社会通念上の同一

令和3(行ケ)10076  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 令和4年2月9日  知的財産高等裁判所

 商標「知本主義」の不使用取消審判の審決取消訴訟です。会報のタイトルとして「賢主主義と知本主義」を使用していましたが、審決は不使用と認定しました。裁判所も同様です。本件会報は市場における独立した商取引の対象たる商品ではないとされています。

 商標法上,商標の本質的機能は,自他商品又は役務の識別機能\にあると解するの が相当であるから(同法3条参照),同法50条にいう「登録商標の使用」という ためには,当該登録商標が商品又は役務の出所を表示し,自他商品又は役務を識別\nするものと取引者及び需要者において認識し得る態様で使用されることを要すると 解するのが相当である。 この点に関し,原告は,上記「登録商標の使用」といえるためには,当該登録商 標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足りる旨 主張するが,上記のとおりの商標の本質的機能に照らし,採用することができない。\n
(2) 本件各書籍について
証拠(甲8,10,12,14,16,18,20,22,24,26,36の 1及び2)によれば,本件各書籍(表紙,裏表\紙,書籍に付された帯等も含む。) には,「知本主義の時代を生きろ」,「私は資本主義ではなく「知本主義」時代が 到来すると思う。」,「資本主義に代わる知本主義」,「「資本主義」から「知本 主義」へ」など,「知本主義」の文字を用いた表現が一定程度記載されているもの\nと認められる。 しかしながら,原告が「知本」の語につき辞書にも記載がないと主張するとおり, 「知本主義」の語の観念は不明確であり,「主義」との語尾から何らかの主義主張 を指すことがうかがわれるのみである。そうすると,上記のとおり本件各書籍にお いて「知本主義」の文字を用いた表現が一定程度記載されていることや,本件各書\n籍が通信販売サイト等において宣伝されていること(甲9,11,13,15,1 7,19,21,23,25,27,37)を考慮しても,「知本主義」の文字又 はこれを含む表現に触れた取引者及び需要者は,これらの文字等を書籍の副題の一\n部,記載内容,宣伝文句,著者の主張等であると認識するにとどまり,これらの文 字等が当該書籍に係る自他商品識別機能を果たすと認識するとは考え難い(これは,\n「知本主義」の文字が鍵括弧でくくられている場合であっても変わるところではな い。)。なお,この点に関し,原告も,「知本主義」の文字等が書籍に付された場 合,「知本」の主義主張に関する分野ないし事項の書籍であることを取引者及び需 要者に想起させる旨主張しているところである。 したがって,本件各書籍における「知本主義」の文字の記載は,商標法50条に いう「登録商標の使用」に該当しない。
(3) 甲28会報について
ア 証拠(甲28)によれば,甲28会報には,「賢主主義と知本主義」との表\n題が付され,「X会のうた」として,「いっぱい 知本主義」との記載がされ, 「「知本主義」を実践するX会12月例会」なる会合の告知がされているものと認 められるが,甲28の記載やその他の証拠によっても,甲28会報が市場における 独立した商取引の対象たる商品であると認めることはできないから,甲28会報に おける上記表題等の記載をもって,本件商標が商品について使用されたということ\nはできない。
イ 証拠(甲28)によれば,甲28会報には,「令和元年12月23日」との 日付の記載があるものと認められ,その他,甲28会報が本件要証期間内に発行さ れたものと認めるに足りる証拠はない。
ウ 以上のとおりであるから,甲28会報における上記アの記載をもって,原告 又は本件商標の専用使用権者若しくは通常使用権者(以下「原告ら」という。)が 本件要証期間内に本件指定商品について本件商標を使用したと認めることはできな い。
(4) 甲29の選挙公報について
証拠(甲29)によれば,甲29は,東京都選挙管理委員会が平成11年4月1 1日執行の東京都知事選挙に際して発行した選挙公報(原告に係るもの)であり, 「資本主義(拝金主義)から知本主義へ」との記載がされているものと認められる。 しかしながら,一般に選挙公報が「新聞」,「雑誌」若しくは「書籍」又はこれ らに係る広告等に該当しないことは明らかである。また,上記認定のとおりの選挙 の執行期日にも照らすと,同選挙公報が本件要証期間内に発行されたと認めること もできない。 そうすると,甲29の選挙公報における上記記載をもって,原告らが本件要証期 間内に本件指定商品について本件商標を使用したと認めることはできない。
(5) 甲30の社歌について
証拠(甲30)及び弁論の全趣旨によれば,甲30の書面には,「知本主義・知 財企業「B 勤務心得の歌」」と題する歌の歌詞が記載され,その歌詞の中に「知 本主義」の語が用いられているものと認められる。 しかしながら,本件全証拠によっても,甲30の書面が「新聞」,「雑誌」若し くは「書籍」又はこれらに係る広告等に該当すると認めることはできないし,同書 面の作成時期も不明である(同書面には,「SINCE1957」との記載がみられるのみ である。)。 そうすると,甲30の書面における上記記載をもって,原告らが本件要証期間内 に本件指定商品について本件商標を使用したと認めることはできない。
(6) 甲34のウェブサイトについて
証拠(甲34)及び弁論の全趣旨によれば,甲34は,原告の著書を宣伝するウ ェブサイトであって,原告が代表取締役を務める株式会社Bが運営するものの画面\nを印刷した書面であると認められる。 しかし,甲34をみても,本件商標又は社会通念上これと同一の商標が当該ウェ ブサイトに表示されているということはできない。\nしたがって,原告らが甲34のウェブサイトにおいて本件商標を使用したとは認 められない。
(7) 甲37のウェブサイトについて
証拠(甲37)及び弁論の全趣旨によれば,甲37は,原告の著書(甲36の1 及び2)を宣伝するウェブサイトであって,上記株式会社Bが運営するものの画面 を印刷した書面であり,同画面には,同著書を宣伝する文言として,「資本主義社 会は「知本主義」へ」との記載がされているものと認められる。 しかしながら,前記(2)において説示したとおり,「知本主義」の文字を含む上 記記載に触れた取引者及び需要者は,これを同著書の記載内容,宣伝文句,著者の 主張等であると認識するにとどまり,これが同著書に係る自他商品識別機能を果た\nすと認識するとは考え難い。 したがって,甲37のウェブサイトにおける上記記載は,商標法50条にいう 「登録商標の使用」に該当しない。

◆判決本文

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 >> 不使用
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平成18(行ケ)10043  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成18年6月29日  知的財産高等裁判所

 かなり昔の判決ですが、興味深いのであげておきます。登録商標の同一性および、取説における使用も使用と認定されました。
 標章「速脳速聴基本プログラム」の使用が、登録「速脳速聴」の使用と認定されました。指定商品は「中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・ 磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器」です。

 本件関連標章1は,「速脳速聴」(本件商標)と「基本プログラム」と が結合した語から成るものである。この構成中の「速脳速聴」の部分は,\n高速で聴くことによって脳の回転を高めるといった程度の意味を有するも のと理解されないこともないが,明確な意味を有するとまではいえず,取 引者・需要者において,既存の明確な観念を伴わない新たな造語であると 認識するものと認められる。一方,「プログラム」の語は,本件商標の指 定商品である電子応用機械器具の分野において,その一種である電子計算 機のためのプログラムを示す普通名称であり,これに冠して付加されてい る「基本」の語は,「物事が成り立つためのよりどころとなるおおもと。 基礎。」(甲27の2,ウェブサイトの「 辞書」),「物事がそれに goo 基づいて成り立つような根本。」(甲28,株式会社岩波書店平成3年1 1月15日発行「広辞苑第4版」)を意味し,後に「応用」若しくは「発 展」など次の段階へと続くことを想起,連想させる一般的な記載にすぎな いから,本件関連標章1に接した取引者・需要者は,通常,その構成中の\n「基本プログラム」の部分は,商品の特定のために当該商品の用途等を表\n示したものと理解して,それ自体を自他商品の識別力を有する部分とは考 えないと認めるのが相当である。
そして,「速脳速聴」と「基本プログラム」とは,一体不可分の密接な 関係にあるとはいえないし,「速脳速聴基本プログラム」の称呼は,「ソ\nクノウソクチョウキホンプログラム」と著しく冗長であって,この一連一\n体の称呼によることが取引の実情に即したものであるとは言いがたく,む しろ,取引の実際においては,冒頭の「速脳速聴」の部分に即して「ソク\nノウソクチョウ」との称呼を生ずるのが通常であるということができる。\nそうすると,本件関連標章1の「速脳速聴基本プログラム」の語は, 「速脳速聴」の部分において,取引者・需要者の注意を引くものであり, その部分が自他商品の識別力を有するものというべきである。 もっとも,本件関連標章1の「速脳速聴」の部分について,高速で聴く ことによって脳の回転を高めるといった程度の意味のものととらえ,本件 関連標章1について,一体として「速脳速聴の基本的なプログラム」,あ るいは,「速脳速聴に関する基本的なプログラム」との観念を生ずること もあり得ないものではない。しかし,一般には,「速脳速聴」の観念が必 ずしも明確でないことに照らしても,「速脳速聴の基本的なプログラム」 等の観念が生ずる可能性がないわけではないことによって,「速脳速聴」\nの部分の自他商品識別力が否定されるものではないというべきである。 そして,この「速脳速聴」は,本件商標と同一なのであるから,本件関 連標章1は,本件商標と社会通念上同一と認められる商標とみるのが相当 であり,上記1及び2・・・ に照らせば,プランニングラボは,本件予\n告登録前3年以内に,本件関連標章1により,本件商標の指定商品である 本件商品1につき,商標法2条3項1号及び8号にいう本件商標の「使 用」をしていたというべきである。
ウ ところで,被告は,本件CDに付されている商標は,「速脳速聴基本プ ログラム」であるから,本件商標「速脳速聴」とは,同一の商標ではない し,「速脳速聴基本プログラム」は,一体として「速脳速聴の基本プログ ラム」の観念が生じ,当然,一連一体として観察,称呼しなければならず, 本件商標とは,称呼,外観,観念のすべてを異にするものであり,識別力 を異にすることが明らかであるから,本件関連標章1は,本件商標と社会 通念上同一と認められる商標でないと主張する。 しかし,「速脳速聴基本プログラム」がそれ自体一つの商標であるとし ても,上記のとおり,取引の実際においては,「速脳速聴」の部分,すな わち,本件商標に相当する部分が商標として自他商品識別力を有している ものというべきである。また,「速脳速聴基本プログラム」から,一体と して「速脳速聴の基本プログラム」の観念が生ずる可能性があることは,\n上記のとおりであるが,そのことから,このような結合語を,直ちに一連 一体として観察,称呼しなければならないものとはいえず,一体として 「速脳速聴の基本プログラム」の観念が生ずる可能性があることによって,\n「速脳速聴」の部分の自他商品識別力が否定されるものではないことも, 上記のとおりである。
(4) 次に,本件取扱説明書の表紙に記載されている「速脳速聴<R>基本プログ ラム」(以下「本件関連標章2」という。)について検討する。 ア 本件関連標章2が,本件商標と社会通念上同一といえるかについてみる と,本件関連標章2は,「速脳速聴」と「基本プログラム」とが<R>マー クで区分された語であるところ,この<R>マークは,米国における連邦登 録商標の商標表示の方法(米国連邦商標法1111条〔ランナム法29\n条〕)であって,商標法73条,同法施行規則17条にいう商標登録表示\nではないが,我が国でも登録商標に簡明な<R>マークを付すことが慣行的 に行われていることは,当裁判所に顕著である。そして,本件関連標章2 においては,<R>マークによって,「速脳速聴」と「基本プログラム」と が明確に分離されており,また,上記のとおり,本件取扱説明書の裏表紙\nには,「『速脳』『速脳速読』『速脳速聴』等は新日本速読研究会(X 〔注,原告〕)が保有する商標です。」等の記載があることから,取引者 ・需要者は,「速脳速聴」が商標であると容易に理解することができるも のである。 そうすると,本件関連標章2は,本件関連標章1以上に,「速脳速聴」 の部分に自他商品識別力があるということができるから,本件商標と社会 通念上同一と認められる商標であり,プランニングラボは,本件関連標章 2によっても,本件関連標章1と同様,本件商標の使用をしていたといわ なければならない。

◆判決本文

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