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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

実施可能要件

◆平成18(行ケ)10511 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月27日 知的財産高等裁判所

  CS関連発明について、実施可能要件違反として拒絶された審決が維持されました。
   「しかるところ,1個の発明は,通常,まとまりのある複数の部分に区分することができ,この場合には,区分されたそれぞれのまとまりのある部分を構成する各構\成要件が,それぞれの部分を特定する発明特定事項となるところ,そのようにして特定された各部分は,必ずしも,特許出願人又は特許権者が,当該発明において重要と考える構成要件を含むものとは限らないが,そのような構\成要件を含むと否とに関わらず,一つでも実施可能ではない部分があれば,当該発明は,全体として実施可能\でないことになる。本件についていえば,審決が特定した発明特定事項は,「複数種類のデジタルコンテンツと制御プログラムとを一つの時間帯に一斉に配信すること,制御プログラムの実行環境を形成して実行することにより,複数種類のデジタルコンテンツのいずれかを選択して再生すること」というものであり,これに,原告の挙げる「デジタルコンテンツを,・・・コンテンツ提供者が望む再生内容を表す再生ルールに従って関連付けて編集する」との要件が含まれていないとしても,この発明特定事項によって特定される部分が実施可能\でなければ,本願発明全体が実施可能でないことになることは明らかである。そして,審決は,上記発明特定事項によって特定される部分が実施可能\でないと判断するものであるところ,そうであれば,他の発明特定事項(例えば,原告の挙げる要件を含む発明特定事項)によって特定される部分が実施可能であるか否かは,審決の結論に影響を及ぼすものではないから,当該他の発明特定事項によって特定される部分を摘示し,これについて,実施可能\であるか否かを判断する必要がないことも明白である。」 

◆平成18(行ケ)10511 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年09月27日 知的財産高等裁判所

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◆平成18(行ケ)10487 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

 36条4項(実施可能性要件)に違反するとした審決が維持されました。
  「訂正発明1は,上記のとおり,水性接着剤を構成する酢酸ビニル樹脂系エマルジョンとしてはシード重合により得られるものであれば特に制限はないとされているところ,上記ウの請求項3,4の限定的構\成の説明についての記載から明らかなとおり,酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを形成する際に用いうるモノマーには多種多様なものがあり,実施例1ないし3で用いられているn−ブチルアクリレートはその1つにすぎない(下線部参照。)。しかし,訂正明細書には,訂正発明1の接着剤を製造する方法につき,実施例1ないし3の製造方法以外に,貯蔵弾性率G′とずり応力τを所定の値に調整した酢酸ビニル樹脂系エマルジョンを製造する具体的な方法の記載は全くない。そうすると,シード重合により得られるものであれば特に制限はないとされる訂正発明1の酢酸ビニル樹脂系エマルジョンについて,酢酸ビニルのみを用いて製造されるエマルジョンの場合及びn−ブチルアクリレート以外のモノマーを酢酸ビニルに併用する場合に,貯蔵弾性率G′及びずり応力τについて所定の値を満たす水性接着剤を製造する方法についての記載はないということになる。」

◆平成18(行ケ)10487 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成19年07月19日 知的財産高等裁判所

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◆平成17(行ケ)10661 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年02月21日 知的財産高等裁判所

  測定方法が開示されていないとして記載不備とした審決が取り消されました。
   決定は,「本件発明1〜4の特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項として,触媒担体及びグラニュラー状物の平均粒径を特定の範囲に限定している。しかしながら,特許明細書において,この平均粒径については,数値は記載されてはいるものの,その測定法についてはなんらの記載もない。」(決定謄本3頁第1ないし第2段落)とするが,本件明細書において,この平均粒径の測定法についての記載があるか否かのみを問題にしており,平均粒径の測定の前提となる原理,試料の性質,測定の目的,必要な測定精度等の検討は,全くしておらず,それにもかかわらず,短絡的に,「平均粒径には・・・長さ平均径,面積長さ平均径,体面積平均径,重量平均径,面積平均径,体積平均径と様々な種類があり,同一の分布の粉体の系でもその数値は異なるものとなる。さらに,その平均粒径の計算の基礎となる,粒度の測定法にも・・・顕微鏡法,コールカウンター,ふるい分け法,沈降法,沈降分級法,遠心沈降法,慣性力法,電磁波散乱法,その他,多数のものが知られている。・・・単に平均粒径と記載しただけでは,いずれの粒度の測定法によるもので,いずれの意味の平均粒径かは不明であり一義的に決まるものではない。」(同頁第3ないし第5段落)と結論付けているのみであるから,判断手法において,そもそも失当であるというほかない。

◆平成17(行ケ)10661 特許取消決定取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成19年02月21日 知的財産高等裁判所

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