「アクシスフォーマー.com」のPunycode(ピュニコード)のドメイン名を使用する行為が不競法2条1項12号の不正競争に該当するかが争われました。裁判所は、原告の特定商品等表示と類似のドメイン名であるとして、プロバイダーに発信者情報の開示を命じました。
本件日本語ドメイン名の「アクシスフォーマー.com」のうち,「.com」の
部分はいわゆるトップレベルドメインであって識別力が弱いから,本件日本
語ドメイン名の要部は,「アクシスフォーマー」の部分であるところ,これ
は,不正競争防止法2条1項12号の特定商品等表示に該当する原告製品の名称と同一であるから,本件日本語ドメイン名は,認められる。
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ところで原告製品の購入を検討しようとする需要者がインターネットを利
用する場合,原告製品名である「アクシスフォーマー」を検索ワードとして,
グーグル等の検索エンジンを利用して検索するのが一般的と考えられるが,
本件サイトは,本件日本語ドメイン名に「アクシスフォーマー」を含むもの
であるから,本件サイトは検索結果として上位になり,またそのドメイン名
から目的とする検索サイトであると理解されるので,上述のアクシスフォー
マーという原告製品名を手掛かりにしてインターネット検索をした一般的な
需要者は,必然的に本件サイトに誘導されたものと認められる。
そして,一旦,本件サイトにアクセスした場合,本件サイトは,確かに原
告製品を販売商品として取り扱うサイトであるので,その内容に注目して閲
覧することになるが,本件サイトのウェブページの記載内容は,一般的な商
品取扱いサイトのように取扱商品の優秀性を謳うものではなく,上記(2)にみ
られるように,原告製品が問題のある商品というだけでなく,それを製造販
売する原告さえも問題があるようにいうものである。すなわち,被告は,本
件発信者が大量の原告製品を抱えてこれを販売するために本件サイトを開設
したように主張するが,その本件サイトでは,原告製品に興味を持ち,その
購入を検討しようとしてインターネットを利用してアクセスしてきた需要者
に対し,ウェブページの随所において,需要者の購入意欲を損なうことを意
図しているとしか考えられない内容の記載をしているのであり,また,その
記載は,併せて製造者としての原告の信用を損なうことをも意図していると
解さざるを得ないものである。結局,これらのことからすると,本件サイト
は,被告が主張するような原告製品の販売促進を意図したものではなく,む
しろ原告が主張するように,原告に「損害を加える目的」で開設されたサイ
トであると断ぜざるを得ないというべきである。
(4) したがって,本件サイトの契約者である本件発信者は,他人に損害を加え
る目的で,原告の特定商品等表示である原告製品の名称と類似の本件日本語ドメイン名を使用したものであり,これは不正競争防止法2条1項12号の
不正競争に当たる。
◆判決本文