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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

用語解釈

◆H16.12.21 大阪地裁 平成16(ワ)3640 特許権 民事訴訟事件

  1つの争点は、補正による限定が審査基準に合致させるためにしたもので、意識的に限定したものではないかでした。
 裁判所は、以下のように判断しました。  「原告は、・・・改訂前審査基準の下で新規事項の追加とされるのを免れるためには、出願当初明細書に実施例として具体的に記載された、各回路素子の極性をも含めた具体的な接続の仕方、電流の流れ方を記載するしかなかった旨主張する。 イ しかし、出願当初明細書の発明の詳細な説明の段落【0004】には、「すなわち本発明の考え方は、高周波トランスの三次巻線と定電流検出抵抗と直列ドロッパー制御用素子と逆流防止用ダイオードと二次電池とを直列に接続して充電回路を構成し、この充電回路の電流路の外側に、二次電池と三次巻線と三次側スイッチング素子とを直列に配列して放電回路を設け、放電時には、前記定電流検出抵抗と直列ドロッパー制御用素子と逆流防止用ダイオードには電流が流れないようにする、というものである。」と記載され、段落【0009】には、放電時の作用として、「この時は、逆流防止ダイオード18のカソ\ード側が、逆流防止ダイオード9および三次側スイッチング素子11の順電圧降下によって二次電池14の負極に対して逆極性になるため、充電回路3cは自動的に停止し、充電は行われないことになる。」と記載されている。また、特許出願の願書に添付された図面の図2には、前記段落【0004】の記載に対応する回路図が示されている。したがって、放電時に充電回路の充電電流路に電流が流れることを阻止するための逆流防止ダイオードを設けることは、出願当初明細書の発明の詳細な説明に記載されていたと認められる。 そうであるとすれば、改訂前審査基準の下において新規事項の追加とされるのを免れることを前提としても、特許請求の範囲に「放電時には、定電流検出抵抗と直列ドロッパー制御用素子と逆流防止用ダイオードには電流が流れないようにするものである」という作用効果に対応する構成を付け加えようとするならば、出願当初明細書の特許請求の範囲の「逆流防止ダイオード」という構\成要件を、例えば、「放電時に充電回路の充電電流路に電流が流れることを阻止するための逆流防止ダイオード」と補正すれば足りたものと認められ、補正後の特許請求の範囲のように各回路素子の具体的な接続の仕方や具体的な電流の流れ方まで記載しなければならなかったとは認められない。」

◆H16.12.21 大阪地裁 平成16(ワ)3640 特許権 民事訴訟事件

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◆H16.10.29 東京地裁 平成15(ワ)27420 特許権 民事訴訟事件

 間接侵害、無効理由の存在などが争点でしたが、これには言及されず、構成要件充足性のみで請求棄却されました。原告被告が同じ別事件(H16. 8.31 東京地裁 平成15(ワ)18830等 特許権 民事訴訟事件)こちらにあります。

◆H16.10.29 東京地裁 平成15(ワ)27420 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 8.31 東京地裁 平成15(ワ)18830等 特許権 民事訴訟事件

 CS関連発明に関する判決です。特許請求の範囲の用語「アイコン」に該当するのかについて争われました。
 出願前の公知資料、明細書における記載を参酌して、「本件製品をインストールしたパソコンに表\示される「?」ボタン及び「表示」ボタン等は,本件各構\成要件にいう「アイコン」に該当しないから,本件発明の技術的範囲に属さず,同パソコンを製造等する行為は本件特許権を侵害しない」と認定されました。プログラムの販売行為が間接侵害に該当するのかも争点でしたが、こちらについては判断はなされていません。
 

◆H16. 8.31 東京地裁 平成15(ワ)18830等 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 4.23 東京地裁 平成15(ワ)9215 特許権 民事訴訟事件

 分割出願の技術的範囲について、原出願に記載されていない事項を含む解釈ができるかが1つの争点でした。
  裁判所は、「分割出願が適法と認められるためには,もとの出願が特許庁に係属し,かつ,もとの出願が2以上の発明を含むものでなければならず,2つ以上の発明を含むということは,単に特許請求の範囲に含まれている場合だけではなく,明細書に2以上の発明が含まれていればよいと解されていること,また,分割出願は,補正をなし得る期間内に出願されることが必要であること(特許法44条1項),さらに,分割出願はもとの特許出願の時にしたものとみなされ(同条2項),新規性・進歩性の判断等については分割出願の基になった特許出願時を基準とすることになることなどにかんがみると,出願の分割は補正(特許法17条)と類似した機能を持つものであるといえるから,分割出願をすることができる範囲についても,もとの出願について補正をすることが可能\である範囲に限られるものと解すべきであって(補正の要件を欠く場合にも出願の分割をなし得るとすれば,実質的には分割手続により補正の要件を潜脱することを許すことになり,不合理である。),分割出願の明細書又は図面に,原出願の出願当初の明細書又は図面に記載した事項の範囲外のものを含まないように解するのが相当である。」と述べました。

 

◆H16. 4.23 東京地裁 平成15(ワ)9215 特許権 民事訴訟事件

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◆H16. 2.25 東京地裁 平成14(ワ)16268 特許権 民事訴訟事件

 合金に関する特許権について、「実質的に,Ni:2〜4.8%,Si:0.2〜1.4%,Mg:0.05〜0.45%,Cu:残部(数字はいずれも重量%)から成る」という構成要件について、実質的にという文言が争点になりました。裁判所は、異なる元素を含むという理由で技術的範囲に属しないと判断しました。
「?@本件明細書には,特許請求の範囲に記載されている,ニッケル(Ni),ケイ素(Si),マグネシウム(Mg),銅(Cu)の他に,構成元素として,同等量のニッケル(Ni)と置換して,・・・記載されているが,その他の元素,特に,亜鉛(Zn),スズ(Sn)の添加について,これを示唆する記載はないこと,?A一般的に,合金は,成分元素や添加量を変化させた場合に合金の性質に与える予測可能\性が極めて低いこと,?B原告は,本件特許の出願過程において,Cu-Ni-Si基合金に,他の元素を増加させると電気伝導率や曲げ特性が悪化すると述べて,スズ(Sn)を0.39%含有する合金は電気伝導率が下がるので採用し得ないとして,本件発明の技術的範囲から除外すべきである旨述べていること等の事実に照らすならば,構成要件Aの「実質的に・・・から成る」とは,ニッケル(Ni),ケイ素(Si),マグネシウム(Mg)及び銅(Cu)以外の元素について,明細書中に具体的な記載がある元素,及び明細書の記載に基づいて当業者が容易に想到できる元素を含有させることを許容する趣旨と解すべきであるが,その範囲を超えた,合金の特性に影響を与える元素を含有させることを許容する趣旨と解することはできない。」

◆H16. 2.25 東京地裁 平成14(ワ)16268 特許権 民事訴訟事件

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