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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

コンピュータ関連発明

平成21(ワ)36145 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟平成22年12月03日 東京地方裁判所

 CS関連発明について、技術的範囲外と認定されました。
 以上のとおり,本件明細書の上記イの記載及び図示は,上記アの文言解釈と整合するものであり,これらの記載及び図示を考慮しても,本件発明は,構成要件Bで生成された番組ディレクトリ(記録された番組の位置を含んでいる。)をそのまま構\成要件Dで表示するものであると解釈するのが相当である。・・・他方,被告製品については,「録画番組一覧表\」において,「記録された番組の前記ディレクトリ」に含まれる情報のうち「記録された番組のタイトル」を表示していることは認められるものの,「記録された番組の位置」を表\示しているとは認められない。すなわち,被告製品では,番組を記録する記録媒体として,先頭から順次アクセスするテープではなく,任意の位置にランダムにアクセスすることが可能なHDDを利用しているのであるから,「録画番組一覧表\」に表示されている順序は,HDD上での記録位置とは何らの関連がないものであり,その他,本件全証拠を検討しても,被告製品について,「記録された番組の位置」を表\示していることを認めることはできない。オ したがって,被告製品方法は,本件発明の構成要件Dを充足するものと認めることはできない。2 以上のとおり,被告製品方法は,本件発明の構成要件Dを充足するものと認めることはできないから,被告製品は本件発明の方法の使用に用いられる物ということはできず,その製造,販売が特許法101条5号のみなし侵害に該当するということはできない。\n

◆判決本文

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平成21(ワ)35184 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟平成22年12月06日 東京地方裁判所 

 ナビゲーションサービスに対する特許侵害訴訟にて、裁判所は、車載用ではないとして、技術的範囲外と認定しました。また一部構成要件についても充足しないとして、間接侵害も否定しました。
 以上のような被告サーバー及び本件携帯端末の構成からすれば,被告装置においては,現在地及び目的地を入力・設定して,経路探索を行い,その結果をディスプレイに表\示してユーザーに伝達するために,被告サーバーと本件携帯端末が,それぞれ次の機能を分担しているものと認められる。・・・以上のとおり,被告装置は,被告サーバーと本件携帯端末とによって構\成され,両者がそれぞれ機能を分担してナビゲーション機能\を果たしていることから,このような被告装置が「車載ナビゲーション装置」ということができるか否か,すなわち,本件各特許発明における「車載ナビゲーション装置」が,複数の機器に機能が分担され,かつ,その機器の一部が車両に搭載されていないものを含むか否かが問題となる。・・・・証拠(甲22ないし25)によれば,「車載」という語の一般的な意義は,「車に積みのせること」をいうと認められる。また,弁論の全趣旨によれば,「装置」という語の一般的な意義は,「ある目的のために機械・道具等を取り付けること。そのしかけ。」をいい,一定の機能\を持ったひとまとまりの機器をいうと認められる。エ検討(ア) 前記ウの「車載」及び「装置」という語の一般的な意義からすれば,「車載ナビゲーション装置」とは,車両に載せられたナビゲーションのための装置(ひとまとまりの機器)をいい,ひとまとまりの機器としてのナビゲーション装置が車両に載せられていることを意味すると解するのが,自然である。そして,本件各特許の特許請求の範囲の記載のように,A,B,C,Dとの「手段を含むことを特徴とする車載ナビゲーション装置」というとき,「ナビゲーション装置」がA,B,C,Dという手段を備えるとともに,そのような手段を備えたナビゲーション装置が「車載」,すなわち,車に載せられていることが必要であると解するのが,その文言上,自然である。また,本件各明細書に開示されている「車載ナビゲーション装置」の構成は,前記イのとおり,各構\成要素から成る一体の機器としての「車載ナビゲーション装置」であって,被告装置における被告サーバーと本件携帯端末のように,車両内の機器と車両外の機器にナビゲーション装置の機能を分担させ,両者間の交信その他の手段によって情報の交換を行い,全体として「ナビゲーション装置」と同一の機能\を持たせることは開示されていない。したがって,各機器をどのように構成し,また,各機器にどのように機能\を分担するか,各機器間の情報の交換をどのような手段によって行うかについても,本件各明細書には何らの開示もされていない。さらに,本件各特許発明はナビゲーション「装置」に関する特許発明であるから,「装置」の構成が特許請求の範囲に記載された構\成と同一であるか否かが問題となるのであって,同一の機能,作用効果を有するからといって,構\成が異なるものをもって,本件各特許発明の技術的範囲に属するということはできないことはいうまでもない。以上のことからすれば,本件各特許発明にいう「車載ナビゲーション装置」とは,一体の機器としてのナビゲーションのための装置が車両に載せられていることが必要であり,車両に載せられていない機器は,「車載ナビゲーション装置」を構成するものではないと解される。\n

◆判決本文

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平成22(行ケ)10071 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年10月27日 知的財産高等裁判所

CS関連発明について、進歩性なしとの審決が維持されました。
 原告は,本件補正発明には,i)自然な態様の表記による数式を,難解な記述言語を理解する必要なく容易に表\記できるという効果,ii)数学的に自然な表記による数式を,既存の文書編集アプリケーションで作成した書類に取り入れることで,同アプリケーションを資源として確保できるという効果,iii)数式の編集に要する時間が格段に短縮されるという効果がある旨を主張する。(2) しかしながら,引用発明は,アイコンテーブルからの選択により,通常用いられる表記形式による数学記号を指定して数式を入力するものであって,自然な態様の表\記による数式を,難解な記述言語を理解する必要なく容易に表記できるものであるから,前記i)の作用効果を備えているといえる。また,前記iii)の作用効果は,このような引用発明に周知技術を適用することで予想できる範囲内のものである。したがって,上記i)及びiii)に関して,本件補正発明の有する作用効果が格別なものであるとはいえない。また,前記ii)の作用効果については,そもそも本件補正明細書には何ら記載がないばかりか,例えば「ワード」に関する甲8技術からも予想できる範囲内のものである。\n

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平成21(ワ)5717 損害賠償請求事件 特許権 平成22年10月15日 東京地方裁判所

 ワープロソフトに対して間接侵害を主張しましたが、技術的範囲外として非侵害と認定(CS関連発明)
。  (1)で説示したように,本件特許発明における「文法辞書」とは,現代仮名遣いの文法規則並びに歴史的仮名遣いの文法規則及び各仮名遣いに対する漢字候補を統合的に登録した「ファイル」であり,「ファイル」として仮名漢字変換部によって参照されるものであるが,被告装置における文法辞書の一部である「活用語尾テーブル」は,ファイルα(ATOK21W.IME)に格納されているデータではあるものの,仮名漢字変換に当たり参照される際にはメインメモリ上に展開されており,「ファイル」として存在するものではないため,被告装置の仮名漢字変換部は,「ファイル」としての「文法辞書」を参照するものと認めることはできない。そうすると,被告装置は,本件特許発明の構成要件B〜Dの上記「『ファイル』として仮名漢字変換部によって参照される」「文法辞書」の構\\成を有しないものであるから,上記構成要件を充足するものとは認められない。\n

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平成21(行ケ)10400 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年10月13日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、新規事項か否かが争われました。知財高裁は新規事項とした審決を維持しました。
 ところで,前記1で判示したとおり,当初明細書及び図面には,ダウンロードページの細部項目メニュ画面中の使用案内ボタンをクリックした場合,使用案内ページのどの画面に移動するかについて,明確な記載が認められず,当初明細書及び図面の記載を総合すると,使用案内ページのモデルメニュ画面に移動すると解するのが,最も自然な画面移動であって,選択したパソコンモデルに対応した,細部項目のメニュ画面やグラフィック情報及びテキスト情報を提供する画面などに直接移動することを示唆する記載は,当初明細書及び図面には見当たらない。また,ダウンロードボタンをクリックした場合も,ダウンロードページのモデルメニュ画面に移動すると解するのが,最も自然な画面移動であって,当初明細書及び図面には,選択したパソ\コンモデルに対応した他の画面に直接移動することを示唆する記載も見当たらない。したがって,上記の補正事項を実現するために,前記のような直接的な画面移動を実現することは,各種のサービスページに共通して,選択されたパソコンモデルの種類を認識・保存するとの技術的事項を導入するものであり,また,移動メニュの同じサービスページのボタンであっても,そのボタンが設けられている画面(又はその表示内容)によって,ボタンをクリックした場合の移動する先の画面又はその表示内容が異なるという技術的事項を導入するものであるから,当初明細書及び図面に記載された事項ではなく,明細書又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものであるということはできない。\n

◆判決本文

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平成21(行ケ)10418 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年09月30日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について進歩性なしとした審決が維持されました。
 原告は,周知技術1は,キャラクタを動き回らせることが可能なゲーム空間のような仮想空間でなく,2次元画像である掲示板やチャットの画面に貼\り付けるものであり,引用発明のようにキャラクタがゲーム空間を動き回ることを想定したものではなく,周知技術1を引用発明に適用する動機付けや根拠が存在しないと主張する。しかし,原告のこの点の主張も,採用できない。確かに,原告主張のとおり,周知技術1は,アバターを2次元画像である掲示板やチャットの画面に貼り付けるものであり(甲3),引用発明のようにキャラクタがゲーム空間を動き回ることを想定したものではない。しかし,甲3には「自分の分身であるアバターを設定し,ネット上に持てるのが特徴だ。」,「アバターは(中略)自分と似せてもいいし,奇抜にして目立つのもいい。」との記載があることから,周知技術1における「アバター」は,ユーザ本人を象徴し,その分身としてユーザの代わりを務めるキャラクタ画像をいうものであることと理解できる。そして,引用発明のキャラクタはゲーム上でユーザの代わりを務めるものであり(引用例の段落【0025】),仮想空間上でユーザ本人の代わりを務める点で,周知技術1のアバターと共通するから(甲3),引用発明に周知技術1を適用する動機付けや根拠が存在するというべきである。原告の主張は,採用の限りでない。\n

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平成21(行ケ)10283 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年09月30日 知的財産高等裁判所

 パチスロ機発明(CS関連発明?)について、訂正要件違反無し、無効理由無しとした審決が維持されました。
 原告は,訂正事項6(A)について,審決のようにエリア4からエリア1までを順次チェックして最初にハズレとなる回をリーチ目に変更するものと解釈すると訂正事項6(B)の記載と重複し,訂正事項6(A)が無意味な記載となるから訂正目的違反に当たる旨主張する。しかし,訂正事項6(A)と訂正事項6(B)の記載に一部重複する部分があるとしても,これらはいずれも事前報知を行う場合を限定するものであり,重複記載により特許請求の範囲を不明確にするものでもないから,訂正事項6(A)が訂正目的違反に当たるということもできない。なお,原告は,審決引用部分Aの記載はエリア4が当たり(特定の識別情報に対応する表示結果)の場合について説明したものであるのに対し,訂正事項6(A)はエリア4が当たりでない(特定の識別情報に対応するものでない表\示結果)場合の記載であること,審決引用部分Aの記載は,明細書の記載からはほとんど想定できない実施例であること,審決引用部分Aの記載に従うと,エリア3ないしエリア1のデータは,打玉の始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データではない場合にも,再度リーチ目表\示用データに変更されることになり,打玉の始動入賞領域への入賞により生成された表示結果決定用データがハズレか否かを判定するという訂正事項6(A)の構\成となっていないことから,審決引用部分Aの記載に基づき訂正事項6(A)が新たな技術事項の導入に当たるか否かを判断することは誤りである旨主張する。しかし,審決引用部分Aには,常にエリア4の停止図柄データをリーチ目表示用の停止図柄データに変更するように構\成することに代えて,エリア4に記憶されている停止図柄データが当たりであった場合にはエリア4をリーチ目表示用の図柄データに変更することなくエリア3からエリア1を順次チェックすることが記載されているのであって,エリア4が当たりでない場合はエリア4により事前報知を行うことも記載されているから,審決引用部分Aの記載を根拠として,訂正事項6(A)が新たな技術事項の導入に当たらないとした判断に誤りはない。また,エリア4に記憶されている停止図柄データが大当たり又は中当たりの値であった場合には,エリア3にはハズレのデータではなく,既にリーチ目表\示用の図柄データに変更されたデータが入っている可能性が少なくない(エリア2及びエリア1についても同様)としても,そのことと新たな技術事項の導入に当たるか否かとは無関係であり,これをもって審決引用部分Aの記載から訂正事項6(A)が新たな技術事項の導入に当たらないとした判断が誤りであるということもできない。\n

◆判決本文

◆関連事件です。平成21(行ケ)10282

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平成21(行ケ)10408 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年08月19日 知的財産高等裁判所 

 CS関連発明について、公知文献から進歩性が無いとして訂正を認めなかった審決が維持されました。
 そうすると,引用発明では,送出部に要求番組がない場合には,番組ライブラリから送出部に要求番組を転送してコピーしながら,それを第1の受信者に送出するのであるから,要求番組をコピーし始めた当初においては,要求番組の先頭部分しかコピーされていないことになり,この状態において,第2の受信者から同じ番組に対して,途中から番組情報を見たいという要求,特に番組の後半の部分を見たいというような要求があった場合には,その要求には応えられず,結局,第2の受信者から同じ番組に対して途中から番組情報を見たいという要求があったとしても,要求番組のコピー済みの部分からしか提供できないことは明らかであり,このコピー済みの部分が,コピー開始からの経過時間に応じて徐々に増加していくことも明らかである。したがって,引用発明において,読出開始位置が,「一連のデータの書込領域への書込開始からの経過時間に応じて設定される読出可能な範囲内」となることは,刊行物1の記載から自明な事項であって,訂正発明5は,引用発明及び刊行物1に記載の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるとした審決の判断に誤りはない。\n

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平成21(行ケ)10394 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年08月19日 知的財産高等裁判所 

CS関連発明について、進歩性なしとの審決が維持されました。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10293 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年07月28日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明(?)について進歩性なしとした審決が維持されました。
 先に指摘したとおり,引用例1には,番組表に表\\示される情報の種類及び量を増加させるという技術課題が示されているものということができる。そして,かかる課題を解決するために,限られた表示領域に,より多くの情報を見やすく一覧表\示するために,情報の項目に対応する一部の情報を項目自体の表示位置に表\示せず,当該項目が選択された際など,必要に応じて参照できるように当該項目自体とは異なる位置に表示する周知技術を適用し,選択されたセルに関連付けられている項目に対応する番組説明情報を,選択されたセルが配置されているモニタースクリーン上の領域とは異なるモニタースクリーン上の領域に表\示するように構成することは,当業者が容易に行い得たことと認められる。\n

◆判決本文

◆関連事件です。平成21(行ケ)10294

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平成22(ワ)4486 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年07月08日 大阪地方裁判所

 CS関連発明(?)について、技術的範囲外であるとして非侵害と認定されました。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10222 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年06月29日 知的財産高等裁判所

CS関連発明について、記載不備があるとの審決が取り消されました。
 この点について,被告は,本願発明における「発明を展開している度合いを示す」という記載が明確でない旨主張する。確かに,被告が指摘するとおり,クレーム中の用語「発明を展開している度合い」だけを,単独で解釈すれば,用語の定義が不明確であるとする余地があるともいえないわけでない。しかし,「発明を展開している度合いを示す発明展開度」との請求項2の記載を,全体として解釈すれば,各用語(「発明」,「展開」,「度合い(度)」)の対応関係から,この部分は,本件独自の用語である「発明展開度」を,単に分かりやすく言い換えて説明しているにすぎないと認めるのが自然である。したがって,「発明を展開している度合いを示す」という記載のみを取り出して,それが不明確であるということは適切ではなく,上記のとおり解釈すれば,「発明を展開している度合いを示す」との記載が含まれているとしても,別段請求項2の記載が不明確であるとはいえない。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10310 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年06月16日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性違反理由無しとした審決が維持されました。
 原告は,本件発明1は複数ユーザの個人認証に限定されるものではないから,引用発明1における「URL」は,本件発明1の「管理マスタID」に相当すると主張する。しかし,上記(1)イ,ウのとおり,本件発明1の「管理マスタID」は,複数のユーザが存在することを前提に,第1のシステムのユーザと第2のシステムのユーザとを関連付けるために,ユーザごとに設定されたユーザ固有の識別コードであるのに対し,引用発明1の「URL」は,複数のユーザが存在することを前提としているともいえないし,ユーザごとに設定されたユーザ固有のものともいえないから,引用発明1における「URL」が,本件発明1の「管理マスタID」に相当するということはできない。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10321 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年05月27日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について新規事項、不明瞭であるとした審決が取り消されました。
 前記当初明細書の記載によれば,サーバ及び端末がそのハードウエア構成として中央処理装置(CPU)を有すること,CPU312は,データの処理又は演算を行うと共に,バス311を介して接続された各種構\成要素を制御するものであること,サーバ又は端末のCPUの処理や制御により図37(A)〜(D)の処理を行うことが示されている。このように,当初明細書においては,サーバ及びその端末の構成が共通性を有するものとして記載されており,補正明細書の各請求項の冒頭に記載された「コンピュータを用いたゲーム情報供給装置であって」との部分は,サーバと端末を含んだ全体の構\成を意味するものと解するのが合理的である。・・・そうすると,当初明細書には,「ゲーム情報供給装置」において,サーバが,「ネットワークを介して端末装置からのアクセスを受信すると,前記記憶手段からクイズ形式の広告情報を読み出して前記端末装置に送信し表示させる表\示手段」を有するとの技術事項が記載されていると解すべきである。本件補正が,当初明細書に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえないとした本審決の判断は,誤りである。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10163 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年04月28日 知的財産高等裁判所 

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 上記記載によれば,引用例1に記載された発明(引用発明1)の半導体製造装置は,半導体製造ラインの進捗管理及び工程管理において,工程管理用電子ファイルの作成及び管理を容易にすることを基本的な課題とし,そのために次の構成を備えたものであることが認められる。・・・そして,引用発明1は,上記構\成を備えることにより,管理部署と半導体製造ライン間における工程管理情報の作成が容易になる,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の電子ファイルの流れを効率良く管理できる,半導体製造ライン及び管理部署のハード構成並びにプログラムの簡素化を図ることができる等の効果が得られるものである。・・・・そこで検討するに,引用例1には,前記のとおりの技術的事項が記載されているところ,半導体製造ラインシステムの複数の設備群管理計算機及び製品管理計算機は通信回線により情報転送可能\に接続されており,管理部署システムの複数の部署別管理計算機も通信回線により情報転送可能に接続されている。また,電子ファイル管理計算機は,半導体製造ラインシステムと管理部署システムとを接続し,複数の設備群管理計算機と複数の部署別管理計算機との間の送受信先を指定してそれぞれの電子ファイルの情報転送を管理する機能\を備えることから,電子ファイル管理計算機と半導体製造ラインシステムとの間,及び電子ファイル管理計算機と管理部署システムとの間にも,情報の転送を行う通信回線が存在するということができる。そして,計算機を通信回線により情報転送可能に接続する場合,送受信機能\を有する装置を介在させることは,コンピュータネットワークの技術分野における技術常識といえる事項であり,電子ファイル管理計算機,管理部署システムの部署別管理計算機,半導体製造ラインシステムの設備群管理計算機及び製品管理計算機は,いずれも通信回線により情報転送可能に接続されているのであるから,それぞれ送受信機能\を有する装置,すなわち「送信・受信装置」を介して情報転送可能に接続されていると認めることができる。」\n

◆判決本文

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平成18(ワ)28244 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月25日 東京地方裁判所

 パチスロ機の特許について、技術的範囲外と判断されました。
 以下,構成要件1Hの共通報知の解釈について,本件明細書1の記載を考慮しつつ検討する。
ア 本件発明1に係る特許請求の範囲の記載によれば,構成要件1Gにおいて「前記可変表\\示開始手段によって前記可変表示が開始され,前記可変表\\示停止手段によって前記可変表示が停止される1回の遊技の中で,前記入賞態様決定手段で決定された入賞態様に対応した報知情報を所定確率で遊技者に報知する報知手段を備え」と定め,これを受けて構\\成要件1Hは,構成要件1Gの「入賞態様に対応した報知情報」を共通報知とその後の報知からなるものに限定するものであることは明らかであり,そうすると,2つの異なる報知態様の各組合せが入賞態様に対応していることが必要であると解される。そして,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出については,その後の報知と合わせた報知全体として入賞態様の絞り込みが行われたとしても,それはその後の報知が入賞態様に対応していることによる結果にすぎず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出とその後の報知との組合せが入賞態様に対応しているとみることは困難である。そうすると,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,ハズレを含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが自然である。・・・上記のとおり,本件明細書1及び図面中には,遊技開始時に鳴る2種類の遊技開始音と,その後の各リール停止時における複数のリールランプ消灯パターンの組合せに対応して報知当選フラグが割り当てられ,「遊技が進行して行くのに伴って入賞態様が判明して行く」ものが開示されており,共通報知もそれ単独で,入賞態様の絞り込みができるものとなっている。また,発明の効果について「報知は各入賞態様に対して行われるため,例えば,停止ボタンの操作等が容易に行えるようになる」とし,これは共通報知により入賞態様について一定の絞り込みがされることを前提とした記載であると解される。このような本件明細書1及び図面の記載に鑑みても,共通報知というためには,それ単独であっても,入賞態様を絞り込むことのできる情報を有していなければならず,配当のない当選役(ハズレ)を含むすべての入賞態様に共通する演出のような入賞態様を絞り込む情報を有しない演出については,共通報知に当たらないものと解するのが相当である。・・・・以上のとおり,被告物件の各演出は,いずれも,共通報知を備えないか,又は,共通報知を備えていても,その後の報知を備えないものであるから,被告物件は,構\\成要件1Hを充足するものと認めることができず,本件発明1の技術的範囲に属するものということはできない。・・・・,本件発明2は,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するとされていたものを,現在の特許請求の範囲のとおり訂正されたのであって,この訂正は,遊技状態及び当選フラグを参照する方法について,これらの変数からなるデモ抽選テーブル選択テーブルを参照してデモ抽選テーブルを選択し,抽選値と乱数値を演算する方法に限定することで,特許請求の範囲を減縮するものである。すなわち,構成要件2Eは,報知態様を遊技状態及び当選フラグを参照して選択するという機能\\を果たすために,その計算処理過程を具体的に規定するものということができる。論理的には,遊技状態及び当選フラグの組合せごとにテーブル番号が割り当てられた表(デモ抽選テーブル選択テーブル)と,抽選値に報知態様が割り当てられた表\\(デモ抽選テーブル)とを1つの表に統合することは可能\\であり,かつ,これらのテーブルは,遊技状態,当選フラグ及び乱数という3つの変数によって報知態様を決定するという1つの機能を果たしていると見ることが可能\\なものである。そうであるにもかかわらず本件発明2において,デモ抽選テーブル選択テーブルとデモ抽選テーブルを別個のテーブルと位置付けていることに照らすと,本件発明2における「テーブル」は,論理的又は機能的に見て該当性を判断するのではなく,複数の変数から1つの値を抽出するための表\\を指し,あるアドレスの範囲において複数の変数から1個の値が抽出され,その抽出された値と他の変数を用いて別のアドレスの範囲において別の値が抽出される場合は,それぞれが別個のテーブルであるというべきである。以上のような解釈を前提とすると,原告が「デモ抽選テーブル選択テーブル」に当たると主張する被告物件の2つのアドレス範囲(アドレス0EC3C74Hないし0EC3F8BH及びアドレス0EC3180Hないし0EC3C73H)は,これを一体として本件発明2における「テーブル」に当たるとは評価することができず,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできない。エ また,2つのアドレス範囲を一体として「テーブル」と評価することができないことを措いたとしても,以下のとおり,被告物件は,構成要件2E−1を充足するものとは認められない。・・・以上のとおり,被告物件が「デモ抽選テーブル選択テーブル」を具備するものと認めることはできないから,その余の点について判断するまでもなく,被告物件は,本件発明2の技術的範囲に属するものということはできない。\n

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平成21(ネ)10055 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明(?)についての侵害訴訟の控訴審です。1審後に訂正審決がなされましたが、訂正後の発明に対して技術的範囲外と判断されました。
 当裁判所は,被告製品は本件訂正発明の構成要件gの「選択手段」を具備せず,また,被告製品は,本件訂正発明の均等物ではないと判断する。その理由は,以下のとおりである。・・・本件訂正発明の特許請求の範囲には,「上記携帯コンピュータは,・・・\n上記ディスプレイに表示された所定の業務名を文字画像で示す発信先一覧から選択された選択項目の名称に基づき,上記位置座標データ入力手段の位置座標データに従って,所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁の中から現在位置に最も近いものの発信先番号を選択する選択手段と,・・・を備え」と記載されている。上記特許請求の範囲の記載によれば,「選択」は,「所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁の中から現在位置に最も近いものの発信先番号」を対象としているが,「所定の業務を行う複数の個人,会社あるいは官庁」の発信先番号等の情報取得態様及び選択態様について,必ずしも明確であるとはいえない。そこで,本件訂正明細書の発明の詳細な説明を参酌する。・・・以上によれば,本件訂正発明は,従来の無線電話装置と,携帯型コンピュータとGPS利用者装置とをすべて携帯することができず,かつ相互を組み合わせてそれらを複合した機能\を得ることができないとの課題を解決するために,複合した機能を,実用的に得ることを目的とするものである。そうすると,本件訂正発明は,携帯型の情報装置がこれらの装置の機能\を複合させた機能を有することに特徴があり,機能\の一部を他のサーバ等に置くことを想定したものということはできない。そして,前記認定の本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載によれば,「携帯型コミュニケータ」は,CPUを備えた携帯コンピュータと無線電話装置とGPS利用者装置とを備えるとともに,地図情報を備えた地図データROMが接続されており,CPUにより実行される最寄発信処理においては,まず,現在位置の座標と発信先の名称が入力され,次に,地図データROMから現在位置から最も近い発信先番号を選択する処理を行い,それは,現在位置の座標と地図データROMから読み込まれた地図情報とに基づいて選択しているものと認められる。したがって,「選択手段」による「発信先番号の選択」は,携帯コンピュータのCPUが,携帯型コミュニケータ自体で取得できるデータを用いて,発信先番号の選択に係る処理を実行することを指すと解するのが相当である。以上からすると,被告製品においては,専らナビタイムサーバが,そのデータベースを用いてディスプレイに表示される発信先番号の「選択」に係る検索処理を実行しており,被告製品は,地図情報も備えておらず,構\成要件gの「選択手段」に相当する検索処理を実行することなく,単に,施設カテゴリーの選択及び現在位置情報の送信と検索結果の取得のみを行っている。したがって,被告製品は,構成要件gの「選択手段」を具備するものではなく,同構\成要件を充足しない。・・・(ア) 原告は,構成要件gは,どのメモリ領域から電話番号を選択すべきかについて何らの限定も付していないから,ネットワークのいずれの記憶領域であっても,同構\成を充足する旨主張する。しかし,構成要件gは,前記のとおり,携帯コンピュータのCPUが,携帯型コミュニケータ自体で取得できるデータを用いて,発信先番号の選択に係る処理を実行する技術を提供するものであるから,これを外部のコンピュータにデータ処理を指令して,これが送り返される態様を含むものではない。したがって,原告の主張は,理由がない。(イ) 原告は,本件訂正明細書の段落【0074】,【0104】の記載には,構成要件gでは,先方のコンピュータにデータを処理を指令してこれが送り返される技術が開示されていると主張する。しかし,原告が指摘する本件訂正明細書の段落【0074】,【0104】の記載は,電話が接続されている相手方との間でデータ交換をするというにすぎず,一方のCPUで行うべき処理を接続先のコンピュータに命令して実行させ,その結果を得るとの技術事項は記載されていない。また,上記【0074】,【0104】の記載は,構\成要件gの「選択手段」に関する記載ではなく,前記認定の本件訂正明細書の記載に他の通信装置に指令を送りデータを受け取る場合についての記載や示唆は認められない。原告の上記主張は理由がない。

◆判決本文
原審はこちらです。 ◆平成20(ワ)12952 平成21年07月10日 東京地方裁判所

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平成21(行ケ)10212 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月24日 知的財産高等裁判所 

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 上記記載によれば,引用文献1に基づく引用発明は,インターネットを利用した保険契約システムに関するものであり,上記システムは,利用者が提示された入力フォームに必要事項を入力し,次に入力した事項を含む契約確認データが利用者に提示され,利用者は内容を確認した上,同意の意味で電子署名を付し,更に利用者は保険料の支払方法を指定し,電子署名が付された契約内容確認データ及び保険料の支払方法の指定に基づいて保険契約がなされ,その旨が契約内容を含む契約完了通知データに電子署名を付して,利用者に通知されるとともに,この一連の処理の内容及び処理時刻がログデータとして記録されることにより,ウェブ上で容易かつ迅速,安全かつ確実に保険契約を行うとともに,後に契約の有無や契約内容について疑義が生じた場合にログデータによる証明を行うものであることを認めることができる。(3) 原告の主張に対する判断本願発明における証券は,投資者が債権者となって債務者である事業者の事業活動の結果得た利益の分配を受けられるようにすることなどを内容とする証券であるのに対し,引用発明の証券は旅行会社が代理して販売する保険商品(海外旅行保険)に係る証券であり,証券に表わされる権利義務の内容は異なる。また,本願発明の証券が市場で取引(売買)されることを前提としているのに対し,引用発明における保険証券は海外旅行の傷害保険であり,市場で取引(売買)がされることを前提としたものではなく,両者は流通性の点で異なる性格を有する。しかし,本願発明における証券が本願における優先権主張日当時の証券取引法2条1項各号に該当しないとしても,審決が認定した相違点1は,電子化証券の電子データに含まれる「契約内容を示すデータ」が本願発明と引用発明とでは異なるというものであるところ,上記のとおり,本願発明と引用発明では証券に表\わされる権利義務の内容が異なること,及び本願発明における証券は証券取引法2条1項各号に該当せず新規な権利関係を表わす証券であることは,電子化証券の電子データに含まれる契約内容を示すデータの変更をもたらすものではあるが,契約内容を示すデータの変更は「電子化証券発行システム」のみならず証券分野一般において取り扱う証券の契約内容の問題にすぎないのであって,特許法2条が想定する「自然法則を利用した技術思想の創作」の問題ではない。そうすると,相違点1に係る本願発明の構\成は,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が引用発明に基づいて,契約の内容を適宜取捨選択して容易に想到し得たものというべきであり,これと結論を同じくする審決の判断に誤りはない。なお,原告は,本願発明の証券は流通性を有するからこそ,証券の正当性を保証するための証券発行者の電子署名が含まれ,さらに電子証券の電子データに対してコピー・プロテクトを電子的に施すとともに,1回のみの印刷を可能とするプロテクトを電子的に施しており,本願発明の証券の流通性と電子署名やコピープロテクトや印刷回数制限の考え方は,ひとまとまりの構\成ないし技術的思想として把握すべきものであって,証券の内容や流通性との関係で技術的変更を要するものである旨主張する。しかし,証券の内容(契約内容を示すデータ)の変更が自然法則を利用した技術思想の問題ではなく,引用発明における「電子化証券発行システム」に技術的な変更を必要とさせるものでないことは前記のとおりである。また,証券の流通性故に,電子署名,電子データに対するコピー・プロテクト及び印刷回数制限が必要であるとして本願発明がこれを備えるに至ったものであり,その点において引用発明との関係で技術的変更が必要であるとしても,審決は,本願発明及び引用発明における電子化証券がいずれも「契約内容を示すデータと証券の正当性を保証するための証券発行者の電子署名が含まれた電子データ」からなる点で一致することを認定した上,コピー・プロテクト及び1回のみの印刷を可能とするプロテクトが施された電子化証券の電子データを処理するための機能\手段の有無の点を相違点2として認定した上,その容易想到性について判断している。したがって,原告の上記主張は,相違点1に関する判断の誤りをいう点においては理由がなく,採用することができない。

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平成21(行ケ)10291 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月24日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 引用発明は,「アクチュエータ22a及びアクチュエータ22b」と,制御装置を備えている自動車であるのに対し,本願補正発明は,「a)流体治療装置及び流体源の一方または両方と,b)患者と上記流体治療装置及び流体源の一方または両方との間で流体を輸送するための流体路」と,制御装置を備えている薬液管理装置であるが,上記(1)のとおり,流体治療装置及び流体源の一方または両方と,患者と上記流体治療装置及び流体源の一方または両方との間で流体を輸送するための流体路と,少なくとも二つのプロセッサシステムを有する薬液管理装置は,本件特許出願の優先日(平成11年11月9日)当時,よく知られていたものと認められる上,ソフトウェアプログラムの更新という点では,自動車であるか,薬液管理装置であるかで格別異なる点があるとも認められないから,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)は,相違点1に係る構\成を容易に想到することができたというべきである。この点について,原告は,薬液管理装置においては患者を危険にさらすことなく治療が行われるように構成することが要求されている旨の主張をするが,ソ\フトウェアプログラムの更新を始めとする装置のメンテナンスが確実に行われなければならないことは,薬液管理装置に限らないソフトウェアプログラムを用いる装置に共通する一般的な課題であって,上記のとおり自動車であるか薬液管理装置であるかで格別異なる点があるとは認められない。\n

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平成20(ネ)10085 特許権侵害差止等請求控訴事件 特許権 民事訴訟 平成22年03月24日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明についての侵害判断です。インターネットにおいて、クライアントからのリクエストに応じて、サーバが情報を配信することについて、侵害しているのは誰かが1つの争点となりました。裁判所は、サーバ運営者が侵害主体であると判断しました。
 被控訴人が本件特許権の侵害主体であるか否かについて検討する。本件特許に係る発明の名称は「インターネットサーバーのアクセス管理およびモニタシステム」とされており,上記2(1)アのとおり,本件発明に係る特許請求の範囲の記載から,本件発明における「アクセス」が「インターネットよりなるコンピュータネットワークを介したクライアント」による「サーバーシステムの情報ページ」に対するものであることが明らかである上,構成要件BないしFに規定される各段階は,本件発明において提供される「アクセス」が備える段階を特定するものであると解されるから,このような本件発明の実施主体は,上記のような「アクセスを提供する方法」の実施主体であって,被控訴人方法を提供して被控訴人サービスを実施する被控訴人であると解するのが相当である。(2) この点について,被控訴人は,被控訴人方法を使用しているのはパソコンのユーザーであって,被控訴人ではないから,被控訴人は本件発明の実施主体ではないとして,本件特許権を侵害していないと主張するが,その主張は,要するに,「アクセス」はクライアント(ユーザーのパソ\コン)によって行われる行為であるから,本件発明の実施主体は,インターネットよりなるコンピュータネットワークのユーザーであるクライアントであって,被控訴人ではないという趣旨に解される。しかしながら,上記のとおり,本件発明は「アクセス」の発明ではなく,「アクセスを提供する方法」の発明であって,具体的にクライアントによるアクセスがなければ本件発明に係る特許権を侵害することができないものではない。また,本件発明に係る「アクセスを提供する方法」が提供されている限り,クライアントは,被控訴人方法として提供されるアクセス方法の枠内において目的の情報ページにアクセスすることができるにとどまるのであり,クライアントの主体的行為によって,クライアントによる個別のアクセスが本件発明の技術的範囲に属するものとなったり,ならなかったりするものではないから,クライアントの個別の行為を待って初めて「アクセスを提供する方法」の発明である本件発明の実施行為が完成すると解すべきでもない。そうすると,被控訴人による「アクセスを提供する方法」が本件発明の技術的範囲に属するのである以上,被控訴人による被控訴人方法の提供行為が本件発明の実施行為と評価されるべきものである。(3) そして,甲60及び弁論の全趣旨によると,平成21年10月19日の時点において,被控訴人は現に被控訴人方法を実施していることが認められるから,被控訴人は本件特許権を侵害する者であると認められる。したがって,控訴人は,被控訴人に対し,特許法100条1項に基づき,被控訴人方法による被控訴人サービスの提供の停止を請求するとともに,同条2項に基づき,被控訴人サービスに供された「NLIA サーバー」の除却及び「登録情報データベース」の消去を請求することができるといわなければならない。なお,控訴人は「NLIA サーバー」及び「登録情報データベース」のいずれについても除却を求めているが,「NLIA サーバー」について,これが除却の対象となり得るかどうかは同サーバーの設置・管理の状況によるものであり,共用サーバーの一部が当該サーバーとして利用されている場合,サーバー全体の除却ではなく,当該利用部分がその機能を果たさなくなるようにプログラムを削除したり消去したりすることによって対応すべきものである。上記において「NLIA サーバー」の除却とは,上記のような意味を含むものである。また,「登録情報データベース」については,「データベース」の性質上,除却の対象になじまないと考えられるところ,控訴人の請求はデータベースの機能を喪失させることを求めるものと解されるから,上記のとおり,同データベースの消去を認めるのが相当である。\n

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平成21(行ケ)10288 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月24日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明(?)について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 原告は,甲2文献及び甲3文献に記載された発明は,本願発明とは異なる技術思想に基づくものであり,構成も異なると主張する。しかし,前記2及び上記(1)(2)によれば,本願発明,引用発明並びに甲2文献及び甲3文献に記載された技術は,いずれも複数の情報端末表示装置を複数の者の間のコミュニケーションツールとして使用することに関する発明であって,その手段として複数の表\示装置に同じ映像が表示されることがあり,その点においては共通していることが認められる。そうすると,本願発明とは異なる技術思想や構\成に基づくものとはいえず,原告の上記主張は採用することができない。

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平成21(行ケ)10185 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月24日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
 上記(1)によれば,刊行物2に記載されている「警報パターン」は,無線受信機における着信時の報知音であって,楽曲を含むと認められるところ,刊行物2に記載されている発明は,メッセージデータを受信する無線受信機において,楽曲を含む「警報パターン」を再プログラミングするための新しいかつ改良された方法であって,それは,送信機から無線受信機に,利用者が予め選択した,楽曲を含む「警報パターン」を送信し,無線受信機において当該「警報パターン」がメモリに再プログラムされて置き換えられるというものであると認められる。そうすると,引用発明2は,利用者が予\め選択した,着信時の報知音として使用されるメロディのデータを着信するものであると認められる。また,そのデータがメモリに再プログラムされて置き換えられるということは,そのデータが記憶部に格納されるということができる。なお,原告は,引用発明2は,警報パターンを再プログラムして置き換えるものであるから,メッセージのデータを着信するアドレスとは異なるアドレスでメロディのデータを着信して記憶部に追加して格納するという本件発明の技術思想とは異質であると主張するが,上記のとおり,引用発明2は,メッセージデータを受信する無線受信機において,利用者が予め選択した,着信時の報知音として使用されるメロディのデータを着信して,記憶部に格納するというものであるから,本件発明と技術思想において共通するということができ,後記5のとおり,引用発明1と組み合わせて本件発明を容易に想到することができたということができるものである。・・・・引用発明1と引用発明2は,ともに,i)無線受信機という同一の技術分野に属し,ii)新たな着信時の報知音として使用されるメロディのデータを取得することを目的としている点で,発明の課題が共通し,iii)着信時の報知音として使用するメロディのデータを取得して記憶部に格納する点で,機能・作用も共通しているから,引用発明1と引用発明2を組み合わせることができるというべきである。原告は,引用発明2の目的は,無線受信機の外部からメロディのデータを供給して再プログラムして置き換える点にあり,ユーザーが選択呼出受信機で自ら好みのメロディを作曲するという引用発明1の目的とは反すると主張するが,引用発明1と引用発明2には,原告が主張するような違いがあるとしても,そのことをもって,引用発明1に引用発明2を結びつけることに阻害要因があるということはできず,引用発明1と引用発明2には,上記のとおり共通点があるから,それらを組み合わせることができるというべきである。\n

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平成21(行ケ)10117 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月18日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとの審決が維持されました。
 原告は,本願発明の請求項1の「前記副次データは,前記副次データの作成・修正を行う者の端末により,直接,前記副次データファイルより取出されて,作成・修正が行われて,再度前記副次データファイルに保存され,」という記載の意味について,「端末より副次データを修正」するとは,サーバに格納されているファイルから直接データを取り出し,修正・保存することを意味するのであって,ファイルの転送という概念は含んでいない旨主張する。しかしながら,本願発明の請求項1の記載からすれば,「‥‥端末により,直接,‥‥修正が行われて」の意味につき,サーバに格納されているファイルから直接データを取り出し,それを修正・保存する者の端末により,直接修正・保存することのみに限定されると一義的に解釈することはできず,むしろ,「直接」の文言を素直に読めば,それは,サーバ上のデータに個人の端末がインターネットにより直接アクセスすることができるという程度の意味とも解し得る。そこで,本願明細書の発明の詳細な説明を参酌すると,そこには「直接」という用語を定義するような記載はみあたらず,むしろ,前記1(1) クのとおり,本願明細書には,「副次データ12が‥‥音声情報のときは,音声情報ファイル‥‥を別途作成し」「副次データ12が‥‥画像情報のときも同様に,画像情報ファイル‥‥を別途作成し」と記載されているから,発明の詳細な説明を参酌する限り,本願発明の「副次データ」は,データそのもののみならず,ファイルという形態をも含むものであると認められる。また,前記1(1) コのとおり,本願明細書には,「複数の副次データ12が第2のサーバ42bの副次データファイル48に格納されており」と記載されているから,発明の詳細な説明を参酌する限り,本願発明の「副次データファイル」は,複数のファイルを格納するものをも含むものであると認められる。さらに,前記1(1) ケのとおり,本願明細書には,「‥‥,翻訳者の自宅のパソコン等で容易かつ短時間に副次データ12を作成し,自宅からインターネットを通じて依頼者に即座に届けることができる」と記載されているところ,翻訳者の自宅から即座に依頼者に届け出るとの記載は,ファイルとして直接交付する意味と解され,少なくとも,副次データをサーバ上に置いたままである状態を意味するものではないと解される。そうすると,本願発明の「前記副次データは,前記副次データの作成・修正を行う者の端末により,直接,前記副次データファイルより取出されて,作成・修正が行われて,再度前記副次データファイルに保存され」るとの記載には,サーバからファイルを取り出し,端末でファイルを修正し,ファイルを保存することも含まれるものと認めるのが相当である。\n

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平成21(行ケ)10068 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月08日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について進歩性なしとした審決が維持されました。
 「HTTPサーバであるApache」が,通常,ブラウザからの要求を受けてホームページのHTMLファイルなどを転送することは,「既存情報処理手段」が「情報処理」することに相当する。引用発明1の「誤ったURLを指定した場合」は,「エラーが発生した時」に相当する。引用発明1で「誤ったURLを指定した場合」,CGIを使ったものを表示させるためには,当然にErrorDocumentで指定されたCGIプログラムを実行しているものであって,このCGIプログラムの実行はHTTPサーバであるApache(そのhttpdプログラム)とは別の情報処理手段に処理を分岐させることに相当する。また,CGIプログラムを実行させるのは,HTTPサーバであるApacheが誤ったURLの指定を検出した場合と解されるから,引用発明1も既存情報処理手段における情報処理結果の一部または全部を利用しているといえる。以上から,両者の一致点,相違点は次のとおりである。
<一致点>
「既存情報処理手段が情報処理するに際して前記既存情報処理手段における情報処理結果の一部または全部を利用して処理を行う別の情報処理手段と,エラーが発生した時に前記既存情報処理手段から別の情報処理手段へと処理を分岐させる分岐手段とを備える装置」
<相違点1>
本願発明14においては,既存情報処理手段に対して,その外に外部情報処理手段があるのに対して,引用発明1では,既存情報処理手段に相当するWWWサーバが,別の情報処理手段に相当するCGIプログラムを備えている点。
<相違点2>
本願発明14は「機能拡張装置」の発明であるのに対して,引用発明1はWWWサーバである点。
イ<相違点1>についての判断
誤ったURLを指定した場合に実行されるCGIプログラムは,既存情報処理手段であるHTTPサーバであるApache(そのhttpdプログラム)によりその実行を制御される別のプログラムであって,エラードキュメントの表示に関して付加的な情報処理手段を構\成しているから,既存情報処理手段に対して外部情報処理手段といえるものである。また,情報処理分野において,付加的な情報処理手段を既存の情報処理手段に対して外部の情報処理手段として構成することは,何ら格別なことではなく適宜の設計事項である。よって,引用発明1のCGIプログラムを既存情報処理手段に相当するWWWサーバに対して外部情報処理手段として構\成することは,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)が容易に想到し得ることである。
ウ<相違点2>についての判断
前記のとおり,引用発明1のCGIプログラムは,HTTPサーバであるApache(そのhttpdプログラム)に対して付加的な情報処理手段を構成し,CGIプログラムに記述された処理を行い,所定の表\示をする機能を付加するものであるから,HTTPサーバであるApache(そのhttpdプログラム)に対して機能を拡張しているといえる。よって,引用発明1においてCGIプログラムによる処理を行う構\成は,本願発明14の機能拡張装置に相当するといえるものである。
エ 以上によれば,本願発明14は引用発明1から当業者が容易に想到することができたものであると認めるのが相当である

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平成21(行ケ)10192 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月02日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について進歩性なしとの審決が維持されました。
上記(ア)記載のとおり,引用例3には,最終来店日,来店回数及び売上金額に応じて顧客をスコア化して評価し,評価に応じた種類のクーポン券をボーナスとして送付して,顧客の固定化,来店促進,売上増又は顧客の再来店を図る営業上の手法が開示されており,以上からすれば,営業上の手法として,顧客を優遇するに当たり,来店回数及び取引額を条件として設定することが知られていたといえる。
エ 商業を営む者にとって,売上げを促進することは一般的・普遍的な課題であって,その上で,営業上の具体的な課題を設定し,同課題を解決するための手法を創意工夫することは,営業における一般常識といえることである。そして,前記アないしウによれば,期間,取引額又は複数日の取引(取引回数)を組み合わせて条件として設定し,所定の条件を満たした顧客を優遇することにより,顧客の購買行動を誘導する,様々な営業上の手法が知られていたものである。このような一般常識及び営業上の手法を前提とすれば,「一定期間の間に,一定額以上の取引を複数日において行う顧客」を得意客と取り決めて優遇することは,顧客の購買行動を誘導するための営業上の手法の一つということができ,また,条件を満たした顧客を優遇することにより,日ごとの取引量あるいは取引額が一定以上になるように購買行動が誘導され,ひいては営業の安定化が図られることは,商業を営む者にとって,当然に考慮し得ることである。したがって,審決が,「一定期間(例えばひと月)の間に,一定額以上の取引を複数日において行う顧客を優遇することにより,日ごとの取引量が一定以上になるように得意客を誘導し,営業の安定を図る」ことが,商業を営む者が考慮し得る「営業上の一手法」であると認定したことが誤りとはいえない。

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