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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商3条1項各号

平成24(行ケ)10281 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年12月05日 知的財産高等裁判所

 指定商品「電気通信機械器具の,自己修復機能を有する部品及び附属品(自分自身で修繕・修理するための商品を除く)」,商標「セルフリペア」について、識別性なしとした拒絶審決が維持されました。
 本件審決当時,本願商標の指定商品が属する電気通信機械器具の分野においては,それ自体が自動的に修繕・修復される自己修復機能という品質を有する部品及び附属品が公知であったところ,本願商標の指定商品は,「電気通信機械器具の,自己修復機能\を有する部品及び附属品(自分自身で修繕・修理するための商品を除く)」であって,まさに自己修復機能という品質を有する部品及び附属品であるから,本願商標が指定商品に使用された場合,これに接した当該分野の取引者,需要者は,「セルフリペア」という語から想起される意味合いのうち,物それ自体が自動的に修繕・修復されること(自己修復)というものを想起し,これが当該部品及び附属品の自己修復機能\という品質を表しているものと認識すると認められる。そして,本願商標は,「セルフリペア」という標準文字からなるものであるにすぎないから,指定商品の品質を普通に用いられる方法で表\示したものというほかなく,商標法3条1項3号に該当するものというべきである。

◆判決本文

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平成24(行ケ)10156 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年11月29日 知的財産高等裁判所

 「壺プリン」は識別性無し、使用による識別性も無し、とした拒絶審決が維持されました。
 上記認定のとおり,「プリン」は,柔らかく,形状を維持できないことから,通常は,容器に入れられて販売されたり,提供されたりしている。「壷」とは,一般に,「口の狭まった陶器」や「口が細くつぼまり胴のまるくふくらんだ形の容器」を指すが,プリンの容器として,壷型の容器が用いられる例は少なくなく,壷型の容器に入れられたプリンは,本件商品以外にも,多くの店舗で販売されたり,提供されたりしている。そして,このような壷型の容器に入れられたプリンには,「壷(つぼ)プリン」又は「壷(つぼ)プリン」の語を含む名称で表示された例が少なくない。壷型以外の形状の容器に入れられたプリンも販売されており,そのような場合には,プリンが入れられている容器(「バケツ」型の容器や「缶」型の容器)の名称を付して,「バケツプリン」「缶プリン」等の表\示がされた例がある。以上によると,需要者は「壷プリン」の表示から,当該商品が「壷型の容器に入れられたプリン」であると理解するものと認められる。そうすると,本願商標は,指定商品のうち「壷型の容器に入れられたプリン」に使用する場合には,商標法3条1項3号が規定する「その商品の形状(包装の形状を含む。)を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標」に該当すると認められる。・・・
3 商標法3条2項該当性について(取消事由2)
(1) 前記認定事実によれば,原告は,インターネットを利用した通信販売等により,全国的に本件商品の販売を行っており,また,本件商品は,テレビや雑誌等のメディアや,各種のウェブサイトでも取り上げられ,平成20年1月頃に本件商品の販売を開始して以降,売上高を伸ばし,平成23年には合計190万個以上を販売し,7億円以上の売上高を記録している。また,「Yahoo!」と「Google」の検索サイトにおいてキーワードを「壷プリン」としてインターネット検索をすると,いずれにおいても,上位の大多数が本件商品に関するサイトであり,本件商品は,多くの需要者に認識されている商品であるといえる。しかし,前記認定のとおり,原告は,本件商品の宣伝広告に当たっては,「魔法の壷プリン」又は「神戸魔法の壷プリン」の表示を使用してきたこと,テレビや雑誌等のメディア,各種ウェブサイトでも,本件商品は,ほとんどの場合,「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」「神戸フランツの壷プリン」「神戸フランツ魔法の壷プリン」「神戸フランツ 神戸魔法の壷プリン」と表示されていることに照らすならば,「壷プリン」が使用されていると認めることはできない。ウェブサイト上には,消費者の書き込み等で,本件商品について単に「壷プリン」と記載されているものもないわけではない。しかし,その中には,「壷プリン」の記載の前後に,「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」との表\示や,販売店である「神戸フランツ」の名称が併記されているものもある。(甲73)以上によれば,需要者は,「神戸フランツ」「魔法の壷プリン」「神戸魔法の壷プリン」との表示により,商品の出所が原告であることを認識していると認められ,「壷プリン」との標章のみによって,その出所が原告であると認識していると認めることはできない。したがって,「壷プリン」のみにより,その出所が原告であることを認識できる状況に至ったと解することはできない。
(2) この点に対し,原告は,本願商標には,「フランツ」や「魔法の」「神戸魔法の」の文言が付加されているものが多いが,それぞれの表記の間には「の」が存在すること等から,「壷プリン」と「魔法」又は「神戸魔法」とは分離して観察することができると主張する。しかし,前記認定のとおり,需要者は「壷プリン」の文言から「壷型の容器に入れられたプリン」と認識することに照らすならば,「魔法の壷プリン」や「神戸魔法の壷プリン」等をもって,その出所を識別していると解することができ,「壷プリン」の文字部分のみで,その出所を識別していると解することはできない。以上のとおり,本願商標は,商標法3条2項に規定する要件を充足しているとはいえない。\n

◆判決本文

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 >> 使用による識別性

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平成24(行ケ)10242 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年11月14日 知的財産高等裁判所

「生(レア)クッキー」が識別性無しとして無効とした審決が維持されました。
 本件商標の指定商品は「生タイプのクッキー」である。証拠(甲24)及び弁論の全趣旨によれば,クッキーは,基本的に小麦を主原料とした焼き菓子を指すが,一部に,全く焼かないクッキーも存在することが認められる。また,本件商標の指定商品自体「生タイプの」クッキーであって,商品「クッキー」の中に,生タイプのものとそれ以外のものが存在することが窺える。
・・・
原告は,本件商標について,焼くという工程を有する商品「クッキー」に,敢えて矛盾する「生」という文字を組み合わせて,原告が創作した商標であるから,商品の品質を表示したものとはいえないと主張する。しかしながら,上記説示のとおり,クッキーには焼かないものも存在しており,本件商標の指定商品自体が「生タイプの」クッキーなのであるから,そのような指定商品に係る商標として「生」と「クッキー」の文字を組み合わせたとしても,自他識別力があるということはできない。また,証拠(甲27,28,54)によれば,本件商標の登録審決時より前に,洋菓子について,「生キャラメル」,「生ドーナツ」のように,加熱工程を有する菓子に「生」を組み合わせる例があったことが認められるのであって,焼き菓子に「生」の文字を組み合わせることに特殊性があるとはいえない。したがって,本件商標が原告の造語であるかどうかにかかわらず,原告の上記主張は採用することができない。\n

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平成23(行ケ)10359 審決取消請求事件 商標権 行政訴 平成24年10月25日 知的財産高等裁判所

 アルファベット2文字「AO」からなる商標について、識別性なし、また、使用による識別力も生じていないとして、拒絶審決が維持されました。
 以上によれば,AO 財団,及びその研究,開発,教育等の対象である骨折治療法(AO法)が,日本国内においても,需要者である医療従事者の間において広く認識され,社会的に信頼を得ていることは認められる。しかしながら,原告ないしその関係者が,本願商標である「AO」を,その指定商品ないし指定役務について商標として使用していると認めるに足りる的確な証拠はなく,本願商標が,使用により自他商品識別力を獲得するに至ったとは認められない。イ これに対し,原告は,シンセス社は,AO 製品の特殊性から,本願商標を各製品に付するのではなく,AO 製品のパンフレットにAO 財団の承認を受けた旨表示しており,これによりAO 製品には,原告の業務上の信用が化体しているといえる旨主張する。しかし,上記のとおり,シンセス社は,AO 製品のパンフレットの表紙に,「SYNTHES」との欧文字及び図形からなる標章を表示し,その右横に「Instruments and implants」,「approved by the AO Foundation」と二段に分けて表記しているにすぎず(甲80,81),これをもって,本願商標である「AO」の使用ということはできず,原告の上記主張は,その主張自体失当である。なお,「AOAA Chapter Japan」,「AO trauma Japan」,「AO CMF Japan」,「AO VET Japan」なる組織(いずれもAO 財団の関係組織と推認される)のホームページないし冊子において,i)三角形(青色)と円(全体は黄色,縦横に数本の線入り)を組み合わせた図形に続けて「AOTRAUMA」の文字(「AO」は青色,「TRAUMA」は黒色)を配した標章,ii)上記図形に続けて「AO Foundation」の文字(いずれも青色)を配した標章,iii)上記図形に続けて「AO Asia Pacific」の文字(いずれも青色)を配した標章,iv)上記図形に続けて「AOCMF」の文字(「AO」は青色,「CMF」は黒色)を配した標章,v)上記図形に続けて「AOVET」の文字(「AO」は青色,「VET」は黒色)を配した標章,vi)上記図形に続けて「AO North America」(いずれも青色)の文字を配した標章が使用されていることは認められるものの(甲8〜14,24〜26,68〜71),これにより,本願商標である「AO」が,その指定商品ないし指定役務について商標として使用されていると認めることも困難である。ウ したがって,本願商標は,商標法3条2項の要件を満たさないとした審決の判断に誤りはない。

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平成24(行ケ)10002 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年09月13日 知的財産高等裁判所

 商標『Kawasaki』について、3条2項による登録が認められました。
 審決は,「本願商標は,『Kawasaki』の欧文字を普通に用いられる方法で表してなるにすぎず,神奈川県川崎市を表\示するものと容易に需要者に認識させるものであるから,本願商標をその指定商品について使用するときは,これに接する取引者,需要者をして,その商品が神奈川県川崎市で製造,販売されたものであること,すなわち,商品の産地,販売地を表示したものと認識させるにとどまるものである。してみれば,本願商標は,神奈川県川崎市で製造,販売された商品の産地,販売地を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標である。」として,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する旨判断したが,審決の判断は,以下のとおり,疑問がある。商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは,このような商標は,商品の産地,販売地その他の特性を表示記述する標章であって,取引に際し必要適切な表\示としてなんぴと(何人)もその使用を欲するものであるから,特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに,一般的に使用される標章であって,多くの場合自他商品識別力を欠き,商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(最高裁昭和54年4月10日第三小法廷判決・裁判集民事126号507頁[判例時報927号233頁]参照)。また,登録出願に係る商標が同号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標」に該当するというためには,必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず,需要者又は取引者によって,当該指定商品が当該商標の表\示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもって足りるというべきである(最高裁昭和61年1月23日第一小法廷判決・裁判集民事147号7頁[判例時報1186号131頁]参照)。上記の観点から,本願商標が,同号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するか否かを検討する。上記1(1) 認定の事実によれば,本願商標は,欧文字「Kawasaki」が,エーリアルブラックの書体に似た極太の書体で強調して書かれており,字間が狭く,全体的に極めてまとまりが良いことから,単なるゴシック体の表記とはいえず,見る者に,力強さ,重厚さ,堅実さなどの印象を与える特徴的な外観を有するものである。このような外観からすると,本願商標は,単なる欧文字の「Kawasaki」の表\記とは趣きを異にするから,一般人に,一義的に神奈川県川崎市を連想させるような表記ということはできない。また,上記1(2) 認定の事実によれば,神奈川県川崎市を「Kawasaki」,「KAWASAKI」等の欧文字により表記することがしばしば行われるとはいえるが,漢字で「川崎」と表\記される場合とは異なり,「Kawasaki」,「KAWASAKI」等の欧文字に接した一般人が,通常,当該文字から同市を商品の産地,販売地として想起するとまでは認められない。さらに,上記1(3) 認定の事実によれば,本願商標のみに接した日本国内の18歳から69歳の男女1000人以上を調査したところ,半数以上がバイク関係を想起したとするのに対し,神奈川県川崎市を想起した者は総数の3.1%しかなかったこと,また,同(4) 認定の事実によれば,本願商標をアパレル商品に付した場合でも,これに接した日本国内の18歳から69歳の男女1000人以上を調査した結果,神奈川県川崎市を想起した者は総数の10.4%しかなかったことが認められる。以上を総合すると,本願商標が指定商品に使用されたとしても,需要者又は取引者において一般的に地名である神奈川県川崎市を想起するとはいえず,当該指定商品が同市において生産され又は販売されているであろうと一般に認識することもないというべきである。
4 取消事由3(商標法3条2項該当性判断の誤り)について 上記2,3のとおり,本願商標が商標法3条1項3号,4号に該当するとの被告の主張は採用できないものであり,この点だけでも原告主張の取消事由は理由があるといえる。もっとも,上記のとおり,単なる欧文字の「Kawasaki」とは異なる特徴的な表記である本願商標の有する自他商品識別力が,同条1項3号,4号該当性の判断に影響を与えているともいえるので,仮に,3号又は4号に該当する商標であったとしても,同条2項の要件を充足し,商標登録を受けることができるかについて,念のため検討することとする。(1) 審決は,「本願商標を付した商品の過去3年間の売上は5億円程度であって,また,商品の販売数量,シェア,広告宣伝の状況等について,本願商標の指定商品についての著名性を具体的に裏付ける証拠は何ら提出されていないに等しく,申立人の提出に係る証拠のみをもってしては,本願商標が請求人の業務に係るアパレル関連の商品を表\示する商標として,我が国における取引者,需要者の間に広く認識され,自他商品の識別力を獲得したものということはできない。」旨判断した。上記判断は,本願商標が商標法3条2項の要件を満たすためには,その指定商品であるアパレル関連の商品について使用された結果,著名なものとして自他商品識別力を獲得したことを要するとの前提に立つが,この前提は誤りである。すなわち,同項は,「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては,・・・商標登録を受けることができる。」と規定し,指定商品又は指定役務に使用された結果,自他商品識別力が獲得された商標であるべきことを定めていない。また,同項の趣旨は,同条1項3号から5号までの商標は,特定の者が長年その業務に係る商品又は役務について使用した結果,その商標がその商品又は役務と密接に結びついて出所表示機能\をもつに至ることが経験的に認められるので,このような場合には特別顕著性が発生したと考えて商標登録をし得ることとしたものであるから,登録出願に係る商標が,特定の者の業務に係る商品又は役務について長年使用された結果,当該商標が,その者の業務に係る商品又は役務に関連して出所表示機能\をもつに至った場合には,同条2項に該当すると解される。そして,上記の趣旨からすると,当該商標が長年使用された商品又は役務と当該商標の指定商品又は指定役務が異なる場合に,当該商標が指定商品又は指定役務について使用されてもなお出所表示機能\を有すると認められるときは,同項該当性は否定されないと解すべきである。(2) 本件について検討する。
・・・
ウ 以上の事実を総合すると,原告が,本願商標を長年にわたってバイク関係やその他の多様な事業活動で使用した結果,審決時までに,本願商標は著名性を得て,バイク関係はもとより,それ以外の幅広い分野で使用された場合にも自他商品識別力を有するようになったといえる。そして,原告の子会社を通じて,本願商標を使用したアパレル関係の商品が長年販売されていることから,本願商標をアパレル関係の商品で使用された場合にも自他商品識別力を有すると認めるのが相当である。すなわち,審決時において,原告が本願商標を指定商品に使用した場合にも,取引者・需要者において何人の業務に係る商品であるかを認識することができ,本願商標は出所表示機能\を有すると認められる。(3) したがって,本願商標は,商標法3条2項に該当するものというべきであり,この点に関する審決の判断も誤りである

◆判決本文

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平成22(ワ)11604 損害賠償 商標権 平成24年02月28日 東京地方裁判所

 商標権侵害に対して、商3条1項違反の無効主張に基づく権利濫用の抗弁がなされました。権利者は、商47条の除斥期間の適用があると反論してますが、これも排斥されました。
 以上によれば,原告による本件商標の登録出願は,商標法3条1項柱書きが定める商標の登録要件を欠くものであるから,本件商標の商標登録には同項柱書きに違反する無効理由(商標法46条1項1号)がある。(2) 権利濫用の成否についてア 上記(1)で述べたとおり,本件商標は,その商標登録当時,出願人たる原告において,自己の業務に現に使用していたとは認められず,かつ,自己の業務に使用する意思があったとも認められないものであって,その商標登録に商標法3条1項柱書きに違反する無効理由があることは明らかである。加えて,前記(1)イ(イ)で検討したところによれば,本件商標の商標登録後においても,原告が,本件商標を「墓地又は納骨堂の提供」の役務に係る業務において現に使用した事実は認められず,また,将来において本件商標を使用する具体的な計画があることも認められないものであるから,本件商標には,原告の信用が化体されているとはいえない。これらの事情に鑑みれば,原告の本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使を容認することは,商標法の趣旨・目的,とりわけ,いわゆる登録主義の法制下においての濫用的な商標登録を排除し,登録商標制度の健全な運営を確保するという同法3条1項柱書きの規定趣旨に反する結果をもたらすものといえるから,原告の被告らに対する本件商標権に基づく損害賠償請求権の行使は,権利の濫用に当たるものとして許されないというべきである。
イ これに対し,原告は,本件商標については,商標法47条1項所定の除斥期間の経過により商標登録無効審判の請求をすることができず,したがって,被告らは,本件商標の商標登録が無効であることを理由とする権利行使制限の抗弁(商標法39条,特許法104条の3第1項)を主張することができないにもかかわらず,本件商標の商標登録に無効理由があることを根拠として権利濫用の主張を認めることは,上記除斥期間を定めた商標法47条1項の趣旨を没却することとなり,許されない旨を主張する。しかしながら,商標法47条1項の規定は,商標登録を対世的かつ遡及的に無効とするための無効審判請求との関係において,その請求のないまま一定の期間が平穏に経過した場合に,現存の法律状態を尊重し維持するために,商標登録についての瑕疵が消滅したものと扱う趣旨の規定であると解されるところ,商標権者の特定の相手方に対する具体的な商標権の行使が権利の濫用に当たるか否かの判断は,商標法47条1項の規定が対象とする無効審判請求の可否の問題とは異なる場面の問題である。上記権利濫用の成否は,当事者間において具体的に認められる諸般の事情を考慮して,当該権利行使を認めることが正義に反するか否かの観点から総合的に判断されるべきものであって,ここで考慮され得る事情については,特段の制限が加えられるべきものではない。したがって,商標権の行使が権利濫用に当たるか否かの判断に当たっては,当該商標の商標登録に無効理由が存在するとの事情を考慮し得るというべきであり,当該無効理由につき商標法47条1項の除斥期間が経過しているからといって,このような考慮が許されないものとされるべき理由はなく,このことが同項の趣旨を没却するなどといえないことは明らかであるから,原告の上記主張は理由がない。

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平成23(行ケ)10223 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成24年02月09日 知的財産高等裁判所

 審判では、「戸建マンション」が、識別力なしとして、拒絶されました。知財高裁もこれを維持しました。
 前記(1)アの新聞記事及びインターネット情報によれば,本願の指定役務である建物に関連する役務を提供する業界においては,プライバシーを確保する目的で住戸の独立性を高めたり,戸建のような住居配置で優れた独立性と採光・通風を確保し,また専用の庭,駐車場及び門扉を設置するなどの工夫を施すことによって,戸建てに近い居住性,建築形態を採るマンションが多数取引されている実情にあることが認められる。また,前記(1)イの新聞記事及びインターネット情報によれば,「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」の語が,建物に関連する役務を提供する業界において実際に使用されていることが認められる。上記事実によれば,本願商標「戸建マンション」は,上記「戸建てマンション」,「戸建型マンション」,「戸建て感覚マンション」及び「戸建て風マンション」と実質的に同一の語であると認められ,また,戸建てに近い居住性,建築形態を採る戸建てのようなマンションが多数取引されている実情をも併せ考慮すると,それらの語は,「戸建て住宅の機能・特長を併せ持ったマンション」という意味合いを有すると認められる。そうすると,本願商標は,これに接する取引者・需要者をして,「戸建て住宅の機能\・特長を併せ持ったマンション」という意味合いを有する合成語として容易に認識,理解させるとみるのが相当である。したがって,本願商標は,これをその指定役務である建物に関連する役務に使用しても,単に役務の質(内容)等を表示するにすぎず,自他役務の識別標識としての機能\を果たさないものであり,また,前記「戸建マンション」に係る建物に関連する役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。
 以上のとおり,結局,本願商標は自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであって,商標法3条1項3号の「その役務の質を普通に用いられる方法で表\示する標章のみからなる商標」に該当し,また,本願商標を前記役務以外の役務に使用するときは,役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから,同法4条1項16号の「役務の質の誤認を生じるおそれがある商標」に該当するといわざるを得ない。

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