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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

本件発明

平成22(行ケ)10282 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年10月12日 知的財産高等裁判所

 進歩性欠如により無効である、とした審決が取り消されました。
 以上によれば,本件訂正発明1の「液体供給空間」は,単に「ディスク状」であるだけでなく,さらに,上記i)ないしv)の構成を一体的に備えることによって,課題を解決できるという技術的意義を有するものと認められる。この点に関して,審決は,相違点1について,「『ディスク状』の『液体供給空間』それ自体は,甲第13,14号証にみられるごとく周知である。」(審決62頁5〜6行)と判断している。しかし,本件訂正発明1は,前記(1) イで認定したとおり,収束されるレーザービームによる材料加工方法であってレーザービームを導く液体ビームがノズルにより形成されて加工すべき加工片へ向けられる加工方法における「ディスク状」の「液体供給空間」を対象とする発明であるところ,甲13文献は,前記(3) アのとおり,内燃機関に用いられる燃料用の噴出ノズルに関し,従来この技術分野で達成できないと考えられていたような噴出比を得ることを課題とするものであり,本件訂正発明1とは技術分野もその機序も相違している。しかも,甲13文献に記載されたものは,前記課題を解決するために,カバープレートが旋回室によって区画されたノズル体の芯部の端面と共に円板状の間隙15を形成し,カバープレートに存する出口開口部が円板状の間隙15を介して旋回室と通じ,出口開口部の断面が間隙の周面よりも数倍大きく構成することを中核的解決手段としているものであって,「円板状の間隙15」のみを取り出せば「ディスク状」と呼べないこともないが,出口開口部の断面が間隙の周面よりも数倍大きく構\成されていることに鑑みれば,「円板状の間隙15」のみを独立した空間と捉えるのは不自然であり,むしろ,出口開口部と一体の空間,そして,好ましくはさらに出口開口部と整列して形成される孔も含めた一体の空間として課題を解決するものである。さらに,「円板状の間隙15」を実際上「零」に等しいように対接させる態様もあり得るものとされており,もはや「ディスク状」の形状の空間を備えているものとはいえないというべきである。また,甲14文献に記載された発明も,燃焼装置やエンジンに用いられる,燃料のような液状媒体のための噴出ノズルに関し,噴射精度を改善するというものであり,本件訂正発明1とは技術分野もその機序も相違する。しかも,甲14文献に記載されたものは,前記課題を解決するために,被覆板の直径がノズル本体の直径よりも小さく,ノズル本体がその出口側の端面に,被覆板を形状補完的に収容するための中央の窪みを備え,窪みの深さが被覆板の厚さよりも浅く構成することを中核的解決手段としているものであって,その実施例に記載された「円板状の隙間15」のみを取り出せば「ディスク状」と呼べないこともないが,円板状の隙間15の外周面積は被覆板12内の中央の出口16の横断面積よりもはるかに小さく構\成されていることに鑑みれば,「円板状の隙間15」のみを独立した空間と捉えるのは不自然であり,むしろ,出口と一体の空間として所要の機序を備えるものであり,さらには,静止位置で「円板状の隙間15」の厚さが「零」であり,適当な噴射圧力のときに初めてほんの少し大きくなるように接触する態様もあり得るものとされており,もはや「ディスク状」の形状の空間を備えているものとはいえないというべきである。以上によれば,本件訂正発明1の「ディスク状」「液体供給空間」について甲13文献及び甲14文献から周知とした審決の判断は誤りである。

◆判決本文

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平成22(行ケ)10404 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年09月08日 知的財産高等裁判所 

 進歩性なしとした無効審決が取り消されました。経緯は複雑で、第2次訂正審決まであります。
 前記のとおり,引用発明は穴明機の制御装置に係る発明であり,周知例1ないし3並びに本件審決が指摘した甲12及び13のいずれにも,本件発明に開示された,被加工物の材質及び板厚に応じてダイの成形位置を変更,補正するパンチプレス機の制御装置に関連する周知技術が開示されていないことは,前記のとおりであるから,穴明機の制御装置に係る引用発明に,上記周知例等を適用しても,パンチとダイという複数の成形金型を制御の対象とし,パンチのみならずダイの成形位置を変更,補正し,パンチとダイとの相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する本件発明に想到することは容易とはいえない。しかも,当業者が,ドリルしかなく制御パラメータが極めて少ない引用発明の穴明機を出発点として,わざわざ,パンチとダイという複数の成形金型を制御の対象とし,パンチのみならずダイの成形位置を変更,補正し,パンチとダイとの相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定するパンチプレス機における成形金型に置き換える動機付けはないから,引用発明をパンチプレス機に適用することが困難でないとはいえない。なお,本件審決は,相違点1の検討において,甲5及び6を挙げて「打抜加工も可能なパンチプレス機」の制御装置と,「穴明機」の制御装置は,工作機械の数値制御装置である点で共通し,同じような制御方法であれば相互に適用可能\であることは技術常識であったと判断し,被告も,穴明機の制御装置とパンチプレス機の制御装置とが本質的に異ならないものとして,乙2ないし7を提出する。しかし,甲5及び6,乙2ないし7のいずれにも,被加工物の材質及び板厚に応じてダイの成形位置を変更,補正することは記載されていないし,穴明機から出発して,パンチプレス機の制御装置に想到することには,阻害要因があるといわざるを得ない。
・・・・しかしながら,本件発明に係るパンチ及びダイを備えたパンチプレス機の成形金型の制御装置は,成形金型の金型番号に対応してプレス動作を示すプレスモーション番号を設定・記憶し,そのプレスモーション番号ごとに設定された詳細設定データを生成するものであるから,複数の成形金型を使用する際に,共通のプレスモーションがあれば,そのプレスモーション分,詳細設定データを減らすことができ,またその分データの修正の作業量も少なくなる。そして,新たな成形金型を追加する場合でも,既に利用できるプレスモーションがある場合には,そのデータ入力作業が不要になるのであって,成形金型が2つあることによる制御パラメータの増大に加え,パンチとダイのそれぞれについて,他方との相対的な制御タイミングを制御パラメータとして規定する必要があるパンチプレス機において,データ入力作業が不要になることは,格別の作用効果と評価すべきである。ウ また,本件審決は,同一の成形加工を行う金型の保有個数を減らせるということをもって格別の作用効果であるとはいえないと判断した。しかしながら,従来技術において,複数個の金型を準備しておく必要があってコスト高になるほか,収納部分が必要以上に多くなって生産量に限界があったことが本件発明の課題の1つであったのであり(【0003】),本件発明の特許請求の範囲に記載された構成をとることにより,被加工物の多種多様な成形加工や打抜加工のために予\め準備すべき成形金型の数が少なくてすむことになり,金型の調整や試し打ち確認の作業も少なくできる効果を奏するものであり,同一の成形加工を行う金型の保有個数を減らせることによりランニングコストの低減が期待できることも,複雑なパンチプレス機にあっては,格別の作用効果ということができる。エ 本件審決は,金型の調整や交換などの段取り作業を不要にし,無人化・省人化運転が可能となり,生産性の向上を図ることができるものであるとしても,それは,引用発明に本件発明に係る構\成を適用することにより予測し得る作用効果であって,格別の作用効果とはいえないと判断した。しかしながら,そもそも,引用発明に係る穴明機にあっては,ドリルという一つの工具の上下移動のみを制御するものであり,パンチ及びダイといった複数の成形金型を同期制御することを本質とし,制御パラメータが極めて多いパンチプレス機と異なり,制御すべきパラメータが極めて少ないのであるから,パンチプレス機に係る本件発明において,上記のような効果を奏することは,予\測し得る作用効果とはいえない。

◆判決本文

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平成22(行ケ)10345 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年09月08日 知的財産高等裁判所

 進歩性なしとした審決が本件発明の認定誤りを理由として取り消されました。
 本件明細書の記載(前記(1)ウないしカ)によれば,本件補正発明における「加熱装置」は,内燃機関の排気側の管路のうち,三元触媒と圧力波機械との間に設けられたバーナ又は電気作動式ヒータであり,触媒の最適な動作温度がより急速に得られ,かつ,ガスがより高い温度で圧力波機械に達するようにすることで,特にコールド・スタート特性を改善するものであるといえる。(イ) これに対して,引用例2の記載(前記(2)エ及びオ)によれば,引用例2に記載の発明における「排気冷却・中間加熱器」は,2段式給気を行う内燃機関からの排気がガスタービンの許容入口温度を越えないようにする一方,ガスタービンからの排気の圧力波機械における仕事能力低下を防ぐために,これらの各排気の間で熱交換を行わせ,もって内燃機関からの排気の温度を降下させることに伴ってガスタービンからの排気の温度を上昇させるものである。すなわち,「排気冷却・中間加熱器」は,機関の排気系において,ガスタービンの上下流の各排気間で常に加熱と冷却を伴う一体不可分の熱交換を行う装置である。さらに,引用例2に記載の発明では,高圧圧縮段用の排気タービン式過給機と低圧圧縮段用の圧力波機械とを逆にして使用することも可能\であって(前記(2)オ),この場合,「排気冷却・中間加熱器」は,圧力波機械との関係では圧力波機械に流入する排気を冷却させることになり,圧力波機械の仕事能力を低下させる面を有することになる。(ウ) 以上によれば,本件補正発明の「加熱装置」は,機関の排気側の管路において圧力波機械に流入する排気を外部の熱源又は電気エネルギー源(以下「熱源等」という。)により加熱することで特に圧力波機械のコールド・スタート特性を改善するものである一方,引用例2に記載の「排気冷却・中間加熱器」は,2段式給気を行う機関の排気系において排気間での熱交換を行うものであって,排気を外部の熱源等により加熱するものではなく,むしろ圧力波機械を高圧圧縮段用に配置した場合には圧力波機械の仕事能力を低下させるものであるから,本件補正発明の「加熱装置」とは,その構\成,機能及び作用がいずれも異なっているというほかない。・・・以上のとおり,引用例2に記載の発明における「排気冷却・中間加熱器」は,本件補正発明の「加熱装置」に相当せず,引用例2に記載の発明は,「加熱装置」の構\成を備えているとは認められないから,本件審決による引用発明2Bの認定には誤りがある。

◆判決本文

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平成22(行ケ)10324 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成23年07月07日 知的財産高等裁判所

 無効理由無しとした審決が取り消されました。
 本件明細書が開示する,重合体粒子表面のグラフト共重合体鎖の長鎖アルキル基に対して液晶分子が垂直に規則正しく配列することにより,液晶スペーサー周りの配向異常を防止するという本件発明の作用効果は,単独重合,共重合によらず,長鎖アルキル基を有する重合性ビニル単量体の重合体鎖を重合体粒子表\面にグラフトしたことに基づくものであって,本件明細書において,本件発明が,引用発明1に開示されている構成のうちから,「特定の共重合体鎖」に限定しているとしても,それに基づいて生じる格別の作用効果に係る記載はないから,本件発明の「特定の共重合体鎖」が単独重合体鎖や他の共重合体鎖と比較して格別の作用効果を奏するものということはできない。しかも,本件明細書【0014】には,「長鎖アルキル基の層の厚みが0.01μm以上であれば,グラフト共重合体鎖の溶融効果又は配向基板上の官能基残基との反応により重合体粒子と配向基板との固着性も有する。」として,長鎖アルキル基の層が一定の厚みを有すると付着性が向上する旨を明らかにしているものである。そうすると,本件発明は,引用発明1における付着層を構\成する重合体鎖について,その一部に相当する「特定の共重合体鎖」を単に限定しているにすぎず,このような限定によって,引用発明1とは異なる作用効果あるいは格別に優れた作用効果を示すものと認めることもできないから,引用発明1の解決課題である付着性や技術常識の観点から,相違点1が実質的な相違点ということはできない。ウ 以上のとおり,本件発明は,引用発明1において例示的に列挙された「重合可能な単量体の単独重合体又は上記単量体の2種以上の共重合体であって熱可塑性を有するもの」の中から,「表\面に長鎖アルキル基を有する重合性ビニル単量体の1種又は2種以上と重合性ビニル単量体と共重合可能な他の重合性ビニル単量体の1種又は2種以上とからなるグラフト共重合体鎖を導入した重合体粒子」について一部限定したものというほかない。また,本件発明は,引用発明1から本件発明が限定した部分について,引用発明1の他の部分とその作用効果において差異があるということはできないから,引用発明1と異なる発明として区別できるものでもない。したがって,本件発明と引用発明1との間には,相違点は存しないといわざるを得ない。\n

◆判決本文

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