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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第5要件(禁反言)

平成20(ワ)18566 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年04月23日 東京地方裁判所

 第5要件を満たしていないとして、均等侵害が否定されました。
 平成5年7月15日付け本件特許出願の願書(甲5)に最初に添付した明細書(以下「当初明細書」という。)の特許請求の範囲は,前記第2,2(10)アのとおり,コンベア高さ調節を構成要件として含まない請求項(1〜5)とコンベア高さ調節を構\成要件として含む請求項(6)とが記載されていたところ,前記第2,2(2)のとおり,本件特許発明1(請求項1)又は本件特許発明2(請求項2)は,いずれもコンベア高さ調節を構成要件として含み(構\成要件E,G’),その余の請求項(3,4)も請求項1,2の従属項であるからコンベア高さ調節を構成要件として含み(甲2),したがって,本件明細書の特許請求の範囲からは,コンベア高さ調節を構\成要件として含まない発明はなくなっている。そして,コンベア高さ調節に係る構成要件E及び構\成要件G’が,特許庁での審査段階で審査官から通知された拒絶理由(乙2)に対応して,出願人たるAが当該拒絶理由を回避しようと意識的に加えたものであることは,前記第2,2(10)イ,ウの出願経過から明らかである。この認定に反する原告の主張は,前記第2,2(10)イ,ウに認定した手続補正書(甲6,乙3)及び意見書(甲7,乙9)の記載自体からみて,採用することができない。そうとすれば,Aのした上記補正は,コンベア高さ調節を含まない構成を意識的に除外したものと認められるから,コンベア高さ調節を含まない構\成である被告方法又は被告装置は,均等の第5要件を充足しないものというべきである。(2) 原告の主張についてア原告は,本件特許発明がすべてコンベア高さ調節を構成として含む発明になったのは,当初明細書に開示されていたコンベア高さ調節を構\成として含む発明を本件特許発明に取り込んだことによって生じた結果にすぎず,コンベア高さ調節を含まない構成を除外しようとしたことによるものではない旨を主張する。しかしながら,Aは,平成11年10月22日付け手続補正書(乙3)により,当初明細書のコンベア高さ調節を構\成要件として含まない請求項(1〜5)とコンベア高さ調節を構成要件として含む請求項(6)とが記載されていた特許請求の範囲をコンベア高さ調節を構\成要件として含むものに限定したことが,前記第2,2(10)に認定した出願経過から外形的に明らかであるところ,そうである以上,補正に際しての出願人の主観的意図にかかわらず,特許権者が後にこれと反する主張をすることは,禁反言の法理に照らし許されないというべきである。

◆判決本文

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