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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商3条1項各号

◆平成21(行ケ)10023 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年07月21日 知的財産高等裁判所

 指定商品「キムチ」について商標「こくうま」が識別力あるかが争われました。 裁判所は、識別力ありとした審決を維持しました。
  「以上の事実関係に基づき,本件商標は,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)に当たるかどうかについて判断する。ア 本件商標は,「こくうま」と平仮名で縦に記載したものであるところ,本件商標の登録査定日(平成18年11月30日)以前に「こくうま」の語が国語辞典に掲載されていたことを認めるに足りる証拠はないから,「こくうま」の語は,日本語として一般的に用いられている語とまでいうことはできず,食品の品質等を暗示ないしは間接的に表\示するものとはいえても,直接的に表示したものとまでいうことはできない。また,前記(1)認定のとおり,本件商標の登録査定日(平成18年11月30日)より前から,「こくうま」の表記は,ラーメン,カレー,コーヒー,惣菜の素などに用いられているものの,「こくうま」の表\記がキムチに用いられた例が被告商品以外に存したとは認められない。前記(1)認定のとおり,原告は,本件商標の登録査定日より前から,「こく旨」,「KOKUUMA」の表記を含む商品名のキムチを販売しており,キムチについて「コクうま」との表\現を用いた新聞記事も存したが,これらの表記は,いずれも本件商標とは異なっているし,原告商品の販売数量等も明らかでなく,また,これら以外に「こくうま」の称呼を有する表\記がキムチに用いられた例が存したとは認められない。さらに,前記(1)認定のとおり,本件商標の登録査定日より前から,キムチの「コク」や「うまみ」について述べた書籍が存するが,それらも「こくうま」との表記を用いているものではないし,被告発行のパンフレット「『こくうま』熟うま辛キムチシリーズ商品概要」(甲64)の記載も,コクのあるキムチが好まれていることを示すものにすぎない。以上を総合すると,本件商標を「キムチ」に用いた場合,需要者・取引者には,「こくがあってうまい」というキムチの品質それ自体を表\示するものと認識されるとまでいうことはできないから,本件商標が,その商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標(商標法3条1項3号)に当たるとは認められない。イ この点について,原告は,平成19年12月5日には,「こくうま」,「コクうま」及び「こく旨」の各商標の商標登録出願について,特許庁は,「取引者,需要者に,『こく(コク)があってうまい(旨い)商品』であることを理解させるにとどまり,単に商品の品質を普通に用いられる方法で表\示するにすぎないもの」と認定した拒絶理由通知を発しており(甲12の1〜3),この商標登録出願については拒絶査定が確定しているから,食品業界に属する当業者によって容認されているといえる,と主張する。しかし,これらは,本件商標とは異なる商標登録出願についての特許庁の認定であって,商品区分も第30類で本件商標(第29類)とは異なっているから,上記アの認定を左右するものではないし,この商標登録出願について拒絶査定が確定しているからといって,この特許庁の認定が食品業界において本件商標の指定商品である「キムチ」につき一般に容認されているとまでいうことはできない。」

◆平成21(行ケ)10023 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年07月21日 知的財産高等裁判所

関連カテゴリー
 >> 商3条1項各号
 >> 識別性

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◆平成20(行ケ)10371 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

 商標「アイピーファーム」は商標法3条1項6号違反とした審決が維持されました。
 「「アイピー」についてみるに,甲第36及び第37号証によると,「知的 財産」を意味する英語の「Intellectual Property」が「IP」と略して使用されることが認められるところ,このことは,本件商標に係る指定役務の需要者の多くにとってはよく知られた事柄であるというべきである。次に「ファーム」についてみるに,・・・と記載されているとおり,「FIRM」が会社等の人的組織を意味する語であり,「FARM」が農場や農園を意味する語であると認められるところ,これらの語はいずれも現代の我が国において広く知られているものと認められる。そうすると,本件商標に係る指定役務の需要者が本件商標(アイピーファーム)に接すれば,まず,「アイピー」から「IP」,すなわち,「知的財産」を想起するものと認められる。そして,その後に続く「ファーム」からは,上記のとおり,「FIRM」だけでなく,「FARM」も想起され得るが,これらの語の意味を知っている本件商標の指定役務に係る上記需要者にとって,「知的財産」と「FARM(農場)」を結びつけることが一般的であるとは考えにくい反面,「LAW FIRM」(法律事務所)の用例が相当程度浸透していることをも考慮すると,本件商標に係る指定役務の需要者は,「アイピー」に続く「ファーム」から,主として「FIRM」を想起するものと認められる。そうすると,例えば,上記「LAW FIRM」の語から法律事務所,すなわち,法律関係業務を取り扱う事務所の観念が生ずるように,本件商標(アイピーファーム)からは「IP FIRM」,すなわち,「知的財産関係業務を取り扱う事務所」の観念を生ずるものと認められる。したがって,本件商標の表記は,その指定役務の需要者にとって,その指定役務に係る業務の内容を表\したものにほかならないというべきである。」

◆平成20(行ケ)10371 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

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