進歩性無しとした審決が維持されました。争点は、相違点の認定誤り、動機付け、阻害要因です。
(1) 原告は、引用例2及び引用例3に開示されたイメージファイバを介して照
明光を導く周知の方法はイメージファイバを振動させないものであるのに対
して、引用発明はイメージガイド2の接眼側の端部を振動させるものである
から、イメージファイバの前提構成が異なるものであって、引用発明に上記\nの周知の手法を適用する動機付けがあるとはいえない旨主張する。
(2) しかし、引用例2及び引用例3によれば、集光レンズを介して入射した光
源からの光をイメージファイバにより伝送することは、本件審決が認定する
とおり周知の手法であると認められるところ、引用例3の【0008】、及
び特開2000−121460号公報(乙2)の【0018】、【001
9】、【0029】の記載によれば、内視鏡の技術分野において挿入部を細
径化することは周知の課題であると認められるから、その課題は引用発明に
も内在していると認められる。
そして、本件審決の認定する周知の手法は、引用発明にも内在する上記の
課題の解決手段となるものであるから、引用発明にこれを適用する動機付け
はあるというべきである。
(3) 原告は、さらに、照明光を被観察物体に導くイメージガイド2の接眼側の
端部を振動させると、被観察物体の撮像にどのような影響を与えるのかが不
明であることを考慮すれば、上記周知の方法を引用発明に採用することには
阻害要因がある旨主張する。
しかし、イメージファイバを振動させる技術と、光源からの光をイメージ
ファイバにより伝送する技術とを同時に採用できないとする技術的根拠は見
当たらず、上記(2)のとおり周知の課題を解決する手段である周知の方法を
採用することは、当業者であれば容易に着想して試みるものと認められる。
(4) したがって、引用発明に引用例2及び引用例3の周知の手法を適用するこ
とによって、相違点1及び相違点2に係る構成は容易に想到し得るとした本\n件審決に誤りは認められず、原告主張の取消事由2は理由がない。
◆判決本文