ネット上の誹謗中傷削除サービスにおける広告活動が品質誤認(不競法2条1項13号)に該当しないとした1審の判断が維持されました。
原告らは,被告ウェブサイト(広告)では,まさしく削除請求を代行するとうた
っており,非弁活動の広告がなされているものであるから,適法に任意削除請求が
できないにもかかわらず,これが適法に可能であるように表示しており,「役務の質,
内容」について消費者を誤認させる表示に当たる旨主張する。確かに,被告ウェブサイトには,原告らの主張する「削除代行サービス」「誹謗中
傷サイトを削除してきました」「専門スタッフが最速で誹謗中傷を完全消去いたしま
す」「一括して削除代行を承ります」(甲1の1),「削除代行」「ネット削除の費用」
「掲示板の削除の料金」「スレッド(板)またはレス(書き込み)単位で削除いたし
ます」「格安で掲示板を削除」との記載があり,その部分のみを取り出せば,被告が
顧客に代わって削除請求を代理するかのような表現がある。しかし,被告ウェブサイトの表示を正確に理解するためには,原告らも認めるとおり,当該ウェブサイトの特定の文言のみならず,その他前後の文脈等も見る必要があるところ,トップペ
ージにおける「ブログの削除」欄には,「当社では,ブログの削除代行も行っていま
す。」との記載に引き続いて,「削除依頼をITの面からサポートし,解決いたしま
す。」との記載(甲1の1),削除ページには,「ネット削除(削除依頼)のITサポ
ート」との見出しや,「ネット削除申請サービス(技術サポート)」,との見出しがあり,「ITやWEBの専門技術を生かし,削除依頼の手続きを最後までお手伝いしま
す。」,「当社では,これまでの数千件以上の削除実績と経験をふまえ,最も効果的な
削除要請ができるよう,技術面からサポートいたします。」との記載(甲1の2),
相談ページには,「ITの知識も必要」「ネットの削除養成については法律知識だけ
でなく,ITの知識や技術も必要になります。当社では,ITの面から削除要請を
サポートしています。削除の方法が技術的に分からないようなときは,当社にご相
談下さい。」との記載(甲1の3)もある。これらによれば,原判決が述べるように,
被告が,顧客と顧客が削除を求める相手との関係でどのように関わるのかについて
明確でなく,技術的サポートの内容も具体的ではないものの,被告が顧客に代わっ
て削除依頼を直接行ったり,法的助言を行ったりするものと理解することはできな
い。そうすると,被告ウェブサイトが,本来,被告が適法に行うことができない法
律的な業務について,これを行うことが適法に可能であるように表示したとまでは
いうことができず,したがって,「役務の質,内容」について消費者を誤認させたと
いうことはできない。
◆判決本文
◆原審はこちら。平成26(ワ)31864