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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

創作容易性

平成25(行ケ)10160  意匠権 行政訴訟 平成25年11月14日 知的財産高等裁判所

 意匠の創作容易性について、容易であるとした拒絶審決が維持されました。
 原告は,本願意匠及び引用意匠2は,枕状から形成する包装システムの容器に関する意匠であり,当該包装システムの容器では引用意匠1の「容器下側のパネルを底に折り曲げる態様」を採用することはできないのに対し,引用意匠1は,ブランクから形成する包装システムの容器に関する意匠であり,当該包装システムの容器では,生産技術の観点から「容器下側のパネルを底に折り曲げる態様」を採用せざるを得ないのみならず,上下対称にすることはできないから,本件審決は,物品の形状を創作する場合に考慮すべき当該物品の生産技術を無視したものであるなどと主張する。しかしながら,本願意匠の創作非容易性の判断は,引用意匠1及び2に基づいて当業者が容易に創作することができたか否かの観点から決せられるべきであって,生産技術が異なることをもって,直ちに当該形態が容易に創作することができないと判断することは相当ではない。本願意匠及び引用意匠2において,容器下側のパネルを底に折り曲げる態様を採用することが技術的に不可能であるとしても,そのことをもって,引用意匠1において,引用意匠2のフィン及びフラップの上下対称の形態を採用することについて,格別の技術的な障害を認めることはできない。\n

◆判決本文

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平成24(行ケ)10449 審決取消請求事件 意匠権 行政訴訟 平成25年06月27日 知的財産高等裁判所

 部分意匠について創作非容易性要件違反とした審決が維持されました。
 原告は,審決が本件登録意匠部分の個々の部分を分断してそれぞれに創作性を判断した誤りがある旨を主張する。しかしながら,全体的な創作性を判断するに当たり,まず部分の構成の創作性を判断する分析的手法をとることは当然にされるべきことであって,この点に係る原告の主張は失当である。確かに,意匠は,部分的な構\成が他の構成部分と有機的に結合して全体的に美感を生み出すものであるところ,創作性のないありふれた態様のみをまとめあげたものが,その構\成部分との組み合わせや関連において全体として新規な美感を形成する場合もあり得る。しかしながら,審決は,構成【A】〜【E】の個々の創作性の有無等の判断を踏まえた上で,本件登録意匠部分の全体の創作性の判断を加え,なお創作容易性が認められると判断したのであり(審決7頁9〜14行目),原告の上記主張は,審決を正解しないものであり,失当である。\n
(4) 創作容易性について 原告は,本件登録意匠部分は,従来例の遊技機用表示装置の表\示面に左右の視認可能性の向上を図る創作をしたのであり,創作容易性はない旨を主張する。しかしながら,甲3文献には,「【0022】しかしながら、通常、遊技機設置島間に構\成される通路の幅は比較的狭く、さらに遊技用椅子が設置されているために各遊技機49の遊技状況を把握するのは容易ではない。・・・・・得点付与式の遊技機の場合には得点数が遊技者の手元にデジタル表示されるため、概ねの遊技状況を一瞥で把握できないからである。・・・・・得点付与式の遊技機は・・・・・遊技状況を他の遊技客にアピ−ルするアピール度が低いという欠点を有する。つまり、得点が多く付与されている遊技状態にある遊技機を遊技客に見せつけることにより、遊技を行なうべきか否か決めかねている者の遊技意欲を駆り立てる効果が低く、いわゆる客寄せ効果が低いと言える。【0023】アナログ表示部51はかかる得点付与式の遊技機の欠点を補うべく、遊技客に各遊技機49の遊技状況を一瞥で把握させることができるとともに、・・・・・遊技状況を遊技客に存分にアピールすることができることを主目的として設けられている。特にかかる目的を簡易かつ効果的に達成すべく、このアナログ表示部51は、取付面に対して突出する態様で設けられている点にその特徴を有する。・・・・・アナログ表示部51は、山型に突出したその両面に表\示面を有しており、この左右の表示面に同一内容の表\示が行なわれる。・・・・・【0054】・・・・・アナログ表示部51は、遊技機設置島1の幕板部2表\面の所定の取付面72に取付けられている。アナログ表示部51は、取付面72より山型に突出する態様で構\成されており、図5に示すように取付面72に対して所定の傾斜をもって2つの表示面71が設けられている。2つの表\示面71には、それぞれ4つずつランプ73が配置されており、各ランプ73は長方形のカラーレンズ74に覆われている。カラーレンズ74は色付きの透明なプラスチック樹脂でできたものである。また、2つの表示面71は、図6に示すように、左右対称に構\成されている。・・・・・【0057】このように遊技者の持点がレベル基準値に達するごとに2つの表示面71それぞれにおいて対称となる位置にランプ73が1つずつ点灯するため、アナログ表\示部51を左右いずれの方向から見ても遊技者の持点所有状況について大まかに把握可能となる。・・・・・【0058】一方、遊技途中の遊技者も視線を少しずらすだけで他の遊技者の遊技状況を容易に把握できるという利点がある。・・・・・」との記載がある。したがって,本件登録意匠部分と甲3意匠の表示面(71)とは,その視認可能\性という面において用途又は機能を同じくするものというほかない。審決が本件登録意匠部分を甲3意匠の表\示面(71)の形状を基にわずかな微差が加えられたものとして創作容易性を認めた点に誤りはない。

◆判決本文

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