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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

明確性

◆平成17(行ケ)10704 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年10月04日 知的財産高等裁判所

  ビジスネモデル発明(CS関連)について、記載不備が争われました。知財高裁は、不明瞭とした審決を維持しました。
  「これらの記載によれば,本願明細書の発明の詳細な説明には,実施例の説明として,キャッシュの割引率・・・との2つに分離し,【数10】により定式化すること,[0,1]を100等分した各ρの値で,一般化最小2乗法による演算を実行し,100個の平均割引関数オーバーバーD (s)を計測すること,一般化最小2乗和が最小となtるρを求め,その下での平均割引関数を最適解とすることが,開示されている。したがって,本願発明の「国債市場価格と国債理論価格との差額を算出」する手法の一つとして,一般化最小2乗法による演算を実行して,一般化最小2乗和を求めるという手法があり,その場合,請求項1の「複数の国債間の相関を表現するパラメータの最適値を該差額を用いて算出」するとは,一般化最小2乗和が最小となるρを求めることを意味することは,明らかである。しかしながら,一般化最小2乗法は,回帰分析の一手法にすぎず,本願発明の特許請求の範囲の記載は,回帰分析の手法を一般化最小2乗法に限定するものではない。また,一般化最小2乗法のみに限定して解釈するとしても,請求項1は,「複数の国債間の相関」としてどのようなものを想定するかを特定するものではない。しかるに,本願明細書には,一般化最小2乗法以外の回帰分析の手法や,実施例に例示された「λ 」「φ 」以外の相関構造について,全くght ght.jr」記載されていない。また,公知技術や周知技術を参酌することによって,一般化最小2乗法以外の回帰分析の手法や,「λ 」「φ 」以外の相ght ght.jr関構造を採用した場合について,「企業の倒産確率及び回収率を正確に計測する」という本願発明の効果を奏することの立証もされていない。そうすると,一般化最小2乗法以外の回帰分析の手法や,「λ 」「φ 」以ght ght.jr外の相関構造を構\成として含む本願発明は,明確でないというべきである。」

◆平成17(行ケ)10704 審決取消請求事件 特許権行政訴訟 平成18年10月04日 知的財産高等裁判所

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◆H18. 2.27 知財高裁 平成17(行ケ)10067 特許権 行政訴訟事件

  36条4項、6項違反に関して無効であるとした審決が取り消されました。
  「出願が平成12年6月5日である本件特許に適用される平成11年法律第160号による改正前の特許法36条4項は,「前項第3号の発明の詳細な説明は,通商産業省令で定めるところにより,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に,記載しなければならない。」と規定し,同法36条6項は,「第3項第4号の特許請求の範囲の記載は,次の各号に適合するものでなければならない。」とし,1号は「特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。」,2号は「特許を受けようとする発明が明確であること。」,3号は「請求項ごとの記載が簡潔であること。」,4号は「その他通商産業省令で定めるところにより記載されていること。」と規定している。そして,特許法36条4項の趣旨は,発明の詳細な説明が発明を公開する機能\を有することから,発明の詳細な説明の記載は,当業者(その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者)がその発明を実施することができる程度に明確かつ十分なものでなければならないとしたことにあり,また,同法36条6項の趣旨は,特許請求の範囲は対世的な絶対権たる特許請求の効力範囲を明確にするためのもので,その記載は正確なものでなければならないことから,特許請求の範囲は,発明の詳細な説明に記載して公開した発明の範囲を超えた部分について記載したものであってはならず(1号),特許を受けようとする発明が明確でなければならない(2号)としたことにあるものと解される。そうすると,明細書の発明の詳細な説明に,当業者がその発明を実施することができる程度に明確かつ十\分に記載されているのであれば,特許法36条4項所定の発明の詳細な説明の記載要件を充足するものであり,明細書に「発明における課題を解決すべき手段をその作用効果が関連づけて記載されてい」ないからといって直ちに発明の詳細な説明の記載要件に適合しないものとなるものではなく,これによって特許を受けようとする発明が不明確となり特許請求の範囲の記載要件(特許法36条6項2号)に適合しないことになるものということもできないから,本件審決の前記判断は,この点において是認することができない。」

◆H18. 2.27 知財高裁 平成17(行ケ)10067 特許権 行政訴訟事件

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