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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

コンピュータ関連発明

平成23(ネ)10049 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成23年12月08日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、控訴審でも、技術的範囲に属しないと判断されました。
 そして,前記(2)によれば,システム管理者が入力用データのファイルを作成する段階で,ネットワーク接続したイ号サーバシステムにおいては,各既存システム内に存在する製品に関する情報を,イ号ソフトの機能\を用いずに,各既存システムのアプリケーションなどを用いて部品情報テーブル,構成情報テーブル,属性情報テーブルで構\成される所定の形式に整理・記述して,入力用データのテキストファイル(CSV形式)を作成し,イ号ソフトをインストールしたサーバ内にコピーした後,イ号ソ\フトがその一部を専用のファイル形式にデータ変換し,イ号ソフトをインストールしたサーバ内にイ号データベースを構\築する方法を採用している。そうすると,ネットワーク接続したイ号サーバシステムは,画面表示手段によって製品の各部位を示す項目が部品表\に示された階層関係に従って画面に表示され,項目指示手段によって前記画面の任意の項目の表\\示部が指示されたうえで,その指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力処理を行うものではないから,本件発明の構成要件Fに係る「入力処理手段」を備えていない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。東京地方裁判所平成20年(ワ)第33440号

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平成23(ネ)10004 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成23年11月30日 知的財産高等裁判所

 用語「車載」が争われたナビゲーション特許について、原告は、控訴審で、均等侵害を追加しました。文言侵害については、1審と同じく否定され、均等侵害についても、置換可能でないとして、否定されました。
 原告の上記予備的主張は,控訴審において新たに提出された攻撃方法であり,時機に後れたものと評価されるべきであるが,その点はさておいても,原告の予\備的主張は,以下のとおり失当である。すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」における「車載」の意義は,前記のとおり,車両が利用されているか否かを問わず,車両に積載されて,常時その状態に置かれていることを意味する。このような状態に置かれていることにより,ユーザは,ナビゲーションの利用を欲したにもかかわらず,持ち込みを忘れるなどの事情によって,その利用の機会を得られないことを防止できる効果がある。これに対して,被告装置は,前記のとおり,端末等は携帯(保持)されているものであるから,ユーザは,端末等を車内に持ち込まない限り,車両用のナビゲーション装置としては利用することができない。したがって,本件各特許発明における構成要件「車載ナビゲーション装置」を被告装置の「送受信部を含んだ携帯端末」に置換することによって,本件各特許発明が「ナビゲーション装置が車載されたこと」としたことによる課題解決を実現することはなく,本件各特許発明において「車載ナビゲーション装置」としたことによる作用効果が得られず,結局,本件各特許発明の目的を達することができない。以上のとおりであり,被告装置におけるユーザにおいて保持する本件携帯端末が,本件特許発明1の構\成要件1−A及び1−F,本件特許発明2の構成要件2−A及び2−H所定の「車載ナビゲーション装置」と均等であるとする原告の主張は採用できない。\n

◆判決本文

◆原審はこちらです。平成21(ワ)35184平成22年12月06日東京地裁

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平成22(行ケ)10380 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年09月28日 知的財産高等裁判所 

 スロットマシン(CS発明)について、異なる構成は、課題解決に不可欠な構\成ではないとして39条違反はないとした審決を維持しました。
 特許法39条2項所定の「同一の発明」について,複数の発明相互の構成において,相違部分がある場合に,その相違点に係る構\成が,解決課題に対して,技術的な観点から何ら寄与しないと評価される場合には,複数の発明は,同一の発明と解すべきであるが,相違点に係る構成が,そのように評価されない場合には,特許法39条2項所定の同一の発明とはいえない。そこで,上記観点から検討する。甲18ないし甲20には,ぱちんこ遊技機において,当たりを表\示と音で報知することが記載されている。ぱちんこ遊技機では,ぱちんこ遊技機自体が所定時間後に自動的に事前に決定された当選フラグ役に対応した図柄で停止させる。これに対し,回胴式遊技機(スロットマシン)では,遊技者が停止ボタンを押して図柄を停止させる必要があり,停止ボタンを押すタイミングによって停止時の図柄が変化し得るから,遊技者はビッグボーナス当選の報知があるとビッグボーナス識別情報を揃えようと努力をするため,当該報知を行うことによる効果において,相違があると認められる。以上の事実に照らすならば,甲18ないし甲20の記載を考慮したとしても,ビッグボーナス役が内部当選していることを音で報知するとの技術が,スロットマシンの技術分野において,解決課題に対して,技術的な観点から何らの寄与をしないと評価されるような構成であると認めることができない。甲46には,スロットマシンの技術分野において,入賞が得やすい停止ボタンの操作時期を音と光で報知する技術が記載されている。しかし,甲46には内部抽選に関する記載がないことからすると,甲46のスロットマシンは内部抽選と引き込み制御を有するパチスロではなく,甲46にいう入賞が得やすいストップスイッチの操作時期とは,入賞を与える絵柄が揃うタイミングを意味し,ビッグボーナス役が内部当選しているという状態とは異なると認められる。したがって,甲46の記載があったとしても,ビッグボーナス役が内部当選していることを音で報知するとの技術が,スロットマシンの技術分野において,解決課題に対して,技術的な観点から何らの寄与をしないと評価される構\成であると認めることができない。甲9及び甲21の記載があったとしても,同様に,ビッグボーナス役が内部当選していることを音で報知するとの構成が,スロットマシンの技術分野において,解決課題に対して,技術的な観点から何らの寄与をしないと評価される構\成であると認めることができない。その他,原告は,縷々主張するが,いずれも,採用の限りでない。本件特許発明と特許第4058084号発明とは,特許法39条2項所定の同一の発明であるとはいえず,審決は同項に違反しない。

◆判決本文

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平成21(ワ)35411 特許権侵害差止等請求事件 平成23年08月30日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、特許権侵害でないと判断されました。文言侵害、均等侵害とも否定されました。問題となった文言は、「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる電話番号を調査対象とする」です。
 被告サービスが本件発明の特許請求の範囲に記載された構成と均等であるか否かについて検討するに,平成10年最判は,特許請求の範囲に記載された構\成中に対象製品等と異なる部分がある場合に,なお均等なものとして特許発明の技術的範囲に属すると認められるための要件の一つとして,「対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もない」こと(第5要件)を掲げており,この要件が必要な理由として,「特許出願手続において出願人が特許請求の範囲から意識的に除外したなど,特許権者の側においていったん特許発明の技術的範囲に属しないことを承認するか,又は外形的にそのように解される行動をとったものについて,特許権者が後にこれと反する主張をすることは,禁反言の法理に照らし許されないからである」と判示する。そうすると,第三者から見て,外形的に特許請求の範囲から除外したと解されるような行動を特許権者がとった場合には,上記特段の事情があるものと解するのが相当である。
(3) これを本件についてみると,本件訂正がされた経緯は前記1(1)イ(イ)のとおりであり,原告は,本件訂正前の特許請求の範囲請求項1では,単に,「ISDNに接続したコンピュータにより回線交換呼の制御手順を発信端末として実行し」とされ,いかなる電話番号を調査対象とするのかについて特段制限は付されていなかったものを,本件訂正により,「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる」電話番号を調査対象とするものに限定することを明記し,これにより,乙5資料等に記載された先行技術と本件発明との相違を明らかにして,乙5資料等を先行技術とする無効事由を回避しようとしたものであることが認められる。そうすると,原告は,本件特許発明について,本件訂正に係る訂正審判の手続において,被告サービスのように一部の局番の電話番号を調査対象としない構\成のもの,すなわち,調査対象電話番号が「使用されているすべての市外局番および市内局番と加入者番号となる可能性のある4桁の数字のすべての組み合わせからなる」ものでない方法が,その技術的範囲に含まれないことを明らかにしたものと認めるのが相当である。\n

◆判決本文

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平成20(ワ)33440 特許権侵害差止等請求事件 平成23年07月12日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。間接侵害はイ号ソフトをインストールしたサーバが技術的範囲外である以上、これについても否定されました。
 そして,本件発明の特許請求の範囲(請求項1)の記載と上記認定の本件明細書の開示事項を総合すれば,本件発明のデータ入力装置においては,部品表データベースに登録された部品表\を検索キーとし,「画面表示手段」(構\成要件D)によって上記部品表に示された製品の各部位を示す項目を階層関係に従って画面に表\示すること,「項目指示手段」(構成要件E)によって上記画面上の任意の項目を指示すること,「入力処理手段」(構\成要件F)によって上記指示のあった指示項目に対して登録する情報を所定の記憶領域に入力すること,「リンク設定手段」(構成要件G)によって上記入力された情報(登録する情報)に対して上記指示項目及びこれを含む上位の階層関係の項目をリンクさせる情報を付すこと,「メニュー表\示手段」(構成要件H)によって上記指示項目に対して入力する情報の用途別の種類が表\示されたメニューを画面に表示すること,「情報種類設定手段」(構\成要件I)によって上記メニューに表示された情報種類を選択することで,その選択された情報種類を,上記入力された情報(登録する情報)(本来の情報)に対して関連付けること,「情報登録手段」(構\成要件J)によって上記入力された情報(登録する情報)と,上記リンクさせる情報と,上記情報種類の情報とをデータベースサーバに送ってそのサーバ内の統合データベースに登録することを「一連の動作」として行うことができるようにしたことで,データ入力の負担を極力抑えて,各現場で発生する各種情報を誰でもが簡易に入力することができるようにするとともに,入力した情報を簡易に検索して利用できるようにしたことに技術的意義があるものと認められる。・・・そこで検討するに,ネットワーク接続したイ号サーバシステムは,前記(1)イのとおり,部品に関する情報がイ号サーバシステムとは別の複数の既存システムに保持されたまま各既存システムで個別管理され,かつ,その情報の入力・登録も各既存システムが有する入力手段・登録手段によって行われることを前提とし,これらの既存システムに保持された部品に関する情報の検索・参照を容易にすることを目的としたサーバシステムであって,クライアントの要求に従って,これらの既存システムに保持された部品に関する情報が整理・記述された入力用データをコピー及び一部データ変換してイ号サーバシステム内に構築されたイ号データベースを検索し,検索条件(文字列)に合致した部品の部品番号,部品名及び属性情報をクライアントの表\示装置に表示させ,更に指示された部品の上流又は下流にある部品の部品番号等を階層的に上記表\示装置に表示させる機能\(検索機能及び階層展開機能\)を有するものである。しかしながら,ネットワーク接続したイ号サーバシステムにおいては,上記検索機能及び階層展開機能\によりクライアントの表示装置(画面)に表\示又は階層的に表示させた部品の部品番号,部品名及び属性情報について,上記画面上の任意の項目を指示し,その上で,その指示項目に対して登録する部品に関する情報を所定の記憶領域に入力する「入力処理手段」(構\成要件F)を備えるものではなく,また,部品に関する情報を個別管理する既存システム内のデータベース及びイ号データベースのいずれに対しても,上記指示項目に対して登録する情報,上記指示項目と上位の関係の項目とをリンクさせる情報,及び情報種類の情報を登録する「情報登録手段」(構成要件J)を備えるものではない。\n

◆判決本文

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平成22(行ケ)10185 審決取消 特許権 行政訴訟 平成23年04月18日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について進歩性なしとした審決が維持されました。
   確かに,審決は,対比に当たり,引用発明の「ウェブサーバー」及び「ホストコンピュータ」は,「後記する相違点はあるものの」本願発明の「コンピュータ」に相当する旨判断した上で,「通信ネットワークを介して端末と接続されたコンピュータ」が行う「中古車オークションにおいて商品の入札を受け付ける方法」のうちの「前記第一のオークションにおいて前記第一の取引が成立しなかった場合」である「一般の購買者が参加可能な販売」の「データ受付ステップ」における,購買者の端末からの購入の要求に係るデータを受け付けて記憶する処理,及びそれに続く「取引決定ステップ」における取引の処理について,「前記コンピュータ」,つまり商品の入札を受け付ける方法が行われる「通信ネットワークを介して端末と接続されたコンピュータ」が行う旨を一致点としているかのようにもみえる。しかし,他方で,審決は,「一般の購買者が参加可能\な販売」が本願発明では「オークション」であり,引用発明ではそうではない点を相違点2として挙げており,その相違点2の判断の具体的な内容として,引用例3を参照して,一般ユーザーを想定した中古車オークションを行うことのみならず,「中古車オークション」を行う「サーバ」が「データを受け付け」て「取引の成否を決定する」旨を含む技術を「引用例3記載事項A」として認定した上で,引用発明における「一般の購買者が参加可能な販売」に対して上記の「引用例3記載事項A」を適用することによって,相違点2に係る構\成が容易想到である旨を説示している。つまり,審決は,オークションを行うコンピュータがデータを受け付けて取引の成否を決定する点が相違点に含まれていることを前提とした判断を示している。これらの審決の記載を総合的にみれば,審決は,「一般の購買者が参加可能な販売」の「データ受付ステップ」における,購買者の端末からの購入の要求に係るデータを受け付けて記憶する処理,及びそれに続く「取引決定ステップ」において取引の処理を行うことを一致点とし,これらの処理を,本願発明では「前記コンピュータ」が行うが引用発明では「前記コンピュータ」が行わない点,つまり原告のいう「主体の相違」を相違点として整理した上で,その容易想到性を判断しているといえる。してみると,審決が上記主体の相違点を看過した旨の原告の主張は,審決を正解しないものである。\n

◆判決本文

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平成22(行ケ)10239 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年04月14日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 以上によれば,情報処理システムにおいて辞書を用いたデータ変換処理を行う際に,検索時間の短縮化という効果を求める引用発明には,データの変換時ではなく,変換に先立って予めデータをメモリ上に展開しておくことで処理を更に高速化することができる周知技術を組み合わせることについて十\分な動機付けがある。なお,データをメモリ上に全て展開しておけば,高速処理が可能である反面,大きなメモリ容量が必要となり,メモリ展開にも時間がかかるようになることは,技術的に自明であって,当業者は,これらの得失を当然に勘案した上で周知技術の組合せを検討するものであるといえるから,この点において,上記の動機付けが妨げられるものではない。したがって,当業者は,前記周知技術に基づき,引用発明に対して相違点2に係る構\成を適宜に組み合わせることができるものというべきであり,これと同旨の本件審決の判断に誤りはない。

◆判決本文

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平成22(行ケ)10217 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年04月07日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について進歩性なしとの審決が維持されました。
 甲第1号証の段落【0015】には,「処理装置1」が店舗,事業グループのセンタ又は「VANセンタ」等に設置される旨が,段落【0022】には,「処理装置1」が店舗に設置されるか,大規模なシステムの場合には計算センタ,事務処理センタに設置される旨が,段落【0085】には,「キャッシュディスペンサなどの銀行端末に同様な機能を追加することにより,設備流用によるシステムコストの低減,銀行・店舗のタイアップよるサービスの強化を図ることができる。」との記載があるから,甲1発明の「処理装置1」をネットワークに接続することにより,ネットワークを通じて販売促進のためのサービスポイントの発行・管理の機能\を果たすことが,甲1発明においても除外されていないことは明らかである。また,前記のとおり,銀行の決済システムを構成するキャッシュディスペンサ等の銀行端末に,サービスポイントの発行・管理を行うという異種のサービスを提供する構\成を追加し得ること(段落【0085】)は,甲第1号証において銀行の決済システムの個性に着目した記載がされていないことにも照らせば,サービスポイントの発行・管理以外のサービスを提供する端末にサービスポイントの発行・管理の機能を追加し得ることを示唆するものであるところ,銀行端末は通常銀行が管理・運営するネットワークに接続されているから,これはさらに,サービスポイントの発行・管理以外のサービスを提供するネットワークにサービスポイントの発行・管理の機能\を追加し得ることも示唆するものである。ところで,本件出願当時,各加盟店に設置された端末をネットワークで相互に接続して,例えば売買代金の決済処理を行ったり,販売すべき物品の管理を行う程度のことは,当業者の技術常識ないし周知技術であったことが明らかである(甲第1号証の段落【0003】,【0004】,【0023】,甲第10号証(本件明細書)の段落【0002】,【0003】参照)。そうすると,審決が説示するとおり,甲第1号証においても,「加盟店ごとに設置された複数の加盟店端末を備えたネットワーク」に「処理装置1により点数の発行・集計を行うサービスポイントの点数管理システム」の機能を追加することが示唆されていると解して差し支えない。したがって,甲第2号証(特開平7−73247号公報)や甲第3号証(特開平7−210763号公報)で各加盟店に設置された端末装置とホスト装置とをネットワークで接続して,サービスポイントの発行・管理を行う構\成が開示されていることにもかんがみれば,本件出願当時,当業者において,甲1発明に基づいて,相違点1に係る構成に容易に想到することができたというべきであって,これと同趣旨の相違点1の構\成に係る審決の容易想到性の判断に誤りがあるとはいえない。
 イ この点,原告は,セキュリティ上の観点から,銀行端末に複数のネットワーク回線が接続されるとしても,接続しているネットワークを適宜切り替えるようにするのが常識的であり,顧客は銀行端末機能とサービスポイント点数管理機能\のいずれかを適宜選択して使用することになる等と主張する。しかしながら,仮に銀行の決済システムを構成する端末に高度のセキュリティ上の配慮が必要になるとしても,他のサービスを提供するネットワークを接続してはならなかったり,銀行の決済機能\とサービスポイントの発行・管理等の機能を一つの端末で同時に使用してはならないまでの理由はなく,単にセキュリティ上の格段の措置を講ずれば足りるから,原告の上記主張は失当である。\n

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平成22(行ケ)10202 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年02月17日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 原告は,本件補正発明と引用発明1とでは,目的,課題及び作用効果が相違しており,本件補正発明のように,Webページからメール作成画面に切り換えて表示するとともに,表示されていたWebページのURLを当該メールに貼り付け,メール送信完了後に先に表示していたWebページに表示を戻すことまでを含めた一連の制御を行うことは,引用発明1では想定し得ないと主張する。しかしながら,前記ア(イ)のとおりの引用発明2のWWWブラウザと電子メール送受信機能とを備える携帯電話は,WWWブラウザ機能と電子メール送受信機能\とを実現する情報処理端末であるということができ,他方,引用発明1は,前記(1)ア(エ)のとおり,閲覧中のWebページのURL情報をメールに貼り付けて送信しようとするものであって,WWWブラウザ機能と電子メール送受信機能\とを実現する情報処理端末であるコンピュータにおいて,これらの両機能を連係しようとするものである。そうすると,引用発明1におけるWWWブラウザ機能と電子メール送受信機能\を実現し,これらを連係しようとするコンピュータに換えて,同じく,WWWブラウザ機能と電子メール送受信機能\を実現する情報処理端末である引用発明2の携帯電話のような携帯端末を採用することの動機付けが認められるものである。そして,このような引用発明において,携帯電話のような携帯端末を採用することによって,アンテナを介して信号を送受信する無線部が備わることになる。(ウ) また,前記1(2)の記載によると,本件補正発明は,簡単な操作で閲覧中のWebページのURLをメールに貼り付けて送信することができるようにして利便性を向上しようとするものである。これに対し,前記(1)ア(ア)及び(イ)のとおり,引用発明1は,閲覧中のWebページのURLを伝えるに際し間違いやすいことから,ほとんどのメールソフトに付いているアクティブURLの機能を利用して,閲覧中のWebページのURL情報をメールで送信するに当たって,Outlook ExpressやNetscape Messengerを使えば,ブラウザから直接URL情報をメールで送信でき,これによって,閲覧中のWebページのURL情報を簡単に送信することができるというものである。(エ) そうすると,本件補正発明と引用発明1とのいずれも,閲覧中のWebページのURL情報を簡単な操作でメールに貼り付けて送信しようとするものであって,その更なる動機が,本件補正発明では,ユーザは小さなキーを何度も押し下げる必要があり,煩雑な操作をしなければならず,不便であるとの問題点があったことであり,引用発明1では,WebページのURLを伝える場合の間違いを防ぐためであったこととの点において,仮にこれらが相違するということができるとしても,上記の閲覧中のWebページのURL情報を簡単な操作でメールに貼り付けて送信したいとし,それを実現しようとするものであるという点で,目的,課題及び作用効果が一致しているものということができる。

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平成21(ワ)25303 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年12月22日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、非侵害と判断されました。  特許請求の範囲の記載及び前記アの本件明細書の記載からすれば,本件各特許発明における「座席表示情報」は,券情報及び発券情報に基づき,かつ,座席管理地の座席レイアウトに基づいて表\示するものとして,管理センターに備えられるホストコンピュータにおいて作成され,ホストコンピュータから座席管理地に備えられる端末機に伝送され,当該端末機が,これを入力して,その表示手段(ディスプレイ等)において表\示するものと解される。そして,端末機の表示手段における座席表\示情報の表示は,座席管理地の座席レイアウトに基づいて座席の利用状況を表\示するものであって,座席管理者が,各指定座席の利用状況を目視することができるものであると認められる。他方で,本件明細書には,端末機において,座席表示情報とそれ以外の他の情報とを処理することにより,座席のレイアウトに基づいて座席の利用状況を表\示して,各指定座席の利用状況を目視することができるものとすることに関する記載はない。以上のことからすれば,本件各特許発明における「座席表示情報」は,当該情報を端末機に表\示すれば,座席管理地の座席レイアウトに基づいて座席の利用状況が表示されるものであって,各指定座席の利用状況を目視することができるものをいうと解される。・・・これに対して,原告が主張する表\示構成情報とは,表\示イメージ情報を作成するためのものであって,それだけでは,座席管理地の座席レイアウトに基づいて座席の利用状況が表示され,各指定座席の利用状況を目視することができるものではないから,このような情報が,本件各特許発明にいう「座席表\示情報」に該当すると認めることはできない。

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平成22(行ケ)10126 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年12月28日 知的財産高等裁判所 

 CS関連発明について、無効審決が維持されました。
 ア 前記(1)アのとおり,UMLのクラス図や記号は周知の事項である。また,地物が,一般地物・基準地物・被覆地物に分けられ,一般地物が人為的地物・非人為的地物に分けられ,人為的地物が境界・人工物に分けられ,非人為的地物である自然地物のうち水部は,河川水涯線・河川水涯線一条・海岸線・湖沼に分けられること,行政境界に含まれる街区界が複数あること,道路が道路縁,道路路線,歩道自転車道,道路中心線,分離帯に分けられることなど,図5に示された事項は,地図の分野において周知のことといえる。また,図5に示されたように,オブジェクトである地物に属性があり,それが空間属性・時間属性などに分けられることも,地図の分野において当然に認識し得ることである。そうすると,本件発明1の相違点2に係る構成のうち第1の空間データベースのデータを特定する「オブジェクトをUMLクラス図とその属性データで管理する第1の空間データベースのUMLクラス図で規定されたオブジェクトのデータ構\造」との構成,及び第2の空間データベースを特定する「オブジェクトをUMLクラス図とその属性データで管理する第2の空間データベースを構\築する」との構成も,周知の事項から容易に想到し得るものであったと認められ,これらの構\成を,地物の図形データをその図形情報と属性情報で管理する引用発明のデータベースに適用することも,容易に想到し得るものであったといえる。
イ さらに,例えば,オブジェクトの一つである都道府県界が,都道府県コードとしての管理番号,都道府県名称,都道府県界の代表的な地点のXY座標を有するように,各オブジェクトがそれぞれに属性データ又は属性データに付随するデータを有するように構\成することは,地図の分野においては普通に行われることであると推認される。そうすると,本件発明1の相違点2に係る構成のうち第1の空間データベースのデータの特定に係る「オブジェクトの属性データ又は属性データに付随するデータを示すデータ定義」との構\成は,容易に想到し得るものであったといえる。ウしたがって,本件発明1の相違点2に係る構成は,容易に想到し得るものであったとした審決の判断に誤りはない。\n

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