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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第5要件(禁反言)

平成25(ワ)1470 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年03月13日 大阪地方裁判所

 均等の第5要件を満たさないとして均等侵害が否定されました。
 前記2(1)ウのとおり,原告は,本件特許出願の手続において,当初は,「活性成分及び界面活性剤を溶剤に溶解させた後,水を加える方法」以外の方法により製造された組成物も含むクレームについて出願をしていたものである。しかし,特許庁審査官からの拒絶理由通知に対応するため,敢えて上記方法により製造された組成物に限定する補正をし,それにより特許を受けたことが認められる。このように,特許出願の手続において敢えて限定したクレームについて,その技術的範囲を拡張する主張は包袋禁反言の原則により許されないものというべきである。したがって,被告製品の構成は本件特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるというべきである。\n

◆判決本文

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平成25(ネ)10091 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成26年03月13日 知的財産高等裁判所

 特許権侵害について均等侵害を主張しましたが、1審と同様に、意識的除外したものとして、均等侵害が否定されました。
 前記1(1)に認定した本件特許の出願経過を見ると,出願当初の請求項1は,弁杆の上下動あるいは連動とガス流通路の開閉との関係を特に限定していなかったところ,特許庁審査官から,出願に係る発明全体が公知文献から容易想到であるとの拒絶理由を通知され,同発明の構成のうち「押圧杆によりガスの供給を可能\とする点」については周知技術であるとして引例7の存在を指摘された。控訴人は,これを受けた補正2)の際には,弁杆の連動とガス流通路の開閉との関係について特に補正をせず,専ら本件特許発明が引例7等とは全く異なる技術的課題の解決を目的としているなどと主張して,本件特許発明が容易想到であるとする判断を争ったものの,かかる主張は採用されず,また,本件特許発明の構成が組合せの困難なものであると指摘した補正3)についても,誤記があったことから却下された。そこで,控訴人は,補正4)において,前記1(1)クのとおり特許請求の範囲を補正するとともに,補正後の請求項1の(f)は,補正前の構成である,「回転により前記噴出口頭部と連結されたノズル部の弁杆を連動させて炭酸ガス噴出を調整する円形調整用摘子」の構\成を,さらに具体化し限定したものであると説明し,その結果,かかる構成については特許庁審査官から特許要件についてさらなる指摘を受けることなく,特許査定に至ったものである。\n
(2) 上記(1)の経過に加え,前記1(3)認定の公知技術によれば,引例7に係る発明は,弁杆に相当するバルブが上昇した際にガス流通路が閉塞され,バルブが下降した際にガス流通路が開通する機構を有するものであったことに照らせば,控訴人は,引例7の存在を理由とする拒絶理由を回避するために,本件特許発明における弁杆の連動とガス流通路の開閉との関係を補正4)のように補正することにより,引例7が開示するのと同様の構成,すなわち弁杆が上昇した際にガス流通路が閉塞され,弁杆が下降した際にガス流通路が開通する構\成を除外したものと認めることができる。よって,控訴人は,補正4)において,本件特許発明の構成から引例7が開示するのと同様の上記構\成を意識的に除外したということができる。控訴人は,本件特許出願に対する拒絶理由通知では,弁杆下降時にガス流通路が形成され,弁杆上昇時にガス流通路が遮断される構成を含むことが拒絶理由として具体的に指摘されたことはなく,控訴人も,引例7に係る拒絶理由を回避するために,ガス流通路の開閉機構\から上記の構成を除外したことはなかったと主張する。しかし,拒絶理由通知に控訴人の指摘するような具体的な指摘がなく,また,控訴人が,拒絶理由を回避するために補正を行う旨を明示的に述べなかったとしても,上記のとおりの経過や引例7の内容に照らせば,控訴人が,拒絶理由を回避するために,本件特許発明の構\成から引例7が開示するのと同様の上記構成を意識的に除外したと認めることができ,他にかかる補正を行った理由について首肯すべき事情は見当たらないから,控訴人の主張は理由がない。」\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成24(ワ)7151

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平成21(ワ)32515 損害賠償等請求事件 特許権 民事訴訟 平成26年01月30日 東京地方裁判所

 第1要件(本質的部分)および第5要件(意識的除外)により均等侵害が否定されました。
 上記の補正にもかかわらず,上記拒絶理由通知の理由に より拒絶査定(乙179の33)がされたため,原告は,拒絶査定不服審判の審判請求書(乙19)において,本件発明は「市外局番と市内局番と連続する予め電話番号が存在すると想定される番号の番号テーブルを作成しハードディスクに登録する手段」が中核的構\成要件であると述べるとともに,平成19年6月15日提出の補正書(乙179の37)により,上記部分を「市外局番と市内局番と連続する予め電話番号が存在すると想定される番号の番号テーブルを作成しハードディスクに登録する手段」と補正し,本件特許の特許登録がされるに至ったこと,以上の事実が認められる。ウ 上記事実関係によれば,本件発明の本質的部分は,実在する電話番号を収集しその利用状況を調査するために,実在すると想定される市外局番及び市内局番とこれに連続する4桁の番号からなる全ての電話番号の番号テーブルを作成してこれをハードディスクに登録するという構成を採用した点にあると解される。したがって,特許請求の範囲に記載された構\成と被告装置5の相違点は,本件発明の本質的部分に当たるということができる。さらに,上記出願経過に照らせば,原告は,拒絶理由を回避するために,特許請求の範囲を「ハードディスクに登録する手段」を有する構成に意識的に限定したものと認められる。したがって,均等の第1要件及び第5要件を欠くから,被告装置5は,本件発明と均等なものとはいえず,その技術的範囲に属しないというべきである。\n
(4) 以上のとおり,被告装置2〜4は,携帯電話の調査に係る構成を除き,本件発明の技術的範囲に属すると認められるのに対し,被告装置1及び5は本件発明の技術的範囲に属するとは認められないと判断することが相当である。\n

◆判決本文

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