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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

部分意匠

平成28(ワ)7185  意匠権侵害差止請求事件  意匠権  民事訴訟 平成29年5月18日  大阪地方裁判所

 部分意匠の侵害事件において、非類似と判断されました。部分意匠については、少し違うだけでも非類似となりやすいですね。
 ア 以上を踏まえて検討すると,上記のとおり,本件意匠と被告意匠は,基本的 構成態様が共通しているところ,土入れ部背面部自体は要部ではないが,植木鉢の背面上方に円形孔部が形成された枠体部は本件意匠の要部であることからすれば,\n円形孔部が形成された枠体部が植木鉢背部の内側に侵入して形成された枠体部を有 する本件意匠と被告意匠とは,一定の美感の共通性が生じているといえる。 しかし,本件意匠の要部である枠体部の具体的形状において,両意匠は多くの点 で異なっている。すなわち,本件意匠と被告意匠は,内側枠体部,外側枠体部があ る点については共通するものの,本件意匠においては内側枠体部も外側枠体部も円 形孔部の円弧に沿うようにほぼ円形であるのに対し,被告意匠は,平面視において, 内側枠体部は略台形状で直線的な形状であり,外側枠体部についてもなだらかな山 状の形で,その稜線部分が直線状であることから,その印象は異なっている。また, 本件意匠においては,内側枠体部の上面が外側枠体部の上面に比して低い段差状に 形成されているのに対し,被告意匠においては,内側枠体部の上面が外側枠体部の 上面より高く,しかも,両者の間に中央枠体部が構成され,中央枠体部の上面が内側枠体部の上面から外側枠体部の上面を連結する外側に凸の円弧状に形成されてい\nることから,両者の枠体部の上面の凹凸は異なっており,上から見た印象を異なる ものとしている。
イ 以上の点をふまえ,本件意匠と被告意匠を全体としてみると,両意匠はいず れも植木鉢背面内側に入り込む給水ボトル挿入用の円形孔部を形成する枠体部が存 在することによって一定の印象の共通性は生じるものの,その枠体部の構成,枠体部を構\成する各部の高さやその形状が異なることにより,本件意匠は,枠体部が円形孔部に沿ってほぼ円形で,背部から見た場合,奥まった内側枠体部が手前に見え る外側枠体部の上面より低い形状になっていたとしてもさほどの段差感を受けるこ とがないから,全体的に丸くシンプルな印象を受けるのに対し,被告意匠は,内側 枠体部が略台形,外側枠体部が山形といった直線的な形状をしており,さらに,外 側枠体部が内側枠体部の上面より低くなっていることから,内側枠体部の形状がよ り看取しやすく,また,枠体部の上部において内側,中央,外側部分が凸凹になっ ていることとも相まって,直線的でごつごつした印象を受けるものであるから,そ れぞれの意匠を全体として観察したときに,本件意匠と被告意匠とが類似の美感を 生じるとまでは認められず,両意匠が類似しているということはできない。

◆判決本文

本件意匠・被告意匠などはこちらです。

◆別紙1

◆別紙2

◆別紙3

◆別紙4

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