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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

補正・訂正

平成20(行ケ)10464 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年10月29日 知的財産高等裁判所

 経過のうち問題となる部分のみ説明します。H20/10/24に無効審決がなされ、特許権者は本件取消訴訟を提起すると共に、クレームを減縮する訂正審判を別途請求しました(H21/2/24)。この訂正審判は、(H21/9/16)に確定しました。知財高裁は、クレーム減縮する訂正が確定したので、H20/10/24の無効審決を取り消しました。
 「第1次無効審決に対して審取請求するとともに、第1次訂正審判を請求した第2次訂正は,請求項1に係る特許請求の範囲の記載を別紙1から別紙3のとおりとする訂正であって,その訂正が特許請求の範囲の減縮を目的とすることは,明らかである(甲21,22,30)。また,本件審決が対象とした,請求項1に係る特許請求の範囲の記載を別紙2のとおりとする発明と比較しても,第2次訂正は,打抜加工が可能であることを特許請求の範囲に記載することにより,成形加工及び打抜加工の両方を行うパンチプレス機に限定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものといわざるを得ない。したがって,無効審決である本件審決の取消訴訟の係属中に本件特許権について特許請求の減縮を目的とする本件訂正審決が確定したのであるから,本件審決は,取り消されなければならない(最高裁平成7年(行ツ)第204号平成11年3月9日第三小法廷判決・民集53巻3号303頁)。」\n

◆平成20(行ケ)10464 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年10月29日 知的財産高等裁判所

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平成19(ワ)3494 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年08月27日 東京地方裁判所

 侵害訴訟で、除くクレームが新規事項かが争われました。

 特許法17条の2第3項は,第1項の規定により明細書等について補正をするときは,願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしなければならないと規定している。そして,「明細書等に記載した事項」とは,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するもの(当業者)を基準として,明細書・特許請求の範囲・図面のすべての記載を総合して理解することができる技術的事項のことであり,補正が,上記のようにして導かれる技術的事項との関係で新たな技術的事項を導入しないものであるときは,当該補正は「明細書等に記載した事項の範囲内」であると解すべきである。したがって,特許請求の範囲の減縮を目的として特許請求の範囲に限定を付加する補正を行う場合,付加される補正事項が当該明細書等に明示されているときのみならず,明示されていないときでも新たな技術的事項を導入するものではないときは,「明細書等に記載した事項の範囲内」の減縮であるというべきであり,このことは除くクレームを付加する補正においても妥当する。・・・別件特許は,球状活性炭に関し,本件特許とは異なり,フェノール樹脂又はイオン交換樹脂を出発原料として特定せず,また,本件特許では従来技術に属するものとされるピッチ類を用いても調整が可能であるとして,このR値の観点から球状活性炭を特定したものである。そうすると,球状活性炭のうちフェノール樹脂又はイオン交換樹脂を炭素源として用いた場合において,そのR値が1.4以上であるときには,本件特許に係る発明と別件特許に係る発明は同一であるということができる。そして,本件補正は,このR値が1.4以上である球状活性炭を特許請求の範囲から除くことを目的とするものであり,特許請求の範囲の記載に技術的観点から限定を加えるものではなく,新たな技術的事項を導入するものではないと認めるのが相当である。・したがって,本件補正は,「明細書等に記載した事項の範囲内」の減縮であるので,特許法17条の2第3項に違反するものではなく,本件特許は,無効とされるべきものとは認められない。なお,本件特許の審決取消請求訴訟において,同様の判断がされている(知的財産高等裁判所平成21年3月31日判決・甲77)。」\n

◆平成19(ワ)3494 特許権侵害差止等請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年08月27日 東京地方裁判所
 

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平成20(行ケ)10420 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月30日 知的財産高等裁判所

 補正された事項が新規事項であるとした審決を取り消しました。
 上記の認定事実によれば,本件補正事項である「マンガン化合物のみに機械的な力と熱エネルギーを同時に加え」るとの事項が,本願当初明細書等の実施例1に開示されていることは明らかである。すなわち,実施例1では,原料マンガン化合物のMH処理の段階において,マンガン化合物である二酸化マンガンには機械的な力(剪断応力と圧縮応力)と熱エネルギー(100℃の熱の加熱)が加えられている。その後のスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物の製造において,マンガン化合物以外のリチウム化合物である水酸化リチウム一水和物が添加・混合され,混合後に400〜500℃の炉で大気中7時間熱処理が行われ,その後冷却された再度混合されて均一化された粉末が750℃の空気雰囲気下で2次熱処理を受けてリチウムマンガンスピネル粉末とされるが,その間は熱エネルギーが加えられるものの,リチウム化合物には機械的な力が同時に加えられるものではない。したがって,本件補正事項は,本願当初明細書等の実施例1に基づくものであるから,本願当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との対比において,新たな技術的事項を導入するものとはいえない。また,本件補正により,本件補正前発明に関する技術的事項に何らかの変更を生じさせているものということはできない。イ 被告は,本願当初明細書等の実施例1では,MH処理の対象にマンガン化合物以外にも水素イオン及びその他の揮発可能\なイオンや結晶水を含み,これらがMH処理を受けるから,マンガン化合物のみに機械的な力と熱エネルギーを同時に加えることは新規事項の追加に当たると主張する。しかし,被告の上記主張は失当である。すなわち,前記認定の本願当初明細書等の記載によれば,本願発明において,MH処理を実施する目的は,原料の2次粒子内部に存在する吸着水,結晶水,水素イオン及びその他の揮発可能なイオンを揮発させることにあり,当業者であれば,このような不純物の除去を当然の前提としていると解するのが相当である。そうすると,当業者は,本件補正における「マンガン化合物のみ」を,このような不純物をも含んだMH処理前の「マンガン化合物のみ」との意味であると理解するといえる。」\n

◆平成20(行ケ)10420 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月30日 知的財産高等裁判所

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平成21(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月03日 知的財産高等裁判所

 一部の請求項に関する訂正が訂正要件を満たしていないという理由で、全体として訂正は認めないとした判断が取り消されました。
 昭和62年法律第27号による特許法の改正によりいわゆる改善多項制が,そして,平成5年法律第26号による特許法の改正により無効審判における訂正請求の制度がそれぞれ導入され,特許無効審判の請求については,2以上の請求項に係るものについては請求項ごとにその請求をすることができ(特許法123条1項柱書き後段),請求項ごとに可分的な取扱いが認められているところ,特許無効審判の申立てがされている請求項についての特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正請求は,この請求項ごとに請求をすることができる特許無効審判請求に対する防御手段としての実質を有するものであるから,このような訂正請求をする特許権者は,請求項ごとに個別に訂正を求めるものと理解するのが相当であり,また,このような請求項ごとの個別の訂正が認められないと,特許無効審判事件における攻撃防御の均衡を著しく欠くことになることに照らすと,特許無効審判請求がされている請求項についての特許無効の範囲の減縮を目的とする訂正請求は,請求項ごとに個別に行うことが許容され,その許否も請求項ごとに個別に判断されることになる(前掲最高裁平成20年7月10日判決参照)。そして,特許無効審判の請求がされている請求項についての訂正請求は,請求書に請求人が記載する訂正の目的が,特許請求の範囲の減縮ではなく,明りょうでない記載の釈明であったとしても,その実質が,特許無効審判請求に対する防御手段としてのものであるならば,このような訂正請求をする特許権者は,請求項ごとに個別に訂正を求めるものと理解するのが相当であり,また,このような請求項ごとの個別の訂正が認められないと,特許無効審判事件における攻撃防御の均衡を著しく欠くことになることからして,請求項ごとに個別に訂正請求をすることが許容され,その許否も請求項ごとに個別に判断されるべきものである。(2) これを本件についてみるに,特許無効審判請求に係る本件審判において,請求人である被告は,本件発明に係る特許請求の範囲の記載が不明確であるなどとの無効理由を主張したこと(甲20),これに対し,被請求人である原告は,被告主張の無効理由を回避するために,特許無効審判における訂正の請求として,本件特許の請求項1ないし3,5,9ないし13,18,19,21ないし25につき本件訂正請求を行ったこと(甲18,22)が認められ,本件訂正請求は,特許無効審判請求に対する防御手段としてされたものであることが明らかである。(3) そうすると,本件訂正請求は,請求項ごとに個別に行われたものであった以上,その許否も請求項ごとに個別に判断されるべきものといわなければならない。そして,本件訂正請求は,直接的には本件特許に係る請求項のうち1ないし3,5,9ないし13,18,19,21ないし25の訂正を求めるものであるが,前記第2の2のとおり,本件特許は,請求項1ないし26から成り,請求項2ないし26はいずれも請求項1を直接的又は間接的に引用する従属項であるから,請求項1について訂正を求める本件訂正は,請求項1を介してその余の請求項2ないし26についても訂正を求めるものと解さなければならない。しかるところ,本件審決は,本件訂正につき,請求項19及び23についてのみ判断をし,その訂正が求められないことをもって,他の請求項1ないし18,20ないし22及び24ないし26に係る訂正の判断をしないまま,これらの請求項に係る訂正も認められないとしたものであるから,これらの請求項に係る各訂正事項につき判断をすることなく,本件発明1ないし18,20ないし22及び24ないし26の各要旨認定をしてしまったものであって,この点において,本件審決には違法があることになる。(4) また,本件訂正のうち請求項19についても,本件審決は,同請求項が直接的又は間接的に引用する請求項1ないし3,5,9ないし13及び18に係る各訂正事項につき判断をすることなく,本件発明19の要旨認定をしてしまったものであって,この点において,本件審決には違法があることになる。」  

◆平成21(行ケ)10004 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年09月03日 知的財産高等裁判所

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平成20(行ケ)10432 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年08月20日 知的財産高等裁判所

 補正要件(限定的減縮)違反として補正前のクレームについて拒絶審決がなされました。裁判所は、かかる補正要件違反の判断は誤りであるとして、拒絶審決を取り消しました。
「本件審決は,本件補正のうち特許請求の範囲の補正部分について,「補正後の特許請求の範囲には,各新請求項の記載からして,自動装着機の作動方法,自動装着機,及びシステムに係る発明が記載され,新請求項5及び新請求項6に係る発明は,前記自動装着機に係るものと認められる。一方,補正前の特許請求の範囲にも,各旧請求項の記載からして,自動装着機の作動方法,自動装着機,自動装着機用の交換可能なコンポーネント,及びシステムに係る発明が記載され,旧請求項5に係る発明のみが,前記自動装着機に係るものと認められる。そこで,検討すると,補正事項a(判決注:特許請求の範囲の補正部分)は,自動装着機に係る発明が記載されていた請求項の数を,旧請求項5の1つから,新請求項5及び新請求項6の2つとするもので,請求項の数を増やすものといえ,このような補正は,請求項の削除,限定的減縮,誤記の訂正又は明りようでない記載の釈明のいずれかを目的にしているということはできない。」として,本件補正を却下する決定をした。これに対して,原告は,本件補正の請求項の対応関係をみると,旧請求項5が新請求項5,旧請求項7が新請求項6と対応することが明らかであって,本件審決のいうように請求項の数を増やすものではなく,当該補正に係る部分は,法17条の2第4項2号にいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とする場合に該当するから,当該部分がその場合に該当しないとて本件補正を却下した本件審決は誤りであると主張する。以上,要するに,本件審決は,本件補正が自動装着機の発明についての旧請求項5を同じく自動装着機についての新請求項5及び6とするものであることを前提としているのに対して,原告は,新請求項6は,旧請求項5を補正したものではなく,旧請求項7を補正したものであると主張していて,ここに本件補正についてのとらえ方の相違がある。そうすると,仮に,本件補正に係る新請求項6が,原告の主張するとおり,旧請求項7を補正したものであれば,旧請求項7と新請求項6との対応関係を前提に,その補正が法17条の2第4項各号(本件では,原告が主張している同項2号)を充足するか否かを判断することが求められることになるから,本件補正を却下するに当たっても,これを前提として判断される必要があるところ,本件審決は,原告の主張するような請求項の対応関係を前提とする補正について判断を示していないことは明らかであるから,本件補正を却下した本件審決は,その前提を誤った違法なものということになる。・・・上記記載から本件補正の内容についてみると,補正前には,「交換可能\\なコンポーネント(3,5,17)」とされていたものが,本件補正に係る手続補正書においては,「装着ヘッド(5)」に改められていることが明らかである。その結果として,旧請求項の「交換可能なコンポーネント」の記載が新請求項の「装着ヘッド」の記載に補正されているものと容易に理解することができる。また,それは「交換可能\\なコンポーネントは,装着ヘッドとして構成されていることを特徴とする交換可能\\なコンポーネント」として記載されていた旧請求項8が,本件補正に係る新請求項中において当該事項を発明特定事項として加える必要がなく,本件補正に際して削除された理由であると認められるのである。また,旧請求項6は,「幾何学的特性データに対する所属の記憶装置」であることを特定事項としていたが,当該事項は,新請求項の記載中にこれを見出すことができない。ここに,前記認定のとおり,旧請求項6が本件補正に際して削除された理由もある。さらに,新請求項5についてみると,上記のほか,旧請求項5の「定置の基準点」を「定置の基準点としての一つの保持装置(4)」とし,同「求められた」を「,自動装着機(7)内へのマウント前に求められた」とし,同「幾何学的特性データ」を「他の保持装置(4)の幾何学的特性データ」とするとともに,「結合された記憶装置(15,16,18)」を「割り当てられた記憶装置(15)」としたものであると理解することができる。また,旧請求項7の発明特定事項である「記憶装置(15,16,18)は,無接触式に書き込み可能及び,読出し可能\\なメモリとして構成され」ることは,新請求項6に含まれている。ウそうすると,本件補正は,その内容からみても,旧請求項6及び8を削除し,旧請求項7を新請求項6に補正したものと解するほかない。」

◆平成20(行ケ)10432 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年08月20日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10237 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年07月29日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした無効審決に対して、i)手続き違背、ii)新規事項ではない、iii)実施可能要件違反なし等を理由として審決が取り消されました。
  「審判手続等の経緯のアないしウによれば,請求項2に係る特許発明について,請求人(被告)から,甲1を引用例とした進歩性欠如を理由による無効審判が請求され,その後,請求人(被告)により,口頭審理手続において甲6を主引用例とした無効理由が主張された。これに対して,審決は,甲1及び甲6に基づいて進歩性を欠くとの理由により無効とすべきであると判断した。そうすると,審決の判断の基礎となった無効理由について,被請求人である原告には,意見を申し述べる機会(特許法134条2項,153条2項)及び訂正請求をする機会(同法134条の2第1項)が付与されていなかったものというべきである。」
「上記によれば,メインCPU31が実行した内部抽選処理の結果に基づいて内部抽選データISDの当選フラグがセットされ,また,サブCPU55に開始情報Aが入力されてから停止操作情報Bが入力されるまでの期間T1(すなわち,メインリールの回転中の期間)において,第1処理を選択するか第2処理を選択するかを,サブCPU55が制御プログラムに従って決定することが記載されているということができる。また,このサブCPU55が第1処理を選択するか第2処理を選択するかを決定する処理の例示として,メインCPU31から送信される内部抽選データISDに含まれる所定の当選フラグがセットされている場合に第2処理を選択して実行してもよいことが記載されているということができる。イそして,「メインCPU31が実行した内部抽選処理の結果に基づいて当選フラグがセットされた内部抽選データISD」が「抽選手段の抽選結果」に相当するといえることに照らせば,本件特許明細書(甲18,段落【0216】)の「内部抽選データISDに含まれる所定の当選フラグがセットされている場合に第2処理を選択して実行してもよい」との記載部分に,「抽選手段の抽選結果に基づいて第2処理を選択的に実行する」との事項が明確に示されていると解される。そして,本件特許明細書(甲18)には,第1処理を選択して実行することを妨げる記載はないのであるから,「第2処理を選択して実行してもよい」との記載部分を見た当業者は,第1処理の選択と第2処理の選択を決定する処理に関して,「第1処理を選択して実行してもよい」と理解するのが自然である。そうすると,「抽選手段の抽選結果基づいて第1処理を選択的に実行する」ことが,本件特許明細書(甲18)に,実質的に記載されているということができる。」
「特許法36条4項は,「発明の詳細な説明の記載は,次の各号に適合するものでなければならない。」と定め,同条同項1号において,「一経済産業省令で定めるところにより,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること。」と定めている。そして,上記の「経済産業省令」に当たる特許法施行規則24条の2は,「特許法第三十\六条第四項第一号の経済産業省令で定めるところによる記載は,発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項を記載することによりしなければならない。」と定めている。特許法36条4項1号において,「通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」(いわゆる「実施可能\要件」)を規定した趣旨は,通常の知識を有する者(当業者)がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したといえない発明に対して,独占権を付与することになるならば,発明を公開したことの代償として独占権を付与するという特許制度の趣旨に反する結果を生ずるからである。ところで,そのような,いわゆる実施可能\要件を定めた特許法36条4項1号の下において,特許法施行規則24条の2が,(明細書には)「発明が解決しようとする課題及びその解決手段その他のその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が発明の技術上の意義を理解するために必要な事項」を記載すべきとしたのは,特許法が,いわゆる実施可能要件を設けた前記の趣旨の実効性を,実質的に確保するためであるということができる。そのような趣旨に照らすならば,特許法施行規則24条の2の規定した「技術上の意義を理解するために必要な事項」は,実施可能\要件の有無を判断するに当たっての間接的な判断要素として活用されるよう解釈適用されるべきであって,実施可能要件と別個の独立した要件として,形式的に解釈適用されるべきではない。」

◆平成20(行ケ)10237 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年07月29日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10394 特許権 行政訴訟 平成21年05月26日 知的財産高等裁判所

 不明瞭な記載の釈明、および限定的減縮違反については取り消したものの、独立特許要件違反は存在するとして、拒絶審決が維持されました。
 「・・・本件補正前の特許請求の範囲の請求項2の記載は,前記したとおりであって,同記載において,押しピンについては,「…構造である押しピンを内部に収容しうる…」,「…により押しピンを押圧する…」と記載されているにとどまることから,本件審決が判断し,また,被告も主張するように,押しピンは,本願発明2における発明の対象ではなく,発明の対象であるカートリッシが備える構\成の1つとして記載されているにすぎないと理解する余地もないわけではない。他方,請求項2の記載において,押しピンは「筒状部と,筒状部に収容された弾性部材及びピン部とを有し,非使用時にピン部は弾性部材によって筒状部内に収容され,使用時に筒状部の上部に設けられた押入部材が挿入される孔部を通じて押入部材により押圧され,下部に設けられた孔部からピン部先端が外部に突出する構造である」ことが特定されており,本願発明2は,このような押しピンと,「筒状部の上部に設けられた押入部材が挿入される孔部を通じて押入部材により押しピンを押圧する押圧部」を有するものであることによって特定されるカートリッジとによって構\成されるものであると理解する余地もないわけではない。そして,そのような理解を前提にすると,本件補正前の請求項2は,これとは反対に,押しピンを発明の対象とせず,その対象であることが記載上明らかなカートリッジの備える構成の1つとして記載されているにすぎないと理解されなくもない記載となっていたということができるのであって,その意味で,当該記載は法17条の2第4項にいう「明りようでない記載」に当たるといわなければならない。・・・これに対し,補正事項2は,本件補正前の請求項2における「押しピンを内部に収納しうる空洞部と」及び「押しピンのカートリッジ。」の記載を,補正後の請求項1においては,「押しピンと,該押しピンを内部に…収納しうる空洞部と」及び「押しピンおよびそのカートリッジ。」の記載に改めるものであり,その記載内容から,本願発明2が「カートリッジ」だけでなく,「押しピン」も発明の対象とするものであることを明示しようとするものであることが明らかである。そして,上記(ア)のとおり,本件補正前の請求項2の記載からは,「押しピン」と「カートリッジ」と,その両者を本願発明2の対象とするものであったと解することが可能であったところ,その反面,「押しピン」を当該発明の対象とするものではなく,「カートリッジ」のみを対象とするものであったと解する余地もないわけではなく,明りょうでない記載といわざるを得ないものであったのであるから,補正事項2は正にその明りょうでない記載を釈明するものであるということができる。実際,補正事項2による補正前後の記載を比較してみれば,本件補正前の請求項2のように,本願発明2の対象である「押しピン」がもう1つの発明の対象である「カートリッジ」が備える構\成の1つにとどまるかのように記載されていることを前提として,両者の構造を認識し,これらを対比して両者が発明の対象であると理解する場合に比較して,本件補正後の請求項2の記載のように「押しピン」と「カートリッジ」とを並列的に記載したほうが,その趣旨がより明りょうとなっているということができる。この点について,被告は,本件審決の判断と同様に,本件補正前の請求項2に係る発明が「カートリッジ」の発明であって,「押しピン」の発明ではないなどとるる主張するが,本件補正前の請求項2が「カートリッジ」のみを対象とする発明として明りょうに記載されていた場合であれば格別,既に説示したとおり,当該記載が「明りようでない記載」であった以上,被告の主張を採用することはできない。・・・法17条の2第4項4号は,「明りようでない記載の釈明」として補正が許されるのは,「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る」と規定するところ,被告は,本件においては,「押しピンのカートリッジ」が「明りようでない」との拒絶の理由は示されていないから,補正事項2は「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするもの」ではないと主張するので,この点についても検討する。甲11によると,平成18年3月22日付け拒絶査定には,本件特許出願は平成17年8月22日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって拒絶されるべきことが記載されていることが認められ,甲7によると,平成17年8月22日付け拒絶理由通知書には,拒絶の理由として,請求項1及び同2に係る発明(本願発明1及び同2)が特許法29条1項3号又は同条2項の規定により特許を受けることができない旨記載されるとともに,請求項2に係る発明(本願発明2)については,引用発明1の画鋲刺入装置において,引用発明2の画鋲を収容することによって,本願発明2のように構\成することは容易である旨記載されていることが認められる。これに対し,補正事項2は,前記認定の経緯からして,本願発明2が「押しピン」と「カートリッジ」と,その両者を当該発明の対象とするものであることを明示することにより,上記拒絶理由通知書において指摘された本願発明2に係る拒絶の理由を回避しようとするものであると認められるから,補正事項2が「拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするもの」であるということが妨げられるものではなく,被告の主張を採用することはできない。・・・原告は,補正事項3に係る補正が本願発明2の「押しピン」を限定する補正であるとして,この補正が法17条の2第4項2号にいう「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものではないとした本件審決の判断に誤りがあると主張するので,以下,検討する。・・・これに対し,補正事項3は,補正前の請求項2においては,「押しピン」の構造が「使用時に…下部に設けられた孔部からピン部先端が外部に突出する」と記載されていたところ,補正後の請求項1においては,その構\造に「使用しないときには手でどの部分に触れてもピン部が動くことはなく,」という限定を付加して記載されているのであって,その記載内容を比較すると,本願発明2における「押しピン」の構造に上記限定を付加するものであると認められる。そして,本願発明2の「押しピン」が特定の構\造を有するものであることは前記で説示したところであるから,このような「押しピン」に上記限定が加えられることにより,使用しないときに手でいずれかの部分を触れればピン部が動く可能性があった本件補正前の「押しピン」が,本件補正後においては「使用しないときには手でどの部分に触れてもピン部が動くことはな(い)」ものに限定されたということができ,本願発明2においては,「押しピン」も当該発明の対象となるものであることも前記ア(ア)で説示したとおりであるから,その構成が限定されることによって,特許請求の範囲は減縮されるものと認めることができる。この点について,被告は,本願明細書の発明の詳細な説明に「使用しない時には…手にとってどの部分に触れてもピン部3が動くことはない」(段落【0006】)との記載があることから,本件補正前の請求項2に記載されていた「押しピン」はそのようなもの(補正事項3による補正後のもの)と理解されるから,補正事項3は本願発明2の「押しピン」を具体的に限定するものではないと主張するが,本件補正前の請求項2には,「押しピン」が「使用しないときには手でどの部分に触れてもピン部が動くことはな(い)」ものであることを示す記載は存在しないから,被告の主張は失当である。なお,被告は,本願発明2の対象は「カートリッジ」のみであって,「押しピン」それ自体は本願発明2の対象ではないから,「押しピン」の構\造に上記制限が加えられたとしても,特許請求の範囲の減縮にはならないとも主張するが,「押しピン」も「カートリッジ」と並んで本願発明2の対象となることは前記アで説示したとおりであるから,この点に関する被告の主張は,その前提において,失当といわなければならない。」

◆平成20(行ケ)10394 特許権 行政訴訟 平成21年05月26日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10358 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月31日 知的財産高等裁判所

    除くクレームについて新規事項か否かが争われました。先の大合議判決と同様の考え方が示されました。
  「本件補正は,上記アのとおり,球状活性炭につき,X線回折法による回折角(2θ)が15°,24°,35°における回折強度の比(R値)が1.4以上であるものを除くとするものである。一方,前記記載のとおり,本件当初明細書に記載された発明は,経口投与用吸着剤に用いられる球状活性炭について,熱硬化性樹脂,実質的にはフェノール樹脂又はイオン交換樹脂を炭素源として用い,これにより,ピッチ類を用いる従来の球状活性炭に比べて,有益物質に対する吸着が少なく尿毒症性物質の吸着性に優れるという選択吸着性が向上するという効果を奏するとするものである。そして,上記(3)ウのとおり,別件特許は,球状活性炭からなる経口投与剤につき,その細孔構造に注目して,直径,比表\面積のほか,最も優れた選択吸着性を示すX線回折強度を示す回折角の観点からこれをR値として規定し,このR値が1.4以上であることを特徴としたものである。別件特許は,球状活性炭に関し,本件特許とは異なりフェノール樹脂又はイオン交換樹脂を出発原料として特定せず,また本件特許では従来技術に属するものとされるピッチ類を用いても調整が可能であるとして,このR値の観点から球状活性炭を特定したものである。そうすると,球状活性炭のうちフェノール樹脂又はイオン交換樹脂を炭素源として用いた場合において,そのR値が1.4以上であるときには,本件特許に係る発明と別件特許に係る発明は同一であるということができる。そして,本件補正は,このR値が1.4以上である球状活性炭を特許請求の範囲の記載から除くことを目的とするものであるところ,上記本件当初明細書の記載内容によれば,本件補正は,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)によって,明細書,特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものではないと認めるのが相当である。そうすると,本件補正は,特許法17条の2第3項に違反するものではないから,補正要件違反の無効理由は認められない。」

同一特許に関する別の審取です。同様の判断をしています。
    ◆平成20(行ケ)10065 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月31日 知的財産高等裁判所 
    ◆平成20(行ケ)10358 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月31日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10159 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月26日 知的財産高等裁判所

  要旨変更に基づく出願日繰り下げがあるのか(旧特40条)について争われました。裁判所は要旨変更ではないとした審決を維持しました。
  「上記記載によると,本件当初明細書には,本件特許出願に係る発明の実施例として,アナログ信号である音声による交通情報をデジタル信号に変換したものをアンテナから受信し,これをアナログ信号に変換して音声による交通情報としてスピーカから出力する構成が記載されていると認められる。(3) 上記(2)において,アナログ信号に変換される信号は,音声による交通情報信号がデジタル信号化されたものであるが,上記(1)及び(2)のとおり,本件当初明細書において「交通情報」とされるものには,画面上に表示される渋滞情報のようなものも含まれ,文字信号のような音声以外のデジタル信号による交通情報を変換して音声信号とする技術は本件特許出願前において周知であったと認められることも考慮すると,本件当初明細書に接した当業者は,本件当初明細書にいう「交通情報」には音声信号以外の信号によるものが含まれると理解するものというべきであり,上記の実施例の記載における「交通情報」が「音声による交通情報」であるからといって,本件当初明細書において開示された技術的事項を実施例の記載に限定して解すべきものではない。(4) なお,原告は,「音声信号以外の信号形態(例えば文字列信号)において受信した信号を音声化するためには,音声合成装置を備え,受信信号をその装置を介して音声化することが必須となることは当業者にとって技術常識であるところ,本件当初明細書においては,上記のとおり,ディジタル音声信号の復調,抽出及びD/A変換により音声報知する態様のみを記載しており,音声合成装置を配置することなどは全く記載も示唆もされていない」とも主張するが,上記のとおり,音声信号以外の交通情報信号についての記載があると考えられる以上,当業者は,これを可聴信号に変換するために必要となる技術常識を踏まえて開示内容を理解するのであるから,原告のこの主張は,上記認定に影響を与えるものではない。」

◆平成20(行ケ)10159 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月26日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10216 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月25日 知的財産高等裁判所

  誤記訂正を目的とする訂正を認めたことは誤りであるとして、審決を一部取り消しました。
   「上記検討したところによれば,訂正前明細書の請求項17における「スペーサによって互いの間隔を保持され」という記載を削除する訂正事項e−2は,誤記の訂正を目的とするものとは認められず,また,同訂正事項より,請求項17に係る発明は「スペーサによって互いの間隔を保持され」ていないものを含むことになるから,実質上,特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものというべきである。そして,訂正事項e−2は,単に形式的なものではなく,請求項17に係る発明の技術的範囲に実質的影響を及ぼすものであるから,審決が,請求項17についての訂正(訂正事項e)を認めたこと,また,請求項17についての訂正と不可分の関係にあることが明らかな段落【0023】についての訂正(訂正事項j)を認めたことは,誤りというべきであるが,特許無効審判の請求がされている請求項に係る特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正は,各請求項ごとに個別に請求することが許容され,その許否も各請求項ごとに個別に判断されるべきであり,また,訂正が誤記の訂正のような形式的なものであって,特許請求の範囲に実質的影響を及ぼさないものであるときも,同様と解されるから,本件訂正におけるその余の訂正事項の適否の判断には影響しないものというべきである(最高裁判所平成19年(行ヒ)第318号平成20年7月10日第一小法廷判決・裁判所時報1463号262頁,最高裁判所昭和53年(行ツ)第27号,第28号昭和55年5月1日第一小法廷判決・民集34巻3号431頁参照)。なお,訂正請求書(甲21)によれば,訂正事項eに係る訂正請求は,請求項17についてのみでなく,同請求項を引用する請求項18ないし20(いずれも特許無効審判の請求がされている請求項である。)との関係でも請求されていると認められる。そうすると,審決は,訂正事項eに係る訂正を誤って認めたことにより,本件発明17ないし20の各発明の要旨認定を誤ったものであり,この誤りが,審決中,請求項17ないし20に係る審判請求を成り立たないとした部分の結論に影響することは明らかである。」

◆平成20(行ケ)10216 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月25日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10339 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

  訂正が実質上特許請求の範囲を変更するものでないとした審決が維持されました。
   「ところで,「刻々の動作変化」という文言は,平成8年12月24日付けの補正(甲19)において初めて特許請求の範囲で用いられたものであるが,上記イ(カ)bの第1表及びそれに関する説明は,出願当初の本件特許明細書(甲3)から記載されていたのであり,本件特許明細書に,上記イ(カ)bの第1表記載の「i」毎の変化が本件発明における「刻々の動作変化」に当たると解することを妨げる記載があったとも認められない。したがって,「i」毎の変化は本件発明における「刻々の動作変化」に当たると解することが,本件特許の出願経過(特許請求の範囲及び特許明細書の記載の変遷)に照らして許されないというべき理由はない。」

◆平成20(行ケ)10339 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年03月24日 知的財産高等裁判所

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◆平成20(行ケ)10270 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年02月26日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、新規事項であるとして補正を認めなかった審決を取り消しました。
  「上記のとおり,位置移動情報はユーザー側が送信し,サーバーシステムが受信するものであり,上記の「前記試着アバターを前記商品bに近づく位置へ移動させ」は,上記アのとおり,ユーザー側からの(他の仮想店舗B内において)「更に同店内の商品bに近づく」という内容の位置移動情報をサーバーシステムが受信したことを前提として記載されているものであることからすると,試着アバターを商品bに近づく位置へ移動させるという内容の位置移動情報に基づいて,そのように試着アバターを移動させる(そのようなデータを生成し,送信する)というサーバーシステムの処理が記載されていると理解する以外にないというべきである。このように理解することについて,被告は,既に受信したユーザー側からの位置移動情報と全く同じ内容の操作指示を再度ユーザーが行うことになり,不自然であり,合理的でない旨主張するが,上記アのとおりユーザー側からの位置移動情報を受信したことに基づいて,その受信内容に応じた処理を行うことに,何ら不自然な点はないから,被告の主張を採用することはできない。仮に,「前記試着アバターを前記商品bに近づく位置へ移動させ」との記載について被告の主張するように理解するとするならば,この記載は,請求項1のどこにも記載されていない「ユーザーの操作指示によらずにサーバーシステムが実行する処理」を何の説明を加えることなく記載したものということになってしまい,かえって不自然であるといわざるを得ない。」

◆平成20(行ケ)10270 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成21年02月26日 知的財産高等裁判所

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◆平成17(ワ)21408 特許権侵害差止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年12月24日 東京地方裁判所

  一つの争点が、要旨変更に該当するか否かでした。裁判所は、「変換器の出力電流」を「変換器の出力量」とした補正は要旨変更に当たると判断しました。
 「以上からすると,当初明細書には,制御装置の制御対象を「変換器の出力電流」とするものだけが記載されていたものであり,「変換器の出力電圧」を制御対象とするものは記載も示唆もされておらず,当業者に自明でもなかったものと認めるべきであり,第2回補正は,制御装置の制御対象を,当初明細書に記載された「変換器の出力電流」から,「変換器の出力量」すなわち「変換器の出力電流」又は「変換器の出力電圧」に補正するものであり,演算の基礎を,「電流指令信号と出力電圧検出値」から,「電圧指令信号と出力電流検出値」も含むものに補正するものであり,明細書の要旨を変更するものであると認められる。」

◆平成17(ワ)21408 特許権侵害差止等請求事件 特許権民事訴訟 平成20年12月24日 東京地方裁判所

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