H15. 2.26 東京地裁 平成14(ワ)6241 特許権 民事訴訟事件

平成14年(ワ)第6241号 特許権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成14年11月7日
                         判         決
        原       告   日本水産株式会社
        同訴訟代理人弁護士   竹 田   稔
        同           川 田   篤
        同補佐人弁理士     須 藤 阿佐子
        同           小 栗 久 典
        被       告   株式会社ニチロ
        同訴訟代理人弁護士   三 宅 能 生
        同      山 崎 順 一
        同           新 井 由 紀

        同補佐人弁理士     大 津 洋 夫 
                         主         文
 1 原告の請求をいずれも棄却する。
 2 訴訟費用は原告の負担とする。
                         事 実 及 び 理 由
第1 請求
 1 被告は,別紙製品目録記載の塩味茹枝豆の冷凍品を輸入し,販売し,又は販売のための申出をしてはならない。
 2 被告は,第1項記載の塩味茹枝豆の冷凍品を廃棄せよ。
 3 被告は,原告に対し,7929万円及びこれに対する平成13年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
   本件は,原告が被告に対し,別紙製品目録記載の塩味茹枝豆の冷凍品(以下,併せて「被告製品」という。)を輸入,販売するなどの被告の行為が,原告の有する特許権を侵害するとして,上記行為の差止め及び損害賠償金の支払等を求めた事件である。 

 1 争いのない事実
  (1) 原告の有する特許権
      原告は,次の特許権(以下,「本件特許権」といい,その発明を「本件発明」という。)を有する。
     ア 発明の名称   塩味茹枝豆の冷凍品及びその包装品
     イ 出願日     平成5年5月20日
     ウ 登録日     平成10年9月25日
     エ 特許番号    第2829817号
     オ 特許請求の範囲 別紙「特許公報」写しの該当欄請求項1(以下,同公報掲載の明細書を「本件明細書」という。)を訂正した別紙「訂正明細書」の該当欄請求項1記載のとおり
  (2) 本件発明の構成要件
    本件発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。
     A 豆の薄皮に塩味が感じられ,かつ,
     B 豆の中心まで薄塩味が浸透している
     C 緑色の維持された

     D ソフト感のある
     E 塩味茹枝豆の冷凍品。
   (3) 被告の行為
     被告は,被告製品を,業として輸入し,販売している。
   (4) 被告製品の構成要件充足性
    被告製品は,本件発明の技術的範囲に属する。  
 2 争点
   (1) 本件特許権には,新規性の欠如,進歩性の欠如,訂正要件違反による,無効理由が存在することが明らかといえるか。
   (2) 損害額はいくらか。
 3 当事者の主張
  (1) 本件特許には新規性欠如による無効理由が存在するか(争点(1))。
  (被告の主張)
    乙4,5の刊行物に記載された製品(乙9の31の包装袋の内容物たる製品。以下「ノースイ製品」という。)は,以下のとおり,本件特許出願日前に日本国内で販売され,本件発明の構成要件のすべてを具備している。本件特許には,新規性を欠く無効理由があることが明らかであるから,原告の請求は権利濫用として許されない。

   ア 出願前公知又は公然実施
      株式会社ノースイ(以下「ノースイ」という)は,本件特許出願日(平成5年5月20日)の約2年前である平成3年以降,塩味茹枝豆の冷凍品(ノースイ製品,商品名「塩あじえだまめ」)を台湾より輸入し,国内において販売した。
     イ ノースイ製品の構成
    (ア) 構成要件A,Bに相当する構成
     a ノースイ製品は,従前のロング・ブランチング製法(熱水中で3,4分間加熱する製造方法)による冷凍茹枝豆が,解凍して喫食時に塩をかけて食する商品であったのに対し,解凍しただけでそのまま食べられるというだけでなく,豆に塩味をつけるための塩ふりを必要としない味付け済みの冷凍枝豆として開発,販売され,業界紙においてその旨の報道がされた。当時ノースイ製品が「塩あじえだまめ」という商品名で販売されていたことからすれば,ノースイ製品が,解凍後塩味を加えずに食することのできる商品であったことは明らかである。 そして,枝豆の豆(子葉)は,半楕円球体が中央で合わさる(楕円球状体が真中で2つに割れている)構造であることからすれば,枝豆に塩味を付ける処理をした場合,塩分が豆の中心まで浸透することは,必然的自然現象である(乙8)から,ノースイ製品は,「豆の薄皮に塩味が十分感じられ,かつ,豆の中心まで薄塩味が浸透している」との構成を具備する。

         b ノースイ製品は,枝豆の冷凍品に塩味をつける一方法として開発された「塩水の熱水ブランチャー又は塩水のスチームブランチャー」を用いた調理加工法であり,高圧スチームブランチャーを使用して,ブランチング時間4分,温度93〜95℃,食塩水濃度9%の条件でスチーム・ブランチングをするという方法(ニュー・ロング・ブランチング製法)により製造された(乙9の12,乙9の15の2)。ノースイ製品は,「豆の薄皮に塩味が十分感じられ,かつ,豆の中心まで薄塩味が浸透している」との構成を具備することは,上記製造条件に基づいて再現実験をし,製造した枝豆の塩分濃度を測定した結果(乙9の32,乙9の33の1)によっても,裏付けられる。
    (イ) 構成要件C,Dに相当する構成
      ノースイ製品がニュー・ロング・ブランチング枝豆であり,「解凍するだけで食べられる塩味枝豆」として市販された事実からすれば,ノースイ製品は,「緑色の維持された」(すなわち,加工後も,枝豆に固有の緑色が一般需用者が茹枝豆製品として受け入れる程度に維持された),及び「ソフト感のある」(すなわち,再加熱することなく食することができる適度な固さを有する)との各構成を備えていた。

       (ウ) ノースイ製品は,本件発明の構成要件AないしEを具備するから,本件発明と同一である。
   ウ したがって,本件発明は,特許出願前に日本国内において公然知られた,又は公然実施をされた発明であるから,特許法(以下「法」という。)29条1項1号又は2号に該当する無効理由のあることが明らかである。
  (原告の反論)
      ノースイ製品は,以下のとおり,本件発明の構成要件A及びBに相当する構成を具備していたとはいえない。
     ア ノースイ製品は,そもそも,その構成が明らかでない。
      (ア) 平成3年当時のノースイ製品は現存していないから,ノースイ製品の構成は不明である。
        平成3年当時のノースイ製品の開発過程の試作品又は完成品について,莢の中の豆に付されていた塩味の程度を示す官能検査又は塩分測定の結果を示す証拠は,提出されていない。また,平成3年当時のノースイ製品の包装袋(乙9の31)にも,塩分量は記載されていない。さらに,ノースイ製品の製品企画書(乙9の11)の塩分濃度の項にも,ブランチングの際の塩水の設定濃度は記載されているが,豆の塩味や塩分濃度についての規格は一切記載がない。

      (イ) 被告は,「製造工程図」(乙9の12)及び「枝豆の加工工程のこと」と題する文書(乙9の15の2)の記載に基づいて,ノースイ製品の製造条件が,「スチームブランチャーで,93〜95℃の9%食塩水で4分間ブランチング」であると主張し,これを前提とした再現したとする実験報告書(乙9の32)を提出している。
        しかし,上記各書証の記載だけでは,ノースイ製品の平成3年当時の具体的な製造方法及び条件の多くが不明である。また,実験報告書には,上記条件以外の詳細な条件をどのように設定したのか,全く記載されていない。したがって,上記実験では,平成3年当時のノースイ製品が,十分に再現されたとはいえず,その試験結果は信ぴょう性がない。
     イ 被告は,ノースイ製品は,「スチームブランチャーで,93〜95℃の9%食塩水で4分間ブランチング」という条件で製造されたものであり,ブランチングという1つの処理工程において,「緑色の維持されたソフト感」及び「豆の中心まで薄塩味が浸透している」という各構成を備えるに至ったものであると主張する。

       しかし,被告の主張する製造条件では,それに何らかの他の重要な方法又は条件を付加することなしに上記各構成を有する製品を製造することは,技術的にみて極めて困難である。そのことは,原告が,上記製造条件に基づいて実施した再現実験(甲7の7,9)の結果によっても確認されているし,被告自身も,自己が出願した特許の明細書(甲7の2)において認めているところである。
     ウ ノースイ製品の包装袋(乙9の31)には,「自然解凍でお使いいただくよう,商品化しておりますが,お急ぎの場合は,ザルに取り流水で1〜2分解凍し,水切りしてください。その際はお好みに応じて塩をふりかけてください。」と記載されており,流水解凍では塩をふりかけなければならないほど,塩味が顕著に低下することが示唆されている。このことからすれば,ノースイ製品は,少なくとも「豆の中心まで薄塩味が浸透している」という構成を備えていなかったことが推認される。

     エ 被告は,枝豆の構造上,豆(子葉)の双葉の間隙から豆の中心までは容易に塩味が浸透するとも主張する。しかし,被告は,そのような主張についての合理的な根拠を何ら示していないばかりか,これに反する見解を,被告の「鞘付の冷凍味付け枝豆及びその製造方法」に関する特許公報の明細書(甲7の2)において明確に述べている。
     オ 以上によれば,ノースイ製品が,本件発明の構成要件A,Bに相当する構成を備えているということはできず,本件発明に無効理由があることが明らかであるとはいえない。     
  (2) 本件特許には,進歩性欠如による無効理由が存在するか(争点(1))。
   (被告の主張)
    本件発明は,ノースイ製品,ノースイ製品に関する乙4,5,9の31,同35ないし37の各刊行物等の記載,「輸入商品の分類実務」の「味付えだ豆(冷凍)」に関する記載(乙6)及び特開昭54−117058号(「さや付枝豆の味付方法」に関する発明。乙10)の記載並びに枝豆に関する我国の一般常識に基づいて,当業者が容易に発明することができたものである。したがって,本件特許には,進歩性を欠く無効理由があることが明らかであるから,原告の請求は権利の濫用として許されない。

     ア 公知技術と本件発明の一致点
       ノースイ製品の国内販売以前にも,「自然解凍しただけで食することができる固さ」を持ち,「一般需要者が茹枝豆製品として受け入れる程度の緑色が維持され」た茹枝豆の冷凍品の構成は,ロング・ブランチング製法によって製造された枝豆製品により,我が国において公知,公用であった。
       さらに,このような枝豆に「塩味」が付いた製品は,ノースイ製品により公知,公用となっていたし,ノースイ製品発売以前においても,さや付枝豆にあらかじめ塩味を付けるという発想と方法は,「輸入商品の分類実務」の「味付け枝豆(冷凍)」に関する記載(乙6)及び特開昭54−117058号記載の「さや付枝豆の味付方法」(乙10)により,様々な方法が開示されており,公知,公用となっていた。

         以上のとおり,ノースイ製品又は上記公知,公用の方法を用いて製造できる塩味茹枝豆は,「A 豆の薄皮に塩味が感じられ,かつ,」「C 緑色の維持された」「D ソフト感のある」との構成において本件発明と一致する。
     イ 容易想到性
       本件発明の構成要件Bは,以下のとおり,ノースイ製品又は公知,公用の技術を用いて製造できる塩味茹枝豆に基づいて,当業者が容易に想到することができた。すなわち,
      (ア) 本件明細書においては,本件発明の実施例として,枝豆をブランチング処理前に約3時間(【0018】記載の実施例1)又はブランチング後に1分間(【0020】記載の実施例2)塩水浸漬処理するという方法のみが開示され,「豆の中心まで塩味を浸透させる」ための技術としては,枝豆を適宜の濃度の塩水に適宜の時間浸漬さえすればよいことが開示されているにすぎない。このことからも明らかなように,一般に,冷凍食品の塩味付けのため当該食材を塩水浸漬処理することは,公知の慣用技術にすぎず,枝豆を塩水浸透処理した場合,塩分が豆の中心部まで浸透することは,前述のとおり,枝豆の構造から必然的に生ずる自然現象である。

        本件発明の構成要件Bの「枝豆の豆の中心まで薄塩味が浸透していること」は,塩味をつけるためにする塩水浸透処理という慣用技術の採用により必然的に生ずる自然現象にすぎない。
      (イ) また,原告は,「豆の中心まで薄塩味が浸透している」という点を実現するための鍵は,「熱水中でのブランチング及びスチームブランチングの前又は後で塩水浸漬(浸透)処理をすること」であると主張し,「ブランチング」と「塩水浸漬処理」という組合せに進歩性があると主張する。
        しかし,冷凍枝豆の味付けの際に,ブランチング工程と塩水浸漬(浸透)処理とを組み合わせることは,「味付えだ豆(冷凍)」(乙6)記載の「味付えだ豆製造工程」の記載内容と全く同じである。すなわち,乙6記載の味付えだ豆製造工程は,しょう油,味りん,食塩,グルタミン酸ナトリウム,かつおエキス等で調整された調味液に48時間浸漬するというものであるが,同工程において,「調味液」を「食塩のみの液(食塩水)」とし,浸漬時間(特に時間を限定する趣旨とは解されない)と塩水濃度を所望の塩味となるよう適宜調節(本件発明において塩水濃度,浸漬時間は一切要件となっておらず,限定はない。)すれば,本件発明を実施できることになる。

        そうすると,公知のブランチング工程と公知の調味液浸漬処理工程を組み合わせて,当業者が本件発明を容易に想到し得たということができる。
      (ウ) したがって,本件発明は,本件特許出願当時,当業者が容易に発明できたものであって,本件特許には,法29条2項に該当する無効理由のあることが明らかである。
     (原告の反論)
      本件発明は,以下のとおり,被告の主張する公知技術に基づいて,当業者が容易に発明することができたとはいえない。
     ア 本件発明の技術的特徴
        本件発明の技術的特徴は,従来莢の上に塩をかけて食するものと考えられてきた茹で枝豆の莢の中の豆の中心にまで塩味を付けることにあり,その発明の効果は,それにより流水解凍をしても,薄塩味が落ちないことにある。さらには,従来の茹で枝豆にはない「うま味」を醸し出している。

        そして,茹で枝豆の莢の中の豆の中心まで薄塩味を浸透させる方法として,本件明細書では「熱水中でのブランチング及びスチームブランチングの前又は後で塩水浸漬(浸透)処理をする」という2工程の処理方法を開示しているのであり,これが,本件発明の特徴となる点である。被告が引用するノースイ製品は,漠然と莢に塩味を付けることを試みたものにすぎず,その実現方法としても,濃い食塩水でブランチングしたにすぎない。これに対し,本件発明は,原告が莢の中の豆の中心まで薄塩味を付けることに想い致り,試行錯誤を繰り返した結果,ブランチング工程と塩水浸漬処理工程とを区別することにより,ブランチング条件による制約を受けることなく,塩味を莢の中の豆の中心まで付与することを可能にしたものである。そして,原告により本件発明が開示されるまでは,茹枝豆の冷凍品において,誰もこのような製品に考え及んでいないのである。
        これに対し,被告は,冷凍食品の塩味付けのために当該食材を塩水浸漬処理することが常識であると主張するだけで,本件発明の出願前において,茹で枝豆の冷凍品に塩味をつけるために,ブランチング後に高濃度の食塩水に浸漬するという本件発明に類する方法を試みた例があったことを立証できていない。
        したがって,本件発明の進歩性欠如をいう被告の主張は理由がない。
     イ 各引用例について
       (ア) 「さや付枝豆の味付方法」(乙10)について
          本件発明の属する技術分野は,「色調と豆の固さ(食感)の兼ね合いで,必要最小限の加熱にとどめて茹で上げた,莢の外観が鮮やかな緑色をした,適度な固さで美味しい味覚の豆の茹で枝豆の冷凍品」である。
          これに対し,「さや付枝豆の味付方法」(特開昭54‐117058号。乙10)は,莢のなり口部分を切り取り,さらに「30分」にわたり「煮る」ものである。30分間も煮れば,莢はもはや新鮮な茹で枝豆の鮮やかな緑色を呈してはおらず,莢割れも生じ,ソフト感のある適度な食感も維持されてはいない(甲9)。しかも,この引用例は,単なる調理方法であり,冷凍品に関するものではなく,新鮮な茹で枝豆の風味と色調を冷凍品とすることにより維持するという課題もない。

          したがって,同引用例は,本件発明と技術分野を異にし,本件発明と対比するための引用例たり得ない。 
       (イ) 「味付えだ豆(冷凍)」(乙6)について
         「輸入商品の分類実務」記載の「味付えだ豆(冷凍)」(乙6)は,その詳細な構成は不明であるものの,48時間も調味料に漬け込み,真空包装をすることが必要とされていることから,おそらくは「漬物」というべきものであり,本件発明における「新鮮な茹で枝豆の莢の鮮やかな色調と風味を維持する」という技術的課題をおよそ前提としていない。このことは,「味付えだ豆(冷凍)」が,通関分類上,漬物等の「調製食料品」とされ,「冷凍茹枝豆」が「農産食料品」に分類されているのとは異なることからも容易に推測される。また,本件発明と「味付えだ豆(冷凍)」とを対比した場合,両者は塩味が付いているのか調味料の味が付いているのかの点で相違する。

         したがって,同引用例も,本件発明と技術分野を異にするものであり,本件発明の構成と「味付えだ豆(冷凍)」の構成との異同を論じる余地はなく,「味付えだ豆(冷凍)」は,本件発明の進歩性を判断するための引用例となり得ない。
       (ウ) ノースイ製品に関する公刊物等について
          被告は,ノースイ製品に関する新聞記事(乙4,乙5),ノースイ製品の包装袋(乙9の30及び31),ノースイ製品の国内への輸入に関する資料(乙9の35ないし37)をも引用している。しかし,上記引用例のうち,新聞記事及び包装は,いずれも,ノースイ製品の構成を明らかにしていない。ノースイ製品の構成が何ら明らかにされていない以上,これを本件発明と対比し,その一致点と相違点を摘出することすら不可能であるから,これらは,引用例としての適格性を欠いている。また,ノースイ製品の国内への輸入に関する資料は,進歩性の判断のための補充的な引用例としても,適格性を欠いている。

  (3) 訂正要件違反による無効理由の有無(争点(1))
  (被告の主張) 
    平成13年6月5日付け特許異議の決定において認められた本件特許請求項1に「緑色の維持された」という事項を付加する訂正は,新規事項を追加し,実質的に特許請求の範囲を変更するものであるから,その訂正は許されない。
    そうすると,原告の請求は権利濫用として許されない。
   (原告の反論)
      原告の上記訂正は,本件発明が,一般需要者が茹枝豆製品として受け入れる程度の緑を呈しているという公知の事実を単に記述したものにすぎず,新規事項を付加したものではない。
   (4) 損害額はいくらか(争点(2))。
     (原告の主張)
     被告は,平成12年1月1日から同年12月31日までの間に,少なくとも2643トンの被告製品を輸入し,販売した。塩味茹枝豆の冷凍品の利益額は,少なくとも1キログラム当たり30円である。

      したがって,被告は,上記期間内に,少なくとも7929万円の利益を得ており,原告は同額の損害を被っている。
     (被告の反論)
      争う。
第3 争点に対する判断
 1 進歩性欠如による無効理由の有無について                
   (1) ノースイ製品と本件発明の対比
    ア ノースイ製品の構成
        証拠(甲5の1及び2,6の1,7の8,乙4,5,9の1の1及び2,9の2の1及び2,9の3の1及び2,9の4,9の6ないし9,9の11ないし14,9の15の1ないし3,9の16,9の18ないし20,9の23,9の24,9の26ないし28,9の30,9の31,9の35の1及び2,9の36,9の37)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。
     (ア) ノースイ製品の販売等

      a ノースイは,平成元年ころから,台湾において,日星冷凍食品股?有限公司(以下「日星冷凍」という。)及び台湾三井物産有限公司と共に,解凍後湯通しをしなくてもそのまま食べられ,塩味を付した新しい茹枝豆の冷凍品の開発を始め,平成2年ころ,ニュー・ロング・ブランチング製法により,ノースイ製品を開発した。
            ノースイのニュー・ロング・ブランチング製法は,日星冷凍所有のスチーム・ブランチャーを用いるものである。スチーム・ブランチャーとは,入口側を低く,出口側を高くした円筒形の装置であり,円筒体内には,同軸にらせん状の回転式輸送羽根が設けられている。枝豆は,円筒体の低い方から円筒体内に投入され,まず,円筒体の低い側の底部に貯まった食塩水により熱水ブランチング処理され,次いで,らせん状の回転式輸送羽根により円筒体内を上方に輸送される過程で,加熱スチームの噴射によるスチーム・ブランチング処理がされる(甲6の1,甲7の8,乙9の1の1の写真1)。 

      b ノースイは,平成2年12月ころから,ノースイ製品の試験的な輸入を始め,平成3年度には,約300トンのノースイ製品を直接又は輸入代行の委託等の方法で輸入し,「塩あじえだまめ」という商品名で発売した。
         また,ノースイは,ノースイ製品の販売と同時に,ノースイ製品と同じニュー・ロング・ブランチング製法で製造した冷凍茹枝豆を,「塩ゆでえだまめ」という商品名で国内発売した(以下,ノースイ製品と併せて「ノースイ製品等」ということがある。)。
      c 平成3年8月12日付けの「冷凍食品新聞」には,「ノースイは・・『塩ゆでえだまめ』(500c),『塩あじえだまめ』(1`c)の2品を今秋から本格販売する。」「『塩ゆでえだまめ』は,もぎたての新鮮な枝豆を産地で厳選し,おいしさを逃さない新製法で加熱処理しており,流水で解凍するだけで食べられるのが特長。」「『塩あじえだまめ』は,新製法で加熱処理し,塩あじをつけているので,自然解凍するだけで利用できる。」との記事が掲載された(乙4)。また,同月13日付けの「冷食タイムズ」には,ノースイ製品及び「塩ゆでえだまめ」について,「ノースイは,解凍するだけで食べられる冷凍枝豆”ニュー・ロング・ブランチング枝豆”(台湾産)を今春からテスト販売している・・・従来のロングブランチング枝豆はサッと湯通しする必要があったが,スチーム・ブランチャーで完全調理しているため,解凍するだけ。味付け済みの”塩味”は自然解凍でそのまま,味付けしていない”ゆで枝豆”は流水解凍後に軽く塩をふりかけるだけ。」との記事が掲載された(乙5)。

        d ノースイ製品の平成3年5月6日当時の「塩あじえだまめ」の包装袋(乙9の31)には,「塩あじを付けてありますので自然解凍するだけでお使いいただけます。・・・お急ぎの場合は,ザルに取り流水で1〜2分解凍し,水切りしてください。その際は,お好みに応じて塩をふりかけて下さい」と記載され,また「塩ゆでえだまめ」の包装袋(乙9の30)には,「<1>凍ったままのえだまめをザルに入れ,流水で1〜2分解凍してください。<2>ザルごと水切りし,塩をふりかけてください。」と記載されていた。
     (イ) ノースイ製品等の製造方法に関連する文書
      a ノースイの社員であり,ノースイ製品等の開発担当者であったXが,平成3年4月25日付けで作成した「製造工程図」(乙9の12)には,ノースイ製品等の製造工程について,いずれも,鞘付き枝豆を,食塩水でのブランチング工程を経た後に,シャワー水及び(又は)水槽による一次冷却工程,チルド水をフローさせることによる二次冷却工程を経て,その後,搬送,選別等の工程を経た後に凍結させる旨が記載されている。

         b ノースイが,台湾におけるノースイ製品の開発を担当した台湾三井物産有限公司のY(台湾農水産業産業股?有限公司の董事長でもある。)から取得した情報に基づいて,平成3年5月20日付けで,税関に対して提出した「事前教示に関する照会書」(乙9の15の1)の照会貨物の製法等の記載欄には,「製法 『加工工程書』を添付しています,(9%の食塩水は塩味をつけるものです。)」「用途 『おつまみ』として解凍してそのまま食用に供す。」との記載が,同照会書添付の「枝豆の加工工程のこと」と題する書面(乙9の15の2)には,「塩あじえだまめ」(ノースイ製品)のブランチング条件は,「93℃〜95℃の9%の食塩水で4分ブランチング」である旨,また,「塩ゆでえだまめ」のブランチング条件は,「93℃〜95℃の2%の食塩水で4分ブランチング」である旨が,それぞれ記載されている。なお,ブランチング時間とは,スチーム・ブランチャーによる枝豆の処理時間,すなわち熱水ブランチング処理とスチーム・ブランチング処理に要した時間の合計を意味する。
      c ノースイが,平成3年4月1日付けで作成したノースイ製品及び「塩ゆでえだまめ」についての「冷凍野菜規格書」(乙9の11)には,「食感」の欄に「解凍するとそのまま喫食できるよう加熱したもの」,「塩分濃度」の欄に「塩ゆで 2% 塩あじ 9%」と,それぞれ記載されている。
      d Yが,平成3年4月12日,ノースイの担当常務に対して,送付したファックス文書(乙9の14)には,新商品として宣伝する際のノースイ製品の特徴に関して,「枝豆の一大改革 冷凍枝豆の実践品が出来ました。」「特長 @解凍するだけですぐ食べられます。誰にも出来る流水或は自然解凍にて手間を掛けずいかなる所でもすぐおいしく食べられます。A解凍後長時間変色しません。誰がいつ見ても鮮やかな色で解凍後10時間色が変わりません。B食感が完璧です。誰にも好まれる特定のやわらかさで,枝豆の甘味が生きて食べ始めたら止められない。」という点を強調する旨の提案内容が記載されている。

         e ノースイの加工食品部社員であるZが,平成3年5月10日付けで作成した「台湾出張報告書」(乙9の37)には,「ロングブランチングは当社が開発した差別化商品であるが,最近では,他社の追随が有りロングブランチングがレギュラー化している為,更に付加価値を高めたニューロングブランチング(塩ゆでスチームブランチング),ニューロングブランチングスペシャル(塩味つきスチームブランチング)の開発を行ない,価格競争に巻き込まれない製品を作り上げた。」,「この商品の特徴は,ゆでる手間を省いた自然解凍して食べられる塩味つき枝豆です。」,「製造方法の特徴は,加圧式スチームブランチャーを使用している為枝豆自体が持っている旨味を逃さない製造方法をとっています。」と記載されている。
    イ 上記認定した事実を基礎にして,ノースイ製品と本件発明を対比する。

     (ア) 一致する点
          ノースイ製品が,@塩味が付された「塩あじ」枝豆として開発され,その旨報道されていたこと,Aそのブランチング工程においては9%食塩水が用いられており,これはレギュラー・ブランチング製品(0.2から0.5%食塩水でブランチングした従来製品。甲9の1の2)や「塩ゆでえだまめ」のブランチングの食塩濃度と比べて格段に高い濃度であること,Bノースイ製品と同時期に発売された「塩ゆでえだまめ」の包装袋には,喫食前に塩をふりかけるよう指示が記載されているのに対して,ノースイ製品の包装袋には,塩味を付けてあるため自然解凍するだけで使える旨記載されていること,Cノースイ製品は「塩あじえだまめ」の商品名で,平成3年度だけで約300トン製造,販売されているが,その間消費者からその味付けに関して苦情等の問題が生じた形跡は窺われないこと等の事実経緯に照らすならば,ノースイ製品は,単に莢の表面に塩水が付着していただけではなく,莢の内部にまで塩が浸透して,食した際に塩味が感じられる製品であり,構成要件Aを備えていたものと認められる。

          また,ノースイ製品の開発経緯,平成3年当時に作成された各文書の記載内容,ノースイ製品に関する報道,包装袋の記載内容,ノースイ製品の輸入量によれば,ノースイ製品は,構成要件C,Dを備えていたものと認められる。
          以上のとおり,ノースイ製品と本件発明は,構成要件A,C,Dにおいて一致する。
       (イ) 一致するとまでは認められない点
          他方,ノースイ製品は,以下のとおり,構成要件Bを備えていたとまでは認められない。すなわち,
       a 「実験報告書」(乙9の32)には,株式会社ニチレイが,台湾の日星冷凍のスチーム・ブランチャーを用いて,平成3年当時のノースイ製品の製造条件(94℃,9%の食塩水で,4分間ブランチング)どおりの条件で製造した冷凍茹枝豆を分析したとする結果,また,「試験報告書」(乙9の33の1)には,財団法人日本食品分析センターが同実験により製造された冷凍茹枝豆を分析した結果,がそれぞれ記載され,これらによれば,再現実験により得られた冷凍茹枝豆は,構成要件Bを備えているとの結論が示されている。

       b しかし,上記認定のとおり,平成3年当時のノースイ製品の製造方法の詳細については,上記ア(イ)b認定の文書記載の製造条件が示されるいる点を除いて,ブランチングの各処理の時間配分,ノースイ製品製造当時のブランチャーの詳しい構造,回転数等は明らかではない。また,ノースイ製品の開発に関わったノースイ社員Xの陳述書(乙9の4)には,「新製品・冷凍塩味茹枝豆『New L/B』又は『N.L.B』は,解凍後,そのままで,緑色を維持しながら,塩味が感じられるソフト感のある製品とするために,スチームブランチャーによる処理条件を微妙に調整する必要がありました。具体的には,・・・熱水の温度,塩分濃度及び滞留時間等の調整,加熱加圧スチームの温度(圧力),噴射量,滞留時間等の調整について微妙な工夫が必要でした。」との記載があること,また,原告が提出する実験報告書(甲7の7)によっても,熱水ブランチング及びスチーム・ブランチングの時間配分に応じて,豆に浸透する塩分濃度に差異が生じていることからすれば,熱水ブランチングとスチーム・ブランチングの時間配分やスチームの温度(圧力),噴射量等は,「豆の中心まで塩分が浸透している」との構成を備えるか否かという点に影響を及ぼす条件であると認められる。
         c そうすると,平成3年当時のノースイ製品の製造工程のうち,このような条件が明らかでない以上,上記再現実験が,当時のノースイ製品の製造方法を再現した実験であるということはできず,「実験報告書」及び「試験報告書」記載の試験結果をもって,ノースイ製品が「豆の中心まで薄塩味が浸透している」という構成を備えていたとまでは認めることができない。
   (2) 容易想到性の有無
    ア 事実認定
       (ア) 甲8(陳述書)の「実験結果」には,「9%の食塩水に枝豆を投入し,その後93℃から95℃の間に維持されるように火力を調節しながら,4分間枝豆を茹でた(すなわち,熱水ブランチングをする。)場合には,豆の中心部の塩分濃度が,0.21%±0.05となる」ことが記載され,同濃度は後記のとおり枝豆における塩味の閾値と近接した値である。また,甲9(報告書)には,長時間茹でると色調がくすむ(緑色の程度が低くなる)が,短時間茹でた場合には,色調が維持されることが記載されている。

       (イ) 乙6(平成2年8月20日発行の「輸入商品の分類実務」)には,「味付えだ豆(冷凍)」の表題の下に,「(商品説明)」として,「本品は,さや付きのえだ豆をブランチングした後,さや付きのまま調味料に漬け込み(48時間),豆そのものに調味液を浸透させた上,冷凍したものである。調味液は,しょう油,味りん,食塩,グルタミン酸ナトリウム,かつおエキス等で調整されたものである。」との記載があり,「(参考)味付きえだ豆製造工程」として,原料を,「水洗」,「ブランチング」,「冷却・水切」,「調味液漬込み」,「水洗」,「袋詰真空包装」,「冷凍・出荷」の順に処理する工程が図示されている。
          これによれば,本件発明の出願当時,さや付き枝豆の豆そのものに調味液を浸透させる方法として,ブランチング後,調味液に漬け込むことは周知の技術であったと認められる。

    (ウ) 乙8(被告による「短時間塩水浸漬試験」の実験結果)によれば,枝豆を2分間熱水ブランチング処理した後,20%冷塩水に約15秒間浸漬し,これを−30℃で冷凍,自然解凍(室温で1時間放置)した場合,豆中心の食塩含量は0.27%であったこと,甲9(大阪府立大学農学生命科学研究科青果品質保全学研究室教授Wの実験結果)によれば,枝豆500gを100℃の熱湯1.25lに投入して再沸騰後1.5分茹で,次いで100秒間蒸煮(スチーム)し,流水冷却をした後,20%塩水に75秒間かきまぜながら浸漬した場合,豆の中心部における塩分濃度は0.804%であること,これらの塩分濃度は,いずれも,人間が枝豆において塩味が感じられる閾値(塩味が識別できるか否かの境目となる最小の刺激の数値で,一定の条件で多数の人が味わったときに半数の人が塩味を感じる濃度)として示されている塩分濃度約0.2ないし0.25%(甲7の6)又は0.23ないし0.32%(乙9の32資料5,資料A)を超えているか,ほぼ近いことが認められる。上記事実に照らすと,乙6のように,枝豆をブランチングした後に高濃度の味付液に浸漬した場合には,ブランチング条件(熱水及びスチーム・ブランチング処理か,熱水ブランチングのみか,またその時間割合)に関わりなく,豆の中心部にまで薄い塩味が浸透するものと認定することができる。
    イ 容易想到性に関する判断
        上記認定した事実を基に,容易想到性の有無を判断する。
        ノースイ製品と本件発明とを対比すると,両者は,「豆の薄皮に塩味が感じられ,緑色の維持され,ソフト感のある,塩味茹枝豆の冷凍品」であるという構成において共通し,ただ,ノースイ製品は,塩味の程度に関して「豆の中心まで薄塩味が浸透している」という構成を充足しているか確認できないという点が相違する。
       (ア) しかし,そもそも,スチーム・ブランチャーを用いて「豆の薄皮に塩味が感じられる」という構成を有している枝豆(ノースイ製品)に基づいて,さらに,「豆の中心まで薄塩味を浸透」させた枝豆に想い到ることは,塩味の浸透の程度の差にすぎないのであるから,さして困難を伴うものではないというべきである。また,ブランチングをする際の食塩水における塩分濃度,加熱時間,加熱温度等を適宜調整し,組み合わせることによって,緑色を維持しながらもそのような構成を達成できることは,格別の証拠の検討をするまでもなく,健全な社会通念ないし経験則上明らであるということができるから,本件発明出願当時の当業者にとって容易であったものといえる。

         のみならず,上記の証拠,すなわち甲8,9によれば,塩分濃度が9%の食塩水で,4分間,茹でさえすれば,豆の中心部まで相当程度に塩分が達し,しかも,鞘の緑色は維持されていることが認められる。この事実に照らすならば,ブランチングの際の塩分濃度を高くしたり,加熱時間を長くしたり,加熱温度を高めたりすれば,緑色を維持しながらも「豆の中心まで薄塩味が浸透している」という構成を容易に達成することができたことは,証拠上も認めることができる。
       (イ) また,乙6には,調味液の説明として,「しょう油,味りん,食塩,グルタミン酸ナトリウム,かつおエキス等で調整」する旨の記載がある。上記記載に照らすならば,ブランチング後に他の成分を加えない純粋の食塩水に浸漬させて,豆に塩味を浸透させるということは,当業者にとって容易に想到できる事項であると解され,この点を考慮すれば,塩味の浸透の程度をどのようにするかについては,塩水濃度や浸漬時間等,浸漬する際の条件を適宜調整することができるのであるから,ノースイ製品のようにブランチングをした枝豆に,このような周知の技術を適用して「豆の中心まで薄塩味を浸透」させることは,当業者が容易に想到することができたものと解することもできる。なお,この点について,原告は,乙6の技術分野は「漬物」に関するものであり,乙6は,本件発明における「新鮮な茹で枝豆の莢の鮮やかな色調と風味を維持する」という技術的課題をおよそ前提としておらず,本件発明とは技術的分野が異なるから,引用例たり得ないと主張する。しかし,乙6は,ブランチングした枝豆を,食塩を含む調味液に漬けた後に冷凍することにより,味付冷凍枝豆を製造する方法に関する記載であり,本件発明とは,「ブランチングをした味付け済みの冷凍茹枝豆」に関する発明であるという点で差異がなく,同一の技術分野に属するものということができる。この点の原告の主張は理由がない。
     ウ 以上によれば,本件発明は,本件出願前に日本国内において公然知られ,また,公然実施をされた発明であるノースイ製品及び周知慣用手段に基づいて,当業者が容易に発明することができたものであるということができる。
   (3) したがって,本件発明は,法29条2項により,特許を受けることができないものであり,本件特許は,法29条2項に違反してされたものであることが明らかであるから,本件請求は,権利の濫用に当たるものとして許されない。
 2 結論
    以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がない。よって,主文のとおり判決する。

       東京地方裁判所民事第29部
   
                 裁判長裁判官     飯 村 敏 明
                                     
                    裁判官     今 井 弘 晃
                                     
                    裁判官     大 寄 麻 代




(別紙)
                             製 品 目 録
 1 商品名
  (1)(a)「すぐ食べられるえだ豆 うす塩味」
    (b)「すぐ食べられるえだ豆 塩味つき」
    (c)「すぐ食べられるえだまめ うす塩味つき」
  (2)「塩ゆでえだまめ」
  (3)「塩ゆでえだまめ 茶まめ」
  (4)「塩ゆでえだまめ 黒まめ」
2 上記1の被告製品の構成
  枝豆(未完熟の大豆)の莢の内部の豆(子葉)の薄皮に塩味が感じられ、豆(子葉) の中心まで、すなわち豆(子葉)全体に薄い塩味が惨みとおっており、豆(子葉)全 体を食すると、薄い塩味が感じられ、枝豆の莢が緑色を呈しており、豆(子葉)が ソフト感(自然解凍又は流水解凍後に再加熱することなく食することができる程度

 の固さ)を持つ塩味茄枝豆の冷凍品