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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

プログラムの著作物

平成24(ワ)5771 著作権侵害差止請求権不存在確認等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年12月18日 東京地方裁判所

 差止不存在確認訴訟で、プログラムについて該当部分は著作物ではないと判断されました。
 上記共通する箇所は,原告が主張するように,第三者(Baidu社)が提供しているオープンソースソ\フトウェアを利用した記述や,マイクロソフト社の「Visual Studio」が自動生成するソースコードを利用した記述, マイクロソフト社が公開している関数の名称( 「OnSize 」,「AddString 」, 「LoadBitMap 」, 「SetTimer 」, 「AddPage 」,「GetDlgItem 」, 「IMPLEMENT_DYNCREATE 」, 「AfxMessageBox 」,「IMPLEMENT_DYNAMIC」等)の記述,コンピュータプログラムの文法上一般的に使用される表現を用いたもの(「While」文等)など,いずれもありふれた表現であって(甲8ないし20,22,弁論の全趣旨),作成者の個性が表\れているものとはいえない。以上によれば,被告が本件ソフトウェアのプログラムのソ\ースコードの記述における表現上の創作性を有すると主張する部分は,そもそも表\現上創作性を認めることはできないし,また,被告が主張する原告ソフトウェアのプログラムの具体的記述から本件ソ\フトウェアのプログラムの表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。したがって,本件ソ\フトウェアのプログラムのソースコードの記述における表\現上の創作性を有する部分と原告ソフトウェアのプログラムのソ\ースコードの記述とが表現上の本質的な特徴が同一であるとの被告の主張は採用することはできない。\n

◆判決本文

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平成24(ワ)15034 損害賠償請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年11月30日 東京地方裁判所

 プログラムの著作物について、本件プログラムに基づいて生成された画像は、プログラムの著作物の複製ではないと判断しました。
   被告は,同一事案について既に判決が確定しているから,一事不再理の原則からみても本件訴えは却下されるべきであると主張する。しかし,別件訴訟は,原告が,被告に対し,主位的には,ウェブサイト制作作業等の請負代金等296万円及び遅延損害金の支払を,予備的には,被告が原告作成のウェブサイト等に不正にアクセスしたことによってウェブサイト制作費,コンサルティング料金等相当額である286万円を不当に利得したとして同額及び法定利息金の支払を求めたものである(甲3の1・2。なお,原告は,別件訴訟控訴審において,主位的請求及び予\備的請求とも100万円及びこれに対する附帯請求の限度に請求を減縮した。)。これに対し,本件訴訟は,原告が,被告に対し,本件プログラムの著作権(複製権)侵害(予備的に一般不法行為)に基づき,損害賠償金合計1120万円の一部請求として280万円の支払を求める事案である。別件訴訟と本件訴訟とは当事者を同一にし,事実関係に重なるところがあるとはいえ,訴訟物も争点も異なるものであるから,本件訴えが一事不再理の原則により不適法であるとはいえない。
2 別件乙3の印刷による複製権侵害による不法行為について
(1) 原告は,別件乙3の印刷物は,原告が著作権を有するプログラムの著作物である本件プログラムを紙に印刷して複製したものであり,複製権侵害であると主張するので,この点について検討する。
(2) 原告は,本件プログラムは原告が創作した「プログラムの著作物」(法10条1項9号)であると主張する。プログラムは,「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表\現したもの」(法2条1項10号の2)であり,所定のプログラム言語,規約及び解法(法10条3項)に制約されつつ,コンピュータに対する指令をどのように表現するか,その指令の表\現をどのように組み合わせ,どのような表現順序とするかなどについて,法により保護されるべき作成者の個性(創作性)が表\れることになる。したがって,プログラムに著作物性(法2条1項1号)があるというためには,指令の表現自体,その指令の表\現の組合せ,その表現順序からなるプログラムの全体に選択の幅があり,かつ,それがありふれた表\現ではなく,プログラム制作者の個性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要する(知財高裁平成21年(ネ)第10024号平成24年1月25日判決・裁判所ウェブサイト)。原告は,本件プログラムのソースコード(甲6の1。A4用紙7枚(1枚当たり36行。全部で232行)のもの。)を提出するものの,本件プログラムのうちどの部分が既存のソ\ースコードを利用したもので,どの部分が原告の制作したものか,原告制作部分につき他に選択可能な表\現が存在したか等は明らかでなく,原告制作部分が,選択の幅がある中から原告が選択したものであり,かつ,それがありふれた表現ではなく,原告の個性,すなわち表\現上の創作性が発揮されているものといえるかも明らかでない。・・・
 原告は,被告がブラウザを用いて本件プログラムにアクセスし,その情報を被告のパソコンのモニタに表\示させ,表示された情報のスクリーンショットを撮り,当該スクリーンショットの画像ファイルを紙である別件乙3(甲1の1,乙2)に印刷したことが,プログラムの著作物である本件プログラムの複製に当たると主張する。法にいう「複製」とは,印刷,写真,複写,録音,録画その他の方法により有形的に再製することをいうが(法2条1項15号),著作物を有形的に再製したというためには,既存の著作物の創作性のある部分が再製物に再現されていることが必要である。これを本件についてみると,紙である別件乙3(甲1の1,乙2)に記載されているのは画像であって,その画像からは本件プログラムの創作性のある部分(指令の表\現自体,その指令の表現の組合せ,その表\現順序からなる部分)を読み取ることはできず,本件プログラムの創作性のある部分が画像に再現されているということはできないから,別件乙3の印刷が本件プログラムの複製に当たるということはできない。

◆判決本文

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平成23(ネ)10063 プログラム著作権使用料等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年02月29日 知的財産高等裁判所

 裁判所は、プログラムの著作物性について「疑義はあるが、争点ではないので」と、損害額のみについて判断しました。1審と同じく、双方本人訴訟です。
 プログラムに著作物性があるというためには,プログラムの全体に選択の幅が十分にあり,かつ,それがありふれた表\現でなく,作成者の個性,すなわち,表現上の創作性が表\れていることを要するところ,本件証拠上,本件プログラムが著作物性を備えるものであるといえるかについては疑義がある。しかし,前記のとおり,当審における争点は,専ら損害の額であるので,本件プログラムに著作物性があることを前提として,損害の額について検討すると,本件プログラムは,平成18年以前に作製されたものであること(甲1),本件契約に基づく本件プログラムの利用料等は,1か月2万8380円であったこと,本件プログラムと同様の機能を有する他のプログラムについて,インターネットで無料配布されたり,相当低廉な価格で提供されるものもあること(弁論の全趣旨),被控訴人が同社のインターネットホームページ上で本件プログラムを利用したのは,平成22年5月28日頃から同年6月頃までと平成23年3月28日頃から同年4月7日までの比較的短期間であることなどからすれば,本件で控訴人が被った損害の額は,原判決が認容した合計10万円を超えるものとは認められない。この点に関し,控訴人は,本件プログラムは無料若しくは安価である同様のプログラムにはない,初心者でも容易に設置でき,改造もしやすく,頻繁に変更される上位ドメイン管理データベースに追随しやすく設計されているという特徴があると主張するが,無料若しくは安価である同様のプログラムに比して,本件プログラムが控訴人が主張する優位性を備えていると認めるに足りる客観的な証拠はない。また,被控訴人の申\出により本件契約が締結され,本件プログラムの使用が特別に許諾されたという控訴人主張の事実は,損害の額に係る上記認定を左右するに足りるものではないし,本件での控訴人の損害の額が,被控訴人の平成22年度の売上額の1%に相当するとみるべき根拠もない。

◆判決本文

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平成23(ネ)10041等 損害賠償等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

  元社員が別の会社で作成したプログラムについて複製・翻案権侵害と認定された著作権侵害事件の控訴審です。知財高裁は1審の判断を維持しました。
 上記事実関係によれば,被告プログラムのうち36個のファイルが原告プログラムの35個のファイルとほぼ1対1で対応し,かつ,被告プログラムの上記36個のファイルにおけるソースコードが原告プログラムの35個のファイルにおけるソ\ースコードと,記述内容の大部分において同一又は実質的に同一である。このように,測量業務に必要な機能を抽出・分類し,これをファイル形式に区分して,関連付け,使用する関数を選択し,各ファイルにおいてサブルーチン化する処理機能\を選択し,共通処理のためのソースコードを作成し,また,各ファイルにおいてデータベースに構\造化して格納するデータを選択するなど,原告プログラムのうち作成者の個性が現れている多くの部分において,被告プログラムのソースコードは原告プログラムのソ\ースコードと同一又は実質的に同一であり,被告プログラムは原告プログラムとその表現が同一ないし実質的に同一であるか,又は表\現の本質的な特徴を直接感得できるものといえる。

◆判決本文

◆原審はこちら 平成19(ワ)24698平成23年05月26日東京地裁

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