「Reebok」の文字の下段に極小さく表示した「ROYAL FLAG」から構成された結合商標について、先行商標「ROYAL FLAG」と類似するのかが争われました。知財高裁は、分離できるとした審決を取り消し、非類似と判断しました。判決文の最後に、本件商標があげられています。
しかしながら,本願商標は,その外観上,「Reebok」の文字部分,図
形部分及び「ROYAL FLAG」の文字部分を組み合わせて成る結合商標であ
ると認められるが,前記(1)のとおり,右側に鋭角の頂点を有する黒地の三角形の左
端に縦に白線を表し,当該三角形全体を左から右に波打つように旗状に表\した図形
を中央に大きく配し,その上段に,「Reebok」の文字を図案化された特徴の
ある書体で表し,図形の下段に「ROYAL」及び「FLAG」の各文字を1文字程度の間隔を空けて,上段の文字部分よりも小さく,かつ細いゴシック体で表して成るものであり,全体としてまとまりよく表されている。これに加え,中央に配された図形の大きさ及びその形状並びにその上段に配された「Reebok」の文字
の大きさ及びその図案化された特徴のある書体に比べ,図形部分の下段に配された
「ROYAL FLAG」の文字部分は,小さく,すなわち「ROYAL FLA
G」の冒頭の「R」と「Reebok」の冒頭の「R」の文字の大きさを比べると,
前者は後者の10分の1程度の大きさしかなく,かつ細い文字で表され,しかも,ゴシック体という一般的な書体であるから,その外観上,「ROYAL FLA
G」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。
ウ また,「ROYAL FLAG」という一連の語は,既成語として辞書に掲
載されているものではないが,「ROYAL」及び「FLAG」は,我が国にお
ける英語の普及率に照らせば,いずれも一般的な英単語であって,格別のものでは
ないこと,「ロイヤル(royal)」が国語辞典に掲載されているだけでなく
(甲50),これを付した複合語(例えば,「ロイヤル・ウェディング(roya
l wedding)」,「ロイヤル・スマイル(royal smile)」,
「ロイヤル・ファミリー(Royal Family)」,「ロイヤルブルー(r
oyal blue)」,「ロイヤル・ボックス(royal box)」,「ロ
イヤル・ミルク・ティー(royal milk tea)」など)も,カタカナ
・外来語辞典等に数多く掲載されていること(甲51,52),「フラッグ(f
lag)」が国語辞典に掲載されているだけでなく(甲35,41),これと他の
語との複合語(例えば,「チェッカー フラッグ(checker flag)」,
「チャンピオン フラッグ(champion flag)」,「ナショナル フ
ラッグ(national flag)」,「ナショナル フラッグ キャリアー
(national flag carrier)」,「フラッグ・ショップ(f
lag shop)」など)も,外来語辞典等に複数掲載されていること(甲37
〜40,44),「ROYAL」又は「FLAG」の英単語を含む商標登録も数
多く存在すること(甲56〜59)等に照らせば,一般的な英単語をつないだもの
にすぎないというべきである。そして,「ROYAL FLAG」の文字部分は,
それ自体が自他商品を識別する機能が全くないというわけではないものの,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える「Reebok」の文字部分との対
比においては,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印
象を与えるものであるということはできず,本件全証拠によるも,このようにいえ
るだけの事情を認めるに足りない。
エ したがって,本願商標の構成のうち「ROYAL FLAG」の文字部分だ
けを抽出して,引用商標と比較して類否を判断することは相当ではない。
◆判決本文
◆関連事件です。平成27(行ケ)10158
こちらは「REEBOK ROYAL FLAG」と標準文字にて横一行で表した結合商標です。