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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

類似

平成24(行ケ)10279 審決取消請求事件 意匠権 行政訴訟 平成25年01月24日 知的財産高等裁判所

 意匠権について類似するとした審決が維持されました。
 原告が取消事由1,2を通じて,両意匠が類似するものではないとする主張の根拠の要点は,次の2点にある。
1) 全体として上下方向に連続する管状体である点と,管本体部表面の上下方向に連続して突設したガイドレール部は,共にありふれた態様であって,これらの態様による共通感は,需要者の美感に大きな影響を与えない。
2) ガイドレール部の形態が,本願意匠においては「略ハ字状」を成しているのに対し,引用意匠においては「略コ字状」を成している相違点は,家屋等の壁面に固定された固定具と連結して取り付けられる構造部分に関するもので,機能\面からみて,異なる形態であるとの印象が大きい。
ウ まず1)の点についてみると,基本的構成態様(A),すなわち,全体は,断面同一形状に連続する管状体で,管本体部及びガイドレール部から成るものであって,管本体部を,薄肉の円筒形状の管体とし,ガイドレール部を,管本体部の表\面の長手方向に突設して形成し,当該ガイドレール部は,端面が略「L」字状,及び,その対称形状である略逆「L」字状とした2本のガイド片を,やや空隙を設けて対向させた,との態様は,斜視図から明らかなとおり,本願意匠及び引用意匠の形態全体にわたる骨格的な態様であり,両意匠の基調を形成して,共通の印象を強く与えるものであって,両意匠の類否判断に支配的な影響を及ぼすものであることは否定することができない。また,具体的構成態様についてみても,共通点(B),すなわち,管本体部のガイドレール部を除く表\面を,凹凸のない平滑面とした点は,両意匠の外観の大部を占める部分であることも明らかである。そして,(B)の共通点の態様は,この種物品においては,管本体部の表面を,凹凸のない平滑面とすることが,原告主張のようにありふれた態様であるといえるとしても(甲3の先行意匠一覧),そのような態様である必然性はない。斜視図においてこの態様は強い印象を与えるものであるし,(C)の共通点,すなわち,管本体部の直径に対して,ガイドレール部の左右方向の最大幅を約1/5とし,ガイドレール部の上下方向の最大高を約1/10とした点,そして(D)の共通点,すなわち,2本のガイド片を詳細に観察すると,それぞれのガイド片は,管本体部に接する立ち上がり部とその先端に内側に向かって屈曲した爪部とから成り,爪部は,それぞれの平面視の幅を,立ち上がり部の高さの略1/2とした点は,両意匠の全体形状が単純な構\成要素から形成されるという,上記ありふれた態様の中にあって,管本体部に対するガイドレール部の各部の構成比率の具体的な共通点であって,共に両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものということができる。そして,これらの具体的構\成態様に係る共通点は,前記基本的構成態様に係る共通点(A)と一体となって強い印象を与えるものとなっている。以上にみた両意匠の対比からすると,原告が上記1)に関して主張する点は理由がないといわざるを得ない。
エ 次に2)の点は,美感というよりは,むしろ,機能の相違からくる相違について述べるものであるにすぎないが,機能\面を斟酌するにしても,本願意匠においては「略ハ字状」を成し,引用意匠において「略コ字状」を成している点が,実際の施工場面において異なる場合はあり得るとしても,家屋等の壁面に固定された固定具と連結して取り付けられる構造部分に関するものとして機能\が異なる,すなわち,あらゆる機能の態様において異なるとまで認めることはできない。美感の観点からすれば,具体的構\成態様としての相違点,すなわち,(a)2本のガイド片の立ち上がり部につき,正面視すると,本願意匠は,略「ハ」の字状を呈しているのに対して,引用意匠は,ほぼ垂直対向状である点,(b)2本のガイド片の爪部につき,詳細に観察すると,本願意匠は,立ち上がり部に対し,それぞれやや鋭角に内側に向かって屈曲しているのに対して,引用意匠は,それぞれ略直角に内側に向かって屈曲している点は,共に,前記共通点が看者に与える強い印象に比して微弱なものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は僅かなものにとどまる。したがって,2)に関する原告の主張も,類否判断に際して理由がない。

◆判決本文

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