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知財みちしるべ:最高裁の知的財産裁判例集をチェックし、判例を集めてみました

争点別に注目判決を整理したもの

発明該当性

平成24(行ケ)10134 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年12月05日 知的財産高等裁判所

 発明の成立性が争われました。裁判所は「発明ではない」とした審決を維持しました。
 前記1(1)の1)ないし5)の構成は,「省エネ行動シート」という図表\のレイアウトについて,軸(「第一場所軸」と「第一時間軸」)と,これらの軸によって特定される領域(「第一省エネ行動配置領域」と「第一省エネ行動識別領域」)のそれぞれに名称を付し,意味付けすることによって特定するものであるから,各「軸」及び各「領域」の名称及び意味,という提示される情報の内容に特徴を有するものである。そして,図表の各「軸」,及び軸によって特定される「領域」に,それぞれ「第一場所軸」,「第一時間軸」,「第一省エネ行動配置領域」及び「第一省エネ行動識別領域」という名称及び意味を付して提示すること自体は,直接的には自然法則を利用するものではなく,本願発明の「省エネ行動シート」を提示された人間が,領域の大きさを認識・把握し,その大きさの意味を理解することを可能\とするものである。また,本願発明の「省エネ行動シート」は,人間に提示するものであり,何らかの装置に読み取らせることなどを予定しているものではない。そして,人間に提示するための手段として,紙などの媒体に記録したり,ディスプレイ画面に表\示したりする態様などについて,何らかの技術的な特定をするものではないから,一般的な図表を記録・表\示することを超えた技術的特徴が存するとはいえない。
(3) 本願発明の課題と作用効果について
本件明細書の前記記載によれば,本願発明は,従来技術においては,各省エネ行動によってどれくらいの電力量又は電力量料金を節約できるのかを一見して把握することが難しく,どの省エネ行動を優先的に行うべきかを把握することが難しかったという課題を解決し,省エネ行動を取るべき時間と場所を一見して把握することが可能になり,かつ,各省エネ行動を取ることにより節約できる概略電力量を把握することが可能\になるという効果を奏するものである。本願発明の上記作用効果は,一方の軸と,他方の軸の両方向への広がり(面積)を有する「領域」を見た人間が,その領域の面積の大小に応じた大きさを認識し,把握することができること,さらに「軸」や「領域」に名称や意味が付与されていれば,その「領域」の意味を理解することができる,という心理学的な法則(認知のメカニズム)を利用するものである。このような心理学的な法則により,領域の大きさを認識・把握し,その大きさの意味を理解することは,専ら人間の精神活動に基づくものであって,自然法則を利用したものとはいえない。
(4) 原告の主張について
原告は,本願発明は,その情報の提示の仕方にこそ技術的特徴があり,当該特徴により,見る者に対して「見やすい,理解しやすい」という効果をもたらすものであると主張する。しかしながら,本願発明に係る「省エネ行動シート」が情報の提示に当たるとしても,前記のとおり,図表の「軸」及び軸によって特定される「領域」に,「第一場所軸」等の名称及び意味を付して提示すること自体は,直接的には自然法則を利用するものではないし,人間に提示するための手段として,何らかの技術的な特定をするものではないから,一般的な図表\を記録・表示することを超えた技術的特徴が存するとはいえない。また,見やすい等の効果も,心理学的な法則を利用するもので,自然法則を利用した効果とはいえない。\n

◆判決本文

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平成24(行ケ)10001 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年07月11日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、発明の成立性なしとした審決が維持されました。
請求項1は、
 母音「イ」のローマ字表記を“i”と“y”の二字とし,カ行・ダ行・ラ行は,母音と組み合わせる子音を複数化する。ヤ行・ワ行はヤ行のイ段をのぞく全段において,y・wを母音の前に残し,外来語を考慮した「関連音表記」を持つローマ字表\。
です。
 特許法29条1項柱書は,「産業上利用することができる発明をした者は,次に掲げる発明を除き,その発明について特許を受けることができる」と定め,その前提となる「発明」について同法2条1項が,「この法律で『発明』とは,自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」と定めている。そして,ゲームやスポーツ,語呂合わせといった人間が創作した一定の体系の下での人為的取決め,数学上の公式,経済上の原則に当たるとき,あるいはこれらのみを利用しているときは,自然法則(law of nature)を利用しているとはいえず,「発明」には該当しないと解される。かかる見地から本件出願に係る請求項1〜3をみるに,そこに記載の事項は,いずれも,人為的な取決めないしは人間の精神活動のみに基づく取決めであって,自然法則を利用しているとはいえず,特許法2条1項,29条1項柱書にいう「発明」には該当せず,特許を受けることはできない。3 なお,原告は,本件出願に係る事項は,単語性という統合理念によって要請された取決めであり,人為的取決めではないなどと主張するが,本願請求項,明細書及び図面に記載の事項は,「仮名文字表記」と「ローマ字表\\記」という人間が創作した一定の体系の下で人間が定めた取決めないしルール(人為的取決め)にすぎないことに変わりはない。原告の上記主張は採用することができない。

◆判決本文

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平成24(行ケ)10096 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟 平成24年07月11日 知的財産高等裁判所

 CS関連発明について、発明の成立性なしとした審決が維持されました。
請求項は、 【請求項1】
入札による一定条件下での選抜と任意抽選または条件付の抽選による土木・建築工事業者(以下,業者という)の選定方法に関するもの。
です。
 特許法における発明とは,「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう」(2条1項)ところ,ここにいう「自然法則を利用した」とは,単なる精神活動,数学上の公式,経済上の原則,人為的な取決めにとどまるものは特許法上の発明に該当しないものとしたものである。請求項1に記載の事項は,入札において一定条件による選抜と抽選を用いて業者を選定することをその構成とするものであって,全体として,人為的取決めに当たることは明らかである。原告は,確率論に基づく抽選が自然法則の利用に当たる旨主張するが,人為的取決めの中に数学上の法則によって説明可能\な部分が含まれているというにすぎず,上記事項が人為的取決めに当たるとする前記判断を左右するものではない。請求項2以下についても,原告が準備書面で主張するところをもってしても,上記判断を超えて,これら請求項記載の事項が人為的取決めではなく自然法則を利用したものに該当するとの判断に至ることはできない。このように,特許請求の範囲に記載の事項は,全体として人為的取決めであり,自然法則を利用したものということはできず,特許法にいう「発明」には該当しないのであって,審決の判断に誤りはない。

◆判決本文

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