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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

プログラムの著作物

平成30(ワ)17968 著作権 民事訴訟 令和4年8月30日 東京地方裁判所

 在宅医療用プログラムの著作物性について争われました。東京地裁は被告プログラムのうち表現が似ている部分については、いずれも創作性無しと判断しました。\n

 以上のように、PMポータルを基盤としPMポータルのWebフレーム ワークを用いて作成されたことに起因して、(ア)部分の多くはPMポータル のWebフレームワークを構成するプログラムファイルから構\成されてお り、(ウ)部分は、PMポータルのWebアプリケーション部を参照して作成 され、データの処理や画面の表示などの中核的な機能\は(ア)部分を参照して 実行するため、その内容は、自由度が制約され、基本的な命令文を列挙し て、変数にデータを代入する処理や画面を表示するためのHTML文書が\n記述された部分が多くを占めていること(前記第2の1(5)イ、前記イ)、 作成、表示される医事文書の基本的な様式も通知により定められるなどし\nていることから、各プログラムにおいて変数に値を設定する処理や画面を 表示するためのHTML文書を記述するに当たっても個性を発揮する余地\nが乏しい。これらの(ア)及び(ウ)部分の特性から、電子カルテシステムに適用 するために、PMポータルを修正し新たに作成した部分があるからといっ て、そのことが直ちに本件31個の各プログラムの表現上の創作性につな\nがるとはいえない(前記ウ )。そして、原告は、本件各31個の各プロ グラムがそれぞれ著作物であり、それらに創作性があると主張するところ、 原告が本件31個の各プログラムの創作的表現であると主張する具体的な\n各点について、本件31個の各プログラムを含む(ア)及び(ウ)部分が上記のと おりの特性を有する部分でありそこにおけるプログラムもその特性の下に あるものであることにも関係し、原告が創作性があるとして主張する具体 的な記述等はいずれもありふれたといえるものなどであって、それらに独 自に著作物といえる程度の表現上の創作性を認めるに足りない(前記ウ\n〜 )。 以上のとおり、本件31個の各プログラムにPMポータルを離れた独自 の創作性があるとは認めるに足りない。
・・・・
原告プログラム4と被告プログラムにおいて共通する本件共通箇所は、原告 プログラム4においては、(オ)部分に用いられているORCAから受信したXM Lデータを解析する部分の一部である。 本件共通箇所のうち、オープンソースである「XML_Unserializer.php」を 用いた部分は、その仕様に基づくインスタンスを記述したものであり(前記1 (2)ウ )、その記述例もインターネットウェブサイトにおいて公開されている ものであって(乙56)、ありふれた表現であって、創作性が認められない。\nまた、本件共通箇所のその余の部分は、異なる施設間で診療情報を電子的に 交換するために制作された規約であるMML及びCLAIMにおいて定義され たタグ(用語)(前記1(2)ウ )を、「XML_Unserializer.php」の仕様に従 って記述した(乙62)ありふれた表現であって、創作性が認められない。\n以上によれば、本件共通箇所に創作性があると認めるに足りない。

◆判決本文

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平成21年(ネ)第10024号 著作権確認等請求控訴事件 原審・大阪地方裁判所平成17年(ワ)第2641号

 1審大阪地裁は、ソースコード1000行以上から構成されていることから、本件プログラムの著作物性を認めましたが、知財高裁(4部)は、創作性がある部分を立証しなかった原告に対して、多くの命令数により記述されているだけでは、実現される機能が多岐にわたることを意味するにすぎないとして、1審判決を破棄しました。

、 ア DHL車側プログラム(甲291)について
DHL車側プログラムのうち,「NL」「NL1」の処理(TC車の車番付けを 命ずる命令に関する処理)を行うための部分(甲291の8頁〜12頁(0286 番地〜0427番地))に関する部分は,200行前後のうちプログラムの実行順 序に係る制御を行う命令(JP命令とCALL命令)の行数が50行前後,つまり ステップ数で全体の4分の1前後が実行順序制御に係る命令に用いられている(甲 291,294)。 DHL車側プログラムには,ソースコード上では,「JP,・・・##」と示さ\nれる,飛び先の番地が指定されず,結果として0000番地が指定された場合と同 様の動作を行うJP命令(CA0000)が含まれている(なお,甲291及び後 述する甲292においては,上述したもの以外のJP命令については飛び先となる メモリのアドレス(番地)の値が具体的に示されており,甲289及び290と同 様に,ロードされるメモリ上のアドレス(番地)及びJP命令の飛び先となるアド レスが絶対的に定まったものとされている。)。 これらの命令は,変更後DHCフローチャート(甲189の1)や変更前のソー\nスコード(甲289)には含まれているものではないから,本件装置を動作させる ための最低限の機能を実現するために必要不可欠なものであったか否かは不明であ\nる。もっとも,昭和61年12月に「不連結時TC流動発生ブレーキ閉が作用しな い」という異常への対処としてプログラムが変更されたことからすると,変更を行 ったプログラム作成者は,何らかの意図,たとえば,当該プログラムの変更による 変更後の制御のタイミングを維持すべきであること等に基づいて,ほかに選択肢が あるにもかかわらず,あえて上記部分を挿入したままとしたものと推測されなくも ない。
そうすると,DHL車側プログラムには,上記命令が存在することにより,創作 性が認められる余地がないわけではない。 もっとも,1審原告は,本来,ソースコードの詳細な検討を行うまでもなく,本\n件プログラムは著作物性を有するなどと主張して,当初,本件プログラムのソース\nコードを文書として提出せず,当審の平成22年5月10日の第4回弁論準備手続 期日における受命裁判官の求釈明により,本件プログラム全体のソースコードを文\n書として提出するか否かについて検討し,DHL車側プログラムについては,ソー\nスコードを提出したものの,本件プログラムのいかなる箇所にプログラム制作者の 個性が発揮されているのかについて具体的に主張立証しない。 したがって,DHL車側プログラムに挿入された上記命令がどのような機能を有\nするものか,他に選択可能な挿入箇所や他に選択可能\な命令が存在したか否かにつ いてすら,不明であるというほかなく,当該命令部分の存在が,選択の幅がある中 から,プログラム制作者が選択したものであり,かつ,それがありふれた表現では\nなく,プログラム制作者の個性,すなわち表現上の創作性が発揮されているもので\nあることについて,これを認めるに足りる証拠はないというほかない。 以上からすると,DHL車側のプログラムには,表現上の創作性を認めることは\nできない。
イ TC車側プログラム(甲292)について
TC車側プログラムのうち,「LINK」の処理(TC車側における車番がつく までの処理)を行うための部分(甲292の4頁〜9頁(00F7番地〜0317 番地))は,294行中88行がプログラムの実行順序に係る制御を行う命令であ るとされている(甲294)ところ,当該部分の相当程度について,ソースコード\nが開示されていない。 DHL車側プログラムとTC車側プログラムとは,各プログラムが機能すること\nによって,本件装置を制御するものであるから,「不連結時TC流動発生ブレーキ 閉が作用しないという異常」を防止するために本件装置を制御するためには,両者 について同様の配慮が必要となると推測されることから,TC車側プログラムにも, DHL車側プログラムと同様に,本件装置を動作させるための最低限の機能を実現\nするために必要不可欠なものであったか否かは明らかではない命令が挿入されてい る可能性は否定できない。\nもっとも,仮に,このような命令が挿入されていたとしても,DHL車側プログ ラムと同様に,当該命令部分の存在が,プログラム制作者の個性,すなわち表現上\nの創作性が発揮されているものであることについて,これを認めるに足りる証拠は ないというほかない。 したがって,TC車側プログラムにも,表現上の創作性を認めることはできない。\n
ウ 1審原告の主張について
1審原告は,本件装置は,特許権を取得できるほどに新規で進歩性を有する画期 的な技術であり,新規な機能を有するものであるから,当該装置を稼働させるため\nの本件プログラムも,他の既存のプログラムの表現を模倣することにより作成する\nことはできないところ,特に,中核部分であるTC車の車番付けを行わせる部分は, 本件プログラムが有する多数の機能のうち最重要部分を実現するもので,新規のア\nイデアに基づき全くのゼロから開発されたものである,当該中核部分を構成する各\nパートは,それぞれ数十から百数十\もの命令数により記述されている上,多数のサ ブルーチンを用いた構成となっているところ,このような複雑なプログラムにつき,\nその表現が1つ又は極めて限定された数しかなかったり,だれが記述しても大同小\n異のものとなったりすることは到底あり得ないし,他にも多数の機能を実現するた\nめの部分が有機的に組み合わされてひとまとまりのプログラムとなっているのであ るから,本件プログラムは,本来,ソースコードの詳細な検討を行うまでもなく,\n著作権の保護を受けるプログラムの著作物に該当することは明らかであるなどと主 張する。しかしながら,本件装置が新規性を有するからといって,当該装置を稼働させるためのプログラムが直ちに著作物性を有するということができないことは明らかで ある。
また,先に述べたとおり,プログラムに著作物性があるというためには,プログ ラムの全体に選択の幅があり,かつ,それがありふれた表現ではなく,作成者の個\n性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要するのであるから,新規のア イデアに基づきゼロから開発されたものであること,多くの命令数により記述され ていることから,直ちに表現上の創作性を認めることはできない。本件プログラム\nが多数の機能を実現するための部分が有機的に組み合わされているとしても,当該\nプログラムに表現上の創作性があることについて具体的に主張立証されない以上,\n当該プログラムにより実現される機能が多岐にわたることを意味するにすぎない。\nさらに,1審原告は,TC車側プログラムのうち,SOSUBサブルーチン(0 72F〜0792番地)のソースコードを例として,甲290及び292が機械語\nレベルでほぼ同一の命令構成となっているにもかかわらず,ソ\ースコードレベルで の具体的表現が異なること,SOSUBルーチンの行う仕事は,1)連結器のピンを 外すパワーシリンダを作動させる部分,2)パワーシリンダが正常に作動したか否か をチェックする部分,3)パワーシリンダの作動状況及びそのチェックの結果を操作 者に知らせるため表示灯の点・消灯を行う部分の3つに大別できるところ,本件プ\nログラムの極めて小さな一部分であるSOSUBルーチンのソースコードにおける\n具体的表現だけをみても,多数の選択肢の中から開発者の個性により選択された表\ 現が用いられているなどとも主張する。
しかしながら,甲290及び292におけるソースコードレベルでの具体的表\現 の相違は,CPUの機種変更に応じて必然的に定まる変更に基づくものにすぎず, 創作性の基礎になり得るものではない。また,上記1)ないし3)の機能を実現するそのほかの表\現に係る選択肢が存在する可能性があるからといって,直ちに本件プログラムにおけるSOSUBルーチンの具体的表\現について,創作性が認められるものでもない。1審原告が具体的に指摘する各事項は,いずれも本件装置が要求する仕様や機能を単にプログラムとして実現したものにすぎず,表\現上の創作性を基礎付けるものではない。

◆判決本文

原審はこちら。

◆平成17(ワ)2641

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令和3(ネ)10083  著作権侵害差止等請求控訴事件  著作権  民事訴訟 令和4年3月23日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 コンピュータソフトの画面について、著作物性、不競法2条1項1号の商品等表示に該当するかが争われました。知財高裁2部は、1審の判断を維持しました。

ア 控訴人は,控訴人表示画面と被控訴人表\示画面との一致箇所をひとまとまり として捉えて創作性を判断すべきこと,ビジネスソフトウェアのディスプレイ(表\ 示画面をいう趣旨と解される。)における表現の創作性については丁寧な検討が必\n要であること,控訴人表示画面について表\現上主要な箇所は2)データ分析等画面(単 品詳細情報画面,日別画面,他店舗在庫表示画面,定期改正入力画面,リクエスト\n管理画面)であり,そこには表現上の工夫が多数散りばめられていることなどを主\n張する。
しかし,被控訴人製品の各表示画面から控訴人製品の各表\示画面の本質的な特徴 を感得することはできず,被控訴人表示画面に接する者が全体として控訴人表\示画 面の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるとは認められないことは,\n訂正して引用した原判決の第4の1で認定判断したとおりである。 控訴人表示画面と被控訴人表\示画面の対比に係る判断は,同1(3)のとおりであ って,控訴人表示画面と被控訴人表\示画面の共通する部分をひとまとまりにして検 討することによって,上記判断が左右されるものではない。ビジネスソフトウェア\nのディスプレイ(表示画面)における表\現の創作性について丁寧な検討が必要であ るという一般論の主張も,上記判断に影響しない。控訴人が2)データ分析等画面に 多数散りばめられていると主張する表現上の工夫のうち,発注操作を行う欄の配色\nについては,創作者の思想又は感情が創作的に表現されているといえる程度の特徴\nを有するものとは認められず,同欄の位置や詳細情報を画面の下方に配置すること は,書店業務を効率的に行うという観点から通常想定される範囲内のものである。 控訴人の主張する2)データ分析等画面における素材の選択及び配列における選択の 幅についても,訂正して引用した原判決の第4の1(4)で判断したとおりである。
イ 控訴人は,控訴人製品の表示画面と被控訴人製品の表\示画面に共通性が多数 認められること,操作ガイダンスの文字列に一致が何か所もあることなどを主張す るが,それらの主張は,訂正して引用した原判決の第4の1の認定判断を左右する ものではない。
(2) 争点4(不正競争防止法違反の有無)に関する控訴人の補充主張について
ア 控訴人は,控訴人表示画面の特別顕著性に関し,需要者を書店ユーザーに限\n定すべきこと,控訴人製品がその表示画面に顕著な特徴を有することを主張するが,\n控訴人表示画面の特徴に関しては訂正して引用した原判決の第4の1(3)及び(4)で 認定判断したとおりであり,控訴人表示画面に特別顕著性が認められないことは,\n同3で判断したとおりである。控訴人の主張するように控訴人製品の需要者を書店 に限定したとしても,上記の認定判断は左右されない。
イ 控訴人は,周知性についても主張するところ,控訴人製品のシェアについて 控訴人が当審で追加提出した証拠(甲83の1・2,甲84)を含む本件全証拠を もってしても,控訴人の主張するシェアを認めるに足りない。なお,仮に,控訴人 製品が相応のシェアを占めているとしても,そのことから直ちに,控訴人表示画面\nの周知性が認められるものともいえない。 また,控訴人は,控訴人製品の宣伝・広報活動について主張するが,当該活動に ついて控訴人が追加提出した証拠(甲85〜91)を含む本件全証拠をもってして も,当該活動は一定の期間及び範囲に限定して認められるにすぎず,また,その内 容をみても,当該活動において控訴人表示画面が媒体に表\示されていたものではな いから,控訴人表示画面の周知性を裏付けるものとはいえない。\n控訴人のその他の主張も,訂正して引用した原判決の第4の3(2)における控訴 人表示画面の周知性が認められない旨の判断を左右するものではない。\n

◆判決本文

1審はこちら。

◆平成30(ワ)28215

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平成30(ワ)28215 著作権侵害差止等請求事件  著作権  民事訴訟 令和3年9月17日  東京地方裁判所

 コンピュータソフトの画面について、著作物性、不競法2条1項1号の商品等表示に該当するかが争われました。本件ではいずれも否定されましたが、一般論としては「ビジネスソ\フトウェアの表示画面は,商品の形態と同様,・・特別顕著性,かつ,・・周知になっている場合に不競法2条1項1号の「商品等表\示」に該当すると解するのが相当である。」と 認定されています。

 以上のとおり,原告表示画面と被告表\示画面の共通する部分は,いずれも アイデアに属する事項であるか,又は,書店業務を効率的に行うに当たり必 要な一般的な指標や情報にすぎず,各表示項目の名称の選択,配列順序及びそのレイアウトといった具体的な表\現においても,創作者の思想又は感情が創作的に表現されているということはできない上,両製品の配色の差違等により,利用者が画面全体から受ける印象も相当異なるというべきである。そ\nして,被告表示画面について,他に原告表\示画面の本質的特徴を直接感得し 得ると認めるに足りる証拠はない。
(4) 表示画面の選択や相互の牽連関係における創作性の有無・程度
ア 原告は,表示画面の牽連性に関し,原告製品は,画面の最上部にメニュータグを常時表\示し,どの画面からも次の業務に移行できるようにしている点や,画面の中央にサブメニュー画面を用意し,画面遷移なしに表示することを可能\にしている点などに独自性があると主張する。 しかし,画面の最上部にメニュータグを常時表示し,そのいずれの画面からも次の業務に移行できるようにすることや,画面の中央にサブメニュー画\n面を用意し,画面遷移なしに表示することを可能\にすることは,利用者の操 作性や一覧性あるいは業務の効率性を重視するビジネスソフトウェアにおいては,ありふれた構\成又は工夫にすぎないというべきであり,原告製品における表示画面相互の牽連性に特段の創作性があるということはできない。
イ また,原告は,原告製品が補充発注画面や自動計算機能を備えていることをもって他社にはない独自性があると主張するが,在庫の変動に伴い商品を\n補充して発注することや,定期改正数を自動計算することなどは,一般的な 書店業務の一部であり,原告製品の補充発注(条件設定)画面及び補充発注 (入力)画面に表示された項目の名称の選択,配列順序及びそのレイアウトなどの具体的な表\現において,創作者の思想又は感情が創作的に表現されて\nいるということはできないことは,前記(3)ケ及びコで判示のとおりである。
ウ したがって,原告製品は,表示画面の選択や画面相互の牽連性において独自性又は創作性があるとの原告主張は採用し得ない。\n
・・・
(1) 原告は,被告製品の表示画面が不競法2条1項1号の規定する不正競争行為に該当すると主張するところ,ビジネスソ\フトウェアの表示画面は,商品の形\n態と同様,1)当該表示画面が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性),かつ,2)その表示画面が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な広告宣伝や爆発的な販売実績等により,\n需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっている場合に不競法2条1項1号の「商品等表\示」に該当すると解するのが相当である。
(2) 周知性について
原告は,原告表示画面が,遅くとも平成25年末までには,出版業界及び書店業界において広く認識されていたと主張するが,以下のとおり,理由がない。\nア 原告製品の販売数や市場占有率に関し,原告は,原告のシステム製品は出 版社市場でトップシェアを占めており,原告製品は既に全国の小売書店10 00店舗に向けて販売・採用されていると主張するが,原告商品の導入件数, 市場規模,原告製品の市場占有率を客観的に示す証拠は提出されていない。
イ また,原告は,業界新聞である「文化通信BB」において原告製品が紹介 されたことを指摘するが,「文化通信BB」の発行部数等は明らかではなく, その記事の内容は原告製品を紹介する内容を含むものの,原告製品の表示画面は一切掲載されていない(甲18)。\n同様に,原告は,日販が平成25年8月1日付け業界新聞において書店向 けPOSレジと原告製品を連携させることを発表し,系列の書店1000店に合計1300台を販売することを表\明したと主張するが,同記事で導入が表明されているのはPOSレジであり,原告製品が書店に導入されたことを裏付けるものではない上,同記事には原告製品の表\示画面は一切表示されて\nいない(乙23)。
ウ さらに,原告は,「文化通信」及び「新文化」のウェブサイトの上段に,バ ナー広告を掲載したことや,「BOOK EXPO」や「書店大商談会」に出 展し,広報を行っていることを根拠に,原告表示画面には周知性がある旨主張する。\n しかし,証拠(乙22)によれば,文化通信社のウェブサイト上に掲載さ れたバナー広告は,「BOOK ANSWERシリーズ」という製品名を表示するものにすぎず,原告製品の表\示画面は一切示されていない。また,「BOOK EX PO」や「書店大商談会」への出展についても,その規模や具体的な出展・ 宣伝態様などは一切明らかではない。
エ 以上によれば,原告画面表示が,遅くとも平成25年末までに,出版業界及び書店業界において広く認識されていたと認めることはできない。\n
(3) 特別顕著性について
原告は,原告表示画面には特別顕著性が認められる旨主張し,その根拠として,1)業務統合型のシステムを構築するという設計思想に基づき,仕入部門で使用するメニューと店売部門で使用するメニューが統合されている点や,2)発 注に当たって,商品分析の画面から一旦発注画面に移行することなく,商品分 析の画面から即発注することができる点,3)帳票を作成するという発想がなく, 画面上に表示して見るということを基本にしている点,4)独自の用語を用いて いる点に,他社製品にはない原告製品の独創的な特徴がある旨主張する。
しかし,上記1)〜3)の点は,いずれも,原告製品の設計思想や機能としての独自性を指摘するものにすぎず,表\示画面自体の顕著な特徴を基礎付けるものということはできない。また,上記4)の点についても,原告製品の表示画面に用いられた用語は,一般的な書店業務に用いられているものがほとんどであり,\n画面全体の特別顕著性を基礎付けるに足りる独創的を有すると認めることは できない。
したがって,原告表示画面が同種製品と異なる顕著な特徴を有しているということはできない。\n
(4) 以上のとおり,原告表示画面には,周知性及び特別顕著性のいずれも認められないから,原告表\示画面が「商品等表示」に該当するということはできない。\nしたがって,その余の点を判断するまでもなく,不正競争防止法に関する原 告の主張についても理由がない。

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令和3(ワ)3208  損害賠償請求事件  著作権  民事訴訟 令和3年11月9日  大阪地方裁判所

 プログラムの著作権侵害として、10億円を超える損害額が認定され、一部として6000万円の損害賠償が認められました。原告プログラムはAUTOCADです。

(1) 著作権法114条3項に基づく使用許諾料相当の損害について
ア 証拠(甲1,2,4〜9,18,乙2,3[各枝番を含む。])及び弁論の全 趣旨によれば,原告製品は,オンラインストア等で顧客に対し販売されていること, 原告製品には,永久ライセンス版と,使用期間を1か月,1年,3年に制限したサ ブスクリプション版が存在するところ,これらの動作種別は,ライセンス認証時に 原告から送付される認証コードの種別により決せられることが認められるが,被告 は,前記認定のとおり,本件海賊版製品の落札者に対し,本件海賊版製品と共に, ライセンス認証を回避する不正なプログラム,及びインターネットに接続せずにイ ンストールをすること等を指示するマニュアル等を添付して,落札者をして前記ラ イセンス認証システムを無効化させ,これによって,落札者は,使用期間の制限な く本件海賊版製品を使用することが可能になったことが認められる。\nこれらの事実関係に照らすと,原告製品の永久ライセンス版の定価をもって,原 告が原告製品の著作権の行使につき受けるべき価額であると認めるのが相当である。
イ これに対し,被告は,原告製品の定価をもって著作権法114条3項の使用 料相当額とすることは,最低限の賠償額を保障した同3項の趣旨及び文理に反する 旨を主張する。しかし,被告販売行為により,落札者は,もともとの原告製品の使 用期間制限の有無や期間にかかわらず,使用期間の制限なく本件海賊版製品を使用 することが可能となるのであり,これによって,原告は,被告販売行為がなければ\n得られたであろう永久ライセンス版の定価の額に相当する額を得られなかったこと になるし,被告販売行為の態様は,本件海賊版製品をライセンス認証を回避しつつ インストールすることができるよう販売するという悪質なものであり,その違法性 は高く,市場への影響も大きい。 被告は,原告製品の定価と原告製品の使用料相当額として受けるべき金銭の額と は別である旨を主張するが,原告製品のようなアプリケーションプログラムの販売 価格は,その本質において著作物の使用許諾に対する対価というべきであるから, 前述のとおり,原告製品の定価をもって,著作権法114条3項が定める著作権の 行使につき受けるべき金銭の額と見ることができるのであり,被告の主張は理由が ない。
また,被告は,原告製品と動作環境との適合性や進化するセキュリティソフトと\nの相性の問題等があるため,本件海賊版製品を期間の制限なく使用できることはあ り得ないことから,原告製品の永久ライセンス版の価格を使用許諾料の基準とする のは相当でないこと,あるいは,原告製品の期間契約には,1か月,1年及び3年 の各期間設定があるところ,契約期間が長くなれば割安になることから,原告製品 のうち永久ライセンス版が設定されていないものについて1年ライセンス版の価格 を使用許諾料の基準とするのは相当でないことを主張する。しかし,前述したとお り,被告販売行為により,落札者は,もともとの原告製品の使用期間制限の有無や 期間にかかわらず,使用期間の制限なく本件海賊版製品を使用することが可能とな\nるのであり,その時点で原告には原告製品の永久ライセンス版の定価相当額の損害 が発生したというべきであって,その後,動作環境等により本件海賊版製品を使用 できなくなる可能性があることやもともとの原告製品には期間制限があることなど\nの事情は,損害額の算定には影響しないと解するのが相当である。
ウ 証拠(甲2の1〜2の18)及び弁論の全趣旨によれば,原告製品の永久ラ イセンス版の定価は,別紙2−1「原告損害一覧表1」及び同2−2「原告損害一\n覧表2」の各「原告製品価格」欄記載の価格をくだらないことが認められ,被告販\n売行為による原告の損害は,同各「原告損害」欄記載の合計10億5509万67 50円をくだらない。
(2) 弁護士費用相当の損害について
被告販売行為と相当因果関係のある弁護士費用は,原告が主張する弁護士費用1 億0550万円をもって相当と認める。

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