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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

特段の効果

令和4(行ケ)10064  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和5年7月13日  知的財産高等裁判所

 進歩性違反・サポート違反として無効審判を請求しました。審決は無効理由無し、裁判所も同様です。進歩性については、「非晶質の薬物の方が一般に溶解性が高いとの技術常識が存在したことを考慮すると、・・・結晶の平均粒径を小さくし、かつ、その結晶化度を大きくすることが容易に想到し得たことであったと認めることはできない」と判断しました。

(イ) また、甲7、9、52、61、63、71及び73並びに乙7によると、 薬物の安定性を高める方法として、結晶の結晶化度を高めること、遮光、湿気の遮 断等を目的として薬剤に保護コーティングを形成すること、遮光を目的として遮光 剤(酸化チタン)を含むコート液をコーティングすることなどは、本件優先日当時 の周知技術であったと認められる。
(ウ) しかしながら、甲5、7、52、54及び61によると、本件優先日当時、 非晶質の薬物の方が一般に溶解性が高いとの技術常識が存在し、そのため、水難溶 性の薬物の溶解性を改善するとの目的で、かえって結晶化度を低くすることが一般 に行われていたものと認められるところ、前記(ア)及び(イ)のとおり、本件優先日当 時、経口投与される水難溶性の薬物の溶解性を高めるための周知技術として、結晶 の粒子径を小さくすること以外の方法も存在し、また、薬物の安定性を高めるため の周知技術として、結晶の結晶化度を高めること以外の方法も存在していたのであ るから、化合物1の溶解性及び安定性を高めるとの課題を認識していた本件優先日 当時の当業者において、化合物1の溶解性を追求するとの観点から、経口投与され る水難溶性の薬物の溶解性を高めるための周知技術(結晶の粒子径を小さくすると の周知技術)を採用し、かつ、化合物1の安定性を追求するとの観点から、薬物の 溶解性を低下させる結果となり得る周知技術(結晶の結晶化度を大きくするとの周 知技術)をあえて採用することが容易に想到し得たことであったと認めることはで きない。
(エ) この点に関し、原告らは、結晶の結晶化度を一定の数値以上に維持するこ とは特段の処理が不要で薬剤をそのまま使用するという最も基本的な態様を含むも のであり、他の手段よりはるかに容易な態様のものであると主張する。しかしなが ら、前記(ア)のとおり、本件優先日当時、結晶の粒子径を小さくするための主たる 手段として、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル等を利用した粉砕が考えら れていたところ、甲52によると、粉砕により結晶の結晶化度が低下し、結晶が非 晶質化することは、よく経験される事象であったものと認められるから、結晶の結 晶化度を一定の数値以上に維持することが特段の処理を要しないものであるという ことはできず、原告らの上記主張は、前提を誤るものというべきである。
また、原告らは、本件優先日の当業者であれば、薬物の安定性を向上させるとの 課題に基づいて結晶の結晶化度を一定の数値以上に維持することを検討しつつ、粒 子の微細化等の手段により溶解度を向上させるなど、結晶の結晶化度や平均粒径と いったパラメータを適宜調整することを十分に動機付けられると主張するが、上記\nのとおり、非晶質の薬物の方が一般に溶解性が高いとの技術常識が存在したことを 考慮すると、原告らの上記主張によっても、本件優先日当時の当業者において、相 反する効果を生ずる事項同士であると認識されていた、化合物1の結晶の平均粒径 を小さくし、かつ、その結晶化度を大きくすることが容易に想到し得たことであっ たと認めることはできないといわざるを得ない(この点に関し、本件明細書には、 実施例(試験例2、実施例2)として、化合物1の微細結晶Aの結晶化度が84. 6%であり、粒径がD100=8.7μmである場合(後記5(4)ア(ア)のとおり、化 合物1の平均粒径が数μmである場合)においても、結晶が凝集することなく、良 好な溶解性及び分散性を示したとの記載があるが、前記(2)イ(ウ)において認定した 技術常識(非晶質の薬物の方が一般に溶解性が高いとの技術常識)並びに甲6及び 52によって認められる技術常識(特に薬物が疎水性のものである場合には、結晶 の粒子径を小さくすればするほど凝集が起こやすくなり、その有効表面積がかえっ\nて小さくなる結果、溶解性が低下することがあるとの技術常識)に照らすと、上記 実施例が示す効果は、甲1結晶発明及び本件優先日当時の技術常識から予測し得な\nかったものといえる。)。

◆判決本文

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令和4(行ケ)10039  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 令和4年12月21日  知的財産高等裁判所

CS関連発明について、進歩性無しとした審決が維持されました。出願人はぐるなびです。

ア 前記(1)のとおり、相違点3は、施設端末に予約内容を通知した後、ユーザー\n端末に第2施設の情報を通知する処理を行うことにつき、本願補正発明では、前記 施設端末からの返信を有効に受け付ける期間として予め設定された待機期間内に前\n記施設端末からの返信がない場合であるのに対し、引用発明では、施設端末から受 信する予約結果情報の予\約登録可否の結果がNGであった場合である点で相違する というものである。
イ ところで、施設の予約は、利用日又は利用日時を指定して行うものであり、\n予定される利用日又は利用日時よりも前に予\約を完了するという本来的な要請があ る。そして、引用発明は、ある特定の施設の予約を目的とするものではなく、利用\n者の希望する条件に合致した複数の施設を対象とし、一つの施設の予約ができなか\nった場合に、別の施設の予約をすることが可能\であるような施設予約システムにお\nける予約方法であるところ、前記2(1)イのとおり、引用発明における施設予約シス\nテムは、「施設予約情報サーバ30から、当該予\約情報に基づく、自動的、あるいは 宿泊施設の予約担当者により判断される予\約登録可否(OKかNG)の予約結果情\n報を受信し、」「受信した予約結果情報の予\約登録可否の結果がNGであった場合」 に、次の候補となる施設の検索をしてユーザーに送信して、ユーザーが別の施設の 予約を行うものとされているから、施設端末に当たる「施設予\約情報サーバ」から の予約結果情報の受信は、宿泊施設の予\約担当者による判断の時期によっては、相 当程度に遅くなる場合も想定され、その間に、当初の検索条件に合致する別候補の 施設の予約枠が埋まってしまうこともある。\nそうすると、引用発明には、予定される利用日又は利用日時よりも前に、利用者\nの希望する条件に合致した施設を予約するという本来的な要請を満たすことができ\nないおそれがあるといえる。
ウ 次に、前記2(2)イの引用文献2記載技術をみると、宿泊施設の仮予約におい\nて、「ホテル端末103が宿泊可否の通知を一定時間経過(タイムアウト)しても行 わなかった場合、ホテル端末103に対して、キャンセルの通知を送信し、次のホ テルへ空き問い合わせ情報を送信する」ものであるから、甲2には、施設端末が、 一定時間を経過しても予約可否の回答をしなかった場合には、キャンセルとして扱\nい(以下「タイムアウト処理」という。)、次の施設に問い合わせるという技術が開 示されているといえる。そして、予定される利用日又は利用時間よりも前に、タイ\nムアウト処理をして、次の施設に問合せをすることで、最初に問合せをした施設か らの回答を待っていたために、予定される利用日又は利用日時よりも前に、利用者\nの希望する条件に合致した施設を予約するという本来的な要請を満たすことができ\nなくなるという事態を回避するのに、一定の効果があると認められる。
エ ところで、引用発明と引用文献2記載技術とは、複数の施設を対象とした施 設予約システムにおける施設予\約方法という共通の技術分野に属するものであって、 第1施設に対して予約可否の問合せを行い、第1施設から予\約不可の返信を受けた 場合には第1施設に類似する他の施設を抽出するという手法も共通するところ、前 記イのとおり、引用発明において、第1施設から予約可否の返信が長時間送信され\nない場合には、予定される利用日又は利用日時よりも前に、利用者の希望する条件\nに合致した施設を予約するという本来的な要請を満たすことができないおそれがあ\nるところ、上記本来的な要請を満たすために、第1施設からの予約可否の返信を長\n時間待ち続けるという事態を回避しようとすることは、当業者であれば当然に着想 するものと認められるから、引用発明に引用文献2記載技術のタイムアウト処理を 適用する動機付けがあるといえる。 そして、引用発明に引用文献2記載技術のタイムアウト処理を適用すると、引用 発明は、施設端末からの返信を有効に受け付ける期間としてあらかじめ設定された 待機期間内に前記施設端末からの返信がない場合には、予約結果情報の予\約登録可 否の結果がNGであった場合と同様に、予約内容に基づいて第1施設を除く一又は\n複数の第2施設を抽出し、前記抽出された一又は複数の前記第2施設の情報を前記 ユーザー端末に通知する処理を行うことになる。 そうすると、相違点3に係る構成は、引用発明に引用文献2記載技術を適用する\nことより、当業者であれば容易に想到し得るものと認められる。

◆判決本文

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 >> 動機付け
 >> 特段の効果
 >> コンピュータ関連発明
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