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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

コンピュータ関連発明

平成24(行ケ)10053 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年12月25日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について記載要件違反とした審決が維持されました。
 上記記載によれば,本願発明1の構成2において,「伝送ネットワークに,当該移動無線機器においてデータに対するメモリスペースを使用できないことを指示」することの主体は,移動無線機器であり,当該移動無線機器は,伝送ネットワークの記憶手段に中間記憶されたプッシュサービスデータの量を知り,それにより「当該移動無線機器においてデータに対するメモリスペースを使用できないこと」を検知し,このことを伝送ネットワークのネットワークコンピュータに指示するものと解される。しかし,本願明細書の発明の詳細な説明には,移動無線機器が,伝送ネットワークの記憶手段に中間記憶されたプッシュサービスデータの量を知り,「当該移動無線機器においてデータに対するメモリスペースを使用できないこと」を検知するための構\成及び方法について何ら具体的な記載はない。また,当該技術分野の技術常識を参酌しても,移動無線機器が,伝送ネットワークの記憶手段に中間記憶されたプッシュサービスデータの量を知り,「当該移動無線機器においてデータに対するメモリスペースを使用できないこと」を検知するための構成及び方法が,本願明細書の発明の詳細な説明の記載から当業者に自明な事項であるとも認められない。そうすると,本願明細書の発明の詳細な説明には,「伝送ネットワークに,当該移動無線機器においてデータに対するメモリスペースを使用できないことを指示」することについて,当業者が実施することができる程度に明確かつ十\分に記載されているとは認められない。したがって,本願明細書の発明の詳細な説明の記載は,本願発明1の構成2について,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十\分に記載したものであるとは認められない。

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平成23(ワ)3572 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年11月30日 東京地方裁判所

 コンピュータ関連発明の侵害事件について、「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねる形態まで、特許の効力が及ぶか、公知技術から無効かが争われました。裁判所は、明細書を参酌して、「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねる形態までは及ばないと判断しました。
 本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)の文言と本件明細書1の「発明な詳細の説明」の前記(ア)の記載事項(図面を含む。)を総合すれば,本件明細書1には,1)従来,インターネットなどの通信回線網を介して提供される複数の番組を表形式に配列した番組表\には,各番組の詳細な内容を確認したり,希望する番組を録画予約したりできるものがあるが,このような番組表\の提供を受けた利用者が,番組表中からどのような番組を選んで視聴又は録画を行ったのかを知ることができなかったため,この種の番組表\を利用した視聴や録画がどの程度行われているのかを知りたいという要望があったこと(前記(ア)b,c),2)本件発明1−1は,この要望に応えることを課題とし,番組表を利用して視聴率及び録画率を調査することができる技術を提供することを目的とするものであり,この課題を解決するための手段として,「利用者側」から「調査者側」に送信されるデータに基づいて,「調査者側」で現在放送中の番組に対応する視聴指標及び録画予\約指標を算出し,上記視聴指標及び録画予約指標を「利用者側」に送信し,「利用者側」に表\示される番組表上の番組に対応づけられて上記視聴指標及び録画予\約指標が表示されるようにするために,「調査者側」の「サーバ」において,上記データ(視聴状況情報及び録画予\約状況情報)の受信手段,上記視聴指標及び録画予約指標の算出手段及び送信手段の各手段を備える構\成を採用し(前記(ア)c,d),これにより「調査者側」においては番組の正確な視聴率及び録画率を調査することができ,「利用者側」においては利用者が番組表上で番組の視聴率及び録画率を簡単にチェックすることができるという作用効果を奏するようにしたこと(前記(ア)j,k,n,p)が開示されているものと認められる。上記認定の本件発明1 − 1 の目的及び作用効果に照らすならば,「調査者側」が行う視聴指標及び録画予約指標の調査についてはその中立性ないし客観性を確保することは当然の要請であって,かかる観点からみると,「調査者側」が自ら行う調査の調査対象となることは不合理であるから,本件発明1−1においては,「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねること,あるいは「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」を兼ねることは,想定されていないものと認められる。また,本件明細書1記載の実施例は,前記(ア)lないしpのとおり,「調査者側装置10」と「利用者側端末」とは,別個独立の装置構成として記載されている。もっとも,本件明細書1には,「調査者側装置10」が「複数のコンピュータシステムで構\成されていてもよい。」(段落【0070】。前記(ア)q)との記載があるが,上記記載を段落【0070】の他の記載箇所と併せて読むと,上記記載は,「本実施形態」では「調査者側装置10が1のコンピュータシステムによって構成されたもの」を例示したことを指摘した上で,「調査者側装置10」が,「1のコンピュータシステム」ではなく,「複数のコンピュータシステム」によって構\成し得ることを説明したものであり,それ以上に,「調査者側装置」が「利用者側端末」をも含めて構成し得ることまで述べたものと解することはできない。さらに,本件明細書1を全体としてみても,「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」の機能\の全部又は一部を兼ねることができることの記載や示唆はない。
ウ 本件発明1−1の「サーバ」の意義
(ア) 本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)の記載(前記ア)を基礎に,本件明細書1の記載事項(前記イ)を考慮すると,本件発明1−1の「サーバ」(構成要件1−1F)は,「利用者装置」(構\成要件1−1A)とは別個独立の装置であって,「利用者装置」が「サーバ」の機能の全部又は一部を兼ねるものとして「サーバ」に含まれることはないものと解するのが相当である。(イ) これに対し原告は,1)「サーバ」とは,一般的に「ネットワーク上で他のコンピューターやソフト,すなわちクライアントにサービスを提供するコンピューター。」を意味するものであり,本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)は,本件発明1−1の「サーバ」の装置構\成について限定を付していないこと(以下「根拠1)」という。),2)本件明細書1の【0028】,【0029】,【0070】及び図1によれば,「調査者側装置10」及び「利用者側端末20」は,いずれも「インターネットに接続される周知のコンピュータシステム」であって,特に構成を異にするものではなく,「調査者側装置10」を複数のコンピュータシステムで構\成する場合,その一つのコンピュータシステムが,「利用者側端末20」と同様の周知のコンピュータシステムで構成されてもよいことが読み取れるから,本件発明1−1の「サーバ」は,「利用者装置」とは別異の構\成要素としての「調査者側」の構成要素である必要はないこと(以下「根拠2)」という。),3)本件原出願の出願時において,同一の機能又は異なる機能\を有する複数のコンピュータが協働してサービスを提供することは周知であり,「サーバ」の文言は,利用者側の端末を含み,複数のコンピュータからなる場合を含むものとして理解され,使われていたこと(甲34ないし43)(以下「根拠3)」という。)を総合すれば,本件発明1−1の「サーバ」は,「利用者装置」とは別異の構成要素でなければならないと限定解釈すべき理由はなく,この「サーバ」の機能\の一部を「利用者装置」が担ってもよいと解すべきである旨主張する。しかしながら,原告の上記主張は,以下のとおり理由がない。
a 根拠1)及び2)について
 前記アで述べたとおり,本件発明1−1の特許請求の範囲(請求項1)の文言上,「サーバ」と「利用者装置」とは,本件発明1−1の構成要素として別個のものであることは明らかであり,一方で,請求項1には,「利用者装置」が「サーバ」の機能\の全部又は一部を兼ねることができることを規定した記載やこれをうかがわせる記載はない。次に,前記イ(イ)で述べたとおり,本件発明1−1の目的及び作用効果に照らすならば,視聴指標及び録画予約指標の調査の中立性ないし客観性の確保の観点からみて,「調査者側」が自ら行う調査の調査対象となることは不合理であり,本件発明1−1においては,「調査者側」の「サーバ」が「利用者側」の「利用者装置」を兼ねること,あるいは「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」を兼ねることは,想定されていないものと認められる。また,原告が指摘する本件明細書1の段落【0070】における「調査者側装置10」が「複数のコンピュータシステムで構\成されていてもよい。」との記載は,「調査者側装置」が「利用者側端末」をも含めて構成し得ることを記載したものではなく,本件明細書1を全体としてみても,「利用者側」の「利用者装置」が「調査者側」の「サーバ」の機能\の全部又は一部を兼ねることができることの記載や示唆はない。以上によれば,原告が主張する根拠1)及び2)の点は,本件発明1−1の「サーバ」の機能の一部を「利用者装置」が担ってもよいと解すべきことの根拠となるものではない。b 根拠3)について原告は,根拠3)に係る具体的な裏付けとして,1)特開平10−207945号公報(甲34)の【図2】,特開平10−247177号公報(甲35)の【図1】には,「サーバ」の文言は,ネットワーク上の複数のコンピュータから構成されるものも含むことが開示されていること,2)「情報システムテクニカルガイド 分散システムのための」(1995年6月30日発行)(甲36)の「(それに対して,ピア・ツー・ピア・モデルではどのプロセスでも相互作用を開始することができる)サーバは,他のサーバに要求を発行することでクライアントになることもありえる。…クライアントとサーバは,…同一のマシンで走ることもあれば,別々のマシンで走ることもある。」(282頁)との記載,特開平10−161777号公報(甲37)の段落【0001】,特開平10−154030号公報(甲38)の段落【0010】,【0014】,特開平9−138810号公報(甲39)の段落【0231】,特開平9−51398号公報(甲40)の段落【0028】,特開平9−73410号公報(甲41)の段落【0003】には,「サーバ」の文言は,利用者側端末と機能を兼ねるコンピュータにも使われることが開示されていること,3)特開平9−91220号公報(甲42)の段落【0004】ないし【0006】,特開平10−149270号公報(甲43)の段落【0012】,【0017】には,サーバ機能とクライアント機能\を兼ねる利用者側コンピュータを「サーバ」と呼ぶことが開示されていることを指摘する。しかしながら,原告主張の上記1)ないし3)に係る開示事項(甲34ないし43)は,「サーバ」の文言が,サーバ機能とクライアント機能\を兼ねるコンピュータ(端末)に使用されていることを示すものにすぎず,サービスを提供する側が管理するサーバコンピュータの機能の一部をサービスの提供を受けるユーザー側が管理する端末に持たせることで,ユーザー側に対するサービスの提供を可能\とする構成を開示したものではない。したがって,原告主張の上記1)ないし3)に係る開示事項(甲34ないし43)は,根拠3)の裏付けとなるものではなく,結局,根拠3)は,本件発明1−1の「サーバ」の機能の一部を「利用者装置」が担ってもよいと解すべきことの根拠となるものではない。\n

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平成24(行ケ)10167 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年10月31日 知的財産高等裁判所

 パチスロ機について、独立特許要件違反として訂正を認めなかった無効審決の取消訴訟です。知財高裁は、審判の判断を維持しました。
 原告は,丙1は,ビッグボーナスなるはボーナス当選した場合に遊技効果ランプを点灯開始させるものであるが,遊技効果ランプ点灯の有無を効果音の発生の有無に代えたとしても,効果音は1種類であって,音の種類により内部的当選の種類を知らせることは示唆されていないから,甲28発明に丙1の記載事項を適用する動機付けはなく,適用したとしても相違点4に係る構成にはならないと主張する。しかし,報知すべき役の種類が多ければ,それに応じて複数の効果音を用意すればよいことは,当業者にとって自明である。よって,丙1における遊技効果ランプ点灯の有無を効果音に代えた場合に,効果音が1種類となるとしても,そのこと自体は,甲28発明に丙1の記載事項を適用することを阻害するものとは認められない。原告は,丙1には,遊技効果ランプを点灯開始させることでビッグボーナスあるいはボーナス当選を報知し,リーチ音の発生によりビッグボーナスゲーム当選を報知することに何らかの技術的意義がある旨の記載はなく,甲28発明に適用する動機付けがないと主張する。しかし,遊技効果ランプを点灯開始させることでビッグボーナスあるいはボーナス当選を報知し,リーチ音の発生によりビッグボーナスゲーム当選を報知するということの技術的意義が,遊技効果ランプとリーチ音との組み合わせによる1つの入賞態様の特定にあることは,丙1にその旨の明記がなくとも,丙1に接した当業者であれば当然に理解できる。よって,丙1にその旨が明記されているか否かは,甲28発明に丙1の記載事項を適用することの動機付けの有無を左右するものではない。原告は,訂正発明9では,各列の可変表\示が順に停止して徐々に連動表示態様が判明していき,最後の列の可変表\示が停止して連動表示態様が確定することにより,入賞態様を報知するものであるが,甲28発明は,最初のリールが停止した時に入賞態様を報知するものであり,丙1は,2番目のリールが停止してリーチ状態になったときに報知するものであるから,甲28発明に丙1の記載事項を適用しても,相違点4に係る構\成とはならないと主張する。確かに原告が主張するように,甲28発明に丙1の記載事項を適用しても,訂正発明9のような「各列の可変表示が順に停止して徐々に連動表\示態様が判明していき,最後の列の可変表示が停止して連動表\示態様が確定する」という態様には至らない。しかし,可変表示開始時における報知の種類と,その後の,可変表\示停止時における報知の種類との組合せによって,1つの入賞態様であることが報知されることが容易想到である以上,可変表示停止時における報知をどのような態様で行なうかということに格別の困難性は認められない。可変報知時における報知として,各列の可変表\示の停止と連動した連動表示を採用することによって,連動表\示態様が徐々に判明するという作用効果があるとしても,それ自体は,予測可能\なものにすぎず特別顕著なものではない。

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平成24(行ケ)10083 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年10月10日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 引用例2(特開2000−224328号,甲11)によれば,引用発明2は,携帯電話機と一体をなす読取装置により,食品メニュー等に表示されたバーコードを読み取り(段落【0006】,【0007】,【0010】),バーコードに含まれるサーバーやデータベースのアドレスを送信すると(段落【0013】,【0015】),サーバーから携帯電話機に対して食品に含まれるエネルギー量などのデータが返信され,液晶パネルに表\示される(段落【0022】)装置であると認められる。また,引用発明2のサーバーは,商品たる食品の情報を管理し,これを携帯電話機に返信するためのものであるから,補正発明の「商品管理者」に相当するものと認められる。そして,引用発明1及び2は,いずれもバーコード読取装置と双方向の通信機能を備えた携帯端末を使用し,この携帯端末により物品等に表\示されたバーコードに含まれる情報を読み取り,双方向通信機能を利用して,他の装置との間でデータの送受信を行うシステムである点で共通しており,そのような基本的なシステムを前提として,読取り・送受信の対象たるデータの内容等の個々の構\成要素について,これらの発明の組合せにより変更することは,当業者が必要に応じて定める設計上の変更にすぎないというべきである。したがって,引用発明1に引用発明2を組み合わせ,商品管理者のアドレス等の情報を読み取って,情報の送信先とし,商品管理者から送信(返信)される情報を液晶画面に表示するという構\成とし,相違点eに係る補正発明の構成とすることは,当業者であれば容易になし得るといえる。さらに,双方向通信回線としてインターネット回線を使用することについても,文献を挙げるまでもない技術常識であるから,これを上記の構\成に適用して,PHS通信方式によるデータの送受信をインターネット回線を介した送受信に変更し,これに伴い,情報の送信先である商品管理者のアドレスをインターネット情報とすること,すなわち,相違点b,cに係る補正発明の構成とすることも,当業者が容易になし得たことである。
・・・・
原告は,審決が相違点dの判断に際して挙げた甲22公報(特開2000−222520号)について,インターネットを介して取得した画像を表示する点の開示がないと主張し,また,補正発明の構\成要素を一体として判断すべきである旨主張する。しかしながら,相違点dの構成が容易想到であることは,上記(3)イのとおりである。また,各相違点に係る補正発明の構成は,周知文献を挙げるまでもない程度の周知技術,技術常識であるか,設計上の変更にすぎないものであるから,審決が,相違点dと,相違点b,c,eの容易想到性をそれぞれに判断したことに誤りはない。\n

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平成23(ワ)27941 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年08月31日 東京地方裁判所

 アップルVSサムソンの特許侵害訴訟です。裁判所は、「ファイルサイズ」は,本件発明における「メディア情報」には該当しないとして、技術的範囲に属しない、すなわち、特許権侵害なしと判断しました。損害賠償のみで、差止請求はついてなかったんですね。
 上記記載によれば,本件発明は,従前のデータファイル等の一般的なファイルについて用いられていたファイル名や更新日などの情報の比較によるシンクロ方法には,シンクロが必要か否かの判定についての信頼性に課題があり,また,その処理が遅く非効率であったことから,特にメディアファイルについて,そのような課題を克服し,効率的でインテリジェントなシンクロを実現するために,上記のような一般的なファイルに備わるファイル情報ではなく,タイトル名,アーチスト名などの属性,あるいは,ビットレート,サンプルレート,総時間などの品質上の特徴という「メディア情報」に着目し,そのような「メディア情報」の比較に基づいて,メディアアイテムをシンクロする方法を採用した発明である,と認めることができる。
・・・・
 原告は,本件発明の「メディア情報」には,当然に「ファイルサイズ」が含まれるから,被告方法は構成要件G1及びG2を充足すると主張する。しかし,前記(1)ウのとおり,本件発明における「メディア情報」は,音楽,映像,画像等のメディアアイテムに特有の情報を意味すると解すべきところ,証拠〈略〉によれば,楽曲ファイル,ワードファイル及びエクセルファイルにおいて,「ファイルサイズ」は,ファイル名や更新日時といった項目と同列に扱われている一方,楽曲ファイルにおいては,「ファイルサイズ」はアーチスト,アルバムのタイトル,トラック番号,ジャンル,タイトル,長さ,ビットレート,オーディオサンプルレートといった楽曲に特有の情報項目とは区別された項目として分類されていることが認められるから,「ファイルサイズ」は,ファイル名やファイル更新日と同様に,ワードファイルやエクセルファイルなどの通常のファイルに一般的に備わるものであって,音楽ファイル等のメディアアイテムに特有の情報とはいえないというべきである。したがって,「ファイルサイズ」は,本件発明における「メディア情報」に該当しないと認めるのが相当である。

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平成23(行ケ)10302 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年07月26日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 すなわち,i)引用文献1には,主に手動で行うことを主眼としているものの,「これらのうちいくつかはワクチンソフトウェアに実装され,自動化されている。」との説明がされており,同説明部分は,自動化がされていることを前提とした記述であると解され,また,ii)引用文献1には,「モニタリング法」について,「メモリ常駐型ワクチン」であり,「プログラムのファンクションコールやAPIの呼出しを監視する」と説明がされており,同説明部分も,自動でリアルタイムの監視を行う場合を前提とする記述であると解され,さらに,iii)引用文献1には,「動的ヒューリスティック法」について,「モニタリング法に静的ヒューリスティック法を応用したもので,実行中のプログラムの危険性をより正確に判定する」と説明がされており,同説明部分も,モニタリング法が「実行中のプログラムの危険性」を判定する自動でリアルタイムでの監視であることを前提とする記述であると解される。そうすると,引用文献1の「モニタリング法」は実行中のプログラムを自動でリアルタイムに監視するものと解されることになり,原告の主張は採用できない。
(イ) 「ウィルスの発病」について原告は,「実行形式のファイルプログラム」と「マクロをもちうる文書ファイル」を同一視して一致点と認定した点には誤りがあると主張する。しかし,原告のこの点の主張も採用できない。確かに,引用文献1は,前記1(3)記載のとおり,「実行形式のファイルプログラム」と「マクロをもちうる文書ファイル」とを区別し,それぞれのコンピュータウィルスにより,感染や増殖の機能や機構\\が異なる趣旨の記載がある。しかし,感染や増殖の機能や機構\\において異なるコンピュータウィルスが存在する旨の記述は存在するが,引用文献1の「3.対策」の項では,「実行形式のファイルプログラム」と「マクロをもちうる文書ファイル」を区別して論じていない。異なるコンピュータウィルスのいずれであっても,プログラム又はマクロの実行前にはメモリ上にロードすることが必須であり,ロードに際してファイルI/Oを伴うことに関して相違はない。そうすると,両者について格別の区別をせずに一致点とした審決の認定に誤りはなく,原告の主張は採用できない。
(ウ) 「ファイルI/Oをフックすること」について 原告は,引用文献1の「OSの機能をフックする」との記載から「ファイルI/Oをフックする」と認定することは,誤りであると主張する。しかし,原告のこの点の主張も,以下のとおり採用できない。すなわち,一般に,「OSの機能\」は多数の機能を有するが(甲14,17),これらの「OSの機能\」の中に「ファイルI/O」を含むことは,自明であると解される。そして,プログラムファイルを実行するためには,通常,OSが当該プログラムファイルをメモリ上にロードすることが必要であり,ロードするに際して,当該プログラムファイルのI/Oを伴うことは当業者にとっては自明である。この点は,引用文献1に「PC内に侵入したウィルスは,そのプログラムコードが実行されるまでは何もすることができない。」,「COMやEXEなどの実行形式のプログラムに感染するウィルスの場合は,ユーザによって,もしくはOS(Operating System)やその他のプログラムによって起動されるのを待っている。」,「アプリケーションソフトウェアのデータファイル(文書)のマクロ部分に感染するウィルス(マクロウィルス)の場合は,そのマクロを含む文書が開かれるのを待っている。」と記載されていることからも,明らかである(これはシフトキーを押しながら文書をオープンする際も変わらない。)。そして,モニタリング法が「プログラムの実行前に」プログラムのファンクションコールやAPIの呼出を監視するとされていることからすれば,引用文献1でいう「OSの機能\をフックする」との記載は,OSの機能のうちプログラムの実行前に行われる機能\をフックすることを含む趣旨と理解するのが自然であり,上記の当業者に自明の事項を前提とすると,「OSの機能」には「ファイルI/O」が含まれることが自明であるといえる。以上のとおり,引用文献1の「OSの機能\をフックする」との記載に接した当業者は,「ファイルI/Oをフックする」ことを含むとものと理解するから,「OSの機能をフックする」との記載を「ファイルI/Oをフックする」ことを含むものとした審決の一致点の認定に誤りはない。\n

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平成24(行ケ)10001 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年07月11日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、発明の成立性なしとした審決が維持されました。
請求項1は、
 母音「イ」のローマ字表記を“i”と“y”の二字とし,カ行・ダ行・ラ行は,母音と組み合わせる子音を複数化する。ヤ行・ワ行はヤ行のイ段をのぞく全段において,y・wを母音の前に残し,外来語を考慮した「関連音表記」を持つローマ字表\。
です。
 特許法29条1項柱書は,「産業上利用することができる発明をした者は,次に掲げる発明を除き,その発明について特許を受けることができる」と定め,その前提となる「発明」について同法2条1項が,「この法律で『発明』とは,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と定めている。そして,ゲームやスポーツ,語呂合わせといった人間が創作した一定の体系の下での人為的取決め,数学上の公式,経済上の原則に当たるとき,あるいはこれらのみを利用しているときは,自然法則(law of nature)を利用しているとはいえず,「発明」には該当しないと解される。かかる見地から本件出願に係る請求項1〜3をみるに,そこに記載の事項は,いずれも,人為的な取決めないしは人間の精神活動のみに基づく取決めであって,自然法則を利用しているとはいえず,特許法2条1項,29条1項柱書にいう「発明」には該当せず,特許を受けることはできない。3 なお,原告は,本件出願に係る事項は,単語性という統合理念によって要請された取決めであり,人為的取決めではないなどと主張するが,本願請求項,明細書及び図面に記載の事項は,「仮名文字表記」と「ローマ字表\\記」という人間が創作した一定の体系の下で人間が定めた取決めないしルール(人為的取決め)にすぎないことに変わりはない。原告の上記主張は採用することができない。

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平成24(行ケ)10096 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年07月11日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、発明の成立性なしとした審決が維持されました。
請求項は、 【請求項1】
入札による一定条件下での選抜と任意抽選または条件付の抽選による土木・建築工事業者(以下,業者という)の選定方法に関するもの。
です。
 特許法における発明とは,「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」(2条1項)ところ,ここにいう「自然法則を利用した」とは,単なる精神活動,数学上の公式,経済上の原則,人為的な取決めにとどまるものは特許法上の発明に該当しないものとしたものである。請求項1に記載の事項は,入札において一定条件による選抜と抽選を用いて業者を選定することをその構成とするものであって,全体として,人為的取決めに当たることは明らかである。原告は,確率論に基づく抽選が自然法則の利用に当たる旨主張するが,人為的取決めの中に数学上の法則によって説明可能\な部分が含まれているというにすぎず,上記事項が人為的取決めに当たるとする前記判断を左右するものではない。請求項2以下についても,原告が準備書面で主張するところをもってしても,上記判断を超えて,これら請求項記載の事項が人為的取決めではなく自然法則を利用したものに該当するとの判断に至ることはできない。このように,特許請求の範囲に記載の事項は,全体として人為的取決めであり,自然法則を利用したものということはできず,特許法にいう「発明」には該当しないのであって,審決の判断に誤りはない。

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平成23(行ケ)10228 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年06月13日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、引用文献に認定誤りを理由に、進歩性なしとした審決が取り消されました。
 すなわち,上記(2)で検討したとおり,引用発明2において,音声出力手段による文章の読み上げが進む間,ディスプレイ手段の画面には,データ入力可能位置指標によって読み上げ位置が示されるだけで,データ入力可能\位置を指示するカーソルが別に表\示されるとは認められず,また,文章中の表記の誤りが検知され,操作者による停止指示があった時は,文章の読み上げが停止されるとともに,上記データ入力可能\位置指標は,少し戻されて停止され,その位置がデータ入力可能位置として示されるだけで,音声出力手段による文章の読み上げ位置を示すカーソ\ルが別に表示されるとは認められない。そうすると,引用発明2において,「入力可能\位置指標」は,「文書読み上げにおいて,読み上げ位置を指示し(本願発明の「音声カーソル」に相当する。)」ているとしても,文書読み上げにおいて,データ入力可能\位置を指示しているとは認められず,また,「両者は読み上げ中は同じ位置で連動させる連動手段を有し」,「停止指示がなされると所定の距離だけ離間して両カーソルが位置する」とも認められないから,審決における引用発明2の上記の認定には,誤りがある。そして,引用刊行物2の技術と同様,引用発明2は,単一のカーソ\ルを備え,このカーソルの機能\を,本願発明における「音声カーソル」としての機能\と「テキストカーソル」としての機能\とに選択的に切り替えるものである。
5 相違点に係る構成の容易想到性の判断について
 上記2で検討したとおり,引用発明1において,音響的に再生されている言語の強調表示(本願発明の「音声カーソ\ル」に相当。)とは別に,表示画面上の検出誤りがある言語にカーソ\ルが配置及び表示され,この言語を操作者が訂正できるとは認められず,また,引用発明1は「音声カーソ\ルと同じ位置で連動するテキストカーソル,あるいはテキストカーソ\ルと同じ位置で連動する音声カーソルを有して」いるとも認められない。そして,上記3及び4で検討したとおり,引用刊行物2の技術及び引用発明2は,いずれも,単一のカーソ\ルを備えるものであるから,テキストの編集に際してテキストカーソルを表\示することが本件優先日における周知技術であるとしても,音響的に再生されている言語の強調表示とは別に,表\示画面上の検出誤りがある言語にカーソルが配置及び表\示されない引用発明1と,単一のカーソルを備え,このカーソ\ルの機能を,本願発明における「音声カーソ\ル」としての機能と「テキストカーソ\ル」としての機能とに選択的に切り替える,引用刊行物2の技術及び引用発明2とからは,「表\示手段に表示される前記認識テキスト情報の誤ったワードにテキストカーソ\ルを配置及び表示し,ユーザにより入力された編集情報に従って前記誤ったワードを編集する」ようにし,「前記テキストカーソ\ルと前記音声カーソルとを同じ位置又は所定の距離だけ離間した位置に配置するため,前記表\示されたテキストカーソルを前記表\示された音声カーソルに,あるいは前記表\示された音声カーソルを前記表\示されたテキストカーソルに連動させる」本願発明の構\成とすることを,当業者が容易に想到し得たとは認められない。

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平成23(行ケ)10412 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年05月24日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。代理人無しの本人出願です。
 原告は,本願発明は,・・・との3つの技術が同時に働き,カタカナ英語を適切に処理することができるのに対し,引用例には,かかる技術が記載も示唆もされていない,また,本願発明は,カタカナ英語の濫用の抑制,カタカナ英語の使用方法の統一,日本人の平均的な英語のレベル向上との効果を奏するものであって,本願発明と引用発明では奏する効果も異なる,と主張する。しかし,本願発明に係る特許請求の範囲の記載は,前記第2の2記載のとおりであり,原告が主張する本願発明に係る上記技術事項及び効果は,特許請求の範囲の記載に基づかない主張であって,失当である。  

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平成23(行ケ)10229 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年03月28日 知的財産高等裁判所 

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。出願人はインターネット上でナビゲーションサービスを行っている会社です。
 原告は,引用例には「経路外れ地点に進入するリンクに対しては,コストを変更しないコスト変更手段」という特徴に到達するためにしたはずである示唆等が存在しないし,退出リンクを避けた経路は,利用者にとって避けたいルートであり,エリアとは「一定の領域」を意味するから,単なる経路にすぎない「退出リンク」を利用者にとって避けたいエリアと主張するのは,引用例で示唆されていない概念を不当に拡張するものであると主張する。しかしながら,引用例に「退出リンク」のみを逸脱リンクとして記憶する態様が記載されており,本件補正発明と引用発明が「経路外れ地点に進入するリンクに対しては,コストを変更しないコスト変更手段」において一致するとした点に誤りはない。引用例においては,ノードとリンクからなる経路を算出するものである以上,「エリア」が一定の領域の意味であるとしても「ノード」と「リンク」とによって表現されたものであるし,引用例に利用者が渋滞等が生じている経路を避けたい場合が記載されていないということはできず(【0003】【0022】),「利用者が避けたいエリア」は,渋滞等が生じている経路であるリンクを中心としたエリアを含むものである。イ 原告は,本件審決の一致点の認定が正しいとしても,本来の退出リンク(リンクID:n3)のリンクコストのみが高く設定され進入リンク(リンクID:n1)のリンクコストが変更されないとすると,進入リンク,ノード,リンク(リンクID:n2)に至る経路が探索され得ることになり,利用者にとって避けたいエリアに進入する経路が算出され,引用例に記載された発明の課題が解決されないこととなるから,上記発明から本件補正発明を容易に想到することはできないと主張する。しかしながら,引用例の記載によれば,「利用者が避けたいエリア」には,リンクとなる渋滞が生じている経路を中心としたエリアが含まれており,これを利用者が避けたい利用者に対してこの経路を避けることは,「利用者の事情を考慮した最適な目的地経路の算出」(【0005】)という引用発明の目的に合致する。よって,退出リンクのみを記憶する態様が引用例に記載された課題及び目的に反するものであるということはできないし,このことを根拠として本件補正発明が引用発明から容易に想到できないということもできない。

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平成23(行ケ)10265 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年04月09日 知的財産高等裁判所

 相違点4,5に係る構成に想到することは容易でなかったとして、進歩性違反無しとした審決が維持されました。
 本件明細書の段落・・・」との記載があり,他の実施形態についても同趣旨の記載がある。そうすると,本件発明2にいう「収集条件」とは,単に車両の「特定挙動」に関わるいかなる情報(データ)を収集・記録するかについての条件を意味するというべきであり,データレコーダの利用者(運転者)においてこの条件を任意に変更することができ,条件に係る数値(閾値)が記録媒体に記録される。他方,甲第1号証中の段落【0018】には,「表3はメモリカード3に記憶されるデータを示す表\である。・・・また,データ収集時における指示を予め設定しておくことによってサンプリング周期等を所望の値に容易に変更することができる。」と記載されており,表\3では,入力できるデータ項目として,「サンプリング周期」のほかに「データ選択指示」(サンプリングデータの要否選択データ)が掲げられている。そうすると,甲第1号証発明2にいう「データ収集時における指示」とは,車両の挙動に関わるデータ(交通事故発生時のデータを含む。)を収集・記録するのに先立って,データ収集装置の利用者が,データ収集・記録の周期(頻度)やいかなるデータを収集・記録するかにつき,設定・変更すること(指示)を意味するというべきである。そして,前記のとおり,本件発明1にいう「特定挙動に関わる情報」も甲第1号証発明1にいう「運行状態データ」も,例えば角速度のような車両の挙動ないし客観的状況を示すデータを主として指すもので,相違点1は実質的なものではないから,本件発明2にいう「収集条件」も甲第1号証発明2にいう「データ収集時における指示」も,車両の挙動ないし客観的状況を示すデータ(情報)を収集・記録するかについての条件である点において異なるものではない。そうすると,相違点3は実質的なものでないか,甲第1号証において,乗務員の車両運航を管理する固定局において「データ収集時における指示」を入力することが予定されており(甲1の段落【0017】),複数ないし多数の車両につき同一の条件で一括して「指示」をすることに繋がりやすいことを考慮しても,当業者において甲第1号証発明2に基づいて容易に解消できる程度のものにすぎない。(2) 前記のとおり,本件発明1においては交通事故の発生が必ずしも前提とされていないが,甲第1号証発明1のドライブレコーダとしての機能は,交通事故の発生を前提としており,記録媒体のデータを運転者の交通事故に繋がり得る操作(運転)の傾向を把握するために利用することは,甲第1号証中で記載されていないところ,かかる事情は本件発明2においても異なるものではない。そうすると,相違点4,5は実質的なものであり,また本件優先日当時,当業者において,甲第1号証発明2に甲第2号証に記載された発明を適用することは困難で,甲第3号証に記載された発明を適用しても,相違点4,5に係る構\成に想到することは容易でなかったというべきである。したがって,相違点3に係る構成は容易想到であるが,相違点4,5に係る構\成は容易想到でないから,本件発明2の進歩性を肯定した審決の判断に誤りはない。

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平成21(ワ)17848 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成24年03月26日 東京地方裁判所

 医療用画像解析ソフトに関して、技術的範囲外と認定されました。
 前記(2)ア(ア)ないし(ウ)のとおり,被告方法において,被告ソフトウェアは上記数式1及び2によりボリュームレンダリング処理を実行するものであるところ,上記ア(ア)の数式1の「V」は視線上の各ボクセルのCT値を,αは不透明度関数を,cは色関数を表すものであり,数式1は,視線上のボクセルにつき設定された色及びオパシティ値につき積算処理を行うものと認められるから,上記ア(ア)の数式1を用いて行う処理は,本件発明1の「空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算」するものに相当する。(イ) しかし,前記ア(イ)のとおり,被告方法においては,数式1の積算処理に関し,数式2による閾値の設定がされており,数式1の積算処理は,数式2で設定された閾値に達した時点で打ち切られるものと認められるところ,被告方法においては,上記計算打ち切り処理により,視線上のボクセルデータ中に,積算処理の対象とされないものが存在することが認められる。そうすると,被告方法は,「全ての」空間座標点毎の前記色度および前記不透明度を該視線毎に互いに積算するものに当たらないこととなる。
(ウ) したがって,その余の点について検討するまでもなく,被告方法は,構成要件1−Bを文言充足しない。これに反する原告の主張は採用しない。\n

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平成23(行ケ)10269 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年03月28日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が取り消されました。クレームも結構、興味深いです。
 本願発明は,複数のデバイスの間におけるデータの送受信を制御する手段として「電子計算機用インターフェースドライバプログラム」の構成を採用したものであり,第1デバイスと第2デバイス,これらに対応する第1デバイスドライバと第2デバイスドライバを構\成に含むものである。これに対し,国際公開98/47074号(甲2,翻訳文は甲3)及び滝口政光「超初心者のためのWindows NT デバイスドライバ入門」Interface1999年6月号(甲4)によれば,これらの文献には,カーネルモードで動作するファイルシステムドライバ,中間ドライバ,デバイスドライバが階層を形成し,I/Oマネージャが,それら階層化されたドライバ間のデータの受渡しを仲介する技術が開示されているものの,そこで示されるドライバは,電子計算機に接続された同じデバイスに対する入出力要求を処理するために階層化されているものであり,このような階層化されたドライバが一体となって対応する各別のデバイス相互の関係に相当するものではないし,さらにその複数のデバイスを制御するそれぞれのデバイスドライバ相互の関係を示すものではない。これらの文献には,複数のデバイスの間におけるデータの送受信を制御するに際し,I/Oマネージャにアプリケーションプログラムからデバイスドライバへのデータの送受信を行うための共通のインターフェース手段として電子計算機を機能させる技術は開示されていない。そうすると,甲2文献及び甲4文献に開示されたI/Oマネージャは,複数のデバイスの間におけるデータの受渡し(送受信)を仲介(制御)するものではないから,本願発明の「電子計算機用インターフェースドライバプログラム」には相当せず,このようなI/Oマネージャを引用発明に適用したとしても,相違点1に係る本願発明の構\成には至らない。また,引用発明は,上記2で認定したとおり,ユーザモードで動作する制御エージェントが複数のソフトウェア・ドライバ(デバイスドライバに相当する。)を相互接続するものであり,かつ,各ソ\フトウェア・ドライバ自体に,ドライバを接続するための「接続ピン・インスタンス」を形成し,これによりソフトウェア・ドライバを相互接続するという方式を採用するものである。被告は,引用例において,ソ\フトウェア・ドライバを相互接続する際にI/OマネージャやIRPを用いてデータを伝送する具体例が記載されている旨主張するが,その具体例においても,ユーザモードで動作する制御エージェントにより相互接続が行われるのであって,I/Oマネージャが制御エージェントに代替し得る関係にはない。そうすると,このようなユーザモードで動作する制御エージェントや「接続ピン・インスタンス」の形成による相互接続に代えて,カーネルモードで動作する本願発明の「電子計算機用インターフェースドライバプログラム」に相当する構成を採用することが,当業者にとって容易に想到し得るとはいい難い。\n

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平成23(行ケ)10182 審決取消請求事件(特許) 特許権 行政訴訟 平成24年02月21日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性否定されました。
 この点に関し原告は,「本願発明は,患者の問診情報を診察部門だけでなく管理,受付部門および待合室の端末機で利用することにより,例えば本願の願書に添付した明細書の段落【0023】に記載されているように診察の準備や優先的な誘導など診察までの手続などを効率よく行うことができるものであり,単に院内に多数の端末を設けて情報の使用を図るというものではないのに対して,引用例2に記載の発明では問診事項に特化したサーバの記載はなく,受付部門に端末がないことからも引用例2に記載の発明の端末機構を引用発明に適用しても本願発明の相違点1にかかる構\成とすることはできない」と主張する。しかし,本願明細書の段落【0023】の記載を考慮しても,本願発明は,端末機が「管理,受付部門,診察室および待合室にそれぞれ設けられ」,及び「入力された個人情報および受診情報(問診情報)は,医療機関のサーバへ送信されるとともに診察室に設置された端末機に送信される」との事項で特定されるにとどまるものであって,個人情報および受診情報が,管理,受付部門の端末機に送信されて,診察の準備や優先的な誘導などの診察までの手続を行うことまで特定されているとは認められない。

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平成23(行ケ)10155 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年02月15日 知的財産高等裁判所 

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 以上のように,引用例において,「注釈」が,「メモ」及び「ブックマーク」を含むものであって,電子的出版物の読者がドキュメント中の特定箇所(コンテキスト部分)に関連付けることが可能なものであり,かつ,もとの出版物(ドキュメント)とは別々に格納することができる点で「メモ」,「ブックマーク」及び「プレースマーク」と並列して記載されていることに鑑みると,引用例にいう「注釈」は,「メモ」,「ブックマーク」及び「プレースマーク」を包括的に代表\するものとして記載されているものと認められる。このように,引用発明にいう「注釈」は,これに対応するテキスト(コンテキスト部分)とコーディネートにより関連付けられており,かつ,「ブックマーク」を含む概念であるから,引用例には,そこにいう「注釈」(ブックマーク)に,前記アに認定の,ブックマークに関する当該技術分野における周知技術を組み合わせることについて示唆ないし動機付けがあるものといえる。ウ 以上によれば,引用例に接した当業者は,電子的に作成された文書の特定の部分に関連付けられた特定の情報(ブックマーク)をユーザが選択した場合に,当該特定の情報(ブックマーク)に関連付けられた当該文書の特定の部分が表示画面上に別個に表\示されるというブックマークに関する当該技術分野における周知技術を,引用発明にいう「注釈」に適用することで,ユーザがドキュメントとは別々に格納された注釈を選択した場合に,上記関連付けを利用して,当該注釈に対応するドキュメント中の特定箇所(コンテキスト部分)を,当該注釈と併せて表示画面上に別個に表\示することについて容易に想到することができたものというべきである。

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平成23(行ケ)10105 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年02月07日 知的財産高等裁判所

 画面の入力インターフェイスについて、進歩性なしとした審決が維持されました。
 上記記載によれば,画面表示部を有する情報処理装置において,メニューを文字又は画像の情報と重ねて配置して表\示することは,原出願の出願時(平成9年11月27日),当該技術分野においてほぼ周知の技術であったと認めることができる。
(4) 本願補正発明と引用発明との対比 前記(1)ないし(3)から本願補正発明と引用発明とを対比すると,両者の一致点及び相違点の認定並びに相違点(1)及び相違点(2)に対する判断は,審決の認定・判断(5頁9行〜7頁下8行)のとおりであって,本願補正発明は,引用発明及び甲2文献に示される周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものと認めるのが相当である。

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平成23(行ケ)10065 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年01月31日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 上記(1)認定事実によれば,PC,データ端末を用いて遠隔アクセスできるコンピュータ・ネットワーク装置によってアクセスするために,加入者の個人電話番号帳及び加入者の発信履歴と着信履歴等の加入者に関する電話番号情報をデータベースに記憶し,この電話番号情報の表示のためにコンピュータ・ネットワーク装置を遠隔アクセスすること,また,表\示された電話番号を指定することによって,指定された電話番号へ自動的に発信させること,及びデータ端末と電話端末との連携動作により,効率的かつ操作性に優れたオフィスワークやコミュニケーションが実現できることが,記載されている。そして,引用発明1は,利用者がデータ端末を操作して,このデータ端末とLANで接続され遠隔アクセスできるコンピュータに対し,上記データ端末と協調関係にある音声端末と他の音声端末とを接続するように要求を出し,上記コンピュータから二者間接続のメッセージを受けた交換機が接続を確立するものであるから,引用発明1において,利用者による上記データ端末操作を操作性に優れ,効率よく行えるようにすることは,当然に考慮されることである。そうすると,引用発明1において,データ端末とLANで接続され遠隔アクセスできるコンピュータに,加入者の個人電話番号帳及び加入者の発信履歴と着信履歴等の加入者に関する電話番号情報を記憶し,上記電話番号情報の表示のためにデータ端末から上記コンピュータに遠隔アクセスすることは,音声端末間の接続要求のためのデータ端末操作を操作性に優れ,効率よく行えるようにするために,上記の技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得たものと解するのが相当である。また,LAN(構\内通信網)上のサーバに情報を記憶しておき,ウエブ・ブラウザからサーバの該情報にアクセスして,ウエブ・ブラウザ上で該情報を表示することは,本願の優先日前において,当該技術分野における常識的な技術であると認められるから,引用発明1に上記の技術を適用する際に,コンピュータをウエブ・サーバとし,データ端末からLANで接続されたコンピュータへの遠隔アクセスに,ウエブ・ブラウザを用いることは,当業者が通常実施する手段といえる。以上によれば,引用発明1において,相違点2に係る構\成とすることは,上記周知の技術を適用することにより,当業者が容易に想到し得たとした審決の判断に誤りはない。

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平成23(ネ)10013 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月24日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、知財高裁も特許権侵害でないとした1審判断を支持しました。
 上記記載によれば,本件各特許発明は,「券情報」と「発券情報」という2種類の情報を地上の管理センターから受ける場合,伝送される情報が2種になるために通信回線の負担が1種の場合に比べて2倍になってしまうとともに端末機の記憶容量と処理速度も2倍になってしまうという従来技術の問題点を課題として,これを解決すべく,管理センターに備えられるホストコンピュータにおいて,「券情報」及び「発券情報」に基づき,かつ,「座席管理地の座席レイアウト」に基づいて,1つの表示情報である「座席表\示情報」を作成し,これをホストコンピュータから座席管理地に備えられる端末機に伝送し,当該端末機が,これを入力して,その表示手段(ディスプレイ等)において表\示するという構成を採用することによって,前記ホストコンピュータから前記端末機へ伝送する情報量が半減され,通信回線の負担と端末機の記憶容量と処理速度等を軽減するとともに,端末機のコストダウンが図られ,本発明のシステムの構\築を容易にするという効果を達成した発明であると認めることができる。 したがって,本件各特許発明の「座席表示情報」とは,ホストコンピューターにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,端末機において他の情報と照合する等の格別の処理を要することなく座席の利用状況を表\示し,目視することができる情報と認めるのが相当である。
・・・・
前記認定のとおり,本件各特許発明の「座席表示情報」とは,ホストコンピューターにおいて,「券情報」,「発券情報」及び「指定座席のレイアウト」といった個々の情報を1つの情報に統合することによって,これを端末機に送信すれば,端末機において他の情報と照合する等の格別の処理を要することなく座席の利用状況を表\示し,目視することができる情報と認められるところ,前記(1)イで認定した被告システムの構成からすれば,被告システムにおいては,センターサーバーから車掌用携帯情報端末に送信される情報は,「編成パターン情報」と「座席・乗車券情報」という別々の情報であって,本件各特許発明における「座席表\示情報」に相当する情報,すなわち,「端末機において他の情報と照合する等の格別の処理を要することなく座席の利用状況を表示し,目視することができる情報」は,上記「編成パターン情報」と「座席・乗車券情報」を統合処理す ることによって車掌用携帯情報端末において作成されているから,被告システムはホストコンピュータにおいて本件各特許発明にいう「座席表示情報」を作成・記憶・伝送するものでなく,かつ,車掌用携帯情報端末は伝送された上記「座席表\示情報」を入力・記憶・表示するものではないと認められる。したがって,被告システムは,本件各特許発明の構\成要件1−Cないし1−H,2−Cないし2−Hを充足しない。

◆判決本文

◆原審はこちら。平成21(ワ)25303平成22年12月22日東京地裁

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 平成23(行ケ)10133 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年01月17日 知的財産高等裁判所 

 携帯電話端末のUI(CS関連発明?)について、限定的減縮違反、および新規事項であるとした審決が維持されました。
 甲6補正発明と本願補正発明とを対比すると,甲6補正発明では,通信機能の停止を維持しながら「時計機能\」,「電話帳機能」,「マイクによる音声を電気信号に変換する機能\」及び「スピーカによる電気信号を音声に変換する機能」を含む複数の機能\それぞれを選択可能としているのに対し,本願補正発明では,通信機能\の停止を維持しながら,上記「複数の機能」のうち「時計機能\」及び「電話帳機能」のみをそれぞれ選択可能\としたものであるから,本件補正により,通信機能の停止を維持しながら選択可能\な機能の一部が削除されていると認められる。そして,その結果,本願補正発明では,「時計機能\」及び「電話帳機能」以外の機能\について,どの機能を通信機能\の停止を維持しながら選択可能とするかは任意の事項とされることに補正されたといえる。そうすると,本件補正により,直列的に記載された発明特定事項の一部が削除され,特許請求の範囲の請求項1の記載が拡張されていることは明らかであるから,本件補正は特許請求の範囲を減縮するものとはいえず,「特許請求の範囲の限定的減縮」を目的とするものに該当するとは認められない。また,本件補正は,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明を目的とするものにも該当しないことは明らかである。以上によれば,本件補正について,「平成14年法律第24号改正附則第2条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。」とした審決の判断に誤りはない。
・・・・
 この点,確かに,本願の当初明細書等の上記各段落の記載からすれば,通信機能を停止させた際にも「制御部10」は「電源線22」から電力供給されて動作可能\な状態となっていることから,通信機能停止処理中であっても,「制御部10」が,電源が供給されている「中央処理装置4」,「記憶部5」,「入力部6」,「表\示部7」及び「停止認識部13」と協働して適宜必要な動作を実行することは自明であり,また,図1を参照すると,「マイク8」及び「スピーカ9」は「制御部10」に接続されているから,通信機能停止処理中であっても接続先の本体部(「制御部10」)に電源が供給されている限り使用可能\となり,協働して音声入力及び出力動作を実行し得ることは自明であると認められる。しかし,それは,通信機能停止時,「マイク8」及び「スピーカ9」には電源が供給され,「マイク8」及び「スピーカ9」も協働して音声入力及び出力動作を実行し得ることが自明であるというにとどまり,使用者が,「通信機能\の停止を維持しながら」,「マイクによる音声を電気信号に変換する機能」及び「スピーカによる電気信号を音声に変換する機能\」を適宜選択し,これらの機能を動作させることが本願の当初明細書等の記載から自明な事項であることを意味するものではない。そうすると,甲6補正は,本願の当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものとはいえないから,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものとは認められない。\n

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平成23(ネ)10056 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成24年01月16日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、非侵害とした原審が維持されました。
 本件特許発明の特許請求の範囲においては,(使用されている)「すべて」の市外局番及び市内局番という文言が用いられているのであって,範囲の広狭がある場合には,最も広い範囲を指すと解するのが自然であり,逆に,これを「調査対象となる一定の地域」に限定する記載はない。本件明細書(甲1,47)の記載をみても,【課題を解決するための手段】(段落【0009】)には,「調査対象となる一定の地域」の市外局番及び市内局番に限定する旨の記載はなく,唯一の実施例も,「ここまでは1台のパソコン1で北海道・青森県・秋田県・岩手県エリアの調査を行うと説明した。同様にして,全国の電話網をいくつかの地域に分割し,それぞれの地域にて全国の電話番号の調査を複数の地域に分散した複数のパソ\コンで分担実行する。そして,それぞれに担当した地域の前記調査リストを通信などを通じて1つに集約することで,全国的な広域の調査リストを作成できる。」(段落【0032】)と記載されるように,全国を対象として調査するものである。なお,控訴人が主張の根拠とする記載(段落【0011】〜【0013】,【0026】)は,全国を調査する一環として,ある地域を分担したパソコンによる調査方法を説明したものであって,控訴人の主張するような,一定の地域に限定して調査を行う旨の記載であるとは認められない。また,控訴人は,訂正審決が本件明細書の段落【0013】を根拠に訂正を認めたと主張するが,審決は,当該段落に加えて上記の段落【0032】も引用して訂正事項が当初明細書に開示されていると認定したのであり(甲47),控訴人の主張に沿う判断をしたものではない。さらに,本件特許発明の解決課題・作用効果についても,従来技術の2つの課題のうちの1つである「交換局の輻輳の問題」(段落【0006】)に対して,本件特許発明では,全国を複数のパソ\コンで分担調査することにより,コンピュータに近い交換局の輻輳が起きないという効果を奏する旨記載されているのであって(段落【0034】,【0039】),この点においても,全国の調査を前提とするものである。したがって,構成要件Aの「使用されているすべての市外局番および市内局番」とは,調査対象となる一定の地域において使用されているすべての市外局番及び市内局番を意味するという控訴人の主張は,採用することができない。そして,控訴人のその余の主張は,上記説示により排斥された解釈を前提として,一定の地域においては,被控訴人が調査対象としていない局番が存在せず,すべての局番を調査していることになるので,構成要件Aを充足しているというものであるから,その前提を欠くことになる。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)35411

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