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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

商4条1項各号

平成22(行ケ)10257 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年12月22日 知的財産高等裁判所

 標章「EXTRIMA」が引用商標「Exstreamer」と類似するとした審決が維持されました。
 本願商標からは,その構成全体に対応した「エクストリマ」の,引用商標からは,(エクストリーマー)の称呼がそれぞれ生ずるものである。両称呼は,語頭から続く「エ」「ク」「ス」「ト」「リ」「マ」の各音が共通するものであり,第5音の,「リ」と(リー),第6音の,「マ」と(マー)について,いずれも長音(ー)の有無という差異を有するにすぎないものである。引用商標の(リー)及び(マー)の長音は,実際に発音する際,その前音である「リ」又は「マ」の母音に吸収されやすく,しかも,各音は,引用商標の構\成における中間から語尾に位置することから,長音を有するか否かの相違は,明瞭に聴取することが困難ということができる。したがって,本願商標及び引用商標は,それぞれ一連に称呼するときは,その語調,語感が近似するものであって,称呼上類似の商標というべきである。

◆判決本文

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平成22(行ケ)10102 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年09月27日 知的財産高等裁判所

引用商標から「WORLD」を分離認定できるかが争われました。裁判所は、分離できないとして、拒絶審決を取り消しました。
 商標法4条1項11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品の取引の実情を明らかにし得る限り,その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。そして,複数の構成部分を組み合わせた結合商標を対比の対象とする際には,まずは結合商標の外観,観念,称呼の態様を総合的に観察してみて,一体のものとして対比の対象とするのか分離して対象とするのかを決し,その上で,具体的な取引の実情が認定できる場合には,その状況も踏まえて,不可分なものとするのか,それとも分離しその一部を抽出してみるのかを決すべきである。引用商標2は,茶色の「W」と思しきアルファベット1文字をレタリングしたものに,黄土色の「C」を組み合わせてロゴ化した図形を表\し,その下にややデザイン化された「WORLD」の欧文字を茶色で大きく横書きし,さらにその直下に「collezione」の欧文字を茶色で小さく横書きして成るものである。そして,「WORLD」の文字と「collezione」の文字は大小の差はあるものの,同一の色彩からなる丸みを帯びた文字で近接して書されていること,引用商標2の上部に配された図形は,「WORLD」の頭文字「W」と「collezione」の頭文字「C」をモノグラム化したものと容易に理解できること,「WORLD」の単語は「世界」を意味する日本人にとってなじみが深く,それだけでは商標の印象が薄いのであり,指定商品分野においてイタリア語を使用する頻度が低くないと一般に認められることも合わせると,取引者,需要者は,引用商標2の構成中の「WORLD」の文字と「collezione」の文字を一体のものとして把握することが多いと認めることができる。そして,「collezione」の語が後記のとおりの意味を持つイタリア語であることは別にしても,本願商標及び引用商標の指定商品の分野に関係する者にとって,その語から「コレツィオーネ」との称呼を連想させ,全体として「ワールドコレツィオーネ」と称呼し,しゃれた語感を持つ商標との印象を与えるものということができる。この全体の称呼は短いものではないが,商標として長すぎるものでもなく,「コレツィオーネ」を切り離して引用商標2を把握することは,「WORLD」の語の前記位置づけからすれば,引用商標2それ自体の態様でみる限り,むしろ引用商標2の自他商品識別力を弱めるものといわなければならない。そうすると,引用商標2の少なくとも下部の「WORLD」と「collezione」の文字部分は,一体として把握するのが自然であり,引用商標2の一部である「WORLD」の文字部分だけを抽出しこれを他人の商標と比較して商標の類否を判断するのは相当でない。このように,引用商標2自体の態様において既に引用商標2は一体のものとして対比の対象とすべきであるが,後記(4)に認定の引用商標2の取引の実情にかんがみても,同様の判断となる。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10262 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年09月14日 知的財産高等裁判所

 スマイルマークの図形商標について、4条1項7号、15号、19号等の違反なしとして審決が維持されました。
 証拠(当裁判所において顕著な事実を含む,当庁平成21年(行ケ)第10267号事件,同第10339号事件)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。(1) 日本においては,昭和45年ころから,アメリカで既に大流行していた「スマイル・マーク」に似た「ニコニコ・マーク」,「ラブ・ピース」が流行した。(2) その後,同マークの流行は収まったが,原告は,米国では米国人H が「スマイル・マーク」の創作者であるとされていたことから,平成10年以降,米国のハーベイ・ボール財団をライセンス元とする「スマイル・マーク」のライセンス契約を締結し,許諾された「スマイル・マーク」に関するサブ・ライセンス契約を締結し,現在まで,日本における同マークの商品化事業を継続してきた。そして,原告は,米国のハーベイ・ボール財団の日本支部として,「スマイル・マーク」に係る事業を行っている有限会社ハーベイ・ボール・スマイル・リミテッドの社会的活動を支援している。(3) 他方,フランス人である被告は,平成9年ころ,来日し,当時の代理人であったイングラム社と共同で記者会見を行い,イングラム社は,平成9年2月11日付け及び同年4月10日付けの日本経済新聞において,「スマイルマークは登録商標です。」「私を勝手に使わないで!」「日本においてスマイルマークを使用される場合は,Y 氏及び弊社の事前承認が必要となります。」などとする全面広告による警告を行った。その後,当時のイングラム社について「詐欺ビジネスを行っている。」旨放送した「エフエム東京」に対し,イングラム社は,営業妨害又は信用棄損に当たるとして東京地方裁判所に提訴したが,2審(東京高等裁判所平成11年(ネ)第5027号事件)において,平成12年1月19日,敗訴判決の言渡しを受けた。同判決は,i)被告は日本において「スマイル・マーク」の出願をしている者にすぎず,第三者に対して差止請求をし得る商標権者ではなく,「スマイル・マーク」の創作者でも著作権者でもない,ii)被告が「スマイル・マーク」の創作者,著作権者であり,「スマイル・マーク」が登録商標であるなどとする広告内容は虚偽であり,イングラム社の許諾なしに「スマイル・マーク」を使用することができないことを前提として,イングラム社が,同人との間でライセンス契約を締結するよう宣伝することは,被告の詐欺的商法に加担したと言われてもやむを得ない,iii)被告又はイングラム社の商法について「国際的詐欺ビジネスの様相を見せ始めている」と形容することも,あながち不当ではないというべきであるなどと認定して,イングラム社の請求を棄却した。同判決は,日本国内において広く新聞報道された。2 商標法4条1項7号に係る判断の誤りについて(1) 原告は,本件商標を構成する図柄が,第三者(故H)の有する著作権の範囲に含まれることを理由に,本件商標は,商標法4条1項7号に該当する商標である旨主張する。しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。すなわち,登録商標に係る図柄等について,第三者の有する著作物に係る支分権(複製権,翻案権等)の範囲内に含まれることがあったとしても,商標法及び著作権法の趣旨に照らすならば,そのことのみを理由として当然に当該商標が商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものということはできない。そうすると,仮に,本件において,原告が主張するとおり,1963年に故Hが引用図形(別紙「商標目録」記載(2)引用図形参照)を著作,創作したものであり,本件商標がその著作権の範囲内に含まれるとしても,そのことのみをもって本件商標が,商標法4条1項7号に該当するとはいえない。また,原告が主張するとおり,1960年代後半から1970年代に,米国で「スマイル・マーク」が流行し,我が国においても「スマイル・マーク」がブームを招いたという事情を併せて考慮しても,i)H 自身は,「スマイル・マーク」について商標登録をする意思もなく,第三者が自由に「スマイル・マーク」を使用することを容認し,金銭的な見返りを求めていなかったものと窺えること(当裁判所に顕著な事実・当庁平成21年(行ケ)第10339号事件),ii)原告が「スマイル・マーク」関連商品の商品化事業を日本で進めるようになったのは,平成10年2月2日にハーベイ・ボール財団との間で「スマイル・マーク」のライセンス契約を締結してから以降のことであり(当裁判所に顕著な事実・当庁平成21年(行ケ)第10267号事件,同第10339号事件),さらに,本件訴訟の原告の主張によっても,原告が支援しているハーベイ・ボール財団の日本支部による慈善活動等が日本国内において行われるようになったのは平成14年以降のことであるから,被告には,平成8年12月17日の本件商標の出願当時において,原告主張の慈善活動等によって形成された「スマイル・マーク」の良好なイメージに便乗する意図はなかったと認められることに照らせば,本件商標が,商標法4条1項7号所定の商標に該当するものであると認めることはできない。

◆判決本文

◆関連事件です。平成21(行ケ)10299

◆関連事件です。平成21(行ケ)10300

◆関連事件です。平成21(行ケ)10263

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平成22(行ケ)10094 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年08月19日 知的財産高等裁判所

 「AERIE」が「エアリー」と類似するとした拒絶審決が取り消されました。
 本願商標は,「AERIE」との5文字の欧文字からなるところ,小学館ランダムハウス英和大辞典第2版(乙1)によれば,その英語での発音は「ɛə ri」又は「iə ri」とされる(もっとも,公刊されたいくつかの英和辞典によれば,この英単語にはそのほかに数種類の発音があり,英語を母国語とする者の間でも,これといった定まった発音はないようである。)。そうだとすれば,この英単語を日本語で発音した場合には,「アエリー」ではなく「エアリー」又は「イアリー」と発音するのが,英語の発音に近いということになる。しかしながら,「aerie」は,いわゆる難語というべきであって,我が国において広く親しまれているとはいえない。そうすると,我が国において,常に「aerie」が「エアリー」と英語の発音に近く読まれるとは限らず,この英単語に接した者は何と発音してよいか分からず,ローマ字読みで「アエリー」又は「アエリ」と読まれることもあるものと解される。これに対し,被告は,「エアロビクス」と「Aerobics」,「エアゾール」と「Aerosol」とが,それぞれ併記されて使用されている例があるとして,乙2の1ないし2の4を挙げるところ,これらの証拠からすれば,「Aerobics」と「エアロビクス」,「Aerosol」と「エアゾール」が併記されて使用されている事例が散見されるといえるが,被告の指摘する例は空気を意味する「aero」の場合に限られており,我が国において,「Aer」が通常「エア」と読まれるとか,「Aerie」を「エアリー」と読むのが原則であるなどとはいえない。このほか,被告は,「aerie」が「エアリー」と読まれている事例があるとして,乙3ないし乙6の3を挙げるところ,これらの証拠からは,「aerie」が「エアリー」と読まれたり,両者が併記されている事例があることが認められる。しかし,他方で,証拠(甲9)からすれば,「aerie」を「アエリー」として読んだり,併記したりしている事例も多数ある。以上からすれば,「aerie」については,英語の発音に近く「エアリー」や「エアリ」と読まれる場合と,ローマ字読みで「アエリー」や「アエリ」と読まれる場合のいずれもあり得るというべきである。
・・・・
以上の諸事情を総合的に考慮すると,本願商標と引用商標の外観は大きく異なっている上,称呼上も,同じ場合だけでなく異なる場合もあるから,たとえ両商標が,観念につき比較できないとしても,両商標には誤認混同のおそれがなく,類似していないというべきである。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10297 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年08月19日 知的財産高等裁判所

 商標法4条1項7号違反でないとした審決が取り消されました。
 以上のとおり,被告の本件商標の出願は,ASUSTeK社若しくはASRock社が商標として使用することを選択し,やがて我が国においても出願されるであろうと認められる商標を,先回りして,不正な目的をもって剽窃的に出願したものと認められるから,商標登録出願について先願主義を採用し,また,現に使用していることを要件としていない我が国の法制度を前提としても,そのような出願は,健全な法感情に照らし条理上許されないというべきであり,また,商標法の目的(商標法1条)にも反し,公正な商標秩序を乱すものというべきであるから,出願当時,引用商標及び標章「ASRock」が周知・著名であったか否かにかかわらず,本件商標は「公の秩序又は善良な風俗を害するおそれがある商標」に該当するというべきである。
エ したがって,本件商標に,商標法4条1項7号を適用することができないとした審決の判断には誤りがある。

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平成21(行ケ)10396 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年07月21日 知的財産高等裁判所

 図形と文字の結合商標について、文字部分の称呼が非類似と判断されました。
 本願商標からは,前記(1)アで認定したとおり,その文字部分全体から・・・の称呼と下段の「ROKICO.,Ltd.」から「ロキシーオーエルティーディー」又は「ロキカンパニーリミテッド」の称呼が生じるとともに,「ロキ」の称呼も生じるものと認められる。他方,引用商標1は,前記(2)アで認定したとおり,「ROKI」の欧文字4字をデザイン化している図形と一応視認できるものと解されるから,「ロキ」の称呼が生じるものと認められるが,本願指定商品の取引者,需要者にあっては,図形の意味が把握できず,必ずしも明確に「ロキ」と称呼できない場合もあるものと推測される。したがって,本願商標と引用商標1とは,その称呼において一応共通するものの,場合によっては相違することもあるものと解される。(エ) 本願商標の使用態様証拠(甲23,73〜110)によれば,原告は,インターネット上での自らのウェブサイト,新聞・雑誌における広告や設置した看板,製造納品する製品及び製品の包装,対外的な取引関係書類等において,本願商標をその図形部分及び文字部分全体を一体として使用するとともに,社報や社内手続書類,社用車,名刺,社員証などの社内物品においても,本願商標全体を一体として使用しているものと認められる。そうすると,本願商標は,その文字部分と図形部分とが切り離されて使用されたり,図形部分中の「ROKI」の部分のみが使用されることは極めて少ないものと解される。(オ) 類否判断以上の本願商標と引用商標1との外観,観念,称呼についての比較検討の結果を踏まえて,全体的に考察すると,両商標は,称呼について共通する場合があるものの,外観において大きく相違し,観念においても比較できないものと認められるところ,「商標の外観,観念または称呼の類似は,その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,従って,右三点のうちその一において類似するものでも,他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によって,なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては,これを類似商標と解すべきではない。」(最高裁昭和39年(行ツ)第110号昭和43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁)といえるから,本願商標がその図形部分と文字部分とが常に一体として使用されているという取引の実情も考慮すれば,本願商標を使用した商品が引用商標1を使用した商品とその出所につき誤認混同を生ずるおそれは極めて少ないものといえる。したがって,審決が,本願商標と引用商標1とが称呼において共通する場合があることのみを重視し,両商標が類似すると判断したことは誤りであり,この点に関する原告の取消事由3には理由がある。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10409 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年06月28日 知的財産高等裁判所 

 商標「E-watching」と、「watching」が類似するとした審決が維持されました。
 本願商標の前半部の「e」の文字は,「英語アルファベットの第5字,文字eが表す音,electric(電機の)の略語」(新英和大辞典,乙3),「アルファベットの五番目の文字,音名の一つであるホ音,東又は東経を表す符号,自然対数の底,電気素量を表\す記号,電子を表す記号,エネルギーを表\す記号」(広辞苑第六版,乙2の2)といった意味を有する語であり,「電子の,インターネットの」という意味も有するから(現代用語の基礎知識2010年版,乙4の1),電気製品又は電子機器を含む本願指定商品との関係で,「electric(電気の)」の略語,「電子」あるいは「インターネットを介した」といった意味合いで理解されると解される。そして,最近の取引の実情から「e」の文字部分が「エコロジー(環境にやさしい)」(ecology)といったイメージを有することもあると考えられる。そして,インターネットを利用した電気製品又は電子機器,あるいは環境に配慮した電気製品又は電子機器を製造する業者は多数存在する上,「e」の文字部分(1文字)が電気やインターネットを利用すること,あるいは環境に配慮していることを示す略語としてハイフンに続く語に対し接頭語のように使用されていることに照らすと,「e」の文字部分から特定の商品の出所が識別できるとは考えがたい。そうすると「e」の部分からは出所識別標識としての観念は生じないというべきである。また,本願商標は,上記のとおり,前半部の「e」の文字部分と後半部の「watching」の文字部分が「−」(ハイフン)で連結して成るところ,構成中の「−」(ハイフン)は,言語表\記の補助符号であり,英文などで合成度の浅い複合語の連結,1語が行末までに収まりきれず2行にまたがる時のつなぎ,又は,1語内の形態素の区切りを明確にするのに使われるものである(広辞苑第六版,乙2の1)。そうすると,本願商標は,複数の言葉の連結又は1語内の形態素の区切りの明確化というハイフンのなす役割自体からして,「」と「」の各文字部分とを分離して看取することは可能であると考えられる上,「e‐watching」の語が取引社会において一連一体の語句として特定の意味合いをもって一般に親しまれていると認めることもできないから,本願商標の構\成部分である「」の文字部分と「」の文字部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分に結合しているものということはできない。さらに,「watching」の文字部分は,8文字からなっていて,1文字である「watching」の8倍の長さがあるのみならず,英語で「観察,監視」(ポケットプログレッシブ英和辞典〔甲12〕,ランダムハウス英和大辞典〔乙5の1〕)の意味を有する語であって,日本においても比較的親しまれた語であり,本願商標はその一部である「watching」の文字部分だけによって簡略に称呼,観念されることもあると認めることができる。そうすると,本願商標は,複数の構成部分の結合度が浅くそれを分離して観察することが取引上不自然でないと認めるのが相当であるから,本願商標のうち「watching」の文字部分を分離して,本願商標と引用商標との類否判断をすることは許されると解される。

◆判決本文

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平成21(行ケ)10411 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年04月28日 知的財産高等裁判所

 非類似であるとして無効理由無しとした審決が、取り消されました。
 本件商標は,「アスリートレーベル」の片仮名文字から成る結合商標である。本件商標を構成する「アスリート」は「運動選手,競技者」等,「レーベル」は「ラベル」と同義で「貼\\り紙,広告や標識のために貼る小さな紙片」等を意味する普通名詞である(岩波書店「広辞苑〔第6版〕」,三省堂「大辞林〔第2版〕」)。そして,前記(2)認定のとおり,本件商標の一部を構成する「アスリート」の部分が,需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者に対し,原告の商品を示すものとして周知性を獲得し,出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから,本件商標のうち「アスリート」の部分だけを,原告の使用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも,許されるものというべきである。イそうすると,本件商標からは,「アスリートレーベル」全体としてのみならず,「アスリート」の部分からも称呼,観念が生じるということができる。そして,後者の「アスリート」は,原告の使用商標のうち「アスリート」と同一の片仮名文字から成るものであり,両者とも「アスリート」という同一の称呼が生じ,「運動選手,競技者」という同一の観念が生じるから,その外観を考慮しても,両者は類似する。したがって,本件商標「アスリートレーベル」が医療用腕環に使用されるときは,本件商標中の「アスリート」は,需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者において,周知の原告の使用商標との出所を誤認混同するおそれがあるといわざるを得ない。ウしかるところ,1個の商標から2個以上の呼称,観念を生じる場合には,その1つの称呼,観念が登録商標と類似するときは,それぞれの商標は類似すると解すべきである(前掲最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決参照)。エよって,本件商標から生じる称呼,観念の1つである「アスリート」と原告の使用商標とが類似する以上,本件商標は,原告の使用商標と類似するものである。\n

◆判決本文

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昭和21(行ケ)10152 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年04月27日 知的財産高等裁判所

 先行商標に類似するして無効とした審決が取り消されました。アンケート結果に対しても言及しました。
 以上からすれば,本件商標において,「POLO」部分のみが,取引者,需要者に対し,商品や役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとか,「RALPHLAUREN」部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないとはいい難い。そうすると,単に「POLO JEANS CO.」とあるだけでなく,その下に「RALPH LAUREN」との赤字部分がある本件商標において,その要部を「POLO」のみと解することは,その外観のみならず,取引の実情(「POLO」は本来普通名詞であるが,「RALPH LAUREN」と結びつくことによって,ラルフローレンのデザインに係る商品としての強い自他識別力が生じており,これを取引者,需要者も理解していること)にも反し,相当ではなく,本件商標における要部は,「POLO」部分及び「RALPH LAUREN」部分を併せたものというべきである。・・・・当裁判所は,前記2のとおり,本件商標の客観的構成や,本件アンケートの結果を除く取引の実情等から,本件商標と引用商標A及びCとは類似しない旨の結論を導いているものであって,当裁判所の上記判断は本件アンケートの結果に依存するものではない。ただ,本件アンケートは,上述したように,その手法等において手堅く合理性の高いものであり,したがって,そのアンケートの結果も,公正で控え目な結論を導こうとしているものとして,首肯しやすいものがあるところ,アンケートの結果によれば,本件商標に接した需要者には,被告の会社やブランドの存在を正確に知っている者は極めて少ないといえるのであるから,この点からも,当裁判所の上記判断は裏付けられるものということができる。\n

◆判決本文

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平成21(行ケ)10228 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟平成22年03月29日 知的財産高等裁判所

 コーヒーの産地表示か否かが争われました。裁判所は、3条1項3号、4条1項16号違反とした審決を一部の指定商品について取り消しました。
 前記(1)認定の事実によれば,i)我が国においては,「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」(前記(1)のとおり「YIRGACHEFFE」の日本語表記にはいろいろなものがあるが,いずれも「YIRGACHEFFE」の日本語表\\記であると認められるので,以下それらを総称して「イルガッチェフェ」を用いる。)は,これが「コーヒー,コーヒー豆」に用いられる場合,コーヒー又はコーヒー豆の銘柄又は種類を指すものとして用いられることが多いこと,ii)我が国において,「イルガッチェフェ」が,エチオピアにおけるコーヒー豆の産地として用いられる場合があるが,その場合でも,上記銘柄又は種類としての「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」の産地として用いられていることが多いこと(「イルガッチェフェ」が「シダモ」の産地として用いられることもあったと認められるが,そのような例が多いとは認められない。),iii)上記銘柄又は種類としての「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」は,エチオピア産の高品質のコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーについて用いられていることが認められる(なお,前記(1)の事実の中には,本件商標の登録査定日以後の事実が含まれているが,本件商標の登録査定日後1年以内の事実であり,本件商標の登録査定日前の事実と相まって,上記認定に用いることができると認める。)。以上の事実に,証拠(甲6〜8,21の1・2,23の1〜8,24の1・2,25〜27,44〜46,乙36の2,37,41,42)によれば,エチオピアの「イルガッチェフェ」(「YIRGACHEFFE」)という地名は,我が国の学校教育において使用されている地図(小学校,中学校,高校)はもとより,一般の地図にも掲載されておらず,辞書・事典類にも「イルガッチェフェ」(「YIRGACHEFFE」)の項目はないことが認められるから,一般に我が国においては,エチオピアの「イルガッチェフェ」(「YIRGACHEFFE」)という地名の認知度は低いものと認められることを総合すると,本件商標が,その指定商品である「コーヒー,コーヒー豆」について用いられた場合,取引者・需要者は,コーヒー豆の産地そのものというよりは,コーヒー又はコーヒー豆の銘柄又は種類,すなわち,エチオピア産(又はエチオピアのシダモ地方イルガッチェフェ地域産)の高品質のコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーを指すものと認識すると認められる。そうすると,本件商標は,自他識別力を有するものであるということができる。また,前記(1)認定の事実によれば,上記銘柄又は種類としての「YIRGACHEFFE」又は「イルガッチェフェ」は,いろいろな業者によって使用されているのであるが,それがエチオピア産(又はエチオピアのシダモ地方イルガッチェフェ地域産)の高品質のコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーについて用いられている限り,原告による品質管理の下でエチオピアから輸出されたコーヒー豆又はそれによって製造されたコーヒーについて用いられていることになるから,商標権者が原告である限り,その独占使用を認めるのを公益上適当としないということもできない。ウ したがって,本件商標登録が商標法3条1項3号が規定する「商品の産地又は品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するということはできないから,取消事由1は理由がある。・・・・前記3(1)ア認定のとおり,エチオピア国において産地によってコーヒーの風味が異なることからすると,産地に由来する本件商標をエチオピアのシダモ地方イルガッチェフェ地域産以外のコーヒー,コーヒー豆に使用した場合には,品質誤認を生ずるおそれがあるというべきである。そして,審決書記載のとおり,特許庁における平成20年10月28日の第1回口頭審理の結果によれば,指定商品中の「コーヒー」は「焙煎後のコーヒー豆及びそれを更に加工した粉状,顆粒状又は液状にした商品(コーヒー製品)」のことであり,「コーヒー豆」は「焙煎前のコーヒー豆」のことである。したがって,本件商標は,これをその指定商品中「エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆,エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆を原材料としたコーヒー」以外の「コーヒー豆,コーヒー」について使用するときは,商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから,商標法4条1項16号が規定する「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」に該当するとの審決の判断に誤りがあるということはできない。また,このように解することが,前記3(2)エ(ア)bのTRIPs協定の規定にも適合するというべきである。・・・・商標法46条1項ただし書は,商標登録の無効審判請求について,「商標登録に係る指定商品又は指定役務が2以上のものについては,指定商品又は指定役務ごとに請求することができる。」と規定していることからすると,商標登録の無効審判請求は,指定商品又は指定役務ごとにすることができるところ,ここでいう「指定商品又は指定役務」は,出願人が願書で記載した「指定商品又は指定役務」に限られることなく,実質的に解すべきである。本件においては,既に述べたとおり,「エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆,エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆を原材料としたコーヒー」とそれ以外の「コーヒー豆,コーヒー」では,商標法4条1項16号該当性において違いがあり,「指定商品」としても異なると解することができる。したがって,「エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆,エチオピア国YIRGACHEFFE(イルガッチェフェ)地域で生産されたコーヒー豆を原材料としたコーヒー」に係る部分には無効事由はないが,それ以外の部分には無効事由があるとの判断をすることができるというべきである。

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◆平成21(行ケ)10227

◆平成21(行ケ)10226

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平成21(行ケ)10339 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年03月30日 知的財産高等裁判所

 他人の著作権との抵触する商標について、公序良俗違反との主張は認められませんでした。
 原告は,本件商標を構成する図柄が,第三者(故ハーベイボール)の有する著作権の範囲に含まれることを理由に,本件商標は,商標法4条1項7号に該当する商標であると主張する。しかし,原告の主張は,以下のとおり理由がない。すなわち,登録商標に係る図柄等について,第三者の有する著作物に係る支分権(複製権,翻案権等)の範囲内に含まれることがあったとしても,商標法及び著作権法の趣旨に照らすならば,そのことのみを理由として当然に当該商標が商標法4条1項7号所定の「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に該当するものということはできない。仮に,本件において,原告が主張するとおり,1963年に故ハーベイ・ボールが引用図形(別紙「引用図形」参照,スマイリー・フェイス)を著作,創作したものであったとしても,本件商標が,商標法4条1項7号に該当するとはいえない。すなわち,1960年代後半から1970年代に,米国でスマイル・マークが流行し,また,1970年代後半,我が国においてもスマイル・マークがブームを招いたという事情があったとしても,i)ハーベイ・ボール自身は,スマイリー・フェイスについて商標登録をする意思もなく,第三者が自由にスマイリー・フェイスを使用することを容認し,金銭的な見返りを求めていなかったことが窺えること(甲5,6),ii)原告の主張によっても,原告が多額の費用負担をしてスマイリー・フェイスを慈善活動やボランティア活動に活用し,同マークの社会的イメージを向上させるようになったのは,平成10年ころ以降であることから(原告準備書面(1)10頁G1),被告には,平成3年3月8日の本件商標の登録査定時において,「スマイル・マーク」の良好なイメージに便乗する意図はなかったと解されること,iii)原告の主張によれば,平成3年の本件商標の登録査定当時には,日本でのスマイル・マークのブームは収束し,商標登録をしていた商標権者らもその更新登録をしないで商標権を放棄する傾向があったこと等の事情を総合考慮するならば,本件商標が,商標法4条1項7号所定の商標に該当すると認めることはできない。

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平成21(行ケ)10306 商標登録取消決定取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年03月29日 知的財産高等裁判所

 商標「いなば和幸」から「和幸」を分離して、類似と判断した審決が取り消されました。
 しかしながら,前記ア(カ)の紹介記事のほとんど(甲202,203,205,206,乙18〜31,33,34)において,本件3社を区別し,又は明示することなく「とんかつ和幸」ないし「和幸」の紹介がなされ,特に,平成12年4月20日付け日経流通新聞上の「第26回日本の飲食業調査−経常利益額ランキング。」と題する記事(乙30)の「社名」欄においてさえ,1箇所(43位の欄)にのみ単に「和幸」と記載されていることにかんがみると,上記イの記事によっても,「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称の豚カツ料理店が本件3社ないし複数の別会社により経営されるものであるとの事実が,本件役務に係る取引者及び需要者に広く知られているとまで認めることはできず,その他,そのように認めるに足りる証拠はない。(2) 本件商標から「和幸」の文字部分を抽出して観察することの当否ア 本件商標は,「いなば和幸」の文字を横書きして成るものであり,各文字の大きさ及び書体は同一であって,その全体が等間隔に1行でまとまりよく表されているものであるから,「和幸」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構\成されているということはできない。イ また,本件商標の「和幸」の文字部分の出所識別機能についてみると,前記(1)アのとおり,本件3社は,長きにわたって「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称で豚カツ料理店を経営し,本件役務について引用商標,参考商標1及び2等を使用してきたものであり,また,その経営規模をみても,本件3社は,全国に店舗網を広げ,豚カツ料理業界の中で大きな市場シェアを占めるに至り,さらに,本件3社が経営する「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称の豚カツ料理店は,各種新聞,雑誌等において広く紹介され,我が国有数の豚カツ料理チェーン店として認知されているということができるのであるから,本件商標が本件役務について使用された場合,取引者及び需要者は,本件商標の「和幸」の文字部分が「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称の豚カツ料理店を指すと容易に理解するものと認められるが,他方で,前記(1)ウのとおり,「とんかつ和幸」の名称又は「和幸」の文字を含む名称の豚カツ料理店が本件3社ないし複数の別会社により経営されるものであるとの事実が本件役務に係る取引者及び需要者に広く知られているとまで認めることはできないのであるから,引用商標との関係でみると,本件商標の「和幸」の文字部分が,本件役務に係る取引者及び需要者に対し,引用商標の商標権者である補助参加人が当該役務の出所である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものということはできず,その他,そのようにいうことができるに足りる証拠はない。ウ さらに,本件商標の「いなば」の文字部分についてみると,一般的には,当該文字部分からは,氏の1つである「稲葉」が想起されるが,「いなば」には,これが氏を平仮名書きしたものであるとしても,「稲場」,「因幡」などの氏が,また,氏以外に,地名を平仮名書きしたであるとしても,「稲場」,「因幡」などの地名が含まれるから,氏としての「稲葉」以外を想起し得ないものではないところ,前記(1)アの事実に加え,当該文字部分が,氏,地名として想起される「いなば」は1つに限定されないが,そのなかから,本件では,原告を設立したCの氏である「C」から取られたものと認められることをも併せ考慮すると,本件商標が本件役務について使用された場合に,当該文字部分に自他役務を識別する機能が全くなく,当該文字部分から出所識別標識としての称呼及び観念が全く生じないとまでいうのは相当でないというべきである。エ その他,本件商標について,その構成中の「和幸」の文字部分だけを抽出して観察することを正当化するような事情を見いだすことはできないから,本件商標と引用商標との類否を判断するに当たっては,本件商標の構\成部分全体をみるべきであって,同商標の構成中の「和幸」の文字部分だけを引用商標と比較して類否判断を行うことは許されないというべきである。\n

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平成21(行ケ)10328 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成22年03月17日 知的財産高等裁判所

 商標「berry mobile」が商標「BlackBerry」と類似するかが争われました。知財高裁は、類似しないとした審決を取り消しました。
 引用商標1及び2の各文字部分は,「BlackBerry」の文字を横書きして成るものであるが,「B」の2文字がいずれも大文字で表されていることにより,「Black」の部分と「Berry」の部分とが連続して記載されていても,別の部分として認識されるほか,我が国において,「black」は,「黒」,「黒い」などを意味するなじみの深い英単語であり,その直後に果物の1つの種類(漿果)を意味する「berry」のような名詞が続く場合,単に色を表\\す形容詞として認識されるのが通常であること,また,「ベリー」が果実の1つの種類を表す言葉として認識されていることからすると,当該各文字部分が「Black」の部分と「Berry」の部分とに分離して観察されることは否定することができない。もとより,「blackberry」は,1つの英単語であるが,同時に,「black」及び「berry」の英単語もそれぞれ存在するのであるから,「blackberry」が1つの英単語であることは,引用商標1及び2の各文字部分が「Black」の部分と「Berry」の部分とに分離して観察され得るとの上記判断を左右するものではない。そうすると,引用商標1及び2からは,その文字部分全体に対応した称呼及び当該文字部分全体と図形部分とに対応した観念が生じるだけでなく,「Berry」の文字部分に対応した「ベリー」の称呼及び当該文字部分とベリー類の果実を図案化したものと認められる図形部分とに対応した「果物のベリー」の観念も生じるといわざるを得ない。・・・上記(1)及び(2)によると,本件商標と引用商標1及び2とは,称呼及び観念において共通するものであるから,本件商標と引用商標1及び2とがその外観を異にすることを考慮しても,本件商標と引用商標1及び2とが同一又は類似の役務に使用された場合には,当該役務の出所について混同が生じるおそれがあるというべきであるから,本件商標は,引用商標1及び2と類似するものと認めるのが相当である。

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平成21(行ケ)10313 審決取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年02月10日 知的財産高等裁判所

 商標「チームルマン」が出所混同を生ずるおそれがあるとして、無効とした審決が維持されました。
 上記2〜4によると,引用商標が被告の自動車レースに係る業務役務を表示するものとして周知著名となっていたこと,本件商標の要部と引用商標とは,外観,称呼,観念において共通する部分が多く,本件商標と引用商標とは類似性の程度が高いこと,本件商標の指定商品及び指定役務と被告が開催する自動車レースに係る役務及び商品とは関連性があり,その需要者において共通するものであることなどが認められ,これらの事情を総合考慮すると,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標をその指定商品又は指定役務に使用した場合,これに接する需要者が,周知著名な商標である引用商標を連想・想起して,これらの商品又は役務が被告との間に緊密な営業上の関係又は同一の表\示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品又は役務であると誤信するおそれがあるものと認められる。

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平成21(行ケ)10274 商標登録取消決定取消請求事件 商標権 行政訴訟 平成22年01月13日 知的財産高等裁判所

 図形商標について、商標法4条1項15号に該当するとして登録を取り消すとの審決が、知財高裁により取り消されました。
上記(2)ないし(6)によると,本件商標と引用商標とは,いずれも,上部に2つの山を重ねたように2か所で盛り上がった赤色系の上唇,開放された人の口から大きく張り出した赤色系の舌,舌の上部配された白色の上前歯状のもの及び黒色の口内が描かれているという点で構成を共通にする。また,引用商標は,音楽関係の商品及び役務分野において,ローリングストーンズに係る商品又は役務を表\示するものとして,取引者・需要者の間において著名で,かつ,独創性がある。しかしながら,本件商標と引用商標とでは,称呼及び観念の共通性がないことに加え,外観においても,本件商標では正面方向から見た平面的な図形であるのに対して,引用商標ではやや右斜め方向から見た立体的な図形である点でかなり印象を異にするものである点,本件商標では舌上に3本の黒色の図形が描かれているのに対して,引用商標ではそのようなものがない点において相違していることも看過し得ない構成の特徴である。そして,引用商標がローリングストーンズの業務に係る商品又は役務を表\示するものとして音楽関係の取引者・需要者の間で周知・著名であることは,また,それ故に,引用商標と本件商標との上記の相違点は,看者にとってより意識されやすいものであると解されるところである。しかも,需要者についてみると,音楽は嗜好性が高いものであって,音楽CD等の購入,演奏会への参加等をしようとする者は,これらの商品又は役務が自らの対象とするもので間違いないかをそれなりの注意力をもって観察することが一般的であると解されること,取引者についてみるに,音楽について通暁していることが一般であるレコード店や音楽業界関係者等である本件指定商品等の取引者が,本件指定商品等において,本件商標をローリングストーンズの業務に係る商品又は役務と混同することは考え難いことなどの事情が認められるのである。これらの事情を総合考慮すると,引用商標に係る商品又は役務は本件商標に係る本件指定商品等に含まれるものであるとしても,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,本件商標を本件指定商品等に使用した場合,これに接する取引者・需要者が,著名な商標である引用商標を連想・想起して,本件指定商品等がローリングストーンズ若しくはローリングストーンズとの間に緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある者の業務に係る商品又は役務であると誤信するおそれがあるものと認めることはできないといわざるを得ない。
(7) 被告の主張について
被告は,本件指定商品等に係る本件商標とローリングストーンズの業務に係る商品又は役務との誤認混同があるとする理由として,アシッドとローリングストーンズがロック音楽という点で共通していること,ローリングストーンズとアシッドのファンの年齢層にも共通する部分があること,レコードや音楽の公演等の主たる需要者が商標に着目して商品又は役務を選択する可能性の存在があること等を主張するが,上記認定のとおりのロック音楽の多義性からして,「ロック音楽」であるということから直ちに統一的に理解することができるものであるか疑問がなくはないこと,ローリングストーンズとアシッドとの中心的なファン層が異なること,音楽は嗜好性が高いものであって,音楽CD等の購入,演奏会への参加等をしようとする者は,これらの商品又は役務が自らの対象とするもので間違いないかをそれなりの注意力をもって観察することが一般的であると解されるとの取引の実情等に照らすと,被告の主張に係る事情を考慮したとしても,上記判断を覆すに足りるものではない。\n

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