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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

補正・訂正

平成28(行ケ)10078  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年11月30日  知的財産高等裁判所

 補正が新規事項とした審決を、知財高裁は取り消しました。
(1) 新規事項追加禁止要件違反について
ア 前記1(1)のとおり,本件補正前の請求項6の命令スレッドのタイプは, いずれも,単に「タイプ」と記載されており,「(S,C)」の記号を伴わないもので あったところ,前記第2の1のとおり,原告は,平成26年8月26日付けで,甲 1発明等を引用例とする進歩性の欠如を理由とする拒絶査定を受けた(甲7,10) 後,本件補正をした。
イ 本件補正後の請求項6の,「(S,C)」は,それ自体のみからその技術的 な意義を読み取れず,また,本件補正後の請求項6の記載中に,その技術的な意義 を明確にする定義等の記載は見当たらない。 本件補正後の請求項6の従属項である同請求項7〜10にも,本件補正後の請求 項6の「(S,C)」の技術的な意義を明確にする記載はない。
ウ(ア) 当初明細書等には,命令スレッドのタイプについては,二つ以上ある こと(【0013】,【0014】,【0017】,【0020】),【0039】,【0042】,【0046】),三つ以上ある場合もあること(【0062】)が記載されており,命令スレッドのタイプが第1のタイプと第2のタイプである場合において,命令スレットの第1のタイプが計算タイプであり,第2のタイプがサービスタイプである 場合があることが記載されている(【0039】,【0042】,【0043】,【0044】,【0046】,【0047】,【0050】)。 また,当初明細書等には,命令スレッドのタイプは,1)アプリケーションプログ ラミングインターフェースの関数でタイプを識別するパラメータ(計算タイプ:H TCALCUL,サービスタイプ:HT_SERVICE)に基づく場合(【002 1】,【0042】,【0050】),2)プログラムの実行コマンドでタイプを識別するパラメータ(CALCUL,SERVICE)に基づく場合(【0022】,【004 3】,【0050】),3)命令スレッドの起動元のアプリケーションを自動的に認識す ることによって決定される場合(【0045】)があることが記載されている。 さらに,命令スレッドと仮想プロセッサの関係については,仮想プロセッサのタ イプは,パラメータC及びパラメータSによって識別され,パラメータCは計算タ イプに,パラメータSはサービスタイプに関連付けられ,仮想プロセッサ24C及 び26Cは計算タイプであり,仮想プロセッサ24S及び26Sはサービスタイプ である場合(【0046】〜【0048】)があることが記載されている。
 (イ) 以上によると,当初明細書等においては,「S」及び「C」は,仮想プ ロセッサのタイプとして記載されていること,命令スレッドのタイプとしては,「計 算タイプ」及び「サービスタイプ」という文言が用いられていることが認められる。 しかし,前記(ア)のとおり,仮想プロセッサのタイプは,パラメータC及びパラメ ータSによって識別され,パラメータCは計算タイプに,パラメータSはサービス タイプに関連付けられ,仮想プロセッサの24C及び26Cは「計算タイプ」,同2 4S及び26Sは「サービスタイプ」とされている。また,命令スレッドのタイプ がアプリケーションプログラミングインターフェースの関数でタイプを識別するパ ラメータ(計算タイプ:HTCALCUL,サービスタイプ:HT_SERVIC E)や,プログラムの実行コマンドでタイプを識別するパラメータ(CALCUL, SERVICE)に基づく場合があることが記載されているところ,C が計算(c alculation),Sがサービス(service)の頭文字に由来すること も明らかである。
エ そうすると,当初明細書等の記載を考慮して,特許請求の範囲に記載さ れた用語の意義を解釈すると,本件補正後の請求項6〜8で命令スレッドのタイプ とされている記載「タイプ(S,C)」は,「サービスタイプ」,「計算タイプ」の意 味であると解することができる。
オ 以上によると,本件補正は,本件補正前の請求項6において,命令スレ ッドの「タイプ」は,どのような種類のタイプが存在するのかについて,記載がな かったのを,「タイプ(S,C)」とし,当初明細書等に記載されていた「タイプ(サ ービスタイプ,計算タイプ)」としたものであり,当初明細書等に記載された事項の 範囲内を超えるものではない。

◆判決本文

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平成29(行ケ)10032  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年11月7日  知的財産高等裁判所(4部)

 無効審判における訂正を認めなかった審決が取り消されました。審決は、実質上の変更に該当すると判断しましたが、知財高裁はこれを取り消しました。
 本件審決は,本件発明10は,値段が高い銀ナノ粒子を使用することなく導 電性材料を得ることを目的とした発明であるのに対し,本件訂正発明10は,大量 の酸素ガスや大量の還元性有機化合物の分解ガスを発生させることなく,導電性材 料を得ることを目的とするものであり,本件訂正発明10が達成しようとする目的 及び効果は,訂正事項10−1による訂正で変更されたと認められるから,訂正の 前後における発明の同一性は失われており,訂正事項10−1は,実質上特許請求 の範囲を変更するものであると判断した。 イ しかし,本件明細書には,従来技術において,酸化銀等の銀化合物の微粒子 を還元性有機溶剤へ分散したペースト状導電性組成物を基板上に塗布して加熱し配 線を製造する方法が知られていたが,ミクロンオーダーの銀粒子を使用した場合, 高い反応熱によりガスが大量発生し,不規則なボイドが形成されて導電性組成物が 破壊されやすくなったり,取扱上の危険性があるという問題点があり(【0004】 〜【0007】,【0010】),銀ナノ粒子を含む導電性組成物を用いると,銀ナノ 粒子の値段が高いという問題点があったこと(【0009】,【0010】)が記載さ れており,本件発明は,安価かつ安定な導電性材料用組成物を用いて得られる導電 性材料を製造する方法を提供することを目的とするとの記載があるのであるから (【0012】),本件発明の目的は,従来技術においてミクロンオーダーの銀粒子を 使用する際にガスが大量発生することによる問題を解消するとともに,値段が高い 銀ナノ粒子を使用することなく,導電性材料を製造することにあると認められる。 そして,本件発明10においては,その目的を,「銀の粒子が,0.1μm〜15 μmの平均粒径(メジアン径)を有する銀の粒子からなる」という構成,及び「第\n2導電性材料用組成物を,酸素,オゾン又は大気雰囲気下で150℃〜320℃の 範囲の温度で焼成して,前記銀の粒子が互いに隣接する部分において融着し」とい う構成を備えることによって達成している。\n他方,本件訂正発明10は,大量のガスを発生させることなく導電性材料を得る という目的を達成するため,「前記銀の粒子の一部を局部的に酸化させることにより, 前記銀の粒子が互いに隣接する部分において融着し」という構成を備えている上,\n銀の粒子が,0.1μm〜15μmの平均粒径(メジアン径)を有するものから, 2.0μm〜15μmの平均粒径(メジアン径)を有するものに訂正されたことに より,訂正前に比べて銀の粒子径がより大となっており,値段が高い銀ナノ粒子を 使用することなく導電性材料を得るという目的及び効果について,より限定された ものとなっている。
ウ したがって,訂正事項10−1による訂正は,本件発明10が達成しようと する目的及び効果を変更するものではない。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10265  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年10月3日  知的財産高等裁判所(4部)

 特許庁では、無効審判における訂正請求が独立特許要件違反として否定されました。 知財高裁は、引用文献どおしを組み合わせる動機付けはあるが、本件発明には想到しないとして、審決を取り消しました。
 引用発明Aが検知の対象とするタグと引用例3事項の付け札とは,いずれ も盗難防止装置に使用されるタグ(付け札)の技術分野に関するものである。 また,引用発明Aと引用例3事項の付け札が使用される電子物品管理システムは, いずれも,タグ(付け札)が警報動作を開始する際には,電波送出パネル22(出 口送信機ユニット)が信号を発信し,タグ1(付け札)がこれを受信するものであ って,警報動作を終了する際には,コード信号出力ユニット(勘定所送信機ユニッ ト又は携帯送信機ユニット)が信号を発信し,タグ1(付け札)がこれを受信する ものである。このように,引用発明Aと引用例3事項の付け札が使用される電子物 品管理システムとは,タグ(付け札)が警報動作を開始する際及び終了する際の作 用機序において共通する。 さらに,引用発明Aは,警報動作を開始させる所定の周波数の電波及び警報動作 を終了させるコード信号のみを使用するものであるが,引用例3事項の付け札が使 用される電子物品管理システムは,これらに相当する信号(出口メッセージ及び終 了メッセージ)に加えて,能動的包装メッセージ,オーディオ包装メッセージ,受\n動的包装メッセージ及び保管メッセージを含む信号を使用し,電子物品監視システ ムの作動能力を拡張するものである。このように,引用例3事項の付け札は,引用\n発明Aが検知の対象とするタグと比較して,その作動能力が拡張されたものである。
(イ) 以上によれば,当業者は,引用発明Aが検知の対象とするタグに,盗難防 止装置に使用されるものであって,警報動作の開始及び終了の作用機序が共通し, さらに作動能力が拡張された引用例3事項の付け札を適用する動機付けがあるとい\nうべきである。
エ 引用例3事項を適用した引用発明Aの構成
(ア) 本件訂正発明8において,盗難防止タグは,警報出力手段が作動可能であ\nる状態及び警報出力状態を解除するに当たり,「一致判定手段が「前記識別手段が 識別した解除指示信号に含まれる」暗号コードが一致するか否かを判定する」もの である。一致判定手段は,前記識別手段が解除指示信号を識別した後に,その解除 指示信号に含まれる暗号コードと,暗号記憶手段が記憶する暗号コードが一致する か否かを判定するから,識別手段による解除指示信号の識別に用いられるコードと, 一致判定手段による暗号コードの一致判定に用いられるコードとは無関係なものと いうことができる。
・・・
(ウ) そうすると,警報動作を終了させるに当たり,本件訂正発明8の盗難防止 タグは,解除信号の一部に含まれる,解除指示信号の識別とは無関係な「暗号コー ド」と,記憶された暗号コードとの一致判定を行うのに対し,引用例3事項を適用 した引用発明Aのタグは,解除信号である「コード信号」と,記憶された「それぞ れ異なるメッセージを含む信号」中の「コード信号」との一致判定を行うものであ る。したがって,引用発明Aに引用例3事項を適用しても,相違点2に係る本件訂正 発明8の構成に至らないというべきである。
オ 本件審決の判断について
(ア) 本件審決は,引用例3事項の「終了メッセージを含む信号」は,警報オフ とする点において,「解除指示信号」と共通するとした上で,引用例3,甲5(米 国特許第5148159号明細書。平成4年公開)及び甲6(「NEC MOS集 積回路 μPD6121,6122データシート」NEC株式会社。平成7年公開) から,「信号が設定可能なコードを一部に含み,一致判定手段が前記信号に含まれ\nる前記コードが一致するか否かを判定する」という周知技術(以下「審決認定周知 技術」という。)が認められるから,引用例3事項を適用するに当たって,引用例 3事項の「終了メッセージを含む信号」を,設定機能によって所望に設定できるコ\nードを一部に含み,引用発明Aの一致判定手段において信号に含まれるコードが一 致するか否かを判定するように構成することは,当業者にとって格別困難ではない\nと判断した。
(イ) 本件審決は,引用発明Aに引用例3事項を適用するに当たり,周知技術を 考慮して変更した引用例3事項を適用することによって,本件訂正発明8を容易に 想到することができるとするものである。 しかしながら,前記エのとおり,引用発明Aに引用例3事項を適用しても,相違 点2に係る本件訂正発明8の構成に至らないところ,さらに周知技術を考慮して引\n用例3事項を変更することには格別の努力が必要であるし,後記(ウ)のとおり,引 用例3事項を適用するに当たり,これを変更する動機付けも認められない。主引用 発明に副引用発明を適用するに当たり,当該副引用発明の構成を変更することは,\n通常容易なものではなく,仮にそのように容易想到性を判断する際には,副引用発 明の構成を変更することの動機付けについて慎重に検討すべきであるから,本件審\n決の上記判断は,直ちに採用できるものではない。

◆判決本文

本件特許の侵害事件の控訴審です。こちらは技術的範囲に属しないと判断されています。

◆平成29(ネ)10022

◆原審はこちら。平成26(ワ)20319

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平成28(行ケ)10170  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年8月30日  知的財産高等裁判所(1部)

 訂正要件満たしていないとした審決が取り消されました。
 審決は,「x2+y2=r2」の式は,原点を中心とする半径rの円周上 の各点の座標(x,y)の方程式とみることもできるが,斜辺の長さがrとなる直 角三角形における直角をはさむ2辺の長さx,yの方程式とみることもでき,この 場合,本件条件式(|(x2+y2)1/2|≦2.50)のx,yは,それぞれ,測 定基準点から水平線を延ばしたときに所定領域の外縁と交差する位置(水平方向外 縁位置)までの距離,及び,測定基準点から鉛直線を延ばしたときに所定領域の外 縁と交差する位置(鉛直方向外縁位置)までの距離を示すと解するのが自然である とする(第1解釈)。 しかしながら,審決の上記認定に従って,本件条件式のx,yを理解すると,本 件条件式は,「水平方向外縁位置と鉛直方向外縁位置の距離」が2.5mm以下であ ればよく,水平方向と鉛直方向以外については何ら規定していないのであるから, 本件条件式によっては,「所定領域」の形状が定まらないことになる。また,水平方 向外縁位置と鉛直方向外縁位置の距離が2.5mm「以下」であればよいことにな るので,水平方向外縁位置及び鉛直方向外縁位置が0のもの,すなわち,所定領域 として大きさをもたないものも含むことになる。  前記(ア)のとおり,所定領域は面非点隔差成分の平均値(ΔASav)を決めるた めの基準となる範囲を示すものであって,本件条件式は,この所定領域が満足すべ き範囲を定めるものであることからすれば,本件条件式について,上記のように, 形状が定まらず,また,大きさを持たないものも含むように解することは,不自然 であるといわざるを得ない。
また,本件明細書には,「実質的に球面形状またはトーリック面形状である測定基 準点を含む近傍の領域は,…|(x2+y2)1/2|≦1.75(mm)の条件を満 足する領域であることが望ましい。また,処方度数と測定度数とをさらに良好に一 致させるには,実質的に球面形状またはトーリック面形状である測定基準点を含む 近傍の領域は,|(x2+y2)1/2|≦2.50(mm)の条件を満足する領域で あることが望ましく」(前記1(1) と記載されていることからすると,本件条件 式は,少なくとも,|(x2+y2)1/2|≦1.75(mm)の場合と比較して, 度数測定がより容易になる条件を規定しているものと認められる。 しかしながら,審決の上記解釈によれば,本件条件式は,所定領域の形状が特定 されるものではなく,しかも,所定領域として大きさを持たないものも含むことに なるものであるから,度数測定がより容易になる条件を規定したものとはいい難く, 上記のとおり,|(x2+y2)1/2|≦1.75(mm)の条件式と対比して,本 件条件式を規定している本件明細書の記載と整合するものとはいえない。 したがって,審決の上記解釈は,不自然であるといわざるを得ない。 なお,審決は,「所定領域」は,測定基準点を中心としてどの方向にも大きさが略 一定の領域(すなわち,測定基準点を中心とする略円形の領域)として設ければよ いのであり,水平方向及び鉛直方向の大きさとそれ以外の方向の大きさとが大きく 異なるような不定形の形状の領域にすることは,必要がないばかりか,光学性能の\n低下という観点から有害であることが当業者に自明であるとして,本件条件式は, 測定基準点を中心としてどの方向にも「所定領域」の大きさが略一定であることを 前提として,その大きさを規定したものである,とも認定している。むしろ,この ように,所定領域の大きさが略一定であることが当業者にとって当然の前提となる のであれば,本件明細書の記載に接した当業者は,本件条件式が円を規定するもの, すなわち,x,yを座標であると理解するというのが自然かつ合理的である。 以上によれば,本件明細書において,本件条件式とともに面非点隔差成分の平均 値を求める基礎となる面非点隔差成分ΔASについて,x,yが座標として用いら れていること,本件条件式のx,yを測定基準点から水平方向外縁位置及び鉛直方 向外縁位置までの距離であると解することが本件明細書の全体の記載に照らして不 自然であることなどから,本件条件式のx,yは,座標として用いられていると解 するのが相当である。そして,このように解しても,本件訂正後の本件訂正発明は, 処方面の非球面化により装用状態における光学性能を補正する構\\成を採用している にもかかわらず,レンズの度数測定を容易に行うことができるとの効果を奏するも のであると認められる。 したがって,訂正事項1−4は,もとより座標を示すものであると解される本件 条件式のx,yが座標であることを明記したにすぎないものであり,訂正事項1− 4に係る本件訂正発明3の第2発明特定事項は,本件明細書の全ての記載を総合す ることにより導かれる技術的事項であり,新たな技術的事項を導入しないものであ るから,本件明細書に記載した事項の範囲内においてするものということができる。

◆判決本文

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平成27(ネ)10122  不当利得返還請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年8月9日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁3部は、特許権侵害について、特許無効と判断した1審判断を維持し、請求棄却しました。侵害事件と並行して、無効審判が請求されており、特許庁は審理の結果、無効予告をしました。特許権者は訂正をしましたが、訂正要件を満たしていないとして、最終的に無効と判断されました。これに対して、特許権者は、審取を提起しました。\n原審(侵害訴訟)でも、訂正要件を満たしていないと判断されてます。
 訂正前の「…前記第1の位相から調節できるように固定された第1 の量だけ転位させた第2の位相を有する第3のクロック信号…」の記載 によれば,「第2の位相」の「第1の位相」からの変位量(転位の量) は,第3のクロックが調節されたとしても,第1のクロックが同じ量 だけ調節されれば,変位量に変化がなく,このような調節も「固定」 に含まれると解される。 これに対し,訂正後の「…第2の位相の前記第1の値をもつ第1の位 相を基準とした変位量は,第1の位相が前記第1の値をもっている状態 において第3のクロック信号の調整がなされるまでの間,固定された第 1の量であり,前記変位量は,第3のクロック信号が調節されたときは 調節される…」との記載によれば,変位量は,第1のクロックの調節に よらず専ら第3のクロックの調節により調節され,第3のクロック信号 が調節されれば,仮に第1のクロックが同じ量だけ調節されたとしても 変化するように,「固定」の技術的意味を変更するものと理解される。
(エ) 以上より,訂正事項2は,特許請求の範囲の減縮を目的とするもの に当たらないとともに,不明瞭な記載の釈明又は誤記の訂正を目的と する訂正であるということもできない。 また,訂正事項2が,他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当 該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものでな いことは明らかである。

◆判決本文

◆1審はこちらです。平成25(ワ)33706

◆対応の無効事件はこちらです。平成28(行ケ)10111

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平成28(行ケ)10157  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年7月19日  知的財産高等裁判所

 訂正要件を満たさない(新規事項)とした無効審決が取り消されました。
 前記1の認定事実によれば,実施例2においては,醸造酢(酸度10%)15部, スクラロース0.0028部等を含有する調味液と塩抜きしたきゅうりを4対6 の割合で合わせて瓶詰めをしてピクルスを得た結果,当該ピクルスは,スクラロー スを添加していないものに比べて,酸味がマイルドで嗜好性の高いものに仕上が り,ピクルスに対する酸味のマスキング効果が確認されたことが認められる。そう すると,醸造酢を含有する製品として,酸味のマスキング効果を確認した対象は, 調味液ではなくピクルスであるから,当該効果を奏するものと確認されたスクラ ロース濃度は,上記調味液におけるスクラロース濃度ではなく,これに水分等を含 むきゅうりを4対6の割合で合わせた後のピクルスのスクラロース濃度であると 認めるのが相当である。 これに対し,本件明細書に記載された0.0028重量%は,調味液に含まれる スクラロース濃度であるから,当該濃度は,酸味のマスキング効果が確認されたピ クルス自体のスクラロース濃度であると認めることはできない。 他方,ピクルスにおけるスクラロース濃度は,実施例2において調味液のスクラ ロース濃度を0.0028重量%とし,この調味液と塩抜きしたきゅうりを4対6 の割合で合わせ,瓶詰めされて製造されるものであるから,きゅうりに由来する水 分により0.0028重量%よりも低い濃度となることが技術上明らかである(き ゅうりにスクラロースが含まれないことは,当事者間に争いがない。)。そして,0. 0028重量%よりも低いスクラロース濃度においてピクルスに対する酸味のマ スキング効果が確認されたのであれば,ピクルスにおけるスクラロース濃度が0. 0028重量%であったとしても酸味のマスキング効果を奏することは,本件明 細書の記載及び本件出願時の技術常識から当業者に明らかである。そのため,スク ラロースを0.0028重量%で「醸造酢及び/又はリンゴ酢を含有する製品」に 添加すれば,酸味のマスキング効果が生ずることは当業者にとって自明であり(実 施例3の「おろしポン酢ソース」では,スクラロース0.0035重量%で酸味の\nマスキング効果が生じ,実施例4の「青じそタイプノンオイルドレッシング」では, スクラロース0.0042重量%で酸味のマスキング効果が生じることがそれぞ れ開示されている。),このことは本件明細書において開示されていたものと認め られる。 そうすると,製品に添加するスクラロースの下限値を「製品の0.000013 重量%」から「0.0028重量%」にする訂正は,特許請求の範囲を減縮するも のである上,本件訂正後の「0.0028重量%」という下限値も,本件明細書に おいて酸味のマスキング効果を奏することが開示されていたのであるから,本件 明細書に記載した事項の範囲内においてしたものというべきである。 したがって,訂正事項1は,当業者によって本件明細書,特許請求の範囲又は図 面(以下「本件当初明細書等」という。)の全ての記載を総合することにより導か れる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものといえる から(知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10563号同20年5月30日 特別部判決参照),特許法134条の2第9項で準用する同法126条5項の規定 に適合するものと認めるのが相当である。

◆判決本文

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平成28(行ケ)10160  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年7月12日  知的財産高等裁判所

 使用態様を特定した製剤に限定する訂正が、訂正要件違反と判断されました。
 訂正事項5は,本件訂正前の特許請求の範囲の請求項 1に「針状又は糸状の形状を有すると共に」とあるのを「針状又は糸状の形 状を有し,シート状支持体の片面に保持されると共に」に訂正する,という ものであり,これを請求項の記載全体でみると,「…尖った先端部を備えた 針状又は糸状の形状を有すると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧 されることにより皮膚に挿入される,経皮吸収製剤」とあるのを「…尖った 先端部を備えた針状又は糸状の形状を有し,シート状支持体の片面に保持さ れると共に前記先端部が皮膚に接触した状態で押圧されることにより皮膚に 挿入される,経皮吸収製剤」に訂正するものである。 ここで,「経皮吸収製剤」にかかる「前記先端部が皮膚に接触した状態で 押圧されることにより皮膚に挿入される」との文言は,経皮吸収製剤の使用 態様を特定するものと解されるから,その直前に挿入された「シート状支持 体の片面に保持されると共に」の文言も,前記文言と併せて経皮吸収製剤の 使用態様を特定するものと解することが可能である。すなわち,訂正事項5\nは,経皮吸収製剤のうち,「シート状支持体の片面に保持される」という使 用態様を採らない経皮吸収製剤を除外し,かかる使用態様を採る経皮吸収製 剤に限定したものといえる。 ところで,本件発明は「経皮吸収製剤」という物の発明であるから,本件 訂正発明も「経皮吸収製剤」という物の発明として技術的に明確であること が必要であり,そのためには,訂正事項5によって限定される「シート状支 持体の片面に保持される…経皮吸収製剤」も,「経皮吸収製剤」という物と して技術的に明確であること,言い換えれば,「シート状支持体の片面に保 持される」との使用態様が,経皮吸収製剤の形状,構造,組成,物性等によ\nり経皮吸収製剤自体を特定するものであることが必要である。 しかしながら,「シート状支持体の片面に保持される」との使用態様によ っても,シート状支持体の構造が変われば,それに応じて経皮吸収製剤の形\n状や構造(特にシート状支持体に保持される部分の形状や構\造)も変わり得 ることは自明であるし,かかる使用態様によるか否かによって,経皮吸収製 剤自体の組成や物性が決まるという関係にあるとも認められない。 したがって,上記の「シート状支持体の片面に保持される」との使用態様 は,必ずしも,経皮吸収製剤の形状,構造,組成,物性等により経皮吸収製\n剤自体を特定するものとはいえず,訂正事項5によって限定される「シート 状支持体の片面に保持される…経皮吸収製剤」も,「経皮吸収製剤」という 物として技術的に明確であるとはいえない(なお,「シート状支持体の片面 に保持される」との用途にどのような技術的意義があるのかは不明確といわ ざるを得ないから,本件訂正発明をいわゆる「用途発明」に当たるものとし て理解することも困難である。)。 そうすると,訂正事項5による訂正後の特許請求の範囲の請求項1の記載 は,技術的に明確であるとはいえないから,訂正事項5は,特許請求の範囲 の減縮を目的とするものとは認められない。 なお,仮に,「シート状支持体の片面に保持されると共に」の文言が経皮 吸収製剤の使用態様を特定するものではなく,「尖った先端部を備えた針状 又は糸状の形状を有し」との文言と同様に経皮吸収製剤の構成を特定するも\nのであるとすれば,本件訂正発明は,「シート状支持体の片面に保持された 状態にある経皮吸収製剤」になり,構成としては「片面に経皮吸収製剤を保\n持した状態にあるシート状支持体」と同一になるから,訂正事項5は,本件 訂正前の請求項1の「経皮吸収製剤」という物の発明を,「経皮吸収製剤保 持シート」という物の発明に変更するものであり,実質上特許請求の範囲を 変更するものとして許されないというべきである(特許法134条の2第9 項,126条6項)。
・・・
被告は,訂正事項5は,請求項1の経皮吸収製剤に対して,本件明細書中 に記載され,請求項19においても記載されているシート状支持体の構成を\n追加したものであり,両者の構成及び関係は本件明細書の記載上明確である\nから,物としての態様(構成)が明確でないとの批判も当たらないし,特許\n法上,物の発明において使途の構成を規定してはいけないというような制限\nはなく,本件訂正発明が飽くまで経皮吸収製剤の発明であって,経皮吸収製 剤保持シートの発明でないことは,訂正後の請求項1の文言から明らかであ る,などと主張する。
しかしながら,訂正事項5は,経皮吸収製剤のうち,「シート状支持体の 片面に保持される」という使用態様を採らない経皮吸収製剤を除外し,かか る使用態様を採る経皮吸収製剤に限定したものとみるべきであり,「経皮吸 収製剤」自体の構成を更に限定するものとみるのは相当でないこと,そして,\n訂正事項5が,使用態様の限定であるとしても,かかる限定によって,経皮 吸収製剤自体の形状,構造,組成,物性等が決まるという関係にあるとは認\nめられず,本件訂正後の経皮吸収製剤も技術的に明確であるといえないこと は,いずれも前記のとおりである。

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平成28(受)632  特許権侵害差止等請求事件 平成29年7月10日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  知的財産高等裁判所

 最高裁(第2小法廷)判決です。特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,その後に特許法104条の4第3号所定の特許請求の範囲の訂正をすべき旨の審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことはできないと判断されました。本件については、別途無効審判が継続(審取中を含む)しており、法上、訂正審判の請求ができなかったという特殊事情があります。この点については、訂正審判を請求しなくても、訂正の抗弁まで禁止されていたわけではないと判断されました。
 特許権侵害訴訟の終局判決の確定前であっても,特許権者が,事実審の 口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず,その後に訂 正審決等の確定を理由として事実審の判断を争うことを許すことは,終局判決に対 する再審の訴えにおいて訂正審決等が確定したことを主張することを認める場合と 同様に,事実審における審理及び判断を全てやり直すことを認めるに等しいといえ る。 そうすると,特許権者が,事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張し なかったにもかかわらず,その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判 断を争うことは,訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえ るだけの特段の事情がない限り,特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させ るものとして,特許法104条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして許 されないものというべきである。
(2) これを本件についてみると,前記事実関係等によれば,上告人は,原審の 口頭弁論終結時までに,原審において主張された本件無効の抗弁に対する訂正の再 抗弁を主張しなかったものである。そして,上告人は,その時までに,本件無効の 抗弁に係る無効理由を解消するための訂正についての訂正審判の請求又は訂正の請 求をすることが法律上できなかったものである。しかしながら,それが,原審で新 たに主張された本件無効の抗弁に係る無効理由とは別の無効理由に係る別件審決に 対する審決取消訴訟が既に係属中であることから別件審決が確定していなかったた めであるなどの前記1(5)の事情の下では,本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁 を主張するために現にこれらの請求をしている必要はないというべきであるから, これをもって,上告人が原審において本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁を主張 することができなかったとはいえず,その他上告人において訂正の再抗弁を主張し なかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情はうかがわれない。

◆判決本文

◆1審はこちら。平成25(ワ)32665

◆2審はこちら。平成26(ネ)10124

◆無効審判の取消訴訟はこちら。平成26(行ケ)10198

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平成28(行ケ)10154  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年5月30日  知的財産高等裁判所

 訂正について、「誤記とはいえない、かつ、新規事項である」とした審決が取り消されました。
  (1) 特許法126条1項2号は,「誤記・・・の訂正」を目的とする場合には, 願書に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面の訂正をすることを認めているが, ここで「誤記」というためには,訂正前の記載が誤りで訂正後の記載が正しいこと が,当該明細書,特許請求の範囲若しくは図面の記載又は当業者(その発明の属す る技術の分野における通常の知識を有する者)の技術常識などから明らかで,当業 者であればそのことに気付いて訂正後の趣旨に理解するのが当然であるという場合 でなければならないものと解される。
(2)ア そこで,まず,本件明細書に接した当業者が,明細書の記載は原則とし て正しい記載であることを前提として,本件訂正前の本件明細書の記載に何らかの 誤記があることに気付くかどうかを検討する。 (ア) 本件明細書の【0034】の【化14】には,以下に示す化合物(3) から,「EAC」が添加された反応条件下で,以下に示す化合物(4)を得る工程【化 14】が示されており(下図は,【化14】の記載を簡略化し,反応により構造が変\n化した部分に丸印を付したもの。),本件明細書の【0034】の[合成例4]の本 文には,化合物(3)に「EAC(酢酸エチル,804ml,7.28mol)」を 添加し,反応させて,化合物(4)を得たと記載されているから,明細書は原則と して正しい記載であることを前提として読む当業者は,本件明細書には,化合物(3) に酢酸エチルを作用させて化合物(4)を得たことが記載されていると理解する。
(イ) しかし,当業者であれば,以下に示す理由で,「化合物(3)に酢酸エ チルを作用させて化合物(4)を得た」とする記載内容にもかかわらず,化合物(3) に以下に示す酢酸エチルを作用させても化合物(4)が得られない,つまり,【化1 4】に係る原料(出発物質;化合物(3))と,反応剤(EAC)と,生成物(化合 物(4))のいずれかに誤記が存在することに気付くものと考えられる。 すなわち,本件明細書の【0034】の【化14】に接した当業者は,(1)ヒドロ キシ基を有する不斉炭素(20位の炭素原子)の立体化学が維持されていることか ら,【化14】の反応は,酸素原子が反応剤の炭素原子を求核攻撃することによる, 20位の炭素原子に結合した−OH基の酸素原子と反応剤の炭素原子との反応であ ること(20位の炭素原子と酸素原子間のC−O結合が切れる反応が起こるのでは なく,アルコール性水酸基の酸素原子と水素原子の間のO−H結合が切れることに よって不斉炭素の立体構造が維持されることになる反応であること。甲2,23〜\n25),(2)上記−OH基の酸素原子が酢酸エチルの炭素原子を求核攻撃しても,化合 物(4)の側鎖である,−OCH2CH2COOC2H5の構造とはならないこと(炭\n素数が1つ足りないこと)に気付き,これらを考え合わせると,【0034】の「化 合物(3)に酢酸エチルを作用させて化合物(4)を得た」という反応には矛盾が あることに気付くものということができる。 (ウ) したがって,本件明細書に接した当業者は,【0034】の【化14】 (化合物(3)から化合物(4)を製造する工程)において,側鎖を構成する炭素\n原子数の不整合によって,【0034】に何らかの誤記があることに気付くものと認 められる。
・・・・
前記3の取消事由1で判断したとおり,本件明細書に接した当業者であれば,本 件訂正事項に係る【0034】の「EAC(酢酸エチル,804ml,7.28m ol)」という記載が誤りであり,これを「EAC(アクリル酸エチル,804ml, 7.28mol)」の趣旨に理解するのが当然であるということができるから,本件 訂正後の記載である「アクリル酸エチル」は,本件訂正前の当初明細書等の記載か ら自明な事項として定まるものであるということができ,本件訂正によって新たな 技術的事項が導入されたとは認められない。

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平成28(行ケ)10088  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成29年2月8日  知的財産高等裁判所

 知財高裁(3部)は、第1次判決の拘束力が及ばない、新規事項であるとした審決は妥当と判断しました。
 事情が複雑です。本件特許出願について、第1次審決で補正要件違反(新規事項)と判断され、知財高裁にて、それが取り消されました(第1次判決 平成26年(行ケ)第10242号)。審理が再開されましたが、審判官は、再度補正要件違反(新規事項)として判断しました。理由は、現出願である実案出願に開示がなかった技術的事項を導入しているというものです。
 以上を前提に,本件実用新案登録の当初明細書等と本願明細書等の記載事 項を比較すると,次のとおり,本願明細書等には,本件実用新案登録の当初 明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係に おいて,明らかに新たな技術的事項を導入するものというべき記載が認めら れる。
ア 本願明細書等の請求項1の(3)ないし(15)に関する事項 本願明細書等に記載がある,シュレッダー補助器について,材質がプラ スチック製であること(請求項1の(3)及び(9)),色が透明である こと(同(11)),横幅が約35cmであること(同(8))の各事項 について,本件実用新案登録の当初明細書等には明示の記載がなく,また, 本件実用新案登録の出願時において,これらの記載事項が技術常識であっ たとも認められない。 また,シュレッダー補助器に埋め込まれた金属製爪部分及びこれに関す る記載事項(同(4)ないし(7),(10),(12)ないし(15)) については,本件実用新案登録の当初明細書等において,そのような爪部 分の存在自体が明らかでない。 したがって,これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全て の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明ら かに新たな技術的事項を導入するものというべきである。
イ 本願明細書等の図1及び図2並びに段落【0010】の図1及び図2に 関する事項
本願明細書等の図1(シュレッダー補助器の横断面図)及び図2(シュ レッダー補助器の正面図)並びに段落【0010】の図1及び図2に関す る寸法については,本件実用新案登録の当初明細書等には記載も示唆も一 切認められない。これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全 ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明 らかに新たな技術的事項を導入するものというべきである。 ウ 本願明細書等の段落【0010】の図3及び図4に関する事項 本願明細書等の段落【0010】には,図3の寸法に関し,「(ム)シ ュレッダー補助器の下部外幅は6mm,」と記載され,「(ヤ)シュレッダ ー補助器が挿入し易いよう,傾斜角を,シュレッダー機本体の水平面から 測って85度とし,」と記載されている。しかしながら,本件実用新案登録 の当初明細書等の対応する図1においては,シュレッダー補助器の下部外 幅は5mmと異なる数値が記載されており,また,傾斜角については記載 も示唆も認められない。 また,本願明細書等の段落【0010】には,図4の寸法に関し,「( ヨ)シュレッダー補助器の横幅約35cm,」と記載されている。しかし ながら,本件実用新案登録の当初明細書等には,この点についての記載も 示唆も認められない。 したがって,これらの事項は,本件実用新案登録の当初明細書等の全て の記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,明ら かに新たな技術的事項を導入するものというべきである。
(5) 以上のとおりであるから,本願明細書等に記載した事項は,本件実用新案 登録の当初明細書等に記載した事項の範囲内のものとはいえない。 したがって,本願について出願時遡及を認めることはできないから,本願 は,平成18年8月24日(本件実用新案登録に係る実用新案登録出願の時) に出願したものとみなすことはできないとした本件審決の判断に誤りはなく, 本願出願の時は,本願出願の現実の出願日である平成20年10月10日と なる。
(6) これに対し,原告は,本件実用新案登録は,出願時と同一のものであると 認められたからこそ,登録になったのであり,原告は,本願において,その 登録になったものと同一のものを,そのまま(変更せずに)特許出願したに すぎないから,出願時遡及を認めないのは誤りであると主張する。 しかしながら,実用新案登録制度は,考案の早期権利保護を図るため実体 審査を行わずに実用新案権の設定の登録を行うものであるため,補正により 新規事項が追加され,無効理由を胚胎した出願であっても,実用新案権の設 定の登録はされ得る。そして,このような新規事項が追加されて実用新案登 録になった明細書等と同一のものに基づいて特許出願をした場合,特許出願 の当初明細書等も実用新案登録出願の当初明細書等に対して新規事項が追加 されたものになるから,その後の補正により新規事項が解消されない限り, 出願時遡及は認められないことになる。すなわち,実用新案権の設定の登録 は,登録時の明細書等が実用新案登録出願の当初明細書等と同一でなくとも され得るから,実用新案登録になった明細書等と同一のものをそのまま用い て特許出願をしたとしても出願時遡及が直ちに認められるものではない。し たがって,上記原告の主張はその前提を欠くものであって失当である。
また,原告は,本件実用新案登録の出願後,登録になるまでに何度も手続 補正をしているが,それは,いずれも被告側の指示(手続補正指令書)に従 って手続補正書を提出したものであり,被告側の指示に従って手続補正を繰 り返した結果,ようやく登録が認められたにもかかわらず,本件実用新案登 録の出願時のものとは異なるという理由で,出願時遡及を認めないのは理不 尽であるとも主張する。 しかしながら,証拠(甲2の1,4,6,8の1,8の2,11)によれ ば,手続補正指令書による被告の補正命令は,いずれも実用新案法6条の2 第1号又は第4号に関するものであって,補正後の明細書等の具体的内容を 指示したものではない。また,各手続補正指令書において,その都度,補正 した事項が出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であるように十分\n留意する必要がある旨の注意喚起もなされている(更に付け加えれば,出願 手続には専門知識が要求されるので,専門家である弁理士に相談することの 促しもなされている。)。 それにもかかわらず,本件実用新案登録の登録時における明細書等の内容 が,新規事項の追加によって出願時のそれと異なるものとなり,その結果, 特許法46条の2第2項による出願時遡及が認められないこととなったのは, 原告自身の責任によるものというほかない。したがって,上記原告の主張も また失当である。

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平成28(ネ)10046  特許権侵害差止請求控訴事件  特許権  民事訴訟 平成29年1月20日  知的財産高等裁判所  東京地方裁判所

 知財高裁(1部)は、一部の構成を有していないと判断しました。1審の判断は結論において誤っていないので原審維持です。1審は進歩性なしとして非侵害の判断をしていました。なお、特許庁は、屈折率の測定方法に関する訂正事項が訂正要件を見たしていると判断してました。
 前記アによると,本件各明細書には,樹脂組成物の屈折率について「硬化樹 脂層の屈折率測定方法は,JIS K 7142の「プラスチックの屈折率測定方 法」(Determination of the refractive in dex of plastics)に従う。具体的には,ガラス繊維織物が含まれ ていない硬化性樹脂のフィルムを,ガラス繊維織物を含む場合と同じ条件で作成し, アッベ屈折計を用いて測定する。」と記載されていることが認められる。したがって, 樹脂組成物の屈折率については,「JIS K 7142」(甲203)に規定され たA法(板状またはフィルム状試験片に適用)とB法(粉末状,ペレット状,顆粒 状サンプルに適用)のうち,アッベ屈折計を用いるとされるA法により測定される ことが記載されていると認められる。 これに対し,ガラス組成物の屈折率については,いくつかの測定方法があり,測 定方法が相違すると測定値も異なることがあることは前記認定のとおりであるけれ ども,本件各特許の特許請求の範囲の記載では,ガラス組成物の屈折率の測定方法 が特定されていないし,また,本件各明細書における発明の詳細な説明にも,ガラ ス組成物の屈折率の測定方法は明記されていないことが認められる。 もっとも,このような場合であっても,本件各明細書におけるガラス組成物等の 屈折率に関する記載を合理的に解釈し,当業者の技術常識も参酌して,ガラス組成 物の屈折率の測定方法を合理的に推認することができるときには,そのように解釈 すべきである。 まず,前記アの本件各明細書の記載においては,特に,ガラス繊維織物に織られ たガラス繊維の品番ECE225,ECG75,ECG37等が特定されているの に対し,そのガラス繊維であるECE225,ECG75,ECG37等の屈折率 が表示されていないこと,その原料であるEガラスの屈折率が1.558であると\n表示されており,表\1におけるガラス繊維織物の屈折率にもその1.558が用い られていることなどを考慮すると,本件各発明における「ガラス繊維織物中のガラ ス繊維を構成するガラス組成物」の「屈折率」は,ガラス繊維の屈折率を測定して\n得られたものではなく,繊維化する前のガラス組成物(原料)の屈折率であると認 めるのが相当である。なお,Eガラスにも各種品目があり,Eガラスの屈折率につ いては,1.548(乙あ93),1.560(乙あ11)のものもあるところ,本 件各明細書においては,Eガラスの中でも,屈折率が1.558のものが用いられ たものと推認することができる。また,本件各明細書には,硬化樹脂の屈折率の測 定方法についての記載があるのに対し,ガラス組成物の屈折率の測定法についての 記載がないのは,ガラス組成物について,商品データベース(甲26)などから, その屈折率が得られることから,独自に測定する必要性がないことによるというこ とができる。前記のとおり,実測によらないガラス組成物の屈折率は,実際のシー ト状態となったガラス繊維の屈折率とは一致しない可能性はあるけれども,上記で\n認定した「ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物」の商品カタロ\nグ等における「屈折率」を採用することで,硬化樹脂に埋め込まれたガラス繊維を 分離して,屈折率を測定する煩雑さを回避することができることを考慮すると,こ のような定め方も不合理であるとはいえないし,本件明細書の表1によれば,ガラ\nス繊維の原料であるEガラス組成物の屈折率である1.558を用いた上で,硬化 樹脂との界面の透明性を確保することが可能となっていることが認められる。\n以上によれば,「ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組成物」の「屈\n折率」は,繊維化する前のガラス組成物の屈折率を指すものと認めるのが相当であ る。また,前記認定のとおり,「ガラス繊維織物中のガラス繊維を構成するガラス組\n成物の屈折率」は,素材メーカーが製品とともに公表したものであることを前提と\nすると,ガラス組成物の屈折率は「JIS K 7142」(プラスチックの屈折率 の測定方法)で測定されたものと解することはできず,むしろ,ガラス組成物(E ガラス)について素材メーカーが一般に採用する合理的な屈折率の測定方法により 測定されたものと解するのが自然な解釈であるといえる。そして,素材メーカーが Eガラスについて商品データベースにおいて表示している屈折率は,小数点以下第\n3位のものが多いことからすると(甲26,乙あ11,93),少なくとも有効数字 が小数点以下第4位まで測定できる測定方法である必要がある。また,証拠(甲4 5,乙あ27,89,108)及び弁論の全趣旨によれば,小数点以下第4位まで 測定できる測定方法としては,精度の高い最小偏角法(精度は約1×10−5)と,次 に精度が高いVブロック法(精度は約2×10−5)及び臨界角法(精度は1×10− 4)のいずれかであると認められるところ,このうち表示される屈折率が上記のとお\nり小数点以下第3位のものが多く,最も精度の高いものまで要求されないことや, Vブロック法による測定が最も簡便であって,試料の作成も容易であること(乙あ 89)を考慮すると,素材メーカーがEガラスについて一般に採用する合理的な屈 折率の測定方法は,Vブロック法であると推認するのが相当である。現に,本件に おいて,控訴人及び被控訴人ユニチカが,本件シートや本件各発明の実施品のガラ ス組成物の屈折率を,専門機関に依頼した上で,Vブロック法で測定していること (甲24,乙あ74,97の1)も,このことを裏付けるものである。 なお,本件各明細書には,樹脂組成物の屈折率については,「JIS K 714 2」に規定されたA法により測定されることが記載されていること,ガラス組成物 の屈折率の測定方法については明確な記載がないものの,「ガラス繊維織物中のガ ラス繊維を構成するガラス組成物」の「屈折率」としては,繊維化する前のガラス\n組成物の屈折率が記載されており,その測定方法は前記のとおりVブロック法であ ると推認されることからすると,樹脂組成物の屈折率の測定方法については,「JI S K 7142」の「B法」を追加する本件各訂正は新規事項の追加であり,ガ ラス組成物の屈折率の測定方法については,「JIS K 7142」を追加し,あ るいはその「B法」を追加する本件各訂正はいずれも新規事項の追加である。 したがって,本件各訂正請求は,特許法126条1項の訂正要件に反するもので あり,本件各訂正請求を認めた審決は未だ確定していないことからすれば(当裁判 所に顕著な事実である。),本件においては,本件防煙垂壁が本件各発明の技術的範 囲に属するか否かについて,本件各訂正請求の内容を考慮せずに判断すべきである (仮に,本件各訂正請求を認める審決が確定すると,本件各訂正発明は,特許法1 23条1項8号の無効理由を有するものとなる。)。

◆判決本文

1審はこちらです。

◆平成26(ワ)10848
対応する審決取消訴訟です。

◆平成27(行ケ)10233

◆平成27(行ケ)10234

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平成27(行ケ)10239  審決取消請求事件  特許権  行政訴訟 平成28年12月26日  知的財産高等裁判所(第2部)

 無効審判について請求棄却審決が維持されました。取り消し理由の一つが訂正要件違反(実質上拡張変更)でしたが、否定されました。
 そこで,134条の2第9項で準用する126条6項の規定の趣旨や,平成6年 法律第116号による特許法の改正は,あらゆる発明について目的,構成及び効果\nの記載を求めるのではなく,技術の多様化に対応した記載を可能とし,併せて制度\nの国際的調和を図ることを目的として,同法律による改正前の特許法36条4項が 発明の詳細な説明の記載要件として規定していた「発明の目的,構成及び効果」を\n削除したにとどまり,同法126条2項の実質上特許請求の範囲を拡張・変更する 訂正の禁止の規定は,実質的改正はされていないこと(甲60)を踏まえて,以下, 検討する。
・・・
(3) 前記(2)の記載によれば,本件発明1について,次のとおり,認められる。 すなわち,本件発明1は,バラスト水処理装置については,今後設置が義務付け られるにもかかわらず,船舶にその適当な設置場所を確保することが困難な状況に あり,船体設計の大幅な変更を必要とせず,しかも,新造船に設置する場合にも, 既存の船舶を改造して設置する場合にも容易に適用可能な船舶が望まれていたこと\nに鑑み,多種多様な船舶に対して,多種多様な方式のバラスト水処理装置を船内適 所に容易に設置可能とする船舶を提供することを目的とするものである(【000\n5】〜【0007】)。 そして,本件発明1は,この課題を解決するために,船舶後方で,吃水線よりも 上方に位置する舵取機室内に,バラスト水処理装置を配設するという手段を採用し た(【0008】)。 その結果,バラスト水処理装置を船舶後方の舵取機室内に配設したことから,船 体構造や船型を大きく変更することなく,船舶内の空間を有効利用して種々のバラ\nスト水処理装置を容易に設置することができ,また,バラスト水処理装置を配設し た舵取機室が吃水線よりも上方に位置することから,緊急時にバラスト水を容易に 船外へ排水することができるという効果を奏する(【0009】)。
(4) これに対し,訂正事項1は,1)「バラスト水処理装置」によって「バラス ト水中の微生物類を処理して除去または死滅させる」時期を,「バラスト水の取水時 または排水時」という択一的な記載から「バラスト水の取水時」という限定的な記 載に変更し(構成要件A),2)「バラストタンク」及び「バラスト水配管系統に設け られ,機関室に設置されたバラストポンプ」についての記載を追加し(構成要件A),\n3)構成要件Bないし構\成要件Eについての記載を追加し,さらに,4)「緊急時に前 記バラスト水処理装置からバラスト水を船外に排水できるように構成する」との記\n載を追加する(構成要件G)ものであり,それによって「船舶」の発明である本件\n発明1を限定し,同じく「船舶」の発明である本件訂正発明1とするものである。 これらのうち,1)バラスト水処理装置へのバラスト水の供給時期が択一的であっ たものを1つの時期に限定した点は,本件発明1に新たな構成を付加するものでは\nなく,本件発明1の課題に含まれない新たな課題を解決するものではないことは明 らかである。
2)バラストタンク,バラスト水配管系統及びバラストポンプの記載を追加した点 は,本件発明1に新たな構成を付加するものであるが,本件発明1は,バラスト水\n処理装置を備えた船舶の発明であり,バラスト水処理装置を備えた船舶において, バラスト水を積載するバラストタンク,バラスト水の配管系統,バラスト水の取水 と排水のためのバラストポンプが備えられていることは周知の事項であるから(甲 30〜甲33),これらの記載の追加は,本件発明1の課題に含まれない新たな課題 を解決するものではない。
3)構成要件Bないし構\成要件Eについての記載を追加した点は,本件発明1に新 たな構成を付加するものであるが,本件発明1は,バラスト水処理装置を備えた船\n舶の発明であるところ,構成要件Bないし構\成要件Eは,バラスト水処理装置を備 えた船舶において備えられているバラスト水配管系統の構成について,バラスト水\n処理装置が装置入口側配管及び装置出口側配管を介してバラスト水配管系統と連結 され(構成要件B),装置入口側配管,装置出口側配管,連結点間配管に設けられた\n本件各開閉弁と,取水管路の一部を構成するが排水管路の一部を構\成しない処理装 置配管系統,取水管路も排水管路も構成しない連結点間配管を備え(構\成要件C− 1,C−2,D−1,D−2),バラストポンプと装置入口側連結点との間のバラス ト水配管系統に設けられた,バラストポンプから装置入口側連結点へ向かう方向の 流れのみを許容する逆止弁を備えること(構成要件E)を特定して,本件発明1に\nおいて多種多様に構成することが可能\であったバラスト水配管系統の構成を限定し\nているものであって,本件訂正明細書を踏まえて,構成要件Bないし構\成要件Eの 構成を検討しても,その構\成の追加により本件発明1の課題に含まれない新たな課 題を解決するものとは認められない。
4)「緊急時に前記バラスト水処理装置からバラスト水を船外に排水できるように 構成する」との記載を追加した点は,本件発明1に緊急排水用管路という新たな構\ 成を付加するものであるが,前記(2)のとおり,本件発明1の緊急時にバラスト水を 容易に船外へ排水することができるという効果を,当業者にとって自明な構成によ\nり具体化したものにすぎないから,その構成の追加により本件発明1の課題に含ま\nれない新たな課題を解決するものとまでは認め難い。
(5) また,本件発明1及び本件訂正発明1は,物の発明であるが,訂正事項1 の内容からすれば,特許法101条1号及び3号の間接侵害の成立範囲が訂正事項 1により左右されることはおよそ考え難い。 原告らは,訂正事項1により同条2号の間接侵害の成立範囲が広がる可能性があ\nり,具体的には,訂正事項1により追加された配管構造等に関し,これを生産する\n等の行為について同条2号の間接侵害が成立するおそれがあると主張するが,訂正 事項1により同条2号の間接侵害の成立範囲が広がるものとは認められない。すな わち,同条2号の間接侵害は,発明の対象である「物の生産に用いる物」のうち「そ の発明による課題の解決に不可欠なもの」に限って成立するものであり,その成立 範囲は,その発明の構成要件中の本質的部分を実現するために不可欠な部品に限ら\nれるというべきであるが,前記(4)のとおり,訂正事項1により,本件発明1の課題 に含まれない新たな課題が,本件訂正発明1の課題となったものとは認められない。 したがって,たとえ原告ら主張の本件バラスト水配管系統等を現実的に想定できた としても,訂正事項1が,本件訂正発明1の課題に本件発明1の課題と異なる新た な課題を追加するものではない以上,その課題の解決に不可欠なものの範囲,すな わち,その発明の構成要件中の本質的部分を実現するために不可欠な部品の範囲も,\n本件訂正発明1と本件発明1とで異なるものではないというべきであるから,訂正 事項1により同条2号の間接侵害の成立範囲が広がるものとは認められない。

◆判決本文

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