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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

第2要件(置換可能性)

平成23(ネ)10081 不当利得金返還請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年10月30日 知的財産高等裁判所

 控訴審でも、置換可能性なしとして、均等侵害否定されました。
 本件特許発明は,本件明細書に,『・・・MAUとMAUを接続したり,あるいは,DTEとDTEを接続する場合には,送信線を受信側に,受信線を送信側に付け替えたクロス接続のツイストペア線を使用して配線しなければならない。このため,使用するLAN機器の内容を熟知していないユーザーでは送信線と受信線の誤接続を行う可能性がある。』(段落【0002】),『本発明は上述のような点に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,送信線と受信線の接続が間違っている場合には自動的に信号線を切り替えることが可能\な送受信線切替器を提供することにある。』(段落【0003】)と記載されているとおり,LAN機器の種類や通信線の種別に熟知しない者が,誤接続を行ってしまうという従来技術の課題を解決し,接続される通信機器の種別や信号線の種別に関係なく常に正常な信号伝送が可能となるように,信号線の接続を行うことができるようにすることを目的としたものである。そして,本件特許発明は,上記のとおり,上記課題の解決手段として,リンクテストパルス検出手段の検出結果から切替器に接続されている信号線のいずれが送信線で,いずれが受信線かを判断した後に,物理的な配線である信号線を切り替えるものである。これに対し,被告製品は,MDI/MDI−X自動切替機能\により,ネットワーク機器との接続において,ストレート/クロスケーブルを自動判別するため,結線ミスによる配線トラブルを回避することができるものである。そして,被告製品は,上記のとおり,上記課題の解決手段として,MDIモード(ストレート結線)とMDI−Xモード(クロス結線)とをランダムな時間間隔で繰り返し遷移させた上,リンクテストパルスが検出された時点で,この遷移を停止させる構成としたものである。以上のとおり,被告製品は,リンクテストパルスを検出した時点で,必ず,ストレート結線とクロス結線の遷移を停止させるものであって,本件特許発明のように,リンクテストパルス検出後,信号線を物理的に切り替えることは,その構\成上予定されておらず,本件特許発明とは課題解決原理が異なる。したがって,本件特許発明における,リンクテストパルス検出手段の検出結果から送信線か受信線かを判断して,信号線を切り替える,信号線切替制御部との構\成を,被告製品の自動MDI/MDI−X構成に置き換えることには,置換可能\性はないものというべきである。

◆判決本文

◆1審判決はこちらです。平成22年(ワ)第3846号

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 >> 技術的範囲
 >> 均等
 >> 第2要件(置換可能性)

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平成24(ネ)10035 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年09月26日 知的財産高等裁判所

 文言侵害も均等侵害も否定されました。
 イ 第2要件
前記のとおり,本件発明1は,従来方法では,各視線上に位置するボクセル毎の色度及び不透明度を互いに積算する演算過程の高速化を図るために,一部のボクセルに関するデータを間引いて演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことに鑑みて発明されたものである。本件発明1は,二次元平面上の各平面座標点と視点とを結ぶ各視線上に位置する「全ての前記平面座標点毎の色度および不透明度を該視線毎に互いに積算する」ことにより,放射線医療診断システムにより断層撮影して得られた画像データ値に基づき,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表\現しつつ,相異なる生体組織を明確に区別することが可能な可視画像を生成し得る医療用可視画像の生成方法を提供することを目的とするものである。これに対し,被告方法においては,被告数式1の積算処理は,被告数式2で設定された閾値に達した時点で打ち切られるため,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表\現する観点からは,画質に対して悪い影響を与えるものである。被告方法による可視画像の生成は,本件発明1の方法によるほど生体組織を明確に区別するという作用効果を奏するものとはいえないものと解される。したがって,被告方法は,本件発明1の目的を達し,同一の作用効果を奏するとまではいえないものであるから,均等の第2要件を欠くものである。
ウ 第5要件
(ア) 前記(1)のとおり,本件明細書によれば,従来技術は一部のボクセルに関するデータを「間引いて」演算を行っていたため,可視化した画像において,生体組織間の微妙な色感や不透明感を表現することができなかったことから,上記課題を解決する手段として,本件発明1は,「全ての」前記平面座標点毎の前記色度及び前記不透明度を該視線毎に互いに積算し,当該積算値を当該各視線上の前記平面座標点に反映させることを特徴とするものである(【0006】〜【0008】)。仮に控訴人が主張するように,従来技術に係る「間引いて」の反対語が「間引かずに」ということであれば,出願人において特許請求の範囲に「間引かずに」と記載することが容易にできたにもかかわらず,本件発明1の特許請求の範囲には,あえてこれを「全て」と記載したものである。このように,明細書に他の構\成の候補が開示され,出願人においてその構成を記載することが容易にできたにもかかわらず,あえて特許請求の範囲に特定の構\成のみを記載した場合には,当該他の構成に均等論を適用することは,均等論の第5要件を欠くこととなり,許されないと解するべきである。\n

◆判決本文

 

◆一審はこちらです。平成21(ワ)17848

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 >> 第2要件(置換可能性)
 >> 第5要件(禁反言)

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平成23(ネ)10060 特許権侵害差止等反訴請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年06月28日 知的財産高等裁判所 

 控訴審で、均等侵害を追加しましたが、置換可能性、本質的要件を満たしていないとして、否定されました。
詳しい物件目録がついてます。
 そうすると,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「空所形成工程a,縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置換した場合,「先に掘削・排土した土壌とセメント等の固化材と水とをそれぞれ所定割合づつ投入して,それらの材料を該空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させ(る)」という本件発明2の作用効果は得られず,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにする」という本件発明2の目的は達成されることはない。
 これに対し,原告は,イ号方法について,i)実際には縦穴(12)は下部空所(13)に近い大きさとなり,空所の全面堀削による支持層の確認に限りなく近づく,ii)地層が同一施工場所で変化していたり,掘削した先に腐植土が現われた場合,地盤改良体の底面の全面を掘り下げないと有効に使える支持層を確認することはできず,本件発明2の空所(2)を堀削することと変わらなくなる,iii)縦穴(12)に掘削土を埋め戻すが,その土は,他の堀削土と共に撹拌され,固化材と水とで混練りされてスラリーとなるとして,実質的には本件発明2の作用効果と同一の作用効果を奏する旨主張する。しかし,原告の主張は,いずれも失当である。上記のとおり,イ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」は,上部空所(11)の下方に,支持層まで到達する溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して,支持層の確認を行い,掘削土は排土せずに埋め戻すのであるから,その溝あるいは縦穴(12)の大きさにかかわらず,イ号方法において,一旦排土した土壌とセメント等の固化材と水とを所定割合ずつ投入して,空所内で混合・撹拌して固化材・土壌混同スラリーを固化させるという作用効果は得ることはできず,掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにするとは考え難い。したがって,本件発明2の構成要件Aをイ号方法の「縦穴形成工程a1,埋め戻し工程a2」に置き換えることにより,本件発明2の目的を達することができるとはいえない。
 イ 異なる構成が本質的部分に存在するか否か本件発明2は,構\成要件A(「建造物の基礎を構築すべき位置の地盤の土壌を掘削・排土して所定開口面積で且つ所定深さの空所(2)を形成し,」)を採用することによって,「掘削した土壌と固化材とを均一に混合させることができるようにすることによって高強度で且つ信頼性の高い地盤改良を行うことができるようにすること」及び「従来のラップル工法に比して,掘削土壌量を少なくし,掘削土を埋戻し土として有効利用できるようにし,生コンクリート費用を不要にすること等によって全体の地盤改良コストを低下させること」との課題を解決するものであるから,イ号方法における「上部空所(11)にさらに支持層まで到達する所定深さの溝あるいは縦穴(12)を部分的に形成して支持層の確認を行」った上で,掘削土を排土せずに,当該「溝あるいは溝穴(12)を埋め戻」す工程との異なる構成部分は,その本質的部分に存在するというべきである。\n

◆判決本文

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 >> 第1要件(本質的要件)
 >> 第2要件(置換可能性)

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