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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

翻案

平成24(ワ)3677等 著作権侵害損害賠償等本訴,ブログ記事抹消等反訴請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年11月28日 東京地方裁判所

 一部の記事について、ブログ記事の翻案であると認定されました。編集業者の故意過失についても言及しました。ただ、信用失墜行為として反訴され、逆に損害賠償が認められています。
 被告漫画1記述11と原告記事1記述11とは,露天風呂での場面を記述している点及びその著述の順序でほぼ共通し,同一性がある。原告記事1記述11は,露天風呂の場面を創作的に表現したものであり,被告漫画1記述11は,原告記事1記述11の表\現上の本質的特徴の同一性を維持し,被告漫画1記述11を一読しただけで,その特徴を直接感得することができる。
・・・・
証拠(甲5)によれば,本件ブログは「Yahoo!検索」,「Google検索」において「三行広告」のキーワードで検索すると検索結果の6番目に表示されることが認められるから,被告らは,Aから被告漫画1及び2の提供を受けるに当たり,その記述をインターネットで検索するなどして調査すれば,被告漫画1及び2の記述の中に原告記事1及び2に似た記述があることを知ることができたと認められる。それにもかかわらず,被告らは調査を怠ったのであるから,被告らには,原告記事の著作権及び著作者人格権を侵害したことについて過失がある。
・・・ 
被告GOTは出版社であるところ,本件記事1には,「無料公開しているブログから盗作を繰り返し,毎月複数誌で著作権侵害を続ける悪質極まりない出版社「ジーオーティー」」との記載があり,本件記事3のタイトル及び本文には「著作権侵害を繰り返す出版社「ジーオーティー」」との記載があり,本件記事4の本文には「出版社「(株)ジーオーティー」が発行する複数の雑誌に於いて著作権侵害されてきた」,「盗作をやめるどころかほぼ毎月のようにブログの記事を盗んで雑誌を作り,利益を貪るという悪行を続けている。」との記載がある。本件記事1,3及び4は,一般の読者の読み方に照らし,被告GOTが著作権侵害行為を繰り返しているとの印象を与えるから,出版社である被告GOTの名誉,信用等の社会的評価を低下させるものである。

◆判決本文

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平成24(ワ)10382 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年10月21日 東京地方裁判所

 キャラクターの複製・翻案かが争われました。裁判所は複製・翻案のいずれでもないと判断しました。
,原告作品1と被告商品1を対比すると,別紙原告作品1と被告商品1との対比(判決)記載のとおりの相違点が認められるから,被告商品1は,原告作品1を有形的に再製したものではないし,原告作品1の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものではない。以上のとおり,被告商品1は,原告作品1と同一又は類似であるとは認められないから,被告商品1が原告作品1を複製又は翻案したものである\nとは認められない。

◆判決本文

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平成24(ワ)16442 著作権確認等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年10月10日 東京地方裁判所

 翻案権の一部である実写映画化権について原告が取得していることが認められました。
 原告は,本件譲渡担保契約による移転の対象となる著作物は,本件漫画ではなく,本件原作であると主張する。そこで検討すると,本件譲渡担保契約により原告が取得するとされたのは本件オプション契約に定められたオプション権を行使した場合に購入することのできる権利であるところ,本件オプション契約の契約書に契約の対象となるのが「Aが日本で発表した劇画作品」であると記載されていること,本件原作が同契約の締結までに発表\されたことはうかがわれないこと,「劇画」とは言語と絵画が結合されて成るものであることからすると,契約書の文言上は,本件譲渡担保契約の対象は本件漫画であると解する余地がある。しかし,前記事実関係によれば,1)本件オプション契約は,原告が,「子連れ狼」の物語に基づく実写映画を製作するために締結されたものであり,実写映画化するに当たっては時代(現代版とすることもあり得る。乙7参照)や場所(原告は米国法人であり,日本以外を舞台とすることも考えられる。)の設定を異にし得るので,Bによる作画を利用する必要はないこと,2)原告は本件漫画の作画部分を利用する意図は有しておらず,1212エンターテイメント及びAもこれを認識していたこと,3)作画部分をも利用して本件漫画の実写映画を製作するとすれば,Bないしその権利承継人から許諾を得る必要があるが,A及び普及会がBの作画を含む本件漫画の著作権を管理し,処分する権限を有していたとはうかがわれないにもかかわらず,原告及び1212エンターテイメントがBないしその権利承継人とは交渉を行おうとせず,本件原作の著作権者であったA(本件オプション契約当時)及び普及会(本件譲渡担保契約当時)との間でのみ交渉を行ったこと,4)本件譲渡担保契約に基づいて本件原作につき著作権の譲渡の登録がされたことが明らかであり,これらの事情を総合すると,原告,A,普及会及び1212エンターテイメントは,本件漫画の原作,すなわち,本件原作についての実写映画化権等を設定するために本件オプション契約及び本件譲渡担保契約を締結したものと認めるのが相当である。なお,これらの契約書の文言上は,上記のとおり,本件漫画が契約の対象であるとされている。しかし,この点は,本件原作が公表されておらず,他の著作物と区別して契約書に記載し,対象物を特定することが困難であったことから,公表\された本件漫画をもって契約の対象物の記載に代えたものと解することが可能である。そうすると,契約書の記載は上記のとおり解することの妨げにならないと考えられる。以上によれば,本件譲渡担保契約の対象は,本件原作であると認めるのが相当である。\n

◆判決本文

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平成24(ネ)10076 出版差止等請求控訴事件 著作権 民事訴訟 平成25年04月18日 知的財産高等裁判所

 編集著作物性について、原審は著作物性無しとしましたが、一部についてこれを認めました。
 エ 認定のとおり,控訴人書籍漢方薬便覧部分においては,148の処方名,1000個以上の商品名の漢方薬から,臨床現場での重要性や使用頻度等を踏まえて,148の処方名,307の商品名の漢方薬を選択するとともに,195の処方名,1900個以上の商品名の生薬並びに生薬及び漢方処方に基づく医薬品の中から1の処方名(「ヨクイニンエキス」),2の商品名の生薬を選択した上で,これを「漢方薬」の大分類の中に含めたものである。控訴人は,「ヨクイニンエキス」について,漢方薬ではなく生薬であるにもかかわらず,これを漢方薬として選択したものである(甲59,69)。そして,生薬である「ヨクイニンエキス」については,「ポケット判治療薬Up-To-Date(2008年版)」(乙2)及び「ポケット医薬品集2008年版」(乙3)では,皮膚科用薬の章に掲載され,「薬効・薬理別 医薬品事典(平成16年8月版)」(乙5)では,「漢方製剤」ではなく「その他の生薬製剤」の章に掲載され,「日本医薬品集 医療薬 2008年版」(乙6)及び「最新治療薬リスト平成18年版」(乙11)においては,「漢方製剤」ではなく「その他の生薬および漢方処方に基づく医薬品」に掲載されているのであって,これを「漢方製剤」の分類に選択した類書は,控訴人書籍の発行後に発行された「ポケット版臨床医薬品集2008」(乙9)以外に見られないところ,同書における漢方薬の選択及び配列については,控訴人書籍と全く同一の148の処方名,307の商品名の漢方製剤に加えて「ヨクイニンエキス」が選択され,控訴人書籍と50音順を崩した4箇所を含め,全く同一の配列がされていること,同書が控訴人書籍の発行後に発行されたこと等に照らし,同書をもってありふれていることの根拠とすることはできない。以上によれば,前記の漢方薬の薬剤の選択,特に「ヨクイニンエキス」を漢方製剤として選択したことには,控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表\れているということができる。
イ 薬剤の配列について
控訴人書籍及び被控訴人書籍の漢方薬便覧部分は,「処方名」(漢方処方名)を原則として50音順とし,例外的に,1)・・・4箇所のみ50音順を崩して配列している点において同一である。このうち,控訴人は,4)の「ヨクイニンエキス」について,漢方薬ではなく生薬であるところから,全く別個に配列し,これを漢方薬の最後に配列したものである。また,上記2)の配列については,「桔梗湯」及び「桔梗石膏」は,いずれも生薬「桔梗」を含む漢方製剤であり,咽喉における症状に用いられる点で共通しているところ,「桔梗湯」は,・・・に記載された漢の時代から伝わる生薬の配合及び分量についての歴史的な処方であり,喉痛等に対して処方する機会が極めて多いのに対し,「桔梗石膏」は,原典を有しない比較的新しい処方であるため,まず「桔梗湯」の処方を考えることが臨床現場においては通常であること,また,「桔梗湯」は,単体で処方されることが多い漢方製剤であるが,「桔梗石膏」は,他の漢方製剤と共に処方されることが多い漢方製剤であるため,まず単体で処方することのできる「桔梗湯」を前にもってくることが臨床現場における使用に資することから,臨床現場の使用実態に即した配列にしたものである(甲76,弁論の全趣旨)。さらに,上記3)の配列も,「桂枝加竜骨牡蛎湯」が,前記のとおり・・・に記載された漢の時代から伝わる歴史的な処方であるのに対し,・・・が,江戸時代に日本で書かれた「方機」という書物に記載された処方であるところ,歴史が深い処方の方が信頼が高く,臨床現場においてより頻繁に用いられているところから,・・を先に配列することとしたものである(甲76,弁論の全趣旨)。このように,控訴人書籍における薬剤の配列は,漢方処方が,歴史的,経験的な実証に基づく薬効,中心的な役割を果たす主薬,基本方剤等,複数の分類基準によって区別される上に,基本方剤に新たな薬効を持つ生薬が加味されることで,多くの漢方処方に派生するという関係にあるところから,そのような歴史的,経験的な実証に基づく生薬の薬効及び基本方剤分類を考慮した配列にしたものである。そして,控訴人書籍の発行後に発行された「ポケット版臨床医薬品集2008」(乙9)以外に,上記1)ないし4)について控訴人書籍と同一の配列をしたものは見当たらない。被控訴人が発行した「薬効・薬理別 医薬品事典(平成16年8月版)」(乙5),「日本医薬品集 医療薬 2008年版」(乙6)及び「最新治療薬リスト平成18年版」(乙11)においてすら,「ヨクイニンエキス」は,「漢方製剤」の分類の中には選択されず,それとは別の「その他の生薬製剤」又は「その他の生薬および漢方処方に基づく医薬品」等に分類されていたものである。また,被控訴人が控訴人書籍の発行より前に発行した「薬効・薬理別 医薬品事典(平成16年8月版)」(乙5)及び「最新治療薬リスト平成18年版」(乙11)においては,控訴人書籍及び被控訴人書籍とは異なり,上記1)ないし3)を含め,全て50音順に配列されていたものである。
ウ 以上によれば,控訴人書籍漢方薬便覧部分は,漢方薬の148の処方名を掲載したほか,多数の生薬の中から「ヨクイニンエキス」のみを大分類「漢方薬」に分類するものとして選択した上,漢方3社が製造販売する薬剤がある漢方処方名については,当該漢方処方名に属する漢方3社の薬剤を全て選択し,漢方3社が薬剤を製造販売していない漢方処方名については,臨床現場における重要性や使用頻度等に鑑みて個別に薬剤を選択したというのであるから,薬剤の選択に控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表\れているということができ,上記のような考慮から薬剤を選択した上,歴史的,経験的な実証に基づきあえて50音順の原則を崩して配列をした控訴人書籍漢方薬便覧部分の薬剤の配列には,控訴人らの創作活動の成果が表れ,その個性が表\れているから,一定の創作性があり,これと完全に同一の選択及び配列を行った被控訴人書籍漢方薬便覧部分の薬剤の選択及び配列は,控訴人書籍のそれの複製に当たるといわざるを得ない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成20(ワ)29705
 

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平成23(ワ)33071 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年03月14日 東京地方裁判所

 題号「風にそよぐ墓標」の一部が、複製権および翻案権侵害と認定されました。ただ、損害額は慰謝料の方が高額でした。
 証拠(甲1,2,6,乙1,2の1及び2,3,4,原告及び被告B各本人)によれば,被告Bは,本件事故が犠牲者の妻や母という女性の視点から語られることが多かったことから,犠牲者の息子という男性の視点から本件事故を著述しようと考えていたところ,原告とCの息子であるGを知り,本件事故に関して原告が著述した「なにか云って」と題する書籍と原告書籍を図書館から借りて閲読した上で,平成22年5月21日,Gに対し,本件事故に関する取材を8時間ほどしたこと,被告Bは,同月24日,取材内容を補強するために,原告に対しても,本件事故に関する取材を3時間ほどしたこと,原告は,本件事故から25年弱が経過するとともに,上記両書籍の著述によって本件事故を自分なりに終結させていたので,当時の状況を思い出せなかったり,上記両書籍や原告に関する放送等を収録したDVD映像の各該当部分を示して説明したりした上,被告Bに対し,上記両書籍とDVD2本を提供したこと,これに対し,被告Bは,原告に対し,原告の説明や上記両書籍や両DVDを基にして正確に著述する旨約束したこと,原告は,同月29日ころ,被告Bに対し,手紙を送り,同月24日の取材で話題になった原告とCが出会った経緯等につき,訂正を申し入れたことが認められる。前記認定の事実によれば,原告が被告Bに対し原告書籍等を用いて事実の正確な著述をするよう求めたことは窺うことができるものの,さらに進んで,原告が被告Bに対し原告各記述の複製又は翻案及び譲渡に係る利用の許諾を黙示にしたということはできず,他に被告Bが原告から原告各記述の複製又は翻案及び譲渡に係る利用の許諾を黙示に得たことを認めるに足りる証拠はない。
(3) 以上によれば,被告Bは,別紙対比表の当裁判所の判断欄に○と記載した被告各記述を不可分的に有する被告書籍の第3章を著述することによって,原告の原告書籍の著作権(複製権又は翻案権)を侵害し,被告集英社は,当該被告各記述を第3章に含む被告書籍を頒布することによって,原告の原告書籍の著作権(譲渡権又は著作権法28条に基づく譲渡権)を侵害するものと認められる。\n

◆判決本文

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平成22(ワ)38003 出版差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成25年03月01日 東京地方裁判所

 本件著作物の一部については、著作者であるとして、氏名表示権侵害を認めました。\n
 原告は,本件著作物が亡Wと原告X4の共同著作物であり,仮にそうでなくとも,亡Wの原稿を原著作物とする原告X4の二次的著作物であるから,本件著作物を分冊化した分冊Iの著作者名として原告X4の名が表示されていないことは,原告X4の氏名表\示権を侵害すると主張する。この点,前記第2,2(3)のとおり,本件著作物については,亡Wがその執筆を始め,本件著作物のうち第I部「古典物理学」の部分(第5章「相対性理論」を除く。)の大半の原稿を完成間近とし,第II部「量子物理学入門」の原稿構成等のメモを途中まで制作したところで死亡したことから,その後,原告X4が,上記「相対性理論」の章を新たに執筆し,上記「量子物理学入門」の部分は,亡Wの上記原稿構\成等のメモを基に執筆し,その他の部分は,適宜内容の加除訂正を行って,本件著作物を完成させたことが認められるところ,前記第2,2(2)アの事実に,証拠(略)及び弁論の全趣旨を併せ考慮すると,本冊の第I部「古典物理学」(832頁分)のうち,原告X4が新たに執筆した第5章「相対性理論」の部分が24頁分(809頁ないし832頁)であること,第1章から第4章まで(3頁から808頁まで)は,亡Wがその原稿をほぼ仕上げていたものの,その部分に対して,原告X4が用紙24枚分の加除訂正を行ったこと,原告X4による上記加除訂正の中には,新たに図や数式を用いながら微分法とそれに関する関数の性質について解説した「微分法について」と題する記述(第I部・第1章「力学」の「1.2.1 直線運動における速度と加速度」の項の中にあり,本冊の13頁から約3頁分に相当する部分。)を挿入したり,従前の式に微分法の式を付加したり,図の座標軸を加筆して,本文中にその図の説明を書き加えたり,不適切な図を正しい図に修正したり,元の原稿になかった新たな見解や新たな説明を付加したり,いくつかの文章について,その一部を削除し,あるいは加筆して,文章の表現を正確又は分かりやすくしたり,十\数箇所の「長円」との表現を全て「楕円」との表\現に改めるなど,単なる誤字脱字の修正にとどまらず,文章や図などの具体的な表現について加除訂正がなされた部分が多数あること,第II部「量子物理学入門」について,そのうち亡Wの原稿構成等のメモが遺されていたのは,前半部分(第1章「量子力学入門」の始めから第2章「変換理論」の途中までであり,おおむね本冊の833頁から918頁に相当する部分。)だけであり,しかも,そのメモは手書きで,そこに記された文章はなお推敲の途上にあって,原稿として未完成であったこと,そのため,原告X4はそのメモにかなりの加筆修正を加えながら,前半部分の原稿を仕上げたこと,亡Wのメモが存在しなかった後半部分(第2章「変換理論」の途中から第3章「場の量子論から」の終わりまでであり,おおむね本冊の919頁から986頁に相当する部分。)については,全ての原稿を原告X4が新たに執筆したこと,以上の各事実が認められる。これらの事実によれば,本件著作物の創作における原告X4の寄与は,亡Wの創作した著作物を単に監修したという程度にとどまるものではなく,むしろ,原告X4は,亡Wの遺稿に基づきつつ,本件著作物の全体にわたって具体的な表\現の創作に寄与したものと解するのが相当である。したがって,原告X4は,本件著作物について,少なくとも当該創作部分の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当である。
 (2) この点に関し原告らは,原告X4の権利が,主位的に,共同著作物に係る著作権であると主張し,予備的に,二次的著作物に係る著作権であると主張する。この点,前記のとおり,原告X4が上記創作を行ったのは,亡Wの死後であるから,上記各部分は,原告X4が単独で創作したものであって,亡Wがその創作に関与したことはない。しかも,原告X4は,亡Wの死後に,本件著作物の執筆を依頼されたものであるから,亡Wの生前に,亡Wと原告X4とが,互いに共同で本件著作物を創作することを合意していたこともない。そして,仮に亡Wが,自己の死後に,その遺稿をもとにして第三者が本件著作物を完成させることを望んでいたとしても,亡Wが,その第三者が原告X4となることを知っていたわけではない以上,亡Wにおいて,原告X4と共同して本件著作物を創作する意思を有していたと認めることはできないというべきである。そうすると,本件著作物が,亡Wと原告X4とが共同して創作した共同著作物であると認めることはできない。しかし,上記のとおり,原告X4は,本件著作物について,少なくとも上記創作部分を新たに執筆しているから,その部分については本件著作物を翻案することにより創作した二次的著作物と認められるものである。したがって,原告X4は,少なくとも本件著作物について二次的著作物の著作者としての権利を有するものと認めるのが相当である。\n

◆判決本文

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平成21(ワ)26053 著作権侵害差止等請求事件 著作権 民事訴訟 平成24年12月26日 東京地方裁判所

 一部の仏画について、創作性あり(著作物あり)・翻案されたと認定されました。
 被告仏画2(14)は白黒画であり,構図は原告仏画2(14)とほぼ同一であって,菩薩の姿態,髪や宝冠,装飾品の形状,着衣の流れ,冠帯の流れや翻り方をみても,原告仏画2(14)におけるものとほぼ同一であると認められる。また,菩薩の表情については,眼や鼻にやや丸みが加えられているが,やや視線を下向きにした祈りの表\情という点では同一であるということができ,構図や細部における表\現が上記のとおり原告仏画2(14)とほぼ同一であることとも相俟って,原告仏画2(14)と同様に,柔らかな祈りの雰囲気が伝わってくるものと認められる。他方,被告仏画2(14)は,原告仏画2(14)に比べてやや線が太く,薄墨でぼかしたように着色がされ,胸や腕の飾りの一部,宝冠から肩にかかる飾りの一部が省略されていることにより,原告仏画2(14)に比べて素朴な印象が加えられているものということができ,このような点は,被告によって付加された創作的表現であると認められる。ウ したがって,被告仏画2(14)は,原告仏画2(14)の柔らかな祈りの雰囲気を伝える表現上の本質的特徴を直接感得させるものであるが,新たな創作的要素を加えた別の著作物に該当するものであり,原告仏画2(14)を複製したものとはいえず,これを翻案したものに当たる。
・・・
以上のとおりであって,被告仏画2(1)1),2(5)1),2(7),2(12),2(13)1),2(14)(以下,これらを併せて「被告侵害仏画」という。)は,それぞれ原告仏画2(1),2(5),2(7),2(12)ないし(14)を翻案したものに当たる。

◆判決本文

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