平成25(ワ)19912  損害賠償請求事件  特許権  民事訴訟 平成28年2月19日  東京地方裁判所

 共同出願人の一方が期間内に出願審査請求をしなかったことを内容とする債務不履行に基づく損害賠償請求について理由有りとの判断がなされました。中間判決です。争点の一つが、特許がとれる発明だったのかどうかです。裁判所は一部については進歩性があったと判断しました。
 本件発明1−1は,加振用液圧シリンダ機構が,「ピストンロッドを共通にする複シリンダ構成をなし,各シリンダのロッド側液室には前記定加圧部による加圧力並びにこれと平衡する圧力を導入しつつヘッド側液室に加振液圧を導入して前記加 圧部による負荷を無負荷状態にして加振できるようにした」ものである(構成要件1D)のに対し,乙22の3発明は,脈動発生装置がそのような構成を有していない点において,両発明は相違している。 b 本件発明1−1と乙22の3発明との相違点2に関する検討 乙22の3発明に乙4の2文献に記載された技術(装置)を適用しても,加振用液圧シリンダ機構の「各シリンダのロッド側液室に定加圧部による加圧力及びこれと平衡する圧力を導入しつつ」「ヘッド側液室に加振液圧を導入して」「加圧部による負荷を無負荷状態にして加振できるようにした」構成とすること(構成要件1D2,1D3a及び1D3b)には至らない。前記イ(イ)bで説示したところからすれば,乙22の3発明において,脈動発生装置を上記構成とすることが,本件出願1前に,当業者が容易に想到し得たものということはできない。
c 小括
したがって,前記相違点1に関して検討するまでもなく,本件発明1−1は,本件出願1前に,乙22の3発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではなかったというべきである。
・・・・
 以上のとおり,本件出願1及び本件出願2については,審査請求期間内に出願審査請求がされていれば特許権の設定登録を受けられた高度の蓋然性があったということができるが,本件出願3及び本件出願4については,審査請求期間内に出願審査請求がされていたとしても特許権の設定登録を受けられた高度の蓋然性があったということはできない。 したがって,本件出願1及び本件出願2については,前記2で説示した被告の債務不履行と損害の発生との間の因果関係を肯認することができるが,本件出願3及び本件出願4については,被告の債務不履行又は不法行為と損害の発生との間の因果関係を肯認することはできない。

◆判決本文

検索キーワード
  #その他特許

>> 知財みちしるべ top