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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

直接的かつ一義的

◆H15.11.13 東京高裁 平成14(行ケ)194 特許権 行政訴訟事件

出願中にした補正が新規事項であるとして無効審決がなされました。裁判所は審決を維持しました。
 「原告は,・・・段落【0011】のみならず,図3及び図4を考慮して検討すれば,出願当初から,「2枚の網目部材」が示されていることは明白であって,特に図示上,網目部材であることが明瞭であることから,「2枚の網目部材」という構成要素が十\分に,運用指針にいう「直接的かつ一義的に導き出せるもの」であることが明らかであると主張する。・・・しかしながら、・・・このように,出願明細書等においては,「極薄の透光フィルムが小孔径エキスパンドメタルと大孔径エキスパンドメタルの間に挟持された構造」であることが極めて明示的に記載されているのであり,上記以外の構\造をも包含しているものと解する余地のないことが一層明らかである。・・・審決は,出願明細書等には,網目部材として,目(孔)の大きさが同じ構造のものについては,何ら記載されていないし,かつ,出願明細書等を総合して検討したとしても,「網目部材として,目(孔)の大きさが同じ構\造のものをも含む」という事項が直接的かつ一義的に導き出せないとした。  ・・・上記の記載は,・・・という本件発明における組立構造体の基本的な構\造に関する説明又は発明の効果に関するものであって,透光吸音パネル部材の具体的な構成,特に,透光フィルムの支持方法については何ら触れられていない。したがって,上記の記載をもって,「網目の大小」に関する開示がされているということはできないのであって,「網目に大小のあることに限る旨の記載はない」との原告の主張は,採用することができない。」
 特に、以下の判決理由が気になります。
「仮に,使用する素材としては,エキスパンドメタルに限定すべき技術的必然性はないというのであれば,出願明細書等を記載するに際し,そのような工夫をすべきことであった。いずれにしても,本件補正前の特許請求の範囲の記載が前記のとおりであること,本件出願明細書等の発明の詳細な説明の記載や図面の記載をみると,上記のとおり極めて明示的に記載されていることや,極薄透光フィルムなどの部材については限定されないことの記載があるのに,エキスパンドメタルについてはそのような記載はもとより示唆もないことなどからすれば,前記のとおり解釈するほかない。・・・また,原告は,特許第2823182号に関する審決や東京高裁平成10年(行ケ)第298号事件の平成14年2月19日判決を引用して主張するが,いずれも,出願明細書等の記載が極めて明示的であってこれを他の素材等に拡大解釈する余地のない本件とは事案を異にするものであって,原告の主張は,採用の限りでない。」

      

◆H15.11.13 東京高裁 平成14(行ケ)194 特許権 行政訴訟事件

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 >> 補正・訂正
 >> 新規事項
 >> 直接的かつ一義的

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◆H15.10. 6 東京高裁 平成15(行ケ)120 特許権 行政訴訟事件

 1つの争点として、新規事項に該当するかが争われました。
  裁判所は、本件補正は特許庁と同様に、新規事項と判断しました。特許庁の代理人である指定代理人は、補正できる範囲について、”直接的かつ一義的に導き出せるものだけでなく、当初明細書等の記載に基づいて当業者が自明でないので、本件補正は,当初明細書等の範囲外の事項を含むものして許されない”と03年夏に発表された審査基準案を先取りした形で、本件補正は新規事項だと主張しました。
  裁判所は、これをそのまま認め、「そうすると,本願発明の蒸留装置に回転ドラム等を設けることは,当初明細書等に直接記載されていないばかりでなく,当初明細書等に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項であるとも,また,当業者に自明な技術事項であるとも認められないから,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるということはできない。」と判断しました。

      

◆H15.10. 6 東京高裁 平成15(行ケ)120 特許権 行政訴訟事件

関連カテゴリー
 >> 補正・訂正
 >> 新規事項
 >> 直接的かつ一義的
 >> 当業者自明

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