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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第1要件(本質的要件)

平成23(ワ)30214 特許権侵害差止請求権不存在確認等請求事件 特許権 民事訴訟  平成25年12月19日 東京地方裁判所

第1要件に該当しないとして、均等侵害が否定されました。  特許権は,従来技術では達成し得なかった技術的課題を解決する手段を公開した代償として付与されるものであるから,このことを考慮すれば,特許発明の本質的部分とは,特許請求の範囲に記載された特許発明の構成のうち,公開された明細書や出願関係書類の記載から把握される当該特許発明特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的部分をいうと解するのが相当である。証拠(甲2,20の7及び8)によれば,本件発明は,照度センサと点灯時間を調節するタイマーと赤外線センサとが光源としてのランプに一体に備えられるとともに,赤外線センサの感知範囲が最大化されて全体がコンパクトに構\成された自動制御省エネルギーランプを提供するという従来技術では達成し得なかった技術的課題を解決するために,照度センサ12をソケットボディ10に備えさせて,点灯時間を調節するタイマー13を備えさせるとともに,赤外線センサ31については,複数のランプ30の間に介在され,それらの上下方向に沿って延設され,それらの高さよりも高くかつ近い位置となるように所定の長さで形成されてなるセンサ支持台32の端部に設けさせたものであり,これが本件発明特有の課題解決手段を基礎付ける特徴的部分であると認められる。そうすると,本件発明と原告製品との間において構\成の異なる部分のうち,構成要件Bの照度センサ12がソ\ケットボディ10に備えられるとの構成,構\成要件Cの点灯時間を調節するタイマー13を有するとの構成,構\成要件Eのタイマー13の出力信号に基づいて点灯を制御するとの構成及び構\成要件F3のセンサ支持台32が近い位置となるように形成されるとの構成は,いずれも本件発明の本質的部分であるというべきである。\nb 2)の要件について 前記の点をおくとしても,証拠(甲2)によれば,本件明細書の発明の詳細な説明には,本件発明が,点灯時間を調節するタイマー13の構成を有することにより,使用者が周囲に合わせて点灯時間を適当に設定して,無駄なエネルギー消費が防止され,電気エネルギーが節約されるなどの作用効果を有する旨記載されていること(段落【0001】【0006】【0020】【0022】)が認められるところ,構\成要件Cの構成を「点灯時間を照度センサが所定の暗度を感知して人感センサが人間の存在を感知した時から人感センサが人間の存在を感知しなくなって約5分が経過した時までとする,回路支持板に設けられたマイクロコントローラに入力されたプログラム」に置き換えると,使用者が点灯時間を適当に設定することができないから,本件発明の目的を達することができず,同一の作用効果を奏しない。被告は,パソ\コンで点灯時間を変更するプログラムを作成して,パソコンと原告製品のマイクロコントローラをケーブルで接続し,このプログラムをダウンロードすることにより,点灯時間を調節することができるから,構\成要件Cの「タイマー13」という構成を回路支持板15に設けられたマイクロコントローラ内に入力されたプログラムという構\成に置き換えても,本件発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏すると主張する。しかしながら,上記プログラムにおいて点灯時間を調節するには,その都度,プログラムを別途作成する必要があるから,タイマーの操作と比較して,その容易さに大きな違いがあるのであって,同一の作用効果を奏するということはできない。被告の上記主張は,採用することができない。

◆判決本文

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 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)

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