データベースの著作権侵害について、114条1項侵害(権利者の単価利益*侵害者の販売数)により2億円強の損害が認定されました。1審も1億円を超えていました。
甲77によれば,データメンテナンス契約に基づくデータメンテナ
ンス料は,平成19年10月までは月額5000円,同年11月以降は
月額6000円であったことが認められる。
(イ) 甲69によれば,1審原告の平成18年度のデータメンテナンスに
関する売上高は10億4742万9000円であったこと,その変動経
費は,仕入高(8387万6000円),残債(−8000円),販売
手数料(165万5000円),販促費/リース料S(0円),販促費
/その他(344万3000円),外注費(6604万9000円),
物流費4385万4000円),インセンティブ(423万円),広告
宣伝費(225万1000円),その他管理費(1億4457万400
0円)であったことが認められる。
この点,データメンテナンス契約に係る利益相当額の損害については,
著作権法114条の適用はないものと解され,その損害額の算定に当た
っては,売上高から変動経費だけでなく固定費も控除されるべきである。
そして,上記の売上高,変動経費額,メンテナンス料の値引き取引も
行われていたことその他諸般の事情を考慮すると,データメンテナンス
契約に基づくメンテナンス料に対する利益は,メンテナンス料が月額5
000円であるか,6000円であるかを問わず,月額3000円と認
めるのが相当である。
(ウ) 以上を前提に,1審原告のデータメンテナンス契約に係る利益相当
額の損害額を算定すると,次のとおりとなる。
a 平成18年6月から平成21年12月末までの間に販売された被告
CDDBに係る損害
別表2のとおり,上記期間において販売された被告システム(当初版)は22本,被告システム(2006年版)は61本である。
そして,別表2によれば,平成19年4月から平成23年4月までの49か月間に販売された被告システム(現行版)は333本であり,
平均して1か月当たり6.79本の被告システム(現行版)が販売さ
れたものと認められるから,平成19年4月から平成21年12月末
までの33か月間に販売された被告システム(現行版)は224本(6.
79×33=224)と認められる。そうすると,平成18年6月か
ら平成21年12月末までの間に販売された被告システム(当初版,
2006年版及び現行版)は,307本(22本+61本+224本)
と認められる。
したがって,上記販売本数に対するデータメンテナンス契約に係る
利益相当額の損害額は,1105万2000円である。
計算式 3000円×12か月×307本=1105万2000円
b 平成22年1月から平成22年12月末までの間に販売された被告
システムに係る損害
上記期間において販売された被告システム(現行版)は81本(6.
79×12=81)となる。そして,この期間においては,その販売
時期を問わず,平成22年12月末までに発生したデータメンテナン
ス契約に係る利益相当額が著作権侵害と相当因果関係のある損害とな
る一方で,販売時期によって損害の発生期間が12か月に満たないも
のがあることを勘案すると,その損害額は,上記販売本数に対する1
年分のデータメンテナンス契約に係る利益相当額の半額と認めるのが
相当である。したがって,上記損害額は,145万8000円と算定
される。
計算式 3000円×12か月×81×0.5=145万8000円
c 合計
前記a及びbの合計額は,1251万円である。
◆判決本文
◆1審はこちらです。平成21(ワ)16019