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発明届出書の書き方(ビジネスモデル発明)
How to Fill out Invention Disclosure Form
 

弁理士 古谷栄男
Hideo Furutani, Patent Attorney



1.はじめに


本稿で扱う「発明届出書」とは、発明者がその発明内容を記載して、知的財産を担当する部門に届け出るための社内的な書面をいいます。知的財産部門は、この「発明届出書」に基づいて発明を理解し、出願を行うか否かを決定します。また、弁理士は、この「発明届出書」をベースにして発明者と面談を行った後、発明概念を把握し、特許出願の準備を行います。

なお、ここでは、ビジネスモデル発明について届出書の書き方を説明しましたが、ソフトウエア関連発明についても、同様の考え方で書くことができます。ソフトウエア関連発明の届出書の書き方についても別途解説を行いましたが、ほとんど同じことを書いていますので、改めてそちらを読む必要はないかと思います。ただし、届出書の例は、異なっていますので、そちらは参考になるかも知れません。

ところで、ビジネス発明は、技術的な専門家でない人が発案することが多いようです。ところが、特許教育を十分に行っている企業でさえ、これら非技術分野の人に、発案を特許化するプロセスを明確に教育しているとは言い難いでしょう。多くの企業では、ビジネス特許の重要性と法的要件を解説し、届出書用紙を示して、発案した場合には届け出るようにアナウンスしています。しかし、発案者は、新規性・進歩性などの法的要件を理解したという事と、発案内容を届出書にまとめるという行為との、大きなギャップに悩まされることになります。

その結果、届出書が出されないという結果が生じている可能性があります。この問題を解決するために、発想を発明としてとらえ直し、その発明を届出書にまとめるというプロセスを、有能な発案者達にプラクティスとして自分のものにしてもらわなければなりません。なお、ブレインストーミングにてビジネスモデル発明を創造する手法については、「価値あるビジネス特許をいかに取得するか」(開発工学2000年度後期号、)に概要を掲載しましたので参照して下さい。

本稿では、着想を発明として認識できている(着想の発明化が済んでいる)ものとして、最後のアウトプットとして重要である発明届出書のサンプルと、その書き方に付いての解説を行います。

なお、一般に、届出書のスタイルとして、簡易発明届出書と正式な発明届出書があります。ここでは、正式な発明届出書の書き方について解説を行います。正式な発明届出書を書くことができれば、簡易発明届出書を書くことは容易です。

私は、まず、簡易発明届出書を知的財産部門に提出し、特許取得可能性があると知的財産部門が判断したものについて、正式な発明届出書を作成するという流れを踏むのが好ましいと考えております。しかし、企業によっては、正式な発明届出書だけを採用している場合もありますので、どのような届出書の出すべきかは、知的財産部門に確認下さい。

発明届出書の形式は各社異なっておりますが、本稿を理解いただければ、いずれの形式の届出書にも役に立つと思えます。



2.想定した発明


ここでは、次のようなビジネスモデル発明を発案したと仮定して、発明届出書のまとめ方を説明します。下記の発明は、特許庁のコンピュータソフトウエア関連発明の審査基準において示された事例(事例2-4:ポイントサービス方法)を参考にして作成したものです。

(発案の概要)
商店などで、購入した消費者にポイントを与え、そのポイントにより商品と引き換えることが行われている。しかし、このポイントは、購入した消費者にだけ与えられ、他人に与えられるものではなかった。今回の発案では、購入した消費者に対してだけでなく、その消費者が紹介した友人等に対してもポイントを与えるようにした。

このシステムをインターネット上で実現し、友人に対し、メールによって、ポイントの贈与を通知する。そのメールには、商品リストを添付し、現在のポイントにて引換可能な商品については、ポイント引換画面にリンクを貼るようにしている。

このシステムでは、ポイントを受けた友人が、商店の新たな顧客になる可能性がある。





3.書き始める前に


いきなり届出書に書き始めずに、発明内容を思考メモにまとめると良いでしょう。たとえば、次のような思考過程で発明内容を整理し、思考メモにまとめます。

(1)発明の効果を把握します

そのビジネス手法や仕組みが、どのような点において、メリットがあるのかを把握します。上記の例であれば、「消費者の人脈を利用して、新規顧客を開拓することができる」というメリットを見いだすことができます。この場合、従前の類似のやり方と比較し、従前の手法にはなかったメリットを見いだすことが必要です。従前に類似する手法がない場合には、類似するとまでは言えなくとも、最も近い手法と比較して、メリットを見いだします。

この効果(メリット)を正確に把握することが出発点です。効果の把握に思い違いがあると、届出書の作成中にそのことに気づき、再び、出発点に戻って、効果の把握からやり直さねばならない事態もあります。効果の把握にとらわれすぎるのも考えものですが、ある程度、この段階で、自分で納得のいく効果を見いだしておくべきです。

(2)効果をもたらした工夫を把握します

上記のようにして効果を把握したら、次に、どのような手法を採用したから、そのような効果がもたらされたのかを把握します。その手法こそが、発明の本質部分といえます。

上記の例でいえば、「消費者の人脈を利用して、新規顧客を開拓することができる」というメリットが得られるのは、「購入した消費者に対してだけでなく、消費者が紹介した友人に対してもポイントを与えるようにした」からだといえます。したがって、「購入した消費者に対してだけでなく、消費者が紹介した友人に対してもポイントを与えるようにした」点を、効果をもたらした工夫として認識できます。

ただし、この発明の本質部分(効果をもたらした工夫)と、発案者自身が権利を取得したいと考えた部分とが、ずれる場合もあります。その場合には、権利を取得したい部分(工夫・特徴)をあわせて書いておき、後日、知財担当者や弁理士と相談すべきでしょう。ビジネスモデル特許においては、このようなずれが比較的生じやすいので、注意が必要です。

(3)従来の手法・仕組みを把握する

これは、すでに、(1)の効果を考えるときに把握しているはずです。前述のように、効果は、従来の手法との相対的な関係によって把握できるものだからです。したがって、ここでは、従来の手法・仕組みを再確認します。

上記のケースでは、「インターネット上の商店が、購入者に対してポイントを与えるサービスがある」という従来手法があると認識できます。

(4)従来手法の問題点を把握します

上記のように従来手法を認識すれば、次に、この従来手法の問題点を把握します。これは、(1)の効果「消費者の人脈を利用して、新規顧客を開拓することができる」の裏返しであり、わざわざ、考えるまでもないのですが、再確認しておきます。上記のケースでは、「ポイントはリピータ獲得のために利用されているが、新規顧客開拓にはうまく利用されていなかった」ということになるでしょう。

(5)思考メモにまとめます

上記(1)〜(4)を把握したら、その内容を、メモ(思考メモ)にまとめます。参考のため、思考メモの例を下に示します。

思考メモ

(1)発明の効果
消費者の人脈を利用して、新規顧客を開拓することができる

(2)効果をもたらした工夫
購入した消費者に対してだけでなく、消費者が紹介した友人に対してもポイントを与えるようにした

(3)従来の手法・仕組み
インターネット上の商店が、購入者に対してポイントを与えるサービスがある

(4)従来手法の問題点
ポイントはリピータ獲得のために利用されているが、新規顧客開拓にはうまく利用されていなかった

※思考メモは、あくまでも、自分のための覚え書きであるから、自分さえ分かれば十分です。提出する必要はありません。


(6)図面を用意します

思考メモができたら、次に、図面を用意します。図面は、特許出願を行うために、極めて大事な情報源です。状況にもよりますが、必要な図面が揃っていれば、文章が無くとも、弁理士との口頭打ち合わせにより出願を行うことが可能です。

@従来手法・仕組みの図面
まず、従来の手法に関する図面を用意します。初めて、届出書を作成する人にとっては、どの程度の図面が必要であるかという判断が困難かと思います。思考メモにまとめた従来手法の問題点が理解できる程度に、従来手法を説明するための図面を用意すれば十分です。

上記のケースでは、「ポイントはリピータ獲得のために利用されているが、新規顧客開拓にはうまく利用されていなかった」という問題が理解できれば良いのですから、インターネット上で、購入者にポイントを与えるシステムを図として示せば十分でしょう。図0に、その例を示します。一般に、ビジネスモデル発明においては、従来手法の図面は、全体システムを示せば十分なことが多いでしょう。

なお、金融や保険のビジネスモデルなどにおいて、金融や保険などの仕組みそのものを示す必要がある場合も、同じように考えるとよいでしょう。このような場合も、従来の仕組みの問題点を示すのに十分な程度に、その内容を示します。

A発明手法・仕組みの図面
次に、発案した手法・仕組みが解るような図面を用意します。ここで用意する図面は、かなり重要であり、質的にも量的にも十分なものとなるよう配慮します。

思考メモに書いた効果をもたらした工夫が、インターネット上(またはコンピュータ上の)システムとして明確に理解できるような図面を用意します。この発明の本質は、「購入した消費者に対してだけでなく、消費者が紹介した友人に対してもポイントを与えるようにした」点にあり、インターネットでなくとも実現可能であり、その効果を得ることができます。しかしながら、日本では、インターネットやコンピュータを用いたシステムとしてでないと、特許を取得することはできません。インターネット上のシステムとして図面を書かねばならない理由は、ここにあります。なお、米国においては、インターネットを用いないビジネスモデルについて、特許を取得できる可能性があると多くの実務家が考えています。ただし、状況は流動的ですから、米国における権利取得の必要性がある場合には、知財部門の担当者や弁理士に相談されることをおすすめします。

発案者が、インターネットやコンピュータに詳しくない場合には、図面を用意できないという場合も考えられます。このような場合には、当該分野に詳しい人の助力が必要となる場合もあるでしょう。しかし、私見として、技術に詳しくないから図面がかけない、という認識は誤っていると思われます。処理の流れを論理的に追いかける力を持てば、多くのビジネス発明の図面は作成できる筈です。技術を知っていることは大きなアドバンテージですが、図面を書くために、全ての場合に技術知識が必須ではありません。したがって、システム設計者でない人も、スキルさえ積めば図面作成ができるはずです。自分自身の能力資産を強化するつもりで、トライしていただきたいと思います。

いずれにしても、次のような考察を行って、図面を用意します。

i)全体のシステム図を作成
これは、従来手法の図面と同じ考え方で作成すればよいでしょう。添付の発明届出書の図1にその例を示します。この図では、システムにおいて用いる装置を明確にすることが重要です。この発明の場合であれば、購入者である顧客のパソコン、商店のサーバ(コンピュータ)、友人のパソコンを図面に表す必要があります。なお、運用するシステムの予定があれば、そのシステム構成を書けばよいでしょう。また、全くのアイディア(このような場合の方が多いででょう)である場合には、想像で書くことになります。このような場合には、最も好ましいと思われるシステムの構成(仮に実施するとしたら、どのようなシステムにするかを考えた構成)を考えます。

その上で、図1に示すように、処理の流れを記入するとわかりやすくなります。この例では、図1の中に、@商品購入申込とポイントの贈与先指定、A贈与元・贈与先のポイント更新、Bポイント贈与の通知の大きな3つの流れを示しています。

なお、簡易発明届出書の場合には、この全体システム図だけでよく、図2以下の図面は不要です。

ii)このシステムを運用する場合の処理を大まかに区分します
次に、このシステムを運用する場合の処理を大まかに区分します。この発明の場合には、消費者のユーザ登録時、消費者の購入時(ポイント贈与時)の2つに区分すれば良いでしょう。この発明では、商品の発送先、クレジットカード番号、メールの送信先などを予め登録しておくため、ユーザ登録を行っています。

ユーザ登録は、この発明の本質とは関係ないので、消費者の購入時(ポイント贈与時)だけで十分に発明の本質を説明できると考えることもできます。しかし、この発明においては、ポイントの管理、メール送信先管理等の説明の前提として、ユーザ登録の処理を説明しておいた方が好ましいでしょう。

多くのビジネス発明では、1つの処理だけでなく、いくつかの処理に区分できることが多いでしょう。

iii)区分した各処理ごとに3点セット図面を用意します
上記のように区分できれば、区分した各処理ごとに3点セット図面を用意します。ここで、3点セットとは、「フローチャート」、「画面」、「データ」をいいます。常に、これらの図面が必要十分であるとは限りませんが、これら3点セットを用意すれば良いことが多いと思われます。

図2が、ユーザ登録の場合のフローチャートです。ユーザ登録の処理において、関係する装置(図1の顧客パソコン2(消費者)と販売サーバ4)について、そのフローチャートを示します。このフローチャートを見ても解るように、技術的に踏み込まなくとも、処理の内容を表現することができます。

図3、図4が、ユーザ登録の場合の、顧客パソコン2側に示される画面です。ここでは、メインメニューとユーザ登録画面を示しました。
なお、フローチャートがあれば画面はなくとも発明は理解できる、と考えることも可能です。しかし、i)画面によってより理解が容易になること、ii)画面を書いておくことにより、弁理士が画面についての権利取得の可能性を判断できること、などの理由から、画面を示す図面も用意すべきです。画面についての権利取得は容易ではありませんが、権利を取得できれば、侵害発見の容易性、侵害立証の容易性の面から、強力な権利となります。

図5に、ユーザ登録に関係したデータの例を示します。ユーザ登録を行った結果、販売サーバ4にどのようなデータとして登録されるのかを示しています。データについても、画面と同じような理由で、作成しておくべきです。なお、作成時に注意すべき事は、画面の入力例と、データ例とを対応させることです。添付の例では、図4のユーザ登録での入力内容が、図5のデータの最終行に現れています。

以上のようにして、ユーザ登録処理についての、3点セット(フローチャート、画面、データ)を用意します。続いて、同じようにして、購入時(ポイント贈与時)の処理について、3点セットを用意します。

ポイント贈与の場合には、顧客パソコン2、販売サーバ4、顧客パソコン6の3つの装置が処理に関係します。したがって、図6、図7のようなフローチャートになります。

購入時の画面としては、図8、図9のようなものを用意すればよいでしょう。さらに、ポイントが贈与されたことを、メールにて友人に知らせるのですから、そのメールの画面を示すことが必要です。その例を、図10に示します。

なお、この発明では、メール中に商品リストを示し、現在のポイントで引換可能な商品について、引換画面へのリンクを貼るという、付加的なアイディアもあります(最初に提示した発明の概要を参照)。したがって、これを説明するため、図10において、B社スプーンをリンク表示にし、引換画面を図12に示しています。

購入者および贈与先にポイントが与えられますので、そのポイントの管理をどのようにしているかを示す必要があります。これを示すのが、図11のユーザリストのデータです。図5のユーザリストと見比べることにより、購入者、贈与先のポイントがどのように変化したかが解るようになっています。

以上のようにして、図面の用意が整いました。おそらく、フローチャートの部分に多くの時間を要することになるでしょう。しかし、このフローチャートの作成時に、自分のアイディア内容を再確認できたり、付加的なアイディアを思いついたりすることも多いようです。



4.発明届出書を書きます


以上の用意ができた後、発明届出書を書き始めます。準備にずいぶん時間を費やしたようですが、上記の用意ができていれば、後は比較的簡単です。

届出書は、各企業によって異なっています。ここでは、添付した届出書にしたがって、書き方を説明します。各企業とも、発明届出書の項目は異なりますが、記入すべき本質は同じですから、参考になるでしょう。

なお、届出書の文章は、1文を短くし、1文に2以上の内容を盛り込まないように注意します。

(1)発明の名称を記入します

発明の名称に、あまりこだわる必要はありません。ここでは、「ポイント贈与サービス」としました。目的を明確にするため、「新規顧客開拓システム」としてもよいでしょう。

(2)発明の分野を記入します

どのような分野に関する発明であるかを記入します。金融に関するもの、オークションに関するものなどの大まかな分野を記入します。ここでは、「商品等の購入に対してポイントを与えるサービス」としました。技術の分野を記入することを求める企業もありますが、ビジネスモデル発明においては、ビジネスの分野を記入した方が意味があるでしょう。

(3)発明の効果を記入します

最初に作成した思考メモを見れば、容易に記入できるでしょう。

(4)効果をもたらした工夫を記入します

これも、思考メモを見れば、容易に記入できるでしょう。なお、企業によっては、この項目を「課題を解決するための手段」「特許を取りたいポイント」と表現していることもあります。

(5)従来の手法を記入します

ここでは、思考メモの「従来の手法」と「従来手法の問題点」の項目を参考にして、用意した図0を参照して説明します。要は、従来どの程度のものがあったのか、発明から見た場合に従来手法にはどのような問題があったのかを分かるように書けばよいのです。
なお、企業によっては、「従来の手法」と「従来手法の問題点」に項目を分けている場合もあります。

(6)発明の実施形態を書きます

この項目は、最も力を入れて書くべき箇所です。説明は、まずシステム全体を説明した後、区分した各処理(ユーザ登録、ポイント贈与)について説明します。

この例では、システムの全体と概要、ユーザ登録、購入時の処理(ポイント贈与)の順に説明していきます。なお、実施形態では、1つの例に沿って説明をします。すでに、そのシステムの概要設計などがある場合には、それに基づいて実施形態を決めればよいでしょう。ビジネスモデル発明においては、実施計画がない段階で届出書を書く場合も多いと思われます。このような場合には、最も好ましいと思われるシステムの形態(仮に実施するとしたら、どのようなシステムにするかを考えた形態)を考え、これに絞って説明をします。このように1つの形態にて説明をした後、次の項目(他の実施形態)にて他のバリエーションについて説明をします。

なお、この「発明の実施形態」の項目は、企業によっては、「実施例」と表現している場合もあります。

i)システム全体と概要を書きます
システム全体と概要については、図1を参照して、処理の概要を説明します。なお、図面の側に符号を付けておき、これを参照して説明すると、説明しやすくなります(たとえば、顧客パソコン2、販売サーバ4など)。なお、簡易発明届出書では、上記の(1)発明の名称、(2)発明の分野、(3)発明の効果、(4)効果をもたらした工夫、(5)従来の手法と、(6)発明の実施形態のうち(i)システム全体と概要だけで十分です。

ii)ユーザ登録の処理を書きます
区分した各処理については、フローチャートの順にしたがって、説明すると良いでしょう。したがって、ユーザ登録の処理については、図2のフローチャートのステップ順に説明します。どのステップを説明しているかを明瞭にするため、フローチャート中に、ステップを示す符号(S1、S2など)を付けておくと良いでしょう。また、各ステップの説明は、画面、データを参照しながら進めます。したがって、この場合、図3、図4の画面、図5のデータを参照して説明をします。具体例は、添付した発明考案届出書を参照して下さい。

iii)ポイント贈与の処理を書きます
ポイント贈与の処理についても、上記のユーザ登録と同じ要領で説明します。これも、具体例は、添付した発明考案届出書を参照して下さい。

(7)その他の実施形態を書く

上記のようにして1つの実施形態について説明がすめば、次に、いろいろなバリエーションを記入します。

ここでは、友人を紹介すれば、消費者にとってメリットが生じるような手法を付加して記入しています。

このような付加的な内容が、豊富に提示されれば、権利を取得できる可能性が高くなり、また、取得できた権利の実効性が高まります。したがって、この実施形態の項目は重要です。なお、添付例では、文章だけで表現していますが、図面を用いて説明してもよいでしょう。重要な付加内容であると判断された場合には、弁理士から追加資料として図面を要求されることもあるでしょう。



5.最後に


発明届出書は、一度書くまでが大変だといわれています。一度書いた経験があれば、次からは、比較的容易に書ける場合が多いようです。

なお、知的財産担当者の立場からすれば、良くできた内容の発明届出書を数多く出してもらうことを希望されるでしょう。しかし、ビジネスモデル発明の発案者が広範な部署にわたる点を考慮すれば、発明届出書の質をあまり高いレベルで求めることは、届出書が出されなくなるという、好ましくない結果を招くことになります。したがって、最初は、簡易発明届出書として、(1)発明の名称、(2)発明の分野、(3)発明の効果、(4)効果をもたらした工夫、(5)従来の手法、(6)発明の実施形態のうちの(i)システム全体だけ、およびシステム全体の図面(上記図1)を提出してもらい、出願をすると決定したものについてのみ、不足図面等を追加してもらうという方法を採用してもよいでしょう。簡易発明届出書ならば、図面を含めてもA4用紙で2枚に収まるので、発案者の負担も少なくなるでしょう。

発案者の方も、最初から完全な発明届出書を作成するという意識よりも、不完全な部分は、打ち合わせ等において指摘してもらい、後で補充するという意識で作成する方が、時間的な無駄が生じないと思われます。
以上



付録


発明届出書(正式)サンプル

発明届出書(簡易)サンプル



NOTES


この資料は、下記の著作権表示をしていただければ、複製して配布していただいて結構です(商業的用途を除く)。(C)2000 HIdeo FURIUTANI / furutani@furutani.co.jp


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furutani@furutani.co.jp

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