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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

実施可能要件

◆平成19(行ケ)10171 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年04月07日 知的財産高等裁判所 

  実施可能要件違反(36条4項)として拒絶した審決が維持されました。
  「本願明細書(甲2,5)における開示事項が,本願発明の実施可能要件を満たすといえるためには,上記比Hdd/Hdeが4以上を呈する優れた磁気損失特性を有する複合磁性体を得るための手段としての,各製造方法において扁平状の形状を有する軟磁性体粉末をできる限り同じ方向に並べるようにしてその配向度を改善するために設定する条件等についての技術的事項が,本願明細書(甲2,5)において,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていることを要するというべきである・・・そうすると,本願発明を実施するためには,比Hdd/Hdeが4以上を呈する優れた磁気損失特性を有する複合磁性体を得るため,出発粗原料粉末の平均粒径の特定に加えて,本願発明の効果に密接にかかわる延伸・引裂加工により生じる残留歪みの大きさを考慮し,同加工等により扁平化する際の加工手段及び加工条件の設定が必要であることになるところ,この点については,本願明細書(甲2,5)には,「アトライタ及びピンミルを用い様々な条件下にて粉砕,延伸・引裂加工を行い」との記載(段落【0033】)が存するにすぎず,実施例にも「磁歪の大きさ」の記載が存するにすぎないから,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に上記加工手段及び加工条件が記載されているものとは認められない。」

◆平成19(行ケ)10171 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年04月07日 知的財産高等裁判所 

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◆平成19(行ケ)10181 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年02月27日 知的財産高等裁判所

  実施可能性要件違反か否かが争われました。裁判所は要件を満たしていないとした審決を取り消しました。
    「被告は,刷紙区分装置8,刷紙区分部材9,支持要素10は動作のための具体的な装置が図示されておらず,その記載もないため,当業者が本願発明を容易に実施することができる程度に記載されているものであるとはいえないと主張する。しかし,前記(3)ウのとおり,本願発明における刷紙区分部材9,支持要素10の動作は,堆積体の形成速度に従い堆積体に沿って前後に移動することと,堆積体を分離・支持するために上昇し,又は終端板と入れ替わるために降下するという上下動に尽きるのであって,それ自体決して複雑なものとはいい難い。 イ 被告は,マガジン13が具体的構造や動作について記載がないため不明である旨,また,その点について本願明細書の図1と他の図面(【図2】〜【図6】)との整合性がないなどと主張する。しかし,本願発明において,マガジン13は,その内に堆積体7の端部を形成する終端板5,12が支承されており,担持機構\4,11がその終端板を収容するように形成されているものとして規定されているにすぎず(本願発明10),担持機構4,11がマガジン13の終端板取り出し位置において,マガジン13から終端板を取り出すことが可能\であればその具体的構造を問うものではないし,可動性のものであることさえ必要でないことは容易に理解できる。したがって,当業者が本願発明を実施できないとまでは認めることができない。」

◆平成19(行ケ)10181 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成20年02月27日 知的財産高等裁判所

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