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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

間接侵害

平成21(ワ)35184 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟平成22年12月06日 東京地方裁判所 

 ナビゲーションサービスに対する特許侵害訴訟にて、裁判所は、車載用ではないとして、技術的範囲外と認定しました。また一部構成要件についても充足しないとして、間接侵害も否定しました。
 以上のような被告サーバー及び本件携帯端末の構成からすれば,被告装置においては,現在地及び目的地を入力・設定して,経路探索を行い,その結果をディスプレイに表\示してユーザーに伝達するために,被告サーバーと本件携帯端末が,それぞれ次の機能を分担しているものと認められる。・・・以上のとおり,被告装置は,被告サーバーと本件携帯端末とによって構\成され,両者がそれぞれ機能を分担してナビゲーション機能\を果たしていることから,このような被告装置が「車載ナビゲーション装置」ということができるか否か,すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」が,複数の機器に機能が分担され,かつ,その機器の一部が車両に搭載されていないものを含むか否かが問題となる。・・・・証拠(甲22ないし25)によれば,「車載」という語の一般的な意義は,「車に積みのせること」をいうと認められる。また,弁論の全趣旨によれば,「装置」という語の一般的な意義は,「ある目的のために機械・道具等を取り付けること。そのしかけ。」をいい,一定の機能\を持ったひとまとまりの機器をいうと認められる。エ検討(ア) 前記ウの「車載」及び「装置」という語の一般的な意義からすれば,「車載ナビゲーション装置」とは,車両に載せられたナビゲーションのための装置(ひとまとまりの機器)をいい,ひとまとまりの機器としてのナビゲーション装置が車両に載せられていることを意味すると解するのが,自然である。そして,本件各特許の特許請求の範囲の記載のように,A,B,C,Dとの「手段を含むことを特徴とする車載ナビゲーション装置」というとき,「ナビゲーション装置」がA,B,C,Dという手段を備えるとともに,そのような手段を備えたナビゲーション装置が「車載」,すなわち,車に載せられていることが必要であると解するのが,その文言上,自然である。また,本件各明細書に開示されている「車載ナビゲーション装置」の構成は,前記イのとおり,各構\成要素から成る一体の機器としての「車載ナビゲーション装置」であって,被告装置における被告サーバーと本件携帯端末のように,車両内の機器と車両外の機器にナビゲーション装置の機能を分担させ,両者間の交信その他の手段によって情報の交換を行い,全体として「ナビゲーション装置」と同一の機能\を持たせることは開示されていない。したがって,各機器をどのように構成し,また,各機器にどのように機能\を分担するか,各機器間の情報の交換をどのような手段によって行うかについても,本件各明細書には何らの開示もされていない。さらに,本件各特許発明はナビゲーション「装置」に関する特許発明であるから,「装置」の構成が特許請求の範囲に記載された構\成と同一であるか否かが問題となるのであって,同一の機能,作用効果を有するからといって,構\成が異なるものをもって,本件各特許発明の技術的範囲に属するということはできないことはいうまでもない。以上のことからすれば,本件各特許発明にいう「車載ナビゲーション装置」とは,一体の機器としてのナビゲーションのための装置が車両に載せられていることが必要であり,車両に載せられていない機器は,「車載ナビゲーション装置」を構成するものではないと解される。\n

◆判決本文

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平成21(ワ)11464 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年11月24日 東京地方裁判所

 方法発明の間接侵害品かが争われました。裁判所は、該当しないと判断しました。
 しかしながら,仮に,サクションマフラーに液体状態の冷媒が存在するとしても,被告製品は,メイン膨張弁による制御だけではなく,コンプレッサー(圧縮機)の回転数の制御,給水ポンプによる給湯熱交換器(冷却装置)に循環させる水の量の制御を総合的に調整して能力制御を行うものであるから(乙8,弁論の全趣旨),見掛け上,サクションマフラー内の液体状態の冷媒の増減と高サイド圧力の変動に関連性が認められたとしても,それをもって直ちに,サクションマフラー内の液体状態の冷媒残量を変更することにより高サイドの圧力制御を行うという因果関係を示しているということはできない。また,サクションマフラー内の液体がすべて冷媒であったとしても,サクションマフラーには底部から高さ約1cmの所に油戻し穴が存在するため,これを超えて液体を蓄積することはできない構造であり,サクションマフラー内に蓄積可能\な液体状態の冷媒は約9gであって,被告製品の閉回路中に循環する冷媒の総量(約1.2kg)の1%にも満たない。総冷媒量に対してわずか1%程度の冷媒を増減させることにより,高サイドの冷媒充填量を制御することができると認めるに足りる証拠はないから,被告製品のサクションマフラーには,蓄積した液体状態の冷媒残量を変更することによって,閉回路の高サイド内の冷媒充填量を変動させてその高サイドの圧力を調整するような機能があると認めることはできない。・・・したがって,仮に通常運転時にサクションマフラー内に液体状態の冷媒が存在するとしても,被告製品のサクションマフラーは,「液体残量を変更することによって,前記閉回路の高サイド内の冷媒充填量を変動させてその高サイドの圧力を調整し,前記蒸気圧縮サイクルの所定の冷却能\力をもたらす」物ということはできないから,構成要件Bの「緩衝用冷媒レシーバ」には該当しない。また,被告製品のサクションマフラーは,「液体残量を変動させることにより」,「閉回路の高サイドにおける冷媒充填量の変動を」達成する物ともいえないため,構\成要件Dの「低圧冷媒レシーバ」にも該当しない。したがって,被告製品は,本件特許発明の方法の使用に用いる物には当たらない。

◆判決本文

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