H15.10. 6 東京高裁 平成15(行ケ)120 特許権 行政訴訟事件

平成15年(行ケ)第120号 審決取消請求事件(平成15年9月22日口頭弁論終結)
          判    決
       原      告   A
       被      告   特許庁長官 今井康夫
       指定代理人      多 喜 鉄 雄
       同          野 田 直 人
             同          高 橋 泰 史
             同          伊 藤 三 男
          主    文
          原告の請求を棄却する。
      訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
    特許庁が不服2001−17891号事件について平成15年2月17日にした審決を取り消す。

第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
    原告は,平成7年2月13日,発明の名称を「密閉槽の連結の間に於ける,水,気転換型蒸留装置」とする特許出願(特願平7−59621号,以下,「本件出願」といい,本件出願に係る発明を「本願発明」という。)をし,平成11年11月29日,その願書に添付した明細書又は図面(以下「本件明細書等」といい,願書に最初に添付した明細書又は図面を「当初明細書等」という。)の特許請求の範囲の記載等の補正(以下「本件補正」という。)をしたが,平成13年8月13日に本件出願につき拒絶の査定を受けたので,同月31日,これに対する不服の審判の請求をし,不服2001−17891号事件として特許庁に係属した。
    特許庁は,同事件について審理した結果,平成15年2月17日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をし,その謄本は,同年3月8日,原告に送達された。

 2 特許請求の範囲の記載
 (1) 当初明細書等に記載のもの
     【請求項1】 気密化した2個の槽を,水の落下に沿って,連結配置する間に,黒色蒸発皿を,終日の太陽光線を充分に受けるように,水平に置いた蒸留装置であって,被蒸発液の蒸発作用の促進のために,ガラスの気密槽を作成して,この黒色蒸発皿を覆い,熱及び,蒸発水蒸気の拡散を防ぎ,併せてその水蒸気が結露して,落下生成される転換水が外気に触れるのを防いで,より高度の転換水を,下部槽のなかに置いた,転換水収集器のなかに,収集するものである。
     【請求項2】 2個の気密槽のうちで,上部の槽は,被蒸留液を入れたところの,仮に,蓋の付いた気密措置の出来る瓶である。このなかに入れた被蒸留液を,ホースで,第2槽のなかに水平に設置した,黒色蒸発皿のなかに導く。その導き方は,第1槽に繋いだホースのなかを下りてきた被蒸発液が,この黒色蒸発皿のなかで,あくまで,広く,薄く,そして満遍なく広がるようにする。そのためには,黒色蒸発皿のなかに導いて下ろした,このホースの他端を,黒色蒸発皿の水平底盤から,僅かの間隔を開けて,この黒色蒸発皿に固定する。

     【請求項3】 この黒色蒸発皿は,底盤が二重の密閉構造となっていて,そのなかに暖まり易く,そして冷えにくい物体の封入をはかる。
     【請求項4】 この黒色蒸発皿を中心にして,四角錐状に組んだ,12本位で出来た,丸ガラス棒の立ち上げを,出来るだけの傾斜をつけて行なう。この丸ガラス棒の径は,5−8mm位とする。
     【請求項5】 この黒色蒸発皿のなかには,綿,ヘチマ等植物繊維で出来た,黒色の,洋タオル,或いはモップ等を入れて,被蒸発液の浸透を図る。
     【請求項6】 更に,この第2槽か,第3槽に孔を穿って,減圧ポンプのホースを差し込んで,槽内の空気を引き抜いて,槽内の減圧を行なう。
 (2) 本件補正に係る本件明細書等に記載のもの
     【請求項1】二つのガラス製気密槽を上下に配置するものであって,下部槽の中には上から,ガラス製懸下一時受け槽,その淵を跨いだ数本のU字状細管,布製円筒(ドラム),更にその芯には電熱直管が通っている。

      この電熱直管は下部遍芯であって,両端はピローベァリングを貫き支持枠で,固定されている。布製円筒(ドラム)は回転するが,電熱直管は回転しない。
      この支持枠は,ドラムの滴下を受ける残留物(スラグ)受け皿と一体となっていて,収集ガラス上に水平に据えられる。
      最後に,これらの器具と,その下部に位置する転換水収集器,スラグ収集器,共々系外水を張ったバンの中に収め,据えられる。
      以上の器具を備えることを特徴とする,「水,気転換型蒸留装置」。
     【請求項2】上部気密槽は,蓋付き密閉瓶であって,被蒸留液で満たされ,蓋にはホースが差し込まれ,接着密閉される。
      このホースの他端は下部槽外壁を貫き,一時受け槽内の8〜9分目位の位置に固定される。
     【請求項3】この一時受け皿の淵に,長短中折れU字状細管を跨らせ,滴下する。

     【請求項4】この滴下された被蒸留液は,回転ドラムの片側で受け,その重さで緩やかに回転し,直電熱管の熱を受けて,蒸発,回転を繰り返す。
     【請求項5】この半回転中に蒸発出来なかった濃縮液は,下部受け皿に落下蓄積される。
     【請求項6】系外水を張ったバンの中で,下部槽の外壁を水平に引き上げて槽内を減圧する。(密閉措置後)
 3 本件補正における補正事項
    本件補正における補正事項は,本件補正に係る本件明細書等において,次のとおりである。
 (1) 「この滴下された被蒸留液は,回転ドラムの片側で受け,その重さで緩やかに回転し,直電熱管の熱を受けて,蒸発,回転を繰り返す。」(【請求項4】)
 (2) 「下部槽の中には上から,ガラス製懸下一時受け槽,その淵を跨いだ数本のU字状細管,布製円筒(ドラム),更にその芯には電熱直管が通っている。

      この電熱直管は下部遍芯であって,両端はピローベァリングを貫き支持枠で,固定されている。布製円筒(ドラム)は回転するが,電熱直管は回転しない。」(【請求項1】からの抜粋)
 (3) 「細管からの滴下水を片側に受けるように、水平にセットされたドラムはその芯に下部を向けて熱を当てるようにセットされた直電熱管が通って、塞がっており、ドラムと直電熱管は互いに独立して固定されておるのであるから、滴下水による重さと、内部からの熱で回転、蒸発を繰り返す。」(段落【0004】の抜粋)
 (4) 「布製回転ドラムから落ちる濃縮残留液量、槽内循環速度 即ち転換水収集量は、は加える熱量と注ぎ込む被蒸溜液量との関係によるところが大きいが、槽内減圧加減、外壁の傾斜、縦への伸び具合にもよります。」(段落【0005】の抜粋)

 4 審決の理由
    審決は,別添審決謄本写しのとおり,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから,特許法(注,本件出願について適用される平成6年法律第116号による改正前のものとの趣旨と解される。以下同じ。)17条の2第2項の規定により同法17条の2第1項の場合に準用する同法17条2項に規定する要件を満たしておらず,本件出願について拒絶の査定をすべきものとした。
第3 原告主張の審決取消事由
    審決は,本件補正が当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるのに,新規事項を含むとの誤った判断をし(取消事由1),また,仮にその判断に誤りがないとしても,本件補正を却下せずに,本件出願について拒絶の査定をした違法な原査定を是認したものである(取消事由2)から,取り消されるべきである。

 1 取消事由1(本件補正が新規事項を含むとした判断の誤り)
    本願発明における水の滴下に始まる供給水への操作は,まさに,水を広く,薄く,満遍なく広げる操作であり,本願発明の蒸留装置は,毛細管現象を用いて微細化させた水に熱を当てることを最大かつ唯一の特徴とするものである。本件補正に係る本件明細書等に記載されたドラムも,まさに,毛細管現象により水を広く,薄く,満遍なく広げるための布(植物繊維)であるから,本願発明における上記の最大の特徴から,直接的かつ一義的に導き出せるものというべきである。
    審決は,上記のような本願発明の特徴を直視しないまま,本件補正が,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく,新規事項を含むとしたものであって,誤りである。
 2 取消事由2(違法な拒絶査定を是認した判断の誤り)

    仮に,本件補正が,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえず,特許法17条の2第2項の規定により同法17条の2第1項の場合に準用する同法第17条2項に規定する要件を満たしていないとしても,本件補正を却下すべきであって,本件出願につき拒絶の査定をした原査定は,法の適正な運用の枠外にある違法なものというべきであるから,これを是認した審決の判断も違法である。
第4 被告の反論
  審決の判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
 1 取消事由1(本件補正が新規事項を含むとした判断の誤り)について
 (1) 特許法17条の2第2項において準用する同法17条2項は,「明細書又は図面について補正をするときには,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」と規定しているところ,上記「願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項」とは,具体的には,当初明細書等に記載した事項そのもののほか,当初明細書等に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項も含まれると解される(平成5年11月公表の特許庁「明細書及び図面の補正の運用指針」)。

 (2) 本件補正における補正事項は,回転ドラム,布製円筒(ドラム),ドラム又は布製回転ドラム(以下,これらを総称して「回転ドラム等」という。)を設けることを含むものであるところ,本件補正に係る手続補正書(甲6,以下「本件補正書」という。)の記載によれば,回転ドラム等は,被処理液を担持し蒸発させるための蒸発手段として,蒸留装置に設けられているものである。
      これに対して,当初明細書等(甲2)には,被処理液を担持し蒸発させるための蒸発手段としては,植物繊維で出来た黒色の洋タオル或いはモップ等を入れた黒色蒸発皿が記載されているだけで,回転ドラム等の設置に関しては,何ら記載されていない。すなわち,当初明細書等には,被処理液を担持し蒸発させるため蒸発手段として,ドラム状ないしは回転する装置を設けること,更には,黒色蒸発皿を他の蒸発手段に置き換えることにつき説明するところはなく,その他,当初明細書等には,その使用目的を問わず,ドラム状ないしは回転する装置を設けることを示唆する記載はない。

      そうすると,蒸留装置に回転ドラム等を設けることは,当初明細書等の記載のみに基づいて導き出すことができず,当初明細書等に記載した事項から,当業者が直接的かつ一義的に導き出せるものではないばかりでなく,当初明細書等の記載に基づいてそれが自明なこととして導き出せるものでもないから,これらの事項を含む本件補正は,当初明細書等の範囲外の事項を含むものとして許されないというべきである。
 (3) また,本件補正における補正事項は,蒸留装置につき補正されたものであって,「被蒸留液は,直電熱管の熱を受けて蒸発,回転を繰り返す」こと,「布製円筒(ドラム)の芯には電熱直管が通っている」こと,及び「ドラムは電熱管を通っている」こと(以下,直電熱管,電熱直管及び電熱管を「電熱管等」と総称する。)を含むものである。本件補正書の記載によれば,電熱管等は発熱ないしは加熱手段として用いられるものであるが,当初明細書等には,発熱ないしは加熱手段としては,太陽光線,電灯,電磁ヒータが記載されるだけであって,電熱管等に関する記載はない。もっとも,当初明細書等には,「電磁ヒーターを装置の内部に取り込み,太陽光の代用を図った」及び「200vの電磁ヒーターを仕込んで」との記載があるが,当初明細書等でいう電磁ヒーターについては,その形状が直電熱管,電熱管又は電熱直管のように管状のものに限られ,他の形状を採ることができないと一義的に解釈できるものではない。しかも,当初明細書等では,当該電磁ヒーターを,蒸留装置のどの箇所に設置するかが説明されず,当然のこととして,蒸発手段(例えば黒色蒸発皿)の上方空間に設けることも採択できるものであって,その設置個所がドラムの中ないしはドラムの芯などと限定的に解釈できるものでもない。このように,仮に,電磁ヒーターを電熱管等の電熱手段に相当するものであると想定しても,当該電磁ヒーターの形状及び設置個所に複数の解釈が成り立ち得るものであって,一義的に定まらないものである。
      そうすると,「被蒸留液は,直電熱管の熱を受けて蒸発,回転を繰り返す」,「布製円筒(ドラム)の芯には電熱直管が通っている」及び「ドラムは電熱管を通っている」との事項を蒸留装置に付加することは,当初明細書等に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せるものではないばかりでなく,当初明細書等の記載に基づいて当業者が自明なこととして導き出せるものでもないから,これらの事項を含む本件補正は,当初明細書等の範囲外の事項を含むものして許されないというべきである。

 (4) 原告は,本願発明における水の滴下に始まる供給水への操作は,まさに,水を広く,薄く,満遍なく広げる操作であり,本願発明の蒸留装置は,毛細管現象を用いて微細化させた水に熱を当てることを最大かつ唯一の特徴とするものであるところ,回転ドラム等も,まさに,毛細管現象により水を広く,薄く,満遍なく広げるための布(植物繊維)であるから,本願発明における上記の最大の特徴から,直接的かつ一義的に導き出せるものというべきである旨主張する。
      しかし,特許法17条2項は,その文言から明らかなとおり,補正の要件を,発明の最大の特徴事項との関連で定めているものではなく,当初明細書等に記載される発明の特徴事項とかかわりなく,補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしなければならないと定めているものである。したがって,発明における特徴の観点から補正の適否を論ずる原告の上記主張は,独自の見解というほかはなく,失当である。

      また,本願発明が,原告主張のように「水の滴下に始まる供給水への換作は,水を,広く,薄く,満遍なく広げる操作からなり,植物繊維による毛細管現象を用いて微細化させた水に熱を当てることに最も重き特徴を有する」ものであるとしても,当該「水を,広く,薄く,満遍なく広げること」及び「植物繊維による毛細管現象を用いて微細化させた水に熱を当てること」との事項は蒸留装置における被処理水の挙動又は蒸発原理を説明するだけであるから,そこから蒸発手段の形状が特定されるものではなく,したがって,当業者が,当該事項から円筒形であるドラムの形状のものを,直接的かつ一義的に導き出すことはできない。
 (5) 以上によれば,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとはいえないとした審決の判断に誤りはない。

 2 取消事由2(違法な拒絶査定を是認した判断の誤り)について
    原告の取消事由2の主張は,争う。
第5 当裁判所の判断
 1 取消事由1(本件補正が新規事項を含むとした判断の誤り)について
 (1) 本件出願について適用される特許法17条の2第2項において準用する同法17条2項は,「明細書又は図面について補正をするときには,願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしなければならない」と規定するところ,原告は,本件補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである旨主張する。
      上記第2の3の本件補正における補正事項によれば,本件補正は,回転ドラム等を本願発明の蒸留装置に設けることを含むものであって,当該回転ドラム等は,被処理液を担持し蒸発させるための手段として設けられるものであると認められる。他方,当初明細書等(甲2添付)には,「気密化した2個の槽を,水の落下に沿って,連結配置する間に,黒色蒸発皿を,終日の太陽光線を充分に受けるように,水平に置いた蒸留装置・・・」(【請求項1】),「この黒色蒸発皿のなかには,綿,ヘチマ等植物繊維で出来た,黒色の,洋タオル,或いはモップ等を入れて,被蒸発液の浸透を図る」(【請求項5】),「蒸発作用は,水面の広さに比例にするので,この水面を広げる意味で,そして又,円形黒色蒸発皿の中の被蒸発液が,水蒸気と成り易くするために,黒色の植物繊維で出来た,洋タオル,或いはモップ状のものを,この被蒸発液の中に浸して,繊維に浸透させる」(段落【0004】)と記載されており,これによれば,被処理液を担持するための手段としては,植物繊維でできた黒色の洋タオル又はモップ等を入れた黒色蒸発皿が記載されているだけであって,回転ドラム等の設置に関しては何ら記載がないばかりか,上記黒色蒸発皿を他のものに置き換えることを示唆する記載も全く認められない。
      そうすると,本願発明の蒸留装置に回転ドラム等を設けることは,当初明細書等に直接記載されていないばかりでなく,当初明細書等に記載した事項から当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項であるとも,また,当業者に自明な技術事項であるとも認められないから,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるということはできない。
 (2) 原告は,本願発明における水の滴下に始まる供給水への操作は,まさに,水を広く,薄く,満遍なく広げる操作であり,本願発明の蒸留装置は,毛細管現象を用いて微細化させた水に熱を当てることを最大かつ唯一の特徴とするものであるところ,本件補正書に記載された回転ドラム等も,まさに,毛細管現象により水を広く,薄く,満遍なく広げるための布(植物繊維)であるから,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものと解すべきである旨主張する。

      しかしながら,仮に,本願発明の蒸留装置は,毛細管現象を用いて微細化させた水に熱を当てることを最大かつ唯一の特徴とするものであるとの原告主張を前提にするとしても,毛細管現象を用いて微細化させた水に熱を当てるための手段は,当初明細書等に記載された黒色蒸発皿と本件補正書に記載された回転ドラム等に限られるものとすべき理由はなく,また,黒色蒸発皿を回転ドラム等に置き換えることが当業者に自明な技術事項であるということもできないから,原告の上記主張は採用の限りではない。
 (3) 以上によれば,本件補正は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでないとする審決の判断に誤りはないから,原告の取消事由1の主張は理由がない。
 2 取消事由2(違法な拒絶査定を是認した判断の誤り)について

    特許法49条1号は,審査官は,補正が同法17条2項(同法17条の2第2項において準用する場合を含む。)に規定する要件を満たしていないときは,その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならないと定めているところ,本件補正が,補正事項として当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでなく,同法17条の2第2項において準用する同法17条2項の要件を満たしていないことは,上記1において判示したとおりである。
    そうすると,本件出願につき拒絶の査定をした原査定及びこれを是認した審決の判断に何ら誤りはないから,原告の取消事由2の主張は理由がない。
 3 以上のとおり,原告主張の取消事由はいずれも理由がなく,他に審決を取り消すべき瑕疵は見当たらない。
    よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。


     東京高等裁判所第13民事部

         裁判長裁判官     篠  原  勝  美

                   裁判官     長  沢  幸  男

                   裁判官     早  田  尚  貴