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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

102条2項

平成19(ワ)2076 損害賠償請求事件 特許権 民事訴訟 平成22年01月28日 大阪地方裁判所

 特許権侵害事件について、102条2項における推定の覆滅が否定され、約15億の損害賠償が認められました。
 被告は,原被告以外の製造業者としてアンリツがあり,アンリツは被告と同程度を販売していたのであるから,被告物件の販売数のすべてを原告が販売することができたという関係にないと主張する。確かに,証拠(乙196,197)によれば,アンリツが,本件特許権の存続期間中,複数のホッパを有する自動電子計量機を製造販売していたこと,平成17年5月に作成されたアンリツの自動電子計量機「クリーンマルチスケール」のカタログには「高速度ダイレクトシャッタで,シャッタ開閉時間を1/2に短縮。しかも速度制御が可能。信頼性のあるステッピングモータを使用のため高寿命を実現いたしました。」などの記載があることが認められる。しかし,アンリツ製の自動電子計量機が,ステッピングモータを採用しており,シャッタ(ゲート)の開閉速度を制御することが可能\\であるとしても,被告物件のようにきめ細かにゲートの開閉制御を行うことができる機能を具備しているかは不明であり,被告物件の代替品といえるものかは明らかでない上,被告は,アンリツが自動電子計量機をどの程度販売していたのかについて何ら立証していないのであるから(なお,被告は,原告と被告が計量装置のシェアを2分する企業であるとの主張もしており,このことからすれば,原被告に比べればアンリツの自動電子計量機の販売数が相当多かったとはいえない,被告物件が販売さ。) れていなかったと仮定した場合に,被告物件を購入していた顧客が,被告物件の代替品としてアンリツ製の自動電子計量機をどの程度購入していたのかは全く不明というほかない。したがって,本件においては,特許法102条2項本文による原告の損害額の推定を覆滅するに足りる事実が具体的に立証されているとはいえないから,上記(3)で算出した原告の損害額を減額するのは相当でない。

◆判決本文

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