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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

均等

平成23(ネ)10081 不当利得金返還請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月30日 知的財産高等裁判所

 控訴審でも、置換可能性なしとして、均等侵害否定されました。
 本件特許発明は,本件明細書に,『・・・MAUとMAUを接続したり,あるいは,DTEとDTEを接続する場合には,送信線を受信側に,受信線を送信側に付け替えたクロス接続のツイストペア線を使用して配線しなければならない。このため,使用するLAN機器の内容を熟知していないユーザーでは送信線と受信線の誤接続を行う可能性がある。』(段落【0002】),『本発明は上述のような点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,送信線と受信線の接続が間違っている場合には自動的に信号線を切り替えることが可能\な送受信線切替器を提供することにある。』(段落【0003】)と記載されているとおり,LAN機器の種類や通信線の種別に熟知しない者が,誤接続を行ってしまうという従来技術の課題を解決し,接続される通信機器の種別や信号線の種別に関係なく常に正常な信号伝送が可能となるように,信号線の接続を行うことができるようにすることを目的としたものである。そして,本件特許発明は,上記のとおり,上記課題の解決手段として,リンクテストパルス検出手段の検出結果から切替器に接続されている信号線のいずれが送信線で,いずれが受信線かを判断した後に,物理的な配線である信号線を切り替えるものである。これに対し,被告製品は,MDI/MDI−X自動切替機能\により,ネットワーク機器との接続において,ストレート/クロスケーブルを自動判別するため,結線ミスによる配線トラブルを回避することができるものである。そして,被告製品は,上記のとおり,上記課題の解決手段として,MDIモード(ストレート結線)とMDI−Xモード(クロス結線)とをランダムな時間間隔で繰り返し遷移させた上,リンクテストパルスが検出された時点で,この遷移を停止させる構成としたものである。以上のとおり,被告製品は,リンクテストパルスを検出した時点で,必ず,ストレート結線とクロス結線の遷移を停止させるものであって,本件特許発明のように,リンクテストパルス検出後,信号線を物理的に切り替えることは,その構\成上予定されておらず,本件特許発明とは課題解決原理が異なる。したがって,本件特許発明における,リンクテストパルス検出手段の検出結果から送信線か受信線かを判断して,信号線を切り替える,信号線切替制御部との構\成を,被告製品の自動MDI/MDI−X構成に置き換えることには,置換可能\性はないものというべきである。

◆判決本文

◆1審判決はこちらです。平成22年(ワ)第3846号

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 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 第2要件(置換可能性)

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平成23(ワ)10712 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月18日 大阪地方裁判所

 携帯のワン切り関係の特許について、第1特許については技術的範囲外、第2特許については104条の3により権利行使不能と判断されました。
 前記(ア)の出願経過によれば,原告は,審査官から「前記制御手段は,前記ID番号が前記電話帳メモリに登録されている番号の一つと一致したら着信音を発生させる一方,一致しなければ所定時間だけ着信音を発生させず,その後所定時間経過したら着信音を発生させること」という構成が新規事項に当たるとして拒絶理由通知を受けたことから,この構\\成を含まないものとして手続補正をし,これにより特許査定を受けたものというほかない。前記アの原告の主張は,本件特許発明2−3の構成要件Jの意義について,上記拒絶理由通知を受けた構\\成と同一であるというものにほかならないから,上記出願経過に照らせば,包袋禁反言の法理により許されないものというべきである。
エ 小括
これらのことからすると,本件特許発明2−3の構成要件Jの「着信情報」とは, i)通信端末装置が圏外や電源がオフの場合に,ii) 通信ネットワーク側の交換制御装置に記憶されるものであり,iii) 少なくとも発呼側のID情報及び呼出継続時間情報を含むものをいうと解するほかない。
(2)被告製品の構成
 被告製品について,i) 通信端末装置が圏外や電源がオフの場合に,ii) 通信ネットワーク側の交換制御装置に記憶されるものであり,iii) 少なくとも発呼側のID情報及び呼出継続時間情報を含むものとしての「着信情報」を受信する構成を有する旨の主張立証はない。この場合に,リンガーの発生を制御する構\\成を有する旨の主張立証もない。したがって,被告製品について,本件特許発明2−3の構成要件Jを充足するとは認めることができない。
2 争点3−1(先願発明の有無)について
以下のとおり,本件特許発明1は,乙14発明と同一であると認められる。(1)乙14公報に関する出願明細書には,以下の記載がある。
・・・
乙14発明の各構成は前記(2)のとおりであるが,同発明と本件特許発明1−1ないし1−3を対比すると,1Fを除いた乙14発明の構成が本件特許発明1−1ないし1−3の各構\\成要件と同一であることについて,原告は,これを明らかには争っていない。原告は,前記第3の5【原告の主張】のとおり,発呼側端末のID番号が格納されているのは,本件特許発明1−1では構成要件Fの「電話帳メモリ」であるのに対し,乙14発明では「電話帳及び/又は発信履歴」である点において相違する旨主張する。一般に,「及び」は,名詞相互をつなぎ,それらの指すものに一括して言及する場合に使われる接続詞であるのに対し,「又は」は,i) 複数のうち少なくとも一つが成り立つこと,ii) 複数のうちどれか一つだけが成り立つことをいう場合に使われる接続詞である。そうすると,乙14発明の「電話帳及び/又は発信履歴」という文言からすれば,電話帳と発信履歴のいずれか一つだけの場合も含まれることが認められ,これと異なる解釈をとるべき理由は見当たらない。そうすると,乙14発明の構成には,「電話帳」のみに発呼側端末のID番号が格納されているものとする構\\成も含まれるから,この点において,本件特許発明1−1と相違するとはいえない。よって,本件特許発明1−1ないし1−3は,乙14発明と同一であると認めることができる。

◆判決本文

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 >> 技術的範囲
 >> 文言侵害
 >> 均等
 >> 104条の3

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平成24(ネ)10018 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月11日 知的財産高等裁判所 

 均等侵害については1審と同様に否定されました。知財高裁は、一般論として不完全利用による均等があり得るが、本件では本質的部分だから認められないと判断しました。
 控訴人は,被控訴人は一旦は本件発明1の構成要件の全てを充足する製品の製造販売を開始した後,本件特許権1の侵害を避けるために腰部骨格に備えた胴部下端骨格連結部の「嵌合穴」に嵌合される「第一嵌入杆」との嵌合を「回動不能\」にしたことが明らかであるとして,不完全利用論による構成要件Jの充足を主張する。特許権侵害訴訟において,相手方が製造等をする製品が特許発明の構\成要件中の一部を欠く場合,文言上は全ての構成要件を充足しないことになるが,当該一部が特許発明の本質的部分ではなく,かつ均等の他の要件を充足するときは,均等侵害が成立し得るものと解される。しかしながら,本件発明1の4か所の連結構\造のうち,腰部骨格に備えた胴部下端骨格連結部の「嵌合穴」に嵌合される「第一嵌入杆」との嵌合を「回動不能」とすることは,本件発明1の本質的な部分を変更するものであることは,上記イのとおりである。したがって,控訴人の不完全利用の主張も採用することができない。\n

◆判決本文

◆1審はこちら。平成20年(ワ)第27920号

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 >> 均等
 >> 第1要件(本質的要件)

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平成24(ネ)10035 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年09月26日 知的財産高等裁判所

 文言侵害も均等侵害も否定されました。
 イ 第2要件
前記のとおり,本件発明1は,従来方法では,各視線上に位置するボクセル毎の色度及び不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るために,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことに鑑みて発明されたものである。本件発明1は,二次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する「全ての前記平面座標点毎の色度および不透明度を該視線毎に互いに積算する」ことにより,放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた画像データ値に基づき,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表\現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とするものである。これに対し,被告方法においては,被告数式1の積算処理は,被告数式2で設定された閾値に達した時点で打ち切られるため,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表\現する観点からは,画質に対して悪い影響を与えるものである。被告方法による可視画像の生成は,本件発明1の方法によるほど生体組織を明確に区別するという作用効果を奏するものとはいえないものと解される。したがって,被告方法は,本件発明1の目的を達し,同一の作用効果を奏するとまではいえないものであるから,均等の第2要件を欠くものである。
ウ 第5要件
(ア) 前記(1)のとおり,本件明細書によれば,従来技術は一部のボクセルに関するデータを「間引いて」演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことから,上記課題を解決する手段として,本件発明1は,「全ての」前記平面座標点毎の前記色度及び前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,当該積算値を当該各視線上の前記平面座標点に反映させることを特徴とするものである(【0006】〜【0008】)。仮に控訴人が主張するように,従来技術に係る「間引いて」の反対語が「間引かずに」ということであれば,出願人において特許請求の範囲に「間引かずに」と記載することが容易にできたにもかかわらず,本件発明1の特許請求の範囲には,あえてこれを「全て」と記載したものである。このように,明細書に他の構\成の候補が開示され,出願人においてその構成を記載することが容易にできたにもかかわらず,あえて特許請求の範囲に特定の構\成のみを記載した場合には,当該他の構成に均等論を適用することは,均等論の第5要件を欠くこととなり,許されないと解するべきである。\n

◆判決本文

 

◆一審はこちらです。平成21(ワ)17848

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 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 第2要件(置換可能性)
 >> 第5要件(禁反言)

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平成23(ネ)10060 特許権侵害差止等反訴請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年06月28日 知的財産高等裁判所 

 控訴審で、均等侵害を追加しましたが、置換可能性、本質的要件を満たしていないとして、否定されました。
詳しい物件目録がついてます。
 そうすると,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「空所形成工程a,縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置換した場合,「先に掘削・排土した土壌とセメント等の固化材と水とをそれぞれ所定割合づつ投入して,それらの材料を該空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させ(る)」という本件発明2の作用効果は得られず,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにする」という本件発明2の目的は達成されることはない。
 これに対し,原告は,イ号方法について,i)実際には縦穴(12)は下部空所(13)に近い大きさとなり,空所の全面堀削による支持層の確認に限りなく近づく,ii)地層が同一施工場所で変化していたり,掘削した先に腐植土が現われた場合,地盤改良体の底面の全面を掘り下げないと有効に使える支持層を確認することはできず,本件発明2の空所(2)を堀削することと変わらなくなる,iii)縦穴(12)に掘削土を埋め戻すが,その土は,他の堀削土と共に撹拌され,固化材と水とで混練りされてスラリーとなるとして,実質的には本件発明2の作用効果と同一の作用効果を奏する旨主張する。しかし,原告の主張は,いずれも失当である。上記のとおり,イ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」は,上部空所(11)の下方に,支持層まで到達する溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して,支持層の確認を行い,掘削土は排土せずに埋め戻すのであるから,その溝あるいは縦穴(12)の大きさにかかわらず,イ号方法において,一旦排土した土壌とセメント等の固化材と水とを所定割合ずつ投入して,空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させるという作用効果は得ることはできず,掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにするとは考え難い。したがって,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置き換えることにより,本件発明2の目的を達することができるとはいえない。
 イ 異なる構成が本質的部分に存在するか否か本件発明2は,構\成要件A(「建造物の基礎を構築すべき位置の地盤の土壌を掘削・排土して所定開口面積で且つ所定深さの空所(2)を形成し,」)を採用することによって,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにすること」及び「従来のラップル工法に比して,掘削土壌量を少なくし,掘削土を埋戻し土として有効利用できるようにし,生コンクリート費用を不要にすること等によって全体の地盤改良コストを低下させること」との課題を解決するものであるから,イ号方法における「上部空所(11)にさらに支持層まで到達する所定深さの溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して支持層の確認を行」った上で,掘削土を排土せずに,当該「溝あるいは溝穴(12)を埋め戻」す工程との異なる構成部分は,その本質的部分に存在するというべきである。\n

◆判決本文

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 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 第2要件(置換可能性)

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平成23(ワ)4131 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年04月12日 大阪地方裁判所 

 本質的部分が異なるとして、均等侵害の主張も認められませんでした。
 本件明細書【0004】及び【0010】の記載によれば,先行技術であるミッドロックには,コンテナの前方開口部にロック用留め具が係合して開口部をふさぐという欠点があること,先行技術である全自動デバイスには,可動ロック部材が特に汚れの影響をとても受けやすいという欠点があることが認められる。また,同【0005】の記載によれば,本件特許発明1は,上記各欠点(課題)の解決手段として,上下に載置したコンテナの連結片と配列,上下に載置したコンテナを連結させるための方法を創作したものであることが認められる。そして,同【0006】及び【0011】の記載によれば,上記解決手段の原理は,i) ロック用留め具が下側連結突起上にコンテナの長手方向視で横に配置されていること,ii) 連結片の形状のおかげで,上段コンテナが鉛直軸に対して旋回することにより,連結片の下側連結突起がロック用留め具によって下段コンテナのコーナーフィッティング内に係合するというものであることが認められる。そして,前記1(1)のとおり,上記ii)の「連結片の形状」は,構成要件Eの「導入面取り部」を意味するものと考えられる。そうすると,構\成要件Eの「導入面取り部」は,本件特許発明1の課題解決手段である上記ii)における基本的構成であり,特徴的原理を成すものであることが認められる。換言すれば,本件特許発明1において,全自動デバイスとして,上下のコンテナを連結する作用効果を奏させるには,構\成要件Eの「導入面取り部」によりロック用留め具をロック位置まで案内することが必要不可欠の構成であり,課題解決の原理そのものであるというべきである。これに対し,被告製品では,全自動デバイスとして,上下のコンテナを連結する作用効果を奏させるため,構\成要件Eの「導入面取り部」の構成によりロック用留め具を係合位置まで移動させる構\成ではなく,ロック用留め具そのものを可動突部とすることにより下段コンテナの溝穴と係合させる構成が採用されている。したがって,被告製品の課題解決手段は,本件特許発明1の解決手段の原理と実質的に同一の原理に属するものとはいえず,むしろ,異なる原理に属するものというべきである。
 以上によれば,構成要件Eは,特許請求の範囲に記載された本件特許発明1の構\成のうちで,当該特許発明特有の課題解決手段を基礎づける特徴的な部分であり,特許発明の本質的部分に当たる。このことは,前記1(1)エ(イ)のとおり,原告が,本件特許の出願手続において,「本件発明では構成要件AないしDが有機的に結合することにより,荷役者を介することなくコンテナの連結および分離ができ,全自動デバイスとして使うことができるという引用文献にはない顕著な効果を奏する」旨の意見書を提出していることからも明らかである。

◆判決本文

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平成20(ワ)27920 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月31日 東京地方裁判所 

 同時並行の無効審判にて、訂正は認められましたが、侵害訴訟では、構成要件該当性無し、均等侵害も否定されました。
そして,本件発明1の目的ないし作用効果のうち,人形を「所望箇所で屈曲動作ができる」とともに,「様々な姿態を一定時間維持できる」ものとするという点は,従来技術の問題点,すなわち,前記ビスクドールにおける「連結部位を屈曲させた状態のまま保持させておくことができないため,様々な動きのある姿態や人間的な動きを求める傾向のある需要者ニーズに十分対応し得なかった」との問題点や,前記マネキン人形における「頻繁に各箇所で屈曲作動を繰り返すと,その部分の針金が折損してしまう」との問題点の解決と直接結びつくものであって,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分に関わるものであることが認められる。してみると,本件発明1の構\成のうち,被告各製品との相違部分である「腰部骨格連結部」の「第一嵌入杆」と「胴部下端骨格連結部」の「嵌合穴」とを回動可能に連結する構\成は,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分を実現するために複合的に機能する構\成中の不可欠な部分をなすものということができるから,本件発明1の本質的部分に当たるものというべきである。
 c これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,人形全体を骨格構造(一連の骨格群)で支えることとしたという点にあり,人形の連結箇所の数箇所において揺動や回動をする構\成は付加的な作用効果にすぎない旨を主張する。しかしながら,平成11年2月1日発行の雑誌「月刊ホビージャパン1999年2月号」(乙105)に株式会社ツクダホビーが販売する商品として掲載されている女性型関節可動人形「フルアクションドール」の構成(乙105の113ページ記載の写真4参照)をみると,人形全体が硬質樹脂製の骨格構\造にソフトビニル製の外皮を被せて成るものであることが認められ,また,後記(イ)a及びbのとおり,平成9年11月ころから日本国内において販売されている第1商品においても,やはり硬質樹脂製の骨格構造にソ\フトビニル製の外皮を被せて全体が形成される人形の構成が採用されていることが認められる。してみると,原告の上記主張に係る「人形全体を骨格構\造(一連の骨格群)で支える」という構成は,人形玩具の技術分野において,本件出願1の出願前に周知技術となっていたものと認めるのが相当であり,そうである以上,このような構\成を採用したことをもって,本件発明1の本質的部分であるとすることはできない。他方,本件明細書1の「発明の詳細な説明」の記載を総合すれば,本件発明1における4箇所の揺動可能又は回動可能\な連結構造が本件発明1の目的ないし効果の重要部分を実現するための構\成とされているものと理解することができることは,前記bのとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

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平成20(ワ)27920 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月31日 東京地方裁判所 

 同時並行の無効審判にて、訂正は認められましたが、侵害訴訟では、構成要件該当性無し、均等侵害も否定されました。
そして,本件発明1の目的ないし作用効果のうち,人形を「所望箇所で屈曲動作ができる」とともに,「様々な姿態を一定時間維持できる」ものとするという点は,従来技術の問題点,すなわち,前記ビスクドールにおける「連結部位を屈曲させた状態のまま保持させておくことができないため,様々な動きのある姿態や人間的な動きを求める傾向のある需要者ニーズに十分対応し得なかった」との問題点や,前記マネキン人形における「頻繁に各箇所で屈曲作動を繰り返すと,その部分の針金が折損してしまう」との問題点の解決と直接結びつくものであって,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分に関わるものであることが認められる。してみると,本件発明1の構\成のうち,被告各製品との相違部分である「腰部骨格連結部」の「第一嵌入杆」と「胴部下端骨格連結部」の「嵌合穴」とを回動可能に連結する構\成は,本件発明1の目的ないし作用効果の重要部分を実現するために複合的に機能する構\成中の不可欠な部分をなすものということができるから,本件発明1の本質的部分に当たるものというべきである。
 c これに対し,原告は,本件発明1の本質的部分は,人形全体を骨格構造(一連の骨格群)で支えることとしたという点にあり,人形の連結箇所の数箇所において揺動や回動をする構\成は付加的な作用効果にすぎない旨を主張する。しかしながら,平成11年2月1日発行の雑誌「月刊ホビージャパン1999年2月号」(乙105)に株式会社ツクダホビーが販売する商品として掲載されている女性型関節可動人形「フルアクションドール」の構成(乙105の113ページ記載の写真4参照)をみると,人形全体が硬質樹脂製の骨格構\造にソフトビニル製の外皮を被せて成るものであることが認められ,また,後記(イ)a及びbのとおり,平成9年11月ころから日本国内において販売されている第1商品においても,やはり硬質樹脂製の骨格構造にソ\フトビニル製の外皮を被せて全体が形成される人形の構成が採用されていることが認められる。してみると,原告の上記主張に係る「人形全体を骨格構\造(一連の骨格群)で支える」という構成は,人形玩具の技術分野において,本件出願1の出願前に周知技術となっていたものと認めるのが相当であり,そうである以上,このような構\成を採用したことをもって,本件発明1の本質的部分であるとすることはできない。他方,本件明細書1の「発明の詳細な説明」の記載を総合すれば,本件発明1における4箇所の揺動可能又は回動可能\な連結構造が本件発明1の目的ないし効果の重要部分を実現するための構\成とされているものと理解することができることは,前記bのとおりである。したがって,原告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

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平成23(ネ)10056 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月16日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、非侵害とした原審が維持されました。
 本件特許発明の特許請求の範囲においては,(使用されている)「すべて」の市外局番及び市内局番という文言が用いられているのであって,範囲の広狭がある場合には,最も広い範囲を指すと解するのが自然であり,逆に,これを「調査対象となる一定の地域」に限定する記載はない。本件明細書(甲1,47)の記載をみても,【課題を解決するための手段】(段落【0009】)には,「調査対象となる一定の地域」の市外局番及び市内局番に限定する旨の記載はなく,唯一の実施例も,「ここまでは1台のパソコン1で北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を行うと説明した。同様にして,全国の電話網をいくつかの地域に分割し,それぞれの地域にて全国の電話番号の調査を複数の地域に分散した複数のパソ\コンで分担実行する。そして,それぞれに担当した地域の前記調査リストを通信などを通じて1つに集約することで,全国的な広域の調査リストを作成できる。」(段落【0032】)と記載されるように,全国を対象として調査するものである。なお,控訴人が主張の根拠とする記載(段落【0011】〜【0013】,【0026】)は,全国を調査する一環として,ある地域を分担したパソコンによる調査方法を説明したものであって,控訴人の主張するような,一定の地域に限定して調査を行う旨の記載であるとは認められない。また,控訴人は,訂正審決が本件明細書の段落【0013】を根拠に訂正を認めたと主張するが,審決は,当該段落に加えて上記の段落【0032】も引用して訂正事項が当初明細書に開示されていると認定したのであり(甲47),控訴人の主張に沿う判断をしたものではない。さらに,本件特許発明の解決課題・作用効果についても,従来技術の2つの課題のうちの1つである「交換局の輻輳の問題」(段落【0006】)に対して,本件特許発明では,全国を複数のパソ\コンで分担調査することにより,コンピュータに近い交換局の輻輳が起きないという効果を奏する旨記載されているのであって(段落【0034】,【0039】),この点においても,全国の調査を前提とするものである。したがって,構成要件Aの「使用されているすべての市外局番および市内局番」とは,調査対象となる一定の地域において使用されているすべての市外局番及び市内局番を意味するという控訴人の主張は,採用することができない。そして,控訴人のその余の主張は,上記説示により排斥された解釈を前提として,一定の地域においては,被控訴人が調査対象としていない局番が存在せず,すべての局番を調査していることになるので,構成要件Aを充足しているというものであるから,その前提を欠くことになる。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)35411

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 >> コンピュータ関連発明

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平成22(ワ)43749 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成23年12月28日 東京地方裁判所

 技術的範囲外と認定されました。均等侵害も第5要件を欠くと判断されました。
 本件特許に係るこのような出願経緯からすると,既設の鉄骨柱の各エレクションピースが入る第1のスリットと新設の鉄骨柱の各エレクションピースが入る第2のスリットの水平方向の幅の大小については,上記(3)オの補正において,第1のスリットの水平方向の幅が第2のスリットの水平方向の幅より大きいものに限定されたことにより,外形的には,これとは逆の第1のスリットの水平方向の幅が第2のスリットの水平方向の幅より小さいものを本件特許発明1に係る特許請求の範囲から意識的に除外したものと解さざるを得ない。したがって,説明書記載方法は,均等侵害の要件のうち,少なくとも上記(2)の5の要件を欠くことが明らかであるから,その余の要件について検討するまでもなく,説明書記載方法が本件特許発明1の方法と均等な方法であるとする原告の主張は理由がない。 (5) 原告は,上記補正に引用例との抵触を避ける意図はなかった,手続補正上の制約から出願時の明細書と図面に記載されていない事項を追加する補正は許されなかったなどと主張する。しかし,上記(4)で認定したように,上記補正は拒絶理由を回避するためにされたものと認められ,また,上記(3)イで認定したように,本件特許の出願当初の明細書(乙1の1)には,「前記他方のスリットの水平方向の幅が前記一方のスリットの水平方向の幅より大きくなるようにスリットを形成することが好ましい。」と記載されていることからすると,仮に他方のスリットの水平方向の幅が一方のスリットの水平方向の幅より大きい旨の補正をしたとしても新規事項の追加に当たるということはできず,手続補正上の制約があったとは認められないことから,原告の上記主張は理由がない。

◆判決本文

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