著作権侵害について、売り上げの70%が限界利益として認められました。
ウ 著作権法114条2項にいう「利益」とは,侵害による売上高から,そ
の販売に追加的に要した費用を控除した額(限界利益)と解するのが相当
であり,侵害品の売上げによって追加的に要しなかった経費は控除すべき
ではない。
本件においては,少なくとも,複写権使用料として5%,文具費(主と
して紙代)として10%,発送・通信費として15%を経費として控除す
べきことについて,原告らは明らかに争っておらず,このとおり認められ
る。
被告は,さらに,複写機リース料等も経費として控除すべきであり,利
益率は15%であると主張するが,その裏付けは何ら提出されておらず,
被告主張に係る経費が追加的に必要となった直接経費に該当すること及び
それら経費が被告主張の率であることを認めるに足りる証拠はない。
よって,本件における利益率は,前記争いのない経費を控除した70%
と認めるのが相当である。
以上より,平成16年8月1日以降本件訴訟提起日である平成26年7
月8日に至るまでの間に,P2及び被告が著作権侵害により得た利益の額
は1001万6482円と認められ,原告会社については著作権法114
条2項に基づき同額の損害が生じたものと推定される。
(計算式)(1円未満四捨五入)
144 万円×(9 年+342 日/365 日)×0.7=1001 万6482 円
また,被告による侵害行為と相当因果関係が認められる弁護士費用は,
原告らの主張どおり,75万円と認めるのが相当である。
したがって,原告会社に生じた損害は,合計1076万6482円と認
められる。
◆判決本文