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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

実施可能要件

◆平成17(ワ)2649 特許権侵害差止等請求事件 平成18年07月20日 大阪地方裁判所

  改正前特許法36条4項に規定する実施可能要件を満たしていないとして、権利行使不可と判断されました。
「本件明細書は,重合の初期に重合開始剤(過酸化水素水)を多量に添加する場合はともかく,それ以外の方法によって製造された水性接着剤も本件発明に包含される以上,当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているということはできない。したがって,本件特許は,改正前特許法36条4項に規定する実施可能\要件を満たしていないから,同法123条1項4号に該当し,特許無効審判により無効とすべきものと認められるから,特許法104条の3第1項により,原告は,被告に対し,本件特許権に基づく権利行使をすることはできないというべきである。」

◆平成17(ワ)2649 特許権侵害差止等請求事件 平成18年07月20日 大阪地方裁判所

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 >> 実施可能要件
 >> 104条の3

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◆平成18(行ケ)10035 審決取消請求事件 平成18年07月19日 知的財産高等裁判所

  「明細書全体の記載をみても,訂正後の発明である「織物上の油剤量を織物重量に対し0.06重量%以上5重量%以下」の範囲が結局は不明であり,特許法36条5項及び6項に規定する要件を満たしていないから,独立特許要件を欠くとして、訂正は認められない」とした審決が維持されました。
  36条違反で訂正が認められないとの判断は珍しいと思います。

◆平成18(行ケ)10035 審決取消請求事件 平成18年07月19日 知的財産高等裁判所

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 >> 補正・訂正

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◆H18. 2.27 知財高裁 平成17(行ケ)10067 特許権 行政訴訟事件

  36条4項、6項違反に関して無効であるとした審決が取り消されました。
  「出願が平成12年6月5日である本件特許に適用される平成11年法律第160号による改正前の特許法36条4項は,「前項第3号の発明の詳細な説明は,通商産業省令で定めるところにより,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記載しなければならない。」と規定し,同法36条6項は,「第3項第4号の特許請求の範囲の記載は,次の各号に適合するものでなければならない。」とし,1号は「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」,2号は「特許を受けようとする発明が明確であること。」,3号は「請求項ごとの記載が簡潔であること。」,4号は「その他通商産業省令で定めるところにより記載されていること。」と規定している。そして,特許法36条4項の趣旨は,発明の詳細な説明が発明を公開する機能\を有することから,発明の詳細な説明の記載は,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)がその発明を実施することができる程度に明確かつ十分なものでなければならないとしたことにあり,また,同法36条6項の趣旨は,特許請求の範囲は対世的な絶対権たる特許請求の効力範囲を明確にするためのもので,その記載は正確なものでなければならないことから,特許請求の範囲は,発明の詳細な説明に記載して公開した発明の範囲を超えた部分について記載したものであってはならず(1号),特許を受けようとする発明が明確でなければならない(2号)としたことにあるものと解される。そうすると,明細書の発明の詳細な説明に,当業者がその発明を実施することができる程度に明確かつ十\分に記載されているのであれば,特許法36条4項所定の発明の詳細な説明の記載要件を充足するものであり,明細書に「発明における課題を解決すべき手段をその作用効果が関連づけて記載されてい」ないからといって直ちに発明の詳細な説明の記載要件に適合しないものとなるものではなく,これによって特許を受けようとする発明が不明確となり特許請求の範囲の記載要件(特許法36条6項2号)に適合しないことになるものということもできないから,本件審決の前記判断は,この点において是認することができない。」

◆H18. 2.27 知財高裁 平成17(行ケ)10067 特許権 行政訴訟事件

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