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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

社会通念上の同一

平成27(行ケ)10086  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年9月30日  知的財産高等裁判所

 不使用であると認定した審決が取り消されました。 登録商標は,上段に「ハイガード」下段に「HIGUARD」を配した商標です。使用商標は「ハイガード」でした。審決では「HIGUARD」は造語であり,特定の観念を有しないのに対し,上段の「ハイガード」のみが表示された場合には,「high guard」の欧文字を想起し,その表音を表\記したものと容易に理解し,「ハイガード」の片仮名は,「高いガード(保護)」,すなわち「商品を守る保護の程度が高い」との観念を有するとして、同一ではないと判断しました。裁判所は、同一の称呼及び観念が生ずると判断しました。
 
片仮名の「ハイガード」から生ずる観念について
 片仮名の「ハイガード」は,それ自体が辞書等に登載された既成の用語 として特定の観念を有するものではない。 しかし,「ハイ」の部分は,英語の「high」に由来し,「程度の高 いこと。高度。高級。」などの意味を有する外来語として,また,「ガー ド」の部分は,英語の「guard」に由来し,「警戒。監視。防御。」 などの意味を有する外来語として,いずれも一般的に使用されていること (広辞苑第六版),また,片仮名の「ハイ」は,例えば,「ハイスピード」, 「ハイジャンプ」,「ハイクラス」などのように,その後に続く外来語と 結合して一連表記され,「高い○○」,「高度な○○」の意味で使用され\nる用例が一般的にみられること(広辞苑第六版)からすれば,本件審判請 求に係る指定商品である第17類「繊維布地を合成樹脂で挟んでなる積層 シート,繊維と貼り合わせたプラスチックシート,シート状・フィルム状\n・フォイル状・テープ状のプラスチック基礎製品,その他のプラスチック 基礎製品」に係る取引者,需要者が,片仮名の「ハイガード」からなる商 標に接した場合には,これを上記のような意味を有する「ハイ」の語と「ガ ード」の語が結合した用語として認識すると考えられる。そして,これを 前提とすれば,片仮名の「ハイガード」からなる商標からは,「高度な防 御」といった観念が生ずるというべきであり,更には,これが上記指定商 品に使用されることを想定すると,これらの商品の用途や性能等に関連し\nた印象が生ずることの結果として,「物を保護する程度が高い。」といっ た観念が生ずるものと認めることができる。
イ 本件商標から生ずる観念について
片仮名の「ハイガード」からは,上記アのような観念が生ずるといえる ところ,本件商標は,片仮名の「ハイガード」の下に「HIGUARD」 の欧文字が配されていることから,これらを全体としてみた場合にも,上 記アと同様の観念が生ずるといえるかが問題となる。 そこで検討するに,前記(1)のとおり,本件商標の上段の「ハイガード」 の片仮名文字は下段の「HIGUARD」の欧文字の表音を示したものと\nして両者は一体的に把握されるものといえるから,本件商標に接した取引 者,需要者においては,欧文字の「HIGUARD」について,片仮名の 「ハイガード」の「ハイ」の語に相応する「HI」の語と,片仮名の「ハ イガード」の「ガード」の語に相応する「GUARD」の語とが結合した ものであることを自然に認識するというべきである。 そして,このうち,「GUARD」の語が,「警戒。監視。防御。」等 の意味を有する英単語として,我が国においても一般的に認識されている ことは,前記(1)のとおりである。 次に,「HI」の語については,「やあ。」などの呼び掛けを表す間投\n詞に当たる英単語としての用例が一般的ではあるが,そのような間投詞が 他の用語と結合して一連表記される用例は一般的ではないから,上記のよ\nうに「GUARD」の語と結合して一連表記された「HI」の語が,間投\n詞の「HI」の語であると認識されることは考え難い。他方,「hi」の 語には,「高い。高度な。高級な。」等の意味を有する英単語「high」 の略語としての意味もあり(甲34),しかも,「hi」の語には,例え ば,高品位テレビジョンの日本方式の愛称として「hi−vision」, 高度先端技術を表すものとして「hi−tech(technology\nの略)」などのように,その後に続く英単語と結合して一連表記され,「高\n度な○○」の意味で使用される用例が,我が国においても一般的にみられ るところである(甲17,18)。 以上のような「HI」の語及び「GUARD」の語に対する我が国にお ける一般的な認識を前提とすれば, 上記アのような観念が生ずるものと認 められる片仮名の「ハイガード」の下に配された「HIGUARD」の欧 文字から構成された本件商標に接した本件審判請求に係る指定商品の取引\n者,需要者においては,これを上記用例と同様に,「HI」は「high」 の略語として認識し,あるいは「HI」の語から「high」の語を想起 又は連想し,本件商標は,「high」の語を表す「HI」と「警戒。監\n視。防御。」等の意味を有する英単語の「GUARD」とが結合して一連 表記されたものであって,上段の「ハイガード」の片仮名と同様の意味を\n有するものとして認識するというべきである。 してみると,本件商標からは,片仮名の「ハイガード」単独の場合と同 一の観念,すなわち,「高度な防御」あるいは「物を保護する程度が高い。」 といった観念が生ずるものと認めるのが相当である。  

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 不使用
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平成26(行ケ)10141  審決取消請求事件  商標権  行政訴訟 平成27年6月30日  知的財産高等裁判所

 不使用取り消し審判の審決取消訴訟です。審決では登録商標の「使用」と認定され、知財高裁はこれを維持しました。
 使用商標2の「ROYAL ENFIELD BULLET 500 EFI」の文字よりなる。構成中の「ROYAL ENFIELD」は,旧社名から派生した二輪自動車のブランド名であり(甲4),「500」は排気量の数字,「EFI」はエンジンにおける燃料噴射の電子制御システムである「Electronic Fuel Injection」の略語(甲11)等として理解されるから,外観上常に一体不可分のものとして認識されるとはいえず,「BULLET」の文字部分が,独立して要部として認識され得る。 本件商標と「BULLET」の文字部分は,その文字綴りを同一にするものであるから,使用商標2は,その他の文字を伴っている構成であるが,「BULLET」を要部として認識され得る以上,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。\n

◆判決本文

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