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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

阻害要因

平成21(行ケ)10076 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年12月22日 知的財産高等裁判所

 阻害要因ありとして進歩性が争そわれましたが、進歩性なしとした審決が維持されました。
 「原告は,金属が展性を有し,レーザ照射を行っても割断き裂が発生しないとして,引用発明の分断対象物を「金属基板を有する製品」とすることには阻害要因があると主張するが,前記2(2)のとおり,引用発明の技術的思想が,非金属材料基板を加工対象物とすること及びレーザ割断を加工方法とすることに固有のものではなく,金属基板を有する製品を加工対象物とする場合であっても,レーザ切断を加工方法とする場合であっても,十分に妥当するものであることからすると,原告が主張する金属の特性を考慮しても,引用発明の分断対象物を「金属基板を有する製品」とすることに阻害要因があるということはできない。」\n

◆判決本文

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平成21(行ケ)10081 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が取り消されました。理由は、引用発明に記載された発明は前提が異なるというものです。
 「引用発明は,利用者側の複合器がスケーラビリティ機能を持たないことを前提としており,基本ビットストリームと付加ビットストリームを含む記録媒体が更新処理器側に配置されていることは必須の構\成であるから,基本ビットストリーム(基本部分)と付加ビットストリーム(補足部分)とがそれぞれ別の記録媒体に蓄積されていたとしても,利用者側に更新処理器(本願発明の併合手段に相当)を配置することやその一方を利用者側に配置し他方を通信ネットワーク(本願発明の伝送ラインに相当)を通じて利用者側にリンクする構成とすることは排除されているというべきであり,前記構\成要件ii)の構成を採用することが引用文献に記載された課題から容易に想到し得たということはできない。
エ なお,引用文献(甲1,乙1)には,「2.ビットスケーラビリティの問題点」(72頁13行〜73頁3行)の欄に,ビットストリームスケーラビリティには,階層符号化・復号器の低解像度用復号器で何らかの復号処理をしなければ高解像度加増を再生することができず処理が複雑であること,復号器での処理量の負担が多くなること等の問題があったことが記載されており,上記引用発明の課題認識に至る過程で,利用者側の復号器が更新処理器の機能を備えた構\成が示唆されているということもできる。しかし,この場合においても,前記イのとおり,基本ビットストリーム及び付加ビットストリームをそれぞれ別の記録媒体に分けて蓄積する構成とする解決課題ないし動機は存在せず,仮に,基本ビットストリーム及び付加ビットストリームがそれぞれ別の記録媒体に分けて蓄積されていたとしても,その一方を利用者側に配置し他方を通信ネットワークを通じて利用者側にリンクする構\成とする解決課題ないし動機も存在しないのであるから,前記構成要件i),ii)の構成を採用することが容易に想到し得たということはできない。オ以上のとおりであるから,引用発明から本願発明の構\成に至ることが当業者にとって容易に想到し得たことであるということはできない。」

◆平成21(行ケ)10081 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

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平成20(行ケ)10297 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が、取り消されました。理由は、動機づけ無しというものです。
 「上記イ及びウによると,本件発明1の「REDIRECTコマンド」がクライアントにおいて情報ページを自動的に表示させるためのコマンドであって,ディレクトリサーバーによって行われるものであるのに対して,引用発明の「リダイレクト」は,ローカルエリア・ネットワーク内のサーバーに対する「インターネットの至る所」からのクライアントによるアクセスを確立する方法であって,このようなクライアントに対してローカルエリア・ネットワーク内で唯一のホストとなるフラグシップ・ホストによって行われるものであるということができる。そして,一貫してインターネットにおけるアクセスを念頭に置く本件発明1は,ローカルエリア・ネットワーク内のサーバーとのアクセスを実現するためのフラグシップ・ホストに相当するサーバーの存在及びその機能\としての「リダイレクト」によって,その技術的課題を解決しようとするものではないのであり,本件発明1の存在を知らない当業者がこのような引用例の記載に接したとしても,フラグシップ・ホストを必要としないインターネットのアクセス方法において,このような「リダイレクト」の構成を採用して,本件発明1のディレクトリサーバーによる「REDIRECTコマンド」に係る構\成とするように動機付けられるということはできないし,引用例において,フラグシップ・ホストの機能から離れて「リダイレクト」の機能\を採用しようと動機付ける記載も存在しない。そして,仮に,引用例に開示された事項についての技術的意義を離れて,「リダイレクト」という用語の抽象的な意義のみに基づいて本件発明1の「REDIRECTコマンド」と対比することを前提とするならば,排除されるべき「後知恵」の混入を避けることはできないといわなければならない。」

◆平成20(行ケ)10297 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年11月05日 知的財産高等裁判所

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平成20(行ケ)10431 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月30日 知的財産高等裁判所

 周知技術を適用するための共通の解決課題ないし動機付けが存在していたか否か,仮に存在していたとして,周知技術を適用するための阻害要因がなかったとして、進歩性なしとした審決を取り消しました。
 「このように,引用刊行物に記載された技術的事項は,2次コイルとして,環状コイルを用いることを前提としたものであって,引用刊行物には,相互インダクタンス電流トランスジューサーの2次コイルを環状コイル以外のものとする可能性を示唆する記載はない。引用発明は,電流感知トランスジューサーの従来技術を前提としながら,環状コイルにおけるシンメトリー構\造の実現という課題を,環状コイルを多重層構造とすることによって解決しようとしたものである。引用発明と本願発明は,課題解決の前提が異なるから,引用発明の解決課題からは,コイルを多層基板上に形成するための動機付けは生じないものといえる。なお,引用刊行物には,相互インダクタンス電流トランスジューサーを小型化するという課題も記載されているが,環状コイルを前提としたものであって,本願発明における小型化とは,その解決課題において共通するものではない。以上のとおり,引用発明には,環状コイルに代えて,多層基板上に形成されたプリントコイルによりトランスを構\成する前記周知技術を適用する解決課題や動機は存在しないというべきであり,したがって,当業者が本願発明の相違点2に係る構成を想到することが容易であったとはいえない。イ また,引用発明に周知例の技術を適用するに当たっては,以下のとおり,その適用を阻害する要因が存在するともいえる。すなわち,引用発明においては,細長いほぼ直線状の導電体の周囲に同軸的に円筒形のスリーブを配置し,その円筒形スリーブと嵌合するように環状コイルが配置され,環状コイルがほぼ直線状の導電体の周囲を取り囲むという構\成を採用しているのに対し,周知例の技術では1次コイルと2次コイルが平面的に対向するように配置されており,引用発明と周知例の技術は,構造を異にしている。そして,導電体と環状コイルとからなる,引用発明のトランスの構\成に,上記周知例に記載されたトランスの構成を適用する場合,2次コイルである環状コイルは,直線状の導電体に直交する仮想的な平面上に,前記導電体を囲むように配置されることが必要となる。しかし,周知例に記載されたトランスは,平面状コイルを形成した絶縁基板を積層するものであり,平面上の1次コイルと2次コイルは,互いに平行な基板面上に形成され,引用発明の導電体と環状コイルの配置関係と,周知例に記載されたトランスにおける1次コイルと2次コイルの配置は,構\造上の相違が存することから,引用発明に周知例の構成を適用することには,困難性があるというべきである。また,引用発明に周知例に記載された技術を適用することを想定した場合,まず,引用発明においてはほぼ直線状の導電体とすることにより導電体によるインピーダンスの発生が抑制されているのに対し,引用発明の導電体に対応する周知例の1次コイルは渦巻状であって導体長が長く,それ自体がインピーダンスとして働く余地があり,この点でも引用発明に周知例の技術を適用しようとするに当たっての阻害要因となる。さらに,引用発明においては,電力メーター用電流感知トランスジューサーとして,需要家に供給される電力の正確な測定ということが技術的課題とされ,そのために,環状コイルに作用する外因性磁場による悪影響の排除という課題が存在するのに対して,周知例の技術においては,専ら1次コイルと2次コイルの磁気結合の強化ということが技術的課題とされていて,外部磁界による磁気干渉は,格別考慮する必要がない点において,引用発明に周知例の技術を適用しようとするに当たっての阻害要因となり得る。以上のとおり,引用発明に周知例の技術を適用することには,課題の共通性や動機付けがなく,また,その適用には阻害要因があるというべきであるから,当業者が引用発明に周知例の技術を適用して本願発明に至ることが容易であったということはできない。」\n

◆平成20(行ケ)10431 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟平成21年09月30日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10300 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年04月15日 知的財産高等裁判所

   進歩性なしとした審決が取り消されました。
  「前記(3)ウのとおり,従来から使用されているホースの内管を構成するエラストマー組成物の135℃における50%モジュラスは,約0.98〜2.35MPa程度であり,甲4,甲5記載の技術は,加硫時に発生する補強糸の棚落ちという特定の課題を解消するために,135℃における50%モジュラスが約1.96〜3.92MPaという値のエラストマー組成物を採用したものである。そうすると,繊維補強層を有するホースの内管を構\成するエラストマー組成物を,100℃における50%モジュラスが3.0MPa程度以上のものとすることは,100℃と135℃の温度の差を考慮に入れても,繊維補強層を有するホースに関する技術分野において,普通に採用される範囲のものであるということはできない。しかも,引用発明で繊維補強層に用いられているヘテロ環含有芳香族ポリマーからなる繊維は,前記(2)イのとおり,耐熱性,難燃性であり,その分解温度は600℃以上であり,伸度も3.0%以下である。そうであるとすると,ヘテロ環含有芳香族ポリマーからなる繊維は,600℃を越えて分解温度に達するまでほとんどその形状を維持し強度を保つことになり,100℃程度の温度条件では,ホースの補強に関する性能に特段の影響は生じないと解されるから,引用発明において,ホースの内管を構\成するエラストマー組成物の100℃における50%モジュラスを,敢えて普通に採用される値より大きい3.0MPa程度以上とする必要性はなく,そのようにする契機があるとはいえない。そうすると,繊維補強層を有するホースの内管を構成するエラストマー組成物について,100℃における50%モジュラスを3.0MPa程度以上とすることは,普通に採用される範囲であるとはいえず,更にこれを引用発明に適用して相違点4に係る構\成とすることが,当業者にとって容易想到であるとはいえない。」

◆平成20(行ケ)10300 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年04月15日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10205 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月12日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした拒絶審決が取り消されました。
 「ところで,引用発明における上記構成は,引用文献2(甲2)の発明の詳細な説明において「極細炭素フィブリル中の凝集体の最長径を0.25mm以下とし,且つ,径が0.10mm〜0.25mmである凝集体の占める割合(含有率)が50重量%以上である…」(4頁左上欄6行〜9行)と記載されているように,「最長径が0.25mm以下」という要件と「径が0.10〜0.25mmの凝集体を50重量%以上含有する」という要件の双方を満たさなければならないものとされている。そして,このような要件が設けられた理由については,・・・と記載されている。
  エ そうすると,引用発明が採用した上記二つの要件は,凝集体の径が0.25mmを超える大きなものを排除するのみならず,径が0.1mmに満たない小さな凝集体が一定以上の割合(50重量%以上)を占めることをも,十分な導電性及び機械的強度を確保するという観点から排除しているものということができる。したがって,引用文献2(甲2)には,炭素フィブリルの凝集体の実質的全部について径の大きさを0.10mm(100μm)よりも小さいものとすることの動機付けは存在しない。そして,引用発明において上記のような要件が定められていることが本願発明を想到する阻害要因になるとまでは直ちにいうことができないとしても,引用文献2(甲2)に接した当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が本願発明の構\成に至るためには,引用発明に定めた要件に反して,炭素フィブリルの凝集体の実質的全部についての径の大きさを0.10mm(100μm)よりも小さくすることの動機付けが必要であり,少なくとも他の公知文献等において,炭素フィブリルの凝集体の実質的全部について径の大きさを0.10mm(100μm)よりも小さくした場合に十分な導電性と機械的強度が得られることの教示ないし示唆が存在することが必要である。」

◆平成20(行ケ)10205 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月12日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10154 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年02月04日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした無効審決が取り消されました。
 「以上の(1),(2)を踏まえて取消事由1(相違点Eの判断の誤り)の採否について検討するに,甲1発明の容器は,前記(2)イに説示したとおり,溶湯は受湯口から取鍋内に収納され,使用先の工場では,注湯口を開きフォークリフトにより取鍋を傾動して保持炉や鋳型等に注湯する方式の,いわゆる傾動式の取鍋であると認められるところ,この傾動式の取鍋から,これを,密閉された容器に溶融金属用の配管が設けられ加減圧用の配管が接続されるという構成(いわゆる加圧式)とすること自体は,甲10・・・において,加圧式の場合,注湯精度,溶湯品質等の点で傾動式よりも優れていることが記載されているから,当業者がこれを適用することは容易に想起できるものと認められる。しかし,このことは,当業者が甲1発明から出発してこれにいわゆる加圧式の容器を採用しようと考えた後は,加圧式の容器であれば性質上当然具備するはずの構\成のほかそのすべての個々の具体的構成は当然に適用できることを意味するものではない。そして,甲1発明の傾動式の容器であれば,その傾動式の容器であるという性質自体から,溶湯を出し入れするために注湯口及び受湯口が必要であることが導かれるが,加圧式の容器の場合は,一つの流路を通して溶湯の導入と導出とを行う注湯方式であり加減圧用の配管が容器に接続されていればよいのであるから,傾動式の容器で必要な受湯口及び受湯口小蓋は必須なものではない。したがって,甲1発明の傾動式の容器に接した当業者がこれを加圧式の取鍋にすることを考える際,あえて,必須なものではない受湯口及び受湯口小蓋を具備したままの構\造とするのであれば,そうした構造を採用する十\分な具体的理由が存する必要があるというべきである。」

関連判決はこちらです
    ◆平成20(行ケ)10155号
    ◆平成19(行ケ)10258号
     ◆平成20(行ケ)10154 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年02月04日 知的財産高等裁判所

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