知財みちしるべロゴマーク
知財みちしるべトップページへ

更新メール
購読申し込み
購読中止

知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商品形態

平成24(ワ)8972 不正競争行為差止等請求事件 不正競争 民事訴訟 平成25年05月30日 大阪地方裁判所

 不競法の商品形態模倣(3号)について、差止および損害賠償が認められました。
 被告らは,バッグ業界において,バッグの形態における外形上の設計的事項や内部構造は適宜選択・変更されるのであって,これらを外形上の基本的形態と組み合わせることは慣行化され,一般的に行われていることであるとした上で,原告各商品は,その構\成の各部分の形態がありふれていて,かつ,それらの組み合わせによって生じた商品全体の形態もありふれたものであり,開発者の特段の努力や時間・費用を要したものであるとは認められないことから,原告各商品の「商品の形態」は不正競争防止法2条1項3号により保護されない旨主張する。しかしながら,前記(1)で述べたとおり,同号が保護する商品の形態は,外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様等からなる商品全体の形態をいうのであって,創作性,独創性は求められないから,その商品の形態を構成する個々の要素が従来の商品形態に見られる特徴の組み合わせであったとしても,全体として新たな商品形態となる以上は,同号による保護を否定する理由はないというべきである。特に,婦人用バッグを需要者が選択する場合,基本的な形状と大きさ,施されたデザイン,持ち手等の形状や位置,付加的装飾の有無形状,素材の選択や加工といった点が嗜好又は用途に合致するかといった観点のみならず,収納部の設け方や容量,あるいは開閉の方法といった内部の形状に属する点が嗜好又は用途に合致するかといった観点から検討がなされると考えられるから,これらの点について,個別にみると同一の部分的形態を有する商品が,原告各商品の販売以前に存在したことが認められるとしても,全体としての形態において,これらを組み合わせた商品が存在していなかった以上,当該商品を初めて市場に出した者は,その形態を模倣する者との間では,先行者として保護されるべきである。\n

◆判決本文

関連カテゴリー
 >> 商品形態

▲ go to TOP

平成23(ワ)36736 不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求事件 不正競争 平成24年12月25日 東京地方裁判所

 携帯ゲームに用いるタッチペンについて、不競法2条1項3号の商品形態模倣が認められました。
 不競法2条1項3号の規定の趣旨は,他人が資金,労力を投下して商品化した商品の形態を他に選択肢があるにもかかわらずことさら模倣した商品を,自らの商品として市場に提供し,その他人と競争する行為は,模倣者においては商品化のための資金,労力や投資のリスクを軽減することができる一方で,先行者である他人の市場における利益を減少させるものであり,事業者間の競争上不正な行為として位置付けるべきものであるから,これを「不正競争」として規制することとしたものと解される。このような不競法2条1項3号の規定の趣旨に照らすならば,同号によって保護される「商品の形態」とは,商品全体の形態をいい,その形態は必ずしも独創的なものであることを要しないが,他方で,商品全体の形態が同種の商品と比べて何の特徴もないありふれた形態である場合には,特段の資金や労力をかけることなく作り出すことができるものであるから,このようなありふれた形態は,同号により保護される「商品の形態」に該当しないと解すべきである。そして,商品の形態が,不競法2条1項3号による保護の及ばないありふれた形態であるか否かは,商品を全体として観察して判断すべきであり,全体としての形態を構成する個々の部分的形状を取り出してそれぞれがありふれたものであるかどうかを判断し,その上で,ありふれたものとされた各形状を組み合わせることが容易かどうかによって判断することは相当ではない。以上を前提に,被告の主張について具体的に検討することとする。\n
・・・
以上によれば,被告が挙げる同業他社の各商品(前記aないしc)の形態は,いずれも原告商品2及び3の形態と全体としての形態が相違するものであるから,上記各商品が原告商品2及び3の販売開始前から市場に存在していたからといって,原告商品2及び3の形態が同種の商品と比べて何の特徴もないありふれた形態であることの根拠となるものではないというべきである。
・・・
被告は,原告各商品の機能は,1)タッチペンの紛失・落下を防止すること,2)ストラップが操作の妨げにならないように伸縮すること,3)タッチペンがゲーム機本体に収納可能であることにあるところ,上記1)の機能を確保するために「タッチペンにストラップを連結する形態」を,上記2)の機能を確保するために伸縮性のあるストラップとして「コイル状ストラップ」を,上記3)の機能を確保するために「純正タッチペンに類する形態」を採用することは不可欠であるから,原告各商品の形態は,不競法2条1項3号括弧書きの「商品の機能\を確保するために不可欠な形態」であり,同号の「商品の形態」に該当しない旨主張する。しかしながら,前記イ(ウ)で述べたとおり,ゲーム機本体に収納可能なタッチペンをコイル状ストラップと結合させたことを特徴とする商品には,タッチペンを構\成するペン先,ペン胴及びペン尻,コイル状ストラップのコイル部を構成するコイル,接合部等の形状,材質等において多様な選択肢があり得るものであって,被告が主張するところの上記1)ないし3)の機能を確保するための具体的な形態として,原告各商品の形態を必然的に採用せざるを得ないものと認めることはできないから,被告の上記主張は,採用することができない。\n

◆判決本文

◆当事者の商品はこちら

関連カテゴリー
 >> 商品形態

▲ go to TOP