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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

リパーゼ認定

◆平成19(ワ)8426 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年05月20日 東京地方裁判所

 侵害訴訟における無効判断時に、発明の要旨認定にリパーゼ判決を用いると言及がなされました。
   「そもそも,本件発明も,外部取り出し端子に印加された静電気が,2端子素子の保護回路及び共通浮遊電極を通じて,他の外部取り出し端子へと分割されるという分散放電の技術思想をその必須の内容とするものではないから,乙2文献が分散放電の技術思想を開示していないことによって,相違点1についての前記(ア)の判断が左右されるものではない。すなわち,特許出願手続,無効審判手続及び審決取消訴訟における発明の要旨認定は,特許請求の範囲の記載に基づいて行われ,明細書の発明の詳細な説明の記載や図面が参酌されるのは,特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,あるいは,一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情がある場合に限られると解すべきところ(最高裁昭和62年(行ツ)第3号平成3年3月8日第二小法廷判決・民集45巻3号123頁参照),侵害訴訟において特許法104条の3第1項に基づく権利行使の制限の主張が行われた場合の当該特許発明の要旨認定においても,同条項が「特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは」と規定されていることに照らし,特許無効審判手続及びその審決取消訴訟における発明の要旨認定の場合と同じ認定手法によるのが相当と認められる。したがって,上記権利行使の制限の主張が行われた場合の発明の要旨認定は,原則として,特許請求の範囲の記載に基づいて行われ,明細書の発明の詳細な説明の記載や図面が参酌されるのは,特許請求の範囲の記載の技術的意義が一義的に明確に理解することができないとか,あるいは,一見してその記載が誤記であることが明細書の発明の詳細な説明の記載に照らして明らかであるなどの特段の事情がある場合に限られると解すべきである。 ところで,本件明細書(甲10添付)には,発明の詳細な説明の欄において,「共通浮遊電極を設けた場合には,静電気は2端子素子から共通浮遊電極さらに2端子素子を通して他の複数の端子に放電されるので,さらに印加電圧を低くすることができる。」,「第6図は,さらに第5図の例において遮光膜を第1主電極延在部27として第1主電極106に接続した例で,両方向に電流を流しやすい構造を有している。」との記載があるが,特許請求の範囲の記載は,前記争いのない事実等の(1)で認定したとおりであり,同記載によれば,本件発明においては,2端子薄膜半導体素子の付加ゲート電極及び第2主電極は外部取り出し端子に接続し,第1主電極は共通浮遊電極に接続するという順方向接続態様で接続する構\\成(構成要件E)であることが明らかであり,この接続態様によれば,電流は,外部取り出し端子から2端子薄膜半導体素子を介して共通浮遊電極へ流れる方向には流れやすいが,共通浮遊電極から2端子薄膜半導体素子を介して他の外部取り出し端子に流れる方向には流れにくくなっているものと認められる。そうすると,本件特許の特許請求の範囲の記載からみて,分散放電の技術思想ないしそれを実現する構\\成は,本件発明の必須の内容とはされていないというべきである。したがって,原告の上記主張は理由がない。b 仮に,原告の主張に係る分散放電を,本件発明の構成でも実現できる程度のものと解した場合でも,以下のとおり,原告の上記主張には理由がない。」

◆平成19(ワ)8426 不当利得返還請求事件 特許権 民事訴訟 平成21年05月20日 東京地方裁判所

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◆平成20(行ケ)10252 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年03月26日 知的財産高等裁判所

  用語「生産,稼働情報」がスケジュール管理情報を意味するが争われました。裁判所は、リパーゼ判決に言及することなく、下記のように判断しました。
 「上記アのとおり,特許請求の範囲の記載によれば,本願発明の「生産,稼働 情報」はスケジュール管理情報を意味するものとは特定されていない。また,「生産,稼働情報」との用語が一義的にスケジュール管理情報を意味するものといえないことも明らかである。次に,上記イの本願明細書の記載を検討するに,発明の実施形態に関する上記イ(イ)及び(ウ)の記載からは,生産,稼働情報がスケジュール管理情報を意味するものと解釈することは困難であり,また,実施例に関する上記イ(エ)の記載によっても,生産,稼働情報に,受注月日又は登録月日,納入日,折丁の完成日(折丁入日),作業開始(予定)時間及び作業終了(予\定)時間等の作業スケジュールに関連した情報が含まれるとはいえるものの,客先名,製造する本のサイズ(A4判,B5判など,製造部数(納入部数,丁合) ) 機3の使用台数,見返りの有無等の作業スケジュールに関連するとはいえない情報も含まれているのであるから,本願発明の「生産,稼働情報」がスケジュール管理情報を意味するものと限定して解釈することは困難である。さらに,本願発明の解決課題や効果に関する上記イ(ア)及び(オ)の記載によっても,本願発明が,遠隔のセンタ通信端末器側からローカル製本機の運転制御を可能とし,センタ通信端末器側においてローカル製本機の集中管理ができるようにする発明であることは理解できるものの,このような抽象的な作用効果の記載から,本願発明の「生産,稼働情報」がスケジュール管理情報に限定されるものと理解し得る訳ではない。エ以上のとおり,本願発明における「生産,稼働情報」は作業スケジュール管理情報を意味するものであるとする原告ら主張は採用することができないから,「生産,稼働情報」は,用語の一般的な意味に解するほかない。」

◆平成20(行ケ)10252 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成21年03月26日 知的財産高等裁判所

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