現行法の取戻請求が認められない案件について、不当利得返還請求権に基づく移転登録の請求が認められました。
以上に認定した原告とP3社との合意内容(請求原因(4)の事実)及び原告と被告
との合意内容(請求原因(5)の事実)によれば,出願人名義を被告に変更した当時,
原告が本件発明に係る特許を受ける権利を有していたと認められ,その後,請求原
因(6)のとおり,本件特許権は,本件出願について特許法所定の手続を経て,設定の
登録がされたのであるから,本件特許権は,原告が有していた特許を受ける権利と
連続性を有し,それが変形したものであると評価することができる。
そうすると,被告は,法律上の原因なくして,本件特許権を取得したという利益
を得ているといえるから,原告は,被告に対し,不当利得返還請求権に基づいて,
本件特許権について移転登録手続を請求することができる(最高裁判所平成13年
6月12日判決・民集55巻4号793頁参照。なお,本件では,平成23年法律
第63号による改正後の特許法74条は適用されない。)。
◆判決本文