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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

実施権

平成25(ネ)1136 意匠権侵害差止等請求控訴事件 意匠権 民事訴訟 平成25年10月10日 大阪高等裁判所

 意匠権侵害を認めなかった1審判決が維持されました。イ号および登録意匠などは1審判決中に示されています。
 したがって,その判断に当たっては,意匠に係る物品の性質,用途,使用態様等を参酌して,需要者の注意が惹き付けられる部分を要部として把握した上で,両意匠が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察し,全体として美感を共通にするか否かを判断すべきである。そして,意匠の要部の把握に当たっては,周知意匠のありふれた態様については,需要者の注意を惹かないことが一般であるし,意匠登録は出願前の公知意匠に類似する意匠には認められない(意匠法3条1項3号)のであるから,周知意匠や公知意匠を参酌すべきである。ただし,意匠の構\成中の一部に公知意匠の構成と同じものが含まれていても,その部分が登録意匠において需要者の注意を惹くこともあり得るところであるから,その部分が直ちに意匠の要部となり得ないと解すべきではない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成24年(ワ)第4224号大阪地裁平成25年3月7日

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平成25(ネ)10018 特許権侵害差止等請求権不存在確認等請求控訴 特許権 民事訴訟 平成25年08月28日 知的財産高等裁判所

 1審では、特許権侵害として取引先に告知した行為について、先使用権が認められました。その結果、虚偽の事実の流布として、不正競争行為として差止および損害賠償が認められました。2審では損害額が減額されました。
 控訴人らの前記信用毀損行為により被控訴人らが被った無形損害は,控訴人らの 信用毀損行為の態様,回数,内容に加えて,本件口紅は本件特許訂正発明の技術的 範囲に属するものの,被控訴人らに先使用権が発生する結果,本件特許権の侵害と ならないことなど本件における諸般の事情を総合考慮し,被控訴人ら各自につき1 00万円と認めるのが相当である。

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成23(ワ)7407

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平成23(ワ)7407 特許権侵害差止等請求権不存在確認等請求事件 特許権 民事訴訟 平成25年01月31日 大阪地方裁判所

 特許権侵害として取引先に告知した行為について、先使用権が認められました。その結果、虚偽の事実の流布として、不正競争行為として差止および損害賠償が認められました。
 以上のとおり,原告らは,本件特許発明につき,「特許出願に係る発明を知らないでその発明をした者から知得して,特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者」に当たるから,少なくとも本件容器の実施形式の範囲で先使用権を有するものである。したがって,原告らが本件口紅を販売等することは,被告P1の有する本件特許権の侵害にはあたらないというべきである。
・・・・
前記判断の基礎となる事実(第1の1(5))記載のとおり,被告P1は,原告らの取引先に書面を送付して,原告らによる本件口紅の販売等が被告P1の本件特許権を侵害する旨の事実を,それぞれ告げたものであり,被告atooは,これに沿う記事及び原告らと被告らの紛争の経過をそのウェブサイトに掲載したものである。しかし,前記のとおり,原告らによる本件口紅の販売等は,被告P1の本件特許権を侵害するものとは認められないのであるから,被告らの上記行為は,「競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し,又は流布」するものとして,不正競争防止法2条1項14号の定める不正競争行為(信用毀損行為)に該当するといえる。そして,上記書面の送付は被告P1の名によるもの,ウェブサイトへの掲載は被告atooによるものであるが,内容的に一体のものとして行われていること,前記第1の1(3)のとおり,原告らは「ロレアル」のブランドの下に一体で事業を行っていることを考慮すると,上記信用毀損行為は,被告らが共同して,原告ら各々に対し行ったものと認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成21(ワ)23445 特許権侵害差止請求事件 特許権 平成25年01月31日 東京地方裁判所

 独占的通常実施権設定後、第三者に通常実施権を設定したことは、独占的通常実施権者としての地位を脅かすものではないと判断しました。
 これに対し被告は,本件特許権1については,被告キシエンジニアリングが晃伸製機に通常実施権を設定し,平成17年3月25日付けでその旨の登録がされていることからすると,原告日環エンジニアリングが本件特許権1の独占的通常実施権者であるとはいえないし,また,晃伸製機が同年9月5日に本件発明1を改良した発明の特許出願をしていることからすると(乙58),晃伸製機は本件発明1を利用していることは明らかであるから,原告日環エンジニアリングが本件特許権1の実施について事実上独占しているということもできない旨主張する。確かに,証拠(甲1,10,55)及び弁論の全趣旨によれば,本件特許権1については,被告キシエンジニアリングが晃伸製機に通常実施権を設定し,平成17年3月25日に,晃伸製機を通常実施権者として,「範囲」を「地域日本国内,期間本契約の締結の日から本件特許権の存続期間満了まで 内容 全部」とし,「対価の額」を「無償」とする通常実施権の設定登録が経由されたことが認められる。一方で,前掲証拠によれば,原告キシエンジニアリングと原告日環エンジニアリングが平成15年7月18付け独占的通常実施権許諾契約書(甲8の1)を作成した当時の両原告の代表取締役社長であったBは,平成17年3月25日に晃伸製機に上記通常実施権の設定がされた当時も,引き続き原告日環エンジニアリングの代表\\取締役に在職し,上記通常実施権の設定及びその設定登録を了承していたことが認められる。そして,特許法77条4項は,専用実施権者は,特許権者の承諾を得た場合には,他人に通常実施権を許諾することができる旨規定しており,同規定は,専用実施権者が第三者に通常実施権を許諾した場合であっても専用実施権を有することに影響を及ぼすものではないことを前提としているものと解されるものであり,かかる規定の趣旨に鑑みれば,特許権者が独占的通常実施権を許諾した後に,その独占的通常実施権者の了承を得て,第三者に通常実施権を設定した場合には,通常実施権が設定されたからといって直ちに当該独占的通常実施権者の地位に影響を及ぼすものではないというべきである。
 また,本件においては,原告キシエンジニアリングが原告日環エンジニアリング及び晃伸製機以外の第三者に本件特許権1の実施権を許諾していることをうかがわせる証拠はなく,また,晃伸製機が本件特許権1の特許発明の実施品を現実に販売していることを認めるに足りる証拠もないことに照らすならば,晃伸製機に対する上記通常実施権の設定によって,原告日環エンジニアリングによる本件独占的通常実施権1に基づく本件特許権1の実施についての事実上の独占が損なわれたものということはできない。したがって,被告の上記主張は,採用することができない。
(イ) 以上のとおり,原告日環エンジニアリングは,本件特許権1について本件独占的通常実施権1を有するものである。ところで,独占的通常実施権者が当該独占的通常実施権に基づいて許諾を受けた特許権を独占的に実施し得る地位は法的保護に値する利益であるといえるから,故意又は過失により上記利益を侵害する行為は不法構成を構\\成し,独占的通常実施権者は,その侵害者に対し,自己が被った損害について不法行為に基づく損害賠償を求めることができるというべきである。そして,独占的通常実施権者は,登録によって公示がされていない点などで専用実施権者とは異なるが,その実施権に基づいて特許権を独占的に実施して利益を上げることができる点においては専用実施権者と実質的に異なるものではなく,損害については基本的に専用実施権者と同様の地位にあるということができるから,独占的通常実施権者については,特許法102条1項又は2項を類推適用することができると解するのが相当である。

◆判決本文

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