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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

コンピュータ関連発明

◆平成20(行ケ)10107 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年10月30日 知的財産高等裁判所

   CS関連発明について、記載不備、進歩性なしとした審決を維持しました。ただ、36条の記載不備については下記のような付言がなされています。
  「なお,審決が特許法36条6項2号該当性の有無について判断した点について付言する。特許法36条6項2号は,特許請求の範囲の記載において,特許を受けようとする発明が明確でなければならない旨を規定する。同号がこのように規定した趣旨は,特許請求の範囲に記載された発明が明確でない場合には,特許発明の技術的範囲,すなわち,特許によって付与された独占の範囲が不明となり,第三者に不測の不利益を及ぼすことがあるので,そのような不都合な結果を防止することにある。そして,特許を受けようとする発明が明確であるか否かは,特許請求の範囲の記載のみならず,願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し,また,当業者の出願当時における技術的常識を基礎として,特許請求の範囲の記載が,第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるかという観点から判断されるべきである。
 ところで,審決は,請求項1(1)についての「コード番号を付してコード化し」,「暗号化し」,「転送する」などの記載,請求項1(2)についての「平文化できる範囲を設定し」などの記載,請求項1(3)についての「顧客個人情報を登録し」,「再暗号化して登録する」,「階層別に管理する」などの記載,請求項1(5)についての「登録してデーターベース化し」などの記載が,「人間がPCを操作して行う処理であるとも,PCが人間を介さず自動的に行う処理であるとも解することができ,そのいずれを意味しているのかが不明であるため,その特定しようとする事項が明確でないから,特許法36条6項2号に規定する要件を満たさない」と判断した。
 しかし,審決の上記判断は,その判断それ自体に矛盾があり,特許法36条6項2号の解釈,適用を誤ったものといえる。すなわち,審決は,本願発明の請求項1における上記各記載について,「人間がPCを操作して行う処理であるとも,PCが人間を介さず自動的に行う処理であるとも解することができ(る)」との確定的な解釈ができるとしているのであるから,そうである以上,「そのいずれを意味しているのかが不明であるため,その特定しようとする事項が明確でない」とすることとは矛盾する。のみならず,審決のした解釈を前提としても,特許請求の範囲の記載は,第三者に不測の不利益を招くほどに不明確であるということはできない。むしろ,審決においては,自らがした広義の解釈(それが正しい解釈であるか否かはさておき)を基礎として,特許請求の範囲に記載された本願発明が,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものといえるか否か(特許法2条1項),産業上利用することができる発明に当たるか否か(29条1項柱書)等の特許要件を含めて,その充足性の有無に関する実質的な判断をすべきであって,特許法36条6項2号の要件を充足しているか否かの形式的な判断をすべきではない。前記のとおり,その判断の結果にも誤りがあるといえる。」

◆平成20(行ケ)10107 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年10月30日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10374 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年08月28日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、進歩性なしとした審決が維持されました。
  

◆平成19(行ケ)10374 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年08月28日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10327 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年08月28日 知的財産高等裁判所 

  CS関連発明について、成立性違反、進歩性違反で拒絶した審決を維持しました。ただ、29条1項柱書違反について、「当裁判所は,本願補正発明が法2条1項に規定する発明に該当しないとした審決の判断を正当とするものではないが,事案にかんがみ,まず,原告ら主張の取消事由1のうち,進歩性がないとした判断(理由(1)イ)の誤りの有無について検討する。」としたのが気になります。
  補正却下されたクレームです。
【請求項1】商品の販売元が彩色商品カタログのデジタル・データ情報を,インターネット通信販売システムを介して送信し,この商品カタログのデジタル・データを受信した消費者が自己のパソコンのモニタに表\示された商品カタログのデジタル画像を見て,その中から購買希望の商品を選択して,販売元にその選択された商品の注文情報を送信することにより所望の商品を購入するインターネット通信販売システムを介 する商品の販売方法であって, (イ)販売元が少なくとも一つの彩色商品の見本画像と色変化尺度としての基準色画像を組込んだ商品カタログを作成し,この商品カタログのカラー画像データをデジタル商品カタログとしてインターネット通信販売システムを介して消費者に送信し, (ロ)このデジタル商品カタログを受信した消費者が,受信データをパソコンのモニタにデジタル画像として表\示し, (ハ)この消費者が,パソコンを操作してモニタに表\示されたデジタル商品カタログの基準色画像の色を自己が所有する印刷された前記基準色画像の色に実質的に合致させ,同時に色が調整されたモニタ表示のデジタル商品カタログの彩色商品画像の中から所望の商品を選択して,販売元にその選択された商品の注文情報を送信することを特徴とするインターネット通信販売システムを介する商品の販売方法。」

◆平成19(行ケ)10327 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年08月28日 知的財産高等裁判所 

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◆平成20(行ケ)10001 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年08月26日 知的財産高等裁判所

   発明成立性なしとして拒絶された審決が取り消されました。審決はCS基準における成立性を満たしていないので成立性無しと判断しましたが、裁判所は、CS基準における成立性の是非については検討することなく、成立性ありと判断しました。
 「のみならず,前記のとおり,本願の特許請求の範囲の記載においては,対象となる対訳辞書の特徴を具体的に摘示した上で,人間に自然に具わった能力のうち特定の認識能\力(子音に対する優位的な識別能力)を利用することによって,英単語の意味等を確定させるという解決課題を実現するための方法を示しているのであるから,本願発明は,自然法則を利用したものということができる。」

◆平成20(行ケ)10001 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年08月26日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10429 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年07月23日 知的財産高等裁判所

   CS関連発明に関して、発明の成立性、記載不備および進歩性を理由になされた拒絶審決の取り消し訴訟について、裁判所は、周知技術から進歩性なしとして審決を維持しました。
 「審決は,上記第2の3のとおり,請求項1の発明は,?@「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当せず,?A明確であるとも認められず,?B本願明細書の発明の詳細な説明が,当業者が容易に実施できる程度に明確かつ十分に記載されているとは認められないとしたほか,?C本願発明は,引用例に記載された発明及び周知技術等に基づいて当業者が容易に発明をすることができたと判断したものであるところ,審決の上記?@〜?Cの判断の関係については,審決が「仮に,請求項1に係る発明が,特許法上の発明である『自然法則を利用した技術思想の創作』に該当し,かつ,明確であるとしても,・・・請求項1に係る発明は,引用例1に記載された発明,引用例2に記載された事項,上記周知技術,上記周知事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」としているところから明らかなように,上記?Cの判断は,上記?@〜?Bの判断を前提としないものであり,仮に上記?@〜?Bの判断の誤りをいう取消事由1〜3に理由があったとしても,取消事由4に理由がなければ,本訴請求は棄却されるべき性質のもの,すなわち,審決の取消しに至るためには,上記?Cの判断が誤りであることが不可欠であるという関係にある。そこで,まず,取消事由4について検討する。」

◆平成19(行ケ)10429 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年07月23日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10403 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年07月23日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明(?)について、「〜手段」の記載がサポート要件違反(36条6項1号)、不明瞭(同2号)、29−2違反が争われましたが、裁判所は、36条6項1号、2号については、審決の判断は誤りであると認定し、一部の審決を取り消しました。  
  「本件請求項1の記載のうち「ROM又は読み書き可能な記憶装置に,前記自動起動スクリプトを記憶する手段」という文言の解釈につき当事者間に争いがあるので,まずこの点について検討する。ア 本件請求項1の記載を全体として捉えると,本件請求項1の「着脱式デバイス」は,「所定の種類の機器が接続されると,その機器に記憶された自動起動スクリプトを実行するコンピュータ」の汎用周辺機器インタフェースに着脱されるものであって,前記汎用周辺機器インタフェースに接続された際に「前記コンピュータからの機器の種類の問い合わせ信号に対し,前記所定の種類の機器である旨の信号を返信」するなどして,「前記コンピュータに前記自動起動スクリプトを起動させる手段」を備えるものである。したがって,「自動起動スクリプト」は,「所定の種類の機器」を用いる場合にはその機器に記憶され,コンピュータによって起動されるものであり,同様に,本件請求項1の「着脱式デバイス」を用いる場合には,着脱式デバイスに記憶され,コンピュータによって起動されるものである。そして,本件請求項1の「着脱式デバイス」は,「主な記憶装置としてROM又は読み書き可能\な記憶装置を備え」るものであり,「前記ROM又は読み書き可能な記憶装置に,前記自動起動スクリプトを記憶する」と記載されていることに照らせば,「自動起動スクリプト」は着脱式デバイスの主な記憶装置であるROM又は読み書き可能\な記憶装置に記憶されるものである。イ ところで,一般に「手段」とは,「目的を達するための具体的なやり方」を意味するものである(広辞苑第6版)ところ,本件請求項1における「ROM又は読み書き可能な記憶装置に,前記自動起動スクリプトを記憶する手段」との記載が,「前記コンピュータに前記自動起動スクリプトを起動させる手段」,「前記コンピュータから前記ROM又は読み書き可能\な記憶装置へのアクセスを受ける手段」とともに併記されたものであることからすれば,上記「記憶する手段」が,「ROM又は読み書き可能な記憶装置に前記自動起動スクリプトを記憶する」という目的を達するための具体的なやり方を意味するのか,それとも本件特許発明1全体の目的を達するための構\成要素の一つを意味するのか,いずれに解することも可能であって,特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができない場合に当たる。ウそこで,本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を参酌して,本件請求項1の「ROM又は読み書き可能\な記憶装置に,前記自動起動スクリプトを記憶する手段」の解釈につき検討する(なお,被告は,特許法36条6項1号該当性の判断をするに当たって発明の詳細な説明の記載を参酌すべきではないと主張するが,最高裁平成3年3月8日第二小法廷判決〔民集45巻3号123頁〕も判示するように,特許を受けようとする発明の要旨を認定するのに特許請求の範囲の記載のみではその技術的意義が一義的に明確に理解することができない場合には,発明の詳細な説明の記載を参酌することは許されると解する。・・・以上の記載によれば,本件特許発明1は,USBメモリ等の着脱式デバイスをコンピュータに接続した際に,煩雑な手動操作を要することなく自動起動スクリプトに記述された所定のプログラムを自動実行させることを課題とするものであり,かかる課題の解決手段として,自動起動スクリプトを着脱式デバイスの記憶装置内に予め記憶し,コンピュータからの問い合わせに対してCD−ROMドライブなど自動起動スクリプト実行の対象機器である旨の信号(擬似信号)を返信することによって,コンピュータが着脱式デバイスの記憶装置内に記憶された自動起動スクリプトを起動させるという構\成を備えたものであることが認められる。そして,かかる解決手段を実現するためには,自動起動スクリプトは,着脱式デバイスがコンピュータに接続されたときにコンピュータから読み出すことが可能な状態でデバイスの記憶装置内に記憶されていることが必要であり,かつ,それで足りる。そうすると,ROM等の記憶装置が,その製造時に自動起動スクリプトを記憶するものであっても,上記解決手段を実現するのに何ら差し支えなく,また,ROM等の記憶装置の製造後に自動起動スクリプトを記憶させなければならないとすることは,上記解決手段の実現にとって特段の意味を有しないものである。(ウ) したがって,本件請求項1の「ROM又は読み書き可能な記憶装置に,前記自動起動スクリプトを記憶する手段」という文言は,「ROM又は読み書き可能\な記憶装置に自動起動スクリプトを記憶する」という目的を達するための具体的なやり方を意味するものと解すべきではなく,本件特許発明1の目的を達するための構成要素の一つとして「自動起動スクリプトがROM又は読み書き可能\な記憶装置に記憶されている状態であること」を意味するものと解釈すべきである。」

◆平成19(行ケ)10403 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年07月23日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10369 審決取消請求事件 特許権 平成20年06月24日 知的財産高等裁判所

 裁判所は、コンピュータ診断(CS関連発明(?))について、発明ではないとした審決を取り消しました
 「ウ ところで,特許の対象となる「発明」とは,「自然法則を利用した技術的思想の創作」であり(特許法2条1項),一定の技術的課題の設定,その課題を解決するための技術的手段の採用及びその技術的手段により所期の目的を達成し得るという効果の確認という段階を経て完成されるものである。したがって,人の精神活動それ自体は,「発明」ではなく,特許の対象とならないといえる。しかしながら,精神活動が含まれている,又は精神活動に関連するという理由のみで,「発明」に当たらないということもできない。けだし,どのような技術的手段であっても,人により生み出され,精神活動を含む人の活動に役立ちこれを助け,又はこれに置き換わる手段を提供するものであり,人の活動と必ず何らかの関連性を有するからである。そうすると,請求項に何らかの技術的手段が提示されているとしても,請求項に記載された内容を全体として考察した結果,発明の本質が,精神活動それ自体に向けられている場合は,特許法2条1項に規定する「発明」に該当するとはいえない。他方,人の精神活動による行為が含まれている,又は精神活動に関連する場合であっても,発明の本質が,人の精神活動を支援する,又はこれに置き換わる技術的手段を提供するものである場合は,「発明」に当たらないとしてこれを特許の対象から排除すべきものではないということができる。・・・・カ 以上によれば,請求項1に規定された「要求される歯科修復を判定する手段」及び「前記歯科修復の歯科補綴材のプレパラートのデザイン規準を含む初期治療計画を策定する手段」には,人の行為により実現される要素が含まれ,また,本願発明1を実施するためには,評価,判断等の精神活動も必要となるものと考えられるものの,明細書に記載された発明の目的や発明の詳細な説明に照らすと,本願発明1は,精神活動それ自体に向けられたものとはいい難く,全体としてみると,むしろ,「データベースを備えるネットワークサーバ」,「通信ネットワーク」,「歯科治療室に設置されたコンピュータ」及び「画像表示と処理ができる装置」とを備え,コンピュータに基づいて機能\する,歯科治療を支援するための技術的手段を提供するものと理解することができる。キ したがって,本願発明1は,「自然法則を利用した技術的思想の創作」に当 たるものということができ,本願発明1が特許法2条1項で定義される「発明」に該当しないとした審決の判断は是認することができない。」

◆平成19(行ケ)10369 審決取消請求事件 特許権 平成20年06月24日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10366 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟

 ゲーム装置(CS関連発明)の進歩性に関する判断です。裁判所は進歩性なしとした審決を維持しました。
 「上記の検討によれば,引用発明の適用対象である仮想現実技術と,周知 のゲーム装置における画像処理方法とでは,仮想現実技術として技術分野 が共通し,また引用発明も周知のゲーム装置における画像処理方法が有す る技術的課題を解決する方法であるといえることから,引用発明を周知の ゲーム装置における画像処理方法に適用することにより本願発明の構成とすることは当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有\nする者)にとり容易であるとした審決の判断に誤りはない。」

◆平成19(行ケ)10366 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成20年06月18日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10294 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月25日 知的財産高等裁判所

  CS関連発明の進歩性が否定されました。
  なお、本事件は、出願時の補正が新規事項であるとして拒絶した前拒絶審決を取り消した判決が確定していますが(◆H17.12. 8 知財高裁 平成17(行ケ)10393 特許権 行政訴訟事件)、当該審判中で再度、29条2項違反の拒絶理由を通知すべきとまではいえないとも判断しました。
 「引用例1は,通信ネットワークを用いた商品販売方法における商品一覧表を問題とするところ,本件出願当時,そのような通信ネットワークを用いた商品販売方法\nにおいて,通信ネットワークとしてインターネットを想定することは当業者が設計 事項としてするような事項であるし,また,そのように通信ネットワークとしてイ ンターネットを使用するとき,商品一覧表のデータの入力に際し,インターネットにおいてごく普通に使用されている言語であるHTMLの編集等に用いられるHT\nMLエディタを使用することは当業者が設計事項としてするようなことであったと 認められる。そうすると,当業者は,引用例1の商品一覧表の作成に当たり,引用例7を適用し,本願補正発明の構\成に容易に想到することができたというべきである。」
 「原告は,特許庁が,平成14年5月21日付けの最後の拒絶理由通知にお いて進歩性を否定しなかったにもかかわらず,その後発明の進歩性を否定する主張 をすることを問題とするのであるが,これは,特許庁が,補正について,特許法1 7条の2第3項に違反すると判断した場合でも,その他に,特許法29条について の拒絶理由があると示さなければ,その後,特許法29条を理由として特許出願の 拒絶をしてはならない旨の主張と解される。これは,結局,特許庁は,補正につい て,特許法17条の2第3項に違反すると判断した場合でも,その判断が誤りであ る可能性を考慮して,補正後の発明について特許法29条の拒絶理由があると考えるなら,そのことを拒絶理由通知,拒絶査定で示すべきであり,そのような手続を\n経なければ,その後,特許法29条の拒絶理由に基づいて拒絶してはならないとい うものである。 しかし,特許法17条の2第3項に違反した補正がされれば,そのことのみによ って特許出願は拒絶査定されるのであるから,特許庁は自らの判断が誤りであるこ とを前提として予備的に特許法29条の判断をしなければならないとまではいえない。また,特許請求の範囲について. 特許法17条の2第3項に違反した補正がさ れた場合には,特許法29条の判断の基礎となる発明が補正前と異なることから, 上記のように必ず特許法29条について予備的に判断しなければならないとすると,新たな審査を要する場合も多いのであり,このことを考慮すると,特許法17条の\n2第3項に違反する補正がされたと判断する場合に特許庁は自らの判断が誤りであ ることを前提として必ず予備的に特許法29条の判断をしなければならないとすることが合理的であるとはいえない。」\n

◆平成19(行ケ)10294 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月25日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10185 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月25日 知的財産高等裁判所

   CS関連発明について、当業者が容易にできた発明ではない(進歩性あり)とした審決を取り消しました。
「上記イ(エ)において,審決は,孤立点のチェック,報知表示につい\nて,閉ループとして抽出されなかった図形であるか否かと無関係に孤立点がチェックされる ものを本件特許発明1の構成と異なると記載していて,本件特許発明1について,閉ループとして抽出されなかった図形と孤立点のチェックを関係付けている。\nしかし,前記(8)のとおり,報知表示するためにどのように「不連続となる始点及び終点」を発見するかが,特許請求の範囲に一義的に直接,記載されているもの\nではないし,発明の詳細な説明においてもその具体的な手法の記載はなく,第2の 実施例とされているものにおいては,不連続部の修正作業に関連し,点データへ接 続する線分の本数を検出して孤立点を検出することが記載されている。これらによ れば,本件特許発明1は,閉ループとして抽出されなかった図形と孤立点のチェッ クを関係付けることまで規定したものと限定することはできない(なお,原告は, 報知表示の対象となる孤立点の検索方法がいかなる方法であっても,閉じていない面データの中に存在している不連続点ないし孤立点を報知表\示すれば,当該構成要\n件は充足されるとし,補助参加人も,何らかの方法で孤立点を検索し,閉じていな い面データの不連続点を報知表示すれば足りる旨主張する。)。また,上記イ(オ)において,審決は,甲2文献のダングリングノートと本件特許 発明1の不連続となる始点及び終点が一致しないことを述べている。 ここで,本件特許発明1の不連続となる始点及び終点については,必ずしも明確 ではないのであるが,前記( )イのと8 おり,本件特許発明1において,「不連続と なる始点及び終点」は,点データから出る線データが一本のみである孤立点と一致 するものと一応認められ,そうすると,これは,単一のアークのみのノードとなっ ているものであるから,甲2文献のダングリングノードと同じものとなる。 さらに,上記イ(カ)においては,審決は,本件特許発明1が,孤立点を求めるた めに線分を所定方向に探索することを前提としていると解釈できるが,前記(8)の とおり,構成要件1Eにおいて,不連続となる始点及び終点の報知表\示に当たり, 線分を所定方向に接続することによって,不連続点を求めることが規定されている ものではない。 エ上記に照らすと,審決は,実質的に,本件特許発明1の要旨を誤って認定 しており,これらは,その内容に照らしても,審決の結論に影響を及ぼすものであ る。」

◆平成19(行ケ)10185 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月25日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10226 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月31日 知的財産高等裁判所

  CS関連発明について進歩性無しとした審決が維持されました
  

◆平成19(行ケ)10226 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月31日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10194 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月31日 知的財産高等裁判所

  CS関連発明について進歩性無しとした審決が維持されました。
  問題となったクレームは以下の通りです。 
 「ユーザ認証システムを有するネットワークにして, 複数のユーザ・モードの下でプログラムを実行するオペレーティング・ システムを有するウェブ・サーバと, プログラム実行リクエストと共にユーザ情報を前記ウェブ・サーバに処 理依頼する機構を有するウェブ・クライアントと,最初はデフォルト・ユーザ・モードの下で実行され,前記ユーザ情報を\n検査する機能,前記ウェブ・サーバにおける前記オペレーティング・システムに非デフォルト・ユーザ・モードの下で該プログラムを動的に実行さ\nせる機能,及び前記ウェブ・クライアントに前記ユーザ情報を戻す機能\を 前記ウェブ・サーバに実現させるプログラムと, を含むネットワーク。」

◆平成19(行ケ)10194 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年03月31日 知的財産高等裁判所

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◆平成19(行ケ)10239 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年02月29日 知的財産高等裁判所

  ハッシュ法によりコンピュータ処理を高速に行うための計算手法(アルゴリズム)に関する発明が,29条1項柱書にいう「発明」に該当するかが争われました。
 裁判所は、CS基準に合致しないとして発明に該当しないとした審決を維持しました。
 「上記数学的課題の解法ないし数学的な計算手順(アルゴリズム)そのものは,純然たる学問上の法則であって,何ら自然法則を利用するものではないから,これを法2条1項にいう発明ということができないことは明らかである。また,既存の演算装置を用いて数式を演算することは,上記数学的課題の解法ないし数学的な計算手順を実現するものにほかならないから,これにより自然法則を利用した技術的思想が付加されるものではない。したがって,本願発明のような数式を演算する装置は,当該装置自体に何らかの技術的思想に基づく創作が認められない限り,発明となり得るものではない(仮にこれが発明とされるならば,すべての数式が発明となり得べきこととなる。)。この点,本願発明が演算装置自体に新規な構成を付加するものでないことは,原告が自ら認めるところであるし,特許請求の範囲の記載(前記第3,1(2))をみても,単に「ビットの集まりの短縮表現を生成する装置」により上記各「演算結果を生成し」これを「出力している」とするのみであって,使用目的に応じた演算装置についての定めはなく,いわば上記数学的なアルゴリズムに従って計算する「装置」という以上に規定するところがない。そうすると,本願発明は既存の演算装置に新たな創作を付加するものではなく,その実質は数学的なアルゴリズムそのものというほかないから,これをもって,法2条1項の定める「発明」に該当するということはできない。」

◆平成19(行ケ)10239 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年02月29日 知的財産高等裁判所

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